転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

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ディルロード帝国

停戦交渉

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私達は玉座の間に案内されて進んでいく。
そのまま置いてくるのもどうかと思ったのでレア皇女はソラちゃんが連れてくる事に。

案内というか警戒されているの方が正しいのかな?

完全に怯えてしまって動けない人はその場に置いていく形で動ける人が私達を包囲してついてきている。

むしろ人質をとって皇帝陛下に会わせろと言っている様に見えているのかな。

玉座のある部屋に着くと、大盾を持った重装騎士に皇帝と思しき中年の男性が守られていた。

「随分と厳重ね。」
「それはそうでしょう。私達は敵国の者ですし。」

皇帝陛下の方は歩いて行くと、「そこで止まれ」と騎士の誰かに言われる。

重装騎士の所に行っても皇帝陛下とお話し出来そうにないので言う通りにその場に止まる。

「私達の話を聞いてもらえますか?」
「皇女を人質に話を聞けと言うのか?」
「分かりました。皇女は解放します。」

ソラちゃんに合図をすると、近くの騎士に皇女を手渡してくれた。
恐る恐る受け取る騎士の人。

「これで宜しいですか?」
「馬鹿め、我らが賊の話を聞くとでも思うたか!」

玉座に控えていた老人が声を荒げる。
人質がいなくなれば私達の優位性がなくなったと思っているのかな?

元々人質にするつもりはなかったのだから、そこは分かってほしいなぁ。

下手に出ると更に状況が悪くなりそう。お爺さんに向かって冷たい視線を送るだけにしておいた。

「はぁっ……?う、ぐぅ……!」

お爺さんは苦しみ出して倒れてしまった。

「宰相殿!」
「貴様ァ!一体何をした!?」

「すみません、私は皇帝陛下とお話をしたいのです。少し静かにしていただけませんか?」

「うぐ……」

私に向かって怒鳴りつける騎士に向かって怒気を放つ。騎士はその場に崩れ落ちた。

「騎士長ー!!」
「死んだのか…?」

どうしよう…更に空気が悪くなってしまった。

「全員控えよ。」

深みのある声が室内に響く。
発したのは皇帝陛下だった。

「私は彼女と話がしたい。」

警護していた騎士達が左右に分かれていく。
玉座に座っていた皇帝陛下は30代後半くらいだろうか。金髪をオールバックにした整った顔立ち。

「渋い……声も顔も……」

リオさん、今は抑えてくださいね。

「ミナというのは其方か?」
「はい。私がミナです。」
「娘を返してくれた事、感謝する。して、レアは何故ゆえ気を失ったのか?」
「私が皇女殿下の所に現れた時、私が余程恐ろしいものに見えたのでしょう。一度は心臓が止まってしまっていました。すぐに蘇生を施しましたので今は大丈夫です。」
「そうか…私にも其方が恐ろしく見える。」

大きく息を吐き、心を落ち着かせている皇帝陛下。

「今回ここにきたのは、戦争をやめていただく為です。」
「断ればどうする?私を殺すか?」
「殺しはしません。力づくでこの戦争を止めさせてもらいます。その場合は帝国の方が沢山死ぬ事になります。」
「好きにするが良い。ここまで踏み込まれて何もできぬのだ。元より勝ち目など無かったのだろう。」
「それならもう争いはやめて…「ならぬ。」
「何故ですか?」
「それが帝国だからだ。」

それってプライドの話?
そんな馬鹿げたものの為に人が死んでいい訳ないよ。
この人達はもう止まらないのかな。
一体どうすれば正解なんだろう?

「う……わ、わたし…一体何を……?」
「皇女様、目覚められましたか!」

レア皇女が目を覚ました。彼女を説得できれば皇帝も考えを変えてくれるかもしれない。
でも私の姿を見てまた倒れたらマズい。
取り敢えず《アドラステア》を引っ込めよう。

「ネメシス様…?ネメシス様ですよね?」
「は?え?」
「ネメシス様は実在したのですね!」

私の所に駆け寄ってきて跪きながら手を取ってくる。

「皇女殿下…?何を言っているのですか?」
「レアよ…どうしたというのだ…?」

皇帝陛下も困惑している。

「あぁ…まさかこの目でそのお姿を拝見出来る日が来ようとは…!何と神々しい…美しくも可憐で、素朴な可愛らしさまで…私の拙い語彙力では表現しきれないです。」
「ええと……」

違いますと言った方が良いのかな…?

どうして良いか分からずリオさんを見るとアウラさんを通してどうするかを伝えてきた。

(このまま騙してしまいなさい。無理に演技をする必要は無いわ。勝手に勘違いを繰り返して停戦までいけるかもしれないから。)
(でもそれって…)
(いいのよ。これ以上死なせたく無いのなら手段を選んでいられないわ。)

確かに、うまく話を進めれば出来るかもしれない。
でも彼女は神を恨んでいて、神になり代われないなら世界を壊すとまで決めている。その彼女が私の事を神だと言って信仰心のようなものさえありそうな態度を見せている。

一種の記憶障害かな?
気を失った時に頭を打ったのかもしれない。

だとしたら突然元に戻る可能性もある。

ネメシス教について何も知らない私が神様のフリなんて出来るのかな…。

いや、今はやるしかない。

でも私は嘘が下手だ。だからあからさまな嘘は吐かないようにしよう。

「お褒めに預かり光栄です、レア皇女。」
「まあ、私の名前を…お呼びくださるなんて…!」

彼女は心の底から感動している。涙を流して喜んでいた。

胸が痛む。

「あなたの怒りはそう簡単には収められないのでしょう。しかしそれを世界にぶつけるのは間違っています。あなたの憎むべき神は何ですか?」
「はい…私が憎んでいるのは、神リヴェルティアです。あれを許す事はできません。」
「ならばその神を憎みなさい。いつかその恨みが晴れる日が来るでしょう。」

適当な事を言っていいのか分からないけど、きっとレアさんも神様に迷惑をかけられたんだろう。それも許す事が出来ない程の迷惑を。

「ありがとうございます!ネメシス様。私、間違っておりました。復讐の神、ネメシス様が導いてくださるのなら間違いはありません。これからも私達をお導きください、」

いつの間にか全ての騎士、兵士が跪いて私に祈りを捧げていた。

これは…盛大にやらかしちゃったんじゃないよね?

「ネメシス教の巫女であるレアが言うのであれば従わねばなるまい。各方面軍に直ちに停戦する様に伝えよ。大至急だ。」

皇帝陛下も先程とは違い停戦の指示を始めてくれた。

神様を偽って罰せられたりしないかな…?
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