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勇者
王都へ報告
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リフィナの指示で王都へ書簡を届ける事になった。
《雷鳴》は違う仕事が入っているらしくアルは王都に同行はしない。
「報酬の増額があった場合は私の方からお届けします」
「僕はただついて行っただけなのに追加報酬までいただくなんて……」
リフィナに言われて困惑するアル。
「一緒に仕事をしたのは変わりありませんよ。アルさんには報酬を受け取る権利があります」
私はアルがただついて来ただけとは思っていない。彼が後衛に居てくれるのでマイは前に出て戦えたのだし戦術的にも余裕が生まれた。結局最後は力技になってしまったが、一緒に仕事が出来てそれぞれ得るものがあっただろう。
「……分かりました。お世話になりました。この先もお気を付けて」
「はい。こちらこそありがとうございました。またご一緒出来たらいいですね」
私がそう言うと少し驚いた顔をしていたが、すぐに笑顔になった。
「それでは書簡の件宜しくお願いします」
リフィナとの話を終えて冒険者ギルドから出る。
「ハルさん!」
「はい」
ギルドから出て別れる直前にアルに声を掛けられる。
「ぼ、僕なら……一時だけでも愛する人と一緒に生きたいと思います。別れる事が分かっていたとしても、それが運命だったとしても……その人が一人きりになっても一緒にいた時間を永遠の思い出にするくらい、幸せにして見せます!だから……だから、人を好きになる事は悪い事じゃないです!」
そう言うとアルは走って行ってしまう。
「アルさん!」
私は彼を呼び止める。
「ありがとう。その言葉、大切にするわ」
振り返ったアルは顔が真っ赤だった。嬉しそうに笑うと手を振って去っていく。
アルは自分の気持ちを私にぶつけるのではなく、私の気持ちを考えて言葉を選んで話してくれた。
本当に優しくて良い子ね。
「あらあら……」「まあ」
リンとミラは目を輝かせて呟いている。
「お母さん、アルさんに何て答えるの?」
「それはどうしたらいいかしらね。ゆっくり考えるわ」
「なるべく早く答えを出してあげてね?」
「ええ」
もしこの先自分の考えが変わる程の出来事があったらその時はきっと。
アルと別れて私達は直ぐに王都に向かう事にした。
セロ達三人はフル装備で来ているし私達は装備類は指輪に全て格納してある。
「セロさん達は今日も仕事するつもりだったの?」
「いや……この装備を宿に置いてくるなんて無理だよ」
「そうそう。盗まれでもしたら大変だから」
芽依が聞いたらセロとリンが笑いながら答えてきた。
それもそうね。《ストレージ》の指輪は生成できないかしら?空いている時間で試してみましょう。
《瞬間移動》で王都に転移する。勿論王都入り口にだ。
街に入る手続きをする為に門衛と話をする。
「ようこそお越しくださいました!直ぐに馬車を手配いたしますのでしばしお待ちを」
「ありがとうございます。歩いて行きますので結構ですよ」
「そうですか……分かりました」
門衛に礼を言って街に入る。
初めてここに来た時とは対応が随分と違うわね。
冒険者ギルドに行き、受付に書簡を渡す。受付の男性は書簡を確認すると大慌てでギルドマスターを呼んできた。
「おお、お前らか!まあ俺の部屋に来てくれ!」
ブランに言われてギルドマスターの部屋に行く。
「それで、報告を読んだが……また随分な事をしたみたいだな」
「良くありませんでしたか?」
「逆だ逆。ソアニールとは隣り合わせの国だが、国境沿いには険しい山脈があって交流がほとんどないんだ。理由はどうあれ友好関係を結ぶのは良い事だぜ」
ブランは書面を読み返しながら話していた。
「それでだ。ここには『追加報酬と銀級への特例昇格の要請を提案』と書いてあるんだが」
追加報酬の事は聞いていたが昇格の事はリフィナに聞いていない。
