泉の精の物語〜創生のお婆ちゃん〜

足助右禄

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勇者

三度目の冒険者登録

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その後数日間は泉で過ごし、充分に英気を養った私達はセイランの街に帰る事にした。

トウヤとリタは颯太達に任せて、ライブラを連れて出発する。

獣の姿の家族達、精霊達に見送られて、竜の姿になったエレの背に乗りセイランへ向かう。

かなり長い間街を空けてしまった。『白い蝙蝠亭』に戻るのも久しぶりだ。

セイランの手前で着陸してエレは人の姿に。歩いて門を通る。

まずは冒険者ギルドに向かい、報告を行う。

「おかえりなさい皆さん、王都では大活躍だった様ですね」

受付に立っていたリフィナが声を掛けてくる。正式にギルドマスターになったのに彼女は時折ここに立っているらしい。

「ただいま戻りました」
「すみません、寄り道していました」

セロは正直に謝っていた。

「そうだろうと思いました。その気になればその日のうちに帰ってこれますからね」

そう言って苦笑するリフィナ。初めて会った時はあまり愛想の良い人物ではなかったが、最近は表情も良く動くし接しやすくなった。

「暫くはセイランで仕事をしますか?」
「そうですね……それでいいかなハルさん」
「はい」

特に問題はないが、王都から呼び出しがあればそちらに行かなければならないだろう。

目下、可能性があるとしたらリーグニツ絡みだろう。召喚した勇者アキオは私が殺している。

転生者には転生者が殺された事を知らせる様なのだが、召喚した者にも伝えられているかもしれない。だとしたらライアッドとの関係は更に悪化するだろう。
最悪戦争になった場合は私も参戦せねばならないだろう。

「ところでそちらの方は?」

リフィナはライブラと芽依を見ながら聞いてくる。

そうだったわ。

「私、メイだよ」
「メイ、さん……?本当に?」
「うん!」
「少し見ないうちに随分と成長されましたね……セロさんが何かした訳ではないですよね?」
「なっ!?俺は何もしてませんよ!」

慌てて否定するセロ。
リフィナも冗談が言えるのね。

さて。

「こちらは新しい仲間です。冒険者登録をお願いします」
「初めまして、ライブラと申します」

リフィナに対して綺麗なお辞儀をするライブラ。

「ギルドマスターのリフィナです。それではこちらに記入をお願いします」

そう言って登録用の紙とペンを出してライブラに書かせる。

「すみません、年齢が分かりません」
「そうですね……見た目の年齢を書いておいてもらいましょうか。十六とお書きください」

私の時と対応が違うわ。素直に天文学的な数字を書かれてもリフィナが困るだろう。ライブラはそこまで気を遣って言ったのだろうか。

「ハルさんの紹介でも能力査定はやらなくてはなりません。戦闘では何を使いますか?」
「手に持てるものなら大抵は使えます」

記入が済んで、書面に目を通しながらリフィナが説明をする。

「それでは訓練場に行きましょう」

みんなでリフィナの後について行く。

「近接戦闘を見せていただきます。メイさん、ライブラさんの相手をしてあげてください」
「私?はーい!」

芽依は壁に掛けてある木剣を三本持って戻ってきた。

「はいライブラさん!」
「ありがとうございます」

一本を渡して少し距離を取る芽依。

「私がいいと言うまで戦ってください」
「はーい!」「分かりました」
「それでは、始めてください」

リフィナの合図で飛び出したのは芽依、の方ではなくライブラだった。

凄まじい速度で芽依の目の前に滑り込むと木剣で芽依に打ち込んでいく。
芽依もその速さに面食らった様だが、直ぐに二本の木剣で攻撃を捌く。

「す、スゴい……剣筋が見えない」
「ライブラさんスゴい」
「メイさんは見えているみたいですね」

セロ、リン、ミラが二人の戦いを見ながら驚いていた。

ライブラは人ではないから身体能力も規格外なのだろう。それを冷静に対処している芽依も流石だ。

「そ、それまで」

二人の戦いに圧倒されていたリフィナだったが、ふと我に返って声を上げた。
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