泉の精の物語〜創生のお婆ちゃん〜

足助右禄

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養育

ウルゼイド

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次の日、私、芽依、颯太、カナエ、ギョクリュウはトコヤミに乗ってウルゼイドの街へと行った、ザハーンは『住まいはこちらで用意致しますので何も持って来なくて大丈夫です』と言っていた。

街にはすぐに到着した。
石で作られた高い壁に囲まれた大きな街。この街には大きなお城があり、かなり遠くに聳え立っているのが見えた。
あそこにブランザハーンの子孫が住んでいるのか。

街の入り口にはニ頭立ての馬車と馬……アンヴァールの繋がれていない大きな馬車が一台待機していた。馬車は美しい装飾が施されていて、二頭のアンヴァールも純白の美しいものだった。

『ほう、美味そうなアンヴァールだな』
『おい、冗談でもその様な事を言うな』

トコヤミが唸る様に言っているのを見てギョクリュウが窘める。

「お待ちしておりました」

馬車の前にはザハーンが待っていた。

「今日からお世話になります」
「不自由がございましたら、何なりとお申し付け下さい」
「ザハーンおじさん、よろしくおねがいします！」

芽依も一歩進み出てペコリとお辞儀をする。

「メイ様は礼儀正しくいらっしゃる。こちらこそ、宜しくお願いします」

芽依の前に跪いて視線を合わせて笑顔で接するザハーン。芽依は嬉しそうに抱きついている。

『ザハーンよ、皆様の事をくれぐれも頼んだぞ』
「はい、お任せください」

トコヤミがザハーンに声を掛ける。

『それでは我はこれにて、何かあれば直ぐに馳せ参じます故、何時でもお呼び付けください』
「ああトコヤミ。何時もの合図で呼ばせてもらうからね」

颯太とも話をしている。

「トコヤミ、送ってくれてありがとう。行ってきます」
『はい。どうかお気を付けて』

私が礼を言うと頭を地面に付けて応じてくれる。そして彼は山に戻って行った。

「さあ、こちらの馬車で移動致します。ギョクリュウ様はハル様達をお乗せするこちらを引いていただきます」

私がギョクリュウに説明すると彼は大喜びだった。

『早速私の出番ですね！ハル様、精一杯引かせていただきます』
「ええ、宜しくね」

馬車の側に控えていた者達がギョクリュウに馬具を付けていく。
彼は他のアンヴァールよりも大きい為装着に時間が掛かっていたが、無事に装着が出来た。

そう言えばアンヴァール車とは言わないのね。

「アンヴァールはこの辺りにいる巨大な馬の種類でございます。他の地域では馬を用いるのが一般的なので馬車と呼ばれております」

普通の馬もいるのね。

私達はギョクリュウの引く馬車に乗って街に入っていく。
ザハーンはもう一台の馬車に乗って私達の馬車を先導している。

「おかーさん！スゴいスゴい！きれいだよ！」

場所の窓から街並みを見て興奮している芽依。

「メイ、ちゃんと席に座らないと危ないよ」

颯太が心配して抱き上げると自分の膝の上に座らせる。そこからなら窓がよく見える。

ウルゼイドの街は最善と建物が建ち並んでいて、その全てが石造りだった。
大通りは石畳が敷かれ、馬車は殆ど揺れる事なく軽快に進んでいく。

街の人は殆どが魔族だが、稀に人間もいた。どうやら人間とは上手く付き合っている様だ。

街で見掛ける人々は清潔な衣服を着て、健康そうだった。
街の者が裕福に暮らしているのは、国が良政治をしている証拠だろう。ブランハザーンの子孫は良い統治をしている様だ。

馬車は街の中心地を通り大きな屋敷の建ち並ぶエリアに入る。
ここは特に美しい街並みで芽依でなくとも目を奪われていた。

暫く進むと馬車は大きな門のある屋敷へとはいっていく。
門を潜ってから真っ直ぐ延びた道をゆっくりと進んでいく。左右には手入れの行き届いた庭園が広がっていた。

馬車は玄関の目の前で止まり、外から馬車の扉が開かれる。

「到着致しました。どうぞお降りください」

ザハーンに促されて馬車を降りる。
目の前には大きな屋敷が建っていた。

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