「お前らなら特例昇格でミスリルくらいにしてもいいんじゃないかと思うけどな!」
そう言ってブランは豪快に笑っていた。
《雷鳴》は違う仕事が入っているらしくアルは王都に同行はしない。
「報酬の増額があった場合は私の方からお届けします」
「僕はただついて行っただけなのに追加報酬までいただくなんて……」
リフィナに言われて困惑するアル。
「一緒に仕事をしたのは変わりありませんよ。アルさんには報酬を受け取る権利があります」
私はアルがただついて来ただけとは思っていない。彼が後衛に居てくれるのでマイは前に出て戦えたのだし戦術的にも余裕が生まれた。結局最後は力技になってしまったが、一緒に仕事が出来てそれぞれ得るものがあっただろう。
「……分かりました。お世話になりました。この先もお気を付けて」
「はい。こちらこそありがとうございました。またご一緒出来たらいいですね」
私がそう言うと少し驚いた顔をしていたが、すぐに笑顔になった。
「それでは書簡の件宜しくお願いします」
リフィナとの話を終えて冒険者ギルドから出る。
「ハルさん!」
「はい」
ギルドから出て別れる直前にアルに声を掛けられる。
「ぼ、僕なら……一時だけでも愛する人と一緒に生きたいと思います。別れる事が分かっていたとしても、それが運命だったとしても……その人が一人きりになっても一緒にいた時間を永遠の思い出にするくらい、幸せにして見せます!だから……だから、人を好きになる事は悪い事じゃないです!」
そう言うとアルは走って行ってしまう。
「アルさん!」
私は彼を呼び止める。
「ありがとう。その言葉、大切にするわ」
振り返ったアルは顔が真っ赤だった。嬉しそうに笑うと手を振って去っていく。
アルは自分の気持ちを私にぶつけるのではなく、私の気持ちを考えて言葉を選んで話してくれた。
本当に優しくて良い子ね。
「あらあら……」「まあ」
リンとミラは目を輝かせて呟いている。
「お母さん、アルさんに何て答えるの?」
「それはどうしたらいいかしらね。ゆっくり考えるわ」
「なるべく早く答えを出してあげてね?」
「ええ」
もしこの先自分の考えが変わる程の出来事があったらその時はきっと。
アルと別れて私達は直ぐに王都に向かう事にした。
セロ達三人はフル装備で来ているし私達は装備類は指輪に全て格納してある。
「セロさん達は今日も仕事するつもりだったの?」
「いや……この装備を宿に置いてくるなんて無理だよ」
「そうそう。盗まれでもしたら大変だから」
芽依が聞いたらセロとリンが笑いながら答えてきた。
それもそうね。《ストレージ》の指輪は生成できないかしら?空いている時間で試してみましょう。
《瞬間移動》で王都に転移する。勿論王都入り口にだ。
街に入る手続きをする為に門衛と話をする。
「ようこそお越しくださいました!直ぐに馬車を手配いたしますのでしばしお待ちを」
「ありがとうございます。歩いて行きますので結構ですよ」
「そうですか……分かりました」
門衛に礼を言って街に入る。
初めてここに来た時とは対応が随分と違うわね。
冒険者ギルドに行き、受付に書簡を渡す。受付の男性は書簡を確認すると大慌てでギルドマスターを呼んできた。
「おお、お前らか!まあ俺の部屋に来てくれ!」
ブランに言われてギルドマスターの部屋に行く。
「それで、報告を読んだが……また随分な事をしたみたいだな」
「良くありませんでしたか?」
「逆だ逆。ソアニールとは隣り合わせの国だが、国境沿いには険しい山脈があって交流がほとんどないんだ。理由はどうあれ友好関係を結ぶのは良い事だぜ」
ブランは書面を読み返しながら話していた。
「それでだ。ここには『追加報酬と銀級への特例昇格の要請を提案』と書いてあるんだが」
追加報酬の事は聞いていたが昇格の事はリフィナに聞いていない。
「お前らなら特例昇格でミスリルくらいにしてもいいんじゃないかと思うけどな!」
そう言ってブランは豪快に笑っていた。
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