泉の精の物語〜創生のお婆ちゃん〜

足助右禄

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養育

測定

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芽依が触れていた測定球が壊れてしまった。
不良品ではなかった様だが、ルシアーナは芽依に怪我が無いかを確認して安堵していた。

「せんせい、ごめんなさい……」
「いいのですよ、メイさんが悪いのではありませんからね」

泣き出しそうになりながら謝る芽依。
自分が壊してしまったのだと思っているのだ。

「芽依、大丈夫よ。あなたの魔力が大き過ぎただけなのよ。そうですよね?」
「はい。測定球では測れなかっただけです。そんな事よりもメイさんに怪我が無くて良かった……妖精さん、ありがとうございました」
「私がいる限りメイ様には傷一つ付けさせません!」

カナエが居てくれたお陰でメイは無事だった。彼女にも感謝だ。

「カナエちゃん、ありがと」
「いえいえ、これ位なんて事ありませんよ!」

礼を言われて嬉しそうにしているカナエ。

他の生徒達も驚いて集まってきた。

「メイちゃん今の何ー?」
「スゴいキレイだった!」

怖がるどころか興味を持って芽依に近付いてきた。
困惑する芽依。

「皆さん、メイさんへの質問はあとにしましょうね。今は魔法の訓練をしましょう」

ルシアーナが優しく声を掛けて生徒達に訓練の再開を促した。
みんな元気よく返事をして自分の席に戻っていく。

この位の歳の子は、自分の席の上で魔法の練習をする程度の出力しか出せないのが普通なのだろう。
机の上に置いた小さな手の中で、僅かな魔力を練り上げている様だった。

「おかーさん……ごめんなさい」
「謝らないでいいのよ。芽依は魔法の才能が凄いと言うことが分かったのだから」

頭を優しく撫でて落ち着かせる。

「カナエ、さっきの現象で芽依の属性は分かったのかしら?」
「私が感じたのは全ての属性でした。多分ですけどメイ様は私と同じ全属性ですよ」
「まあ、それは凄いわ」

芽依は魔力量が桁外れで全属性使えるのね。鼻が高いわ。

「メイさんを危険な目に遭わせてしまい大変申し訳ありませんでした」
「いえ、先生のせいではないわ。気にしないで」

ルシアーナは本当に申し訳なさそうに言ってきた。わざとでは無いのだから問題はない。

「それで……ハルさんは魔力適性はもう把握されているんですよね」
「ええ。私は水、土、氷、光、植物の五つよ」
「五属性……素晴らしいです」

ルシアーナが言うには多くても三属性が限界なのだそうだ。
魔法の得意な魔族でも三属性しか使えないのに芽依は全ての属性が使えるのね。

「魔力量の計測はした事がありますか?」
「いいえ。あの測定球を使ったら壊れてしまうかもしれないわ」
「それならもっと大きなものがありますのでそれを使ってみたらどうでしょう?」

授業が終わり昼休憩になった。
昼休憩は二時間もある。その間に食事を摂ったりそれぞれ好きに過ごして良いそうだ。
私達はルシアーナの勧めで、上級学年の魔法実技棟の一階に設置されている大型の測定器の所に来ていた。綺麗な透明の柱が幾つも束ねられている装置で、高さは五メートルもあった。
本来は魔法に特化したもっと上の生徒達が、自分の最高出力を測るために用意されたものらしい。

「これならばメイさんが使っても壊れないですよ」

そう言ってルシアーナは芽依に再測定を促す。
心配そうにしていたので、「大丈夫よ。カナエもいるし、思い切りやってみなさい」と声を掛けたら、大きく頷いて装置に触れる。

虹色の光が柱の根元から登っていき、芽依の身長くらいの所で止まる。

「これがメイさんの魔力量です。凄い!大人の魔法使いと変わらない魔力量です。それに全属性持ちだなんて……」

褒められて嬉しそうにしている芽依。

続いて私の番だ。
装置に触れると足元から濃い青色、薄い青色、茶色、白色、緑色の光が登ってきて、柱の上から溢れて出していた。

芽依の測定球の様に壊してしまったら良くないだろう。直ぐに手を離してやめた。

「い、今のは……」

茫然としているルシアーナ。
壊してはいないわよね?
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