転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

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特別編3:異世界

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元川本さんの家に住んでいる女性の話だと、随分前に中古物件でこの家を買って住んでいるので前の所有者についてはほとんど知らないらしい。

近所の人からは息子さんが失踪してから家を売って出ていってしまったという事だけは聞いていたそう。

「ありがとうございます」

川本さんは礼儀正しくお礼を言ってその場を離れる。私達もそれに続いた。

「杉浦…いきなりお父さん呼ばわりは驚くぞ」
「あら、夫って言った方が良かった?そっちの方がおばさんが驚いたかも知れないよ?」

ほのかさんはマイペースだ。
川本さんは小さくため息を吐いて「もうやめよう。探し出しても会うわけにもいかんのだ」と言い出した。

「川本君がいいならやめよっか。無理して探す意味はないもんね」
「付き合わせてしまってすまんな」

私は探してあげたいと思ったのだけど、余計な事だったかな…?

「人それぞれだからね。あまり強要してはいけないわ」
「それに今回が最後ではないですよ。またいずれ気持ちが変わったら探しにくればいいです」

リオさんとユキさんの言う通りだね。

「次はほのかさんの家だね」
「うん。うちはもう少し街の方だよ」

もう一度認識阻害を掛けてほのかさんの案内で飛んでいく。

「この辺りなんだけど…私の家無いね」

空から見下ろしているけどこの辺りは新しい建物が多い。区画も綺麗に整備されていて、古い家は区画整理を免れた数件だけみたい。

「あらら…これじゃ分からないね」
「俺達が居なくなって数十年が経過しているのだからな。こうなるのも仕方のない事か」

ほのかさんはあまり残念そうでは無さそうだけど、故郷の姿が変わってしまうのは悲しくないのかな。

「みんなお腹空かない?」
「「空いた!」」

すぐに返事をしたのはソラちゃんとアンネさん。

「子供の頃によく行ったうどん屋さんがあそこにあるんだけど」

ほのかさんが指さしたのは区画整理のされたエリアの外、昔ながらの建物が見える。

「丁度いいですね。入りましょう」

みんなでご飯を食べに行く事にする。
着地して認識阻害を解除。

「アニエスさん達の世界にはうどんってあるんですか?」
「はい。同じものかは分かりませんけど、小麦粉で作った麺の料理ですよね?」
「そうですよ」

おお、あるんだね。
アスティアにも牛丼とかあったし、日本食って概念を持っている方がおかしいのかな?

みんなでお店に向かって歩いていく。
通行人が私達を見ているね。

「外国人がゾロゾロ歩いていたら見られても仕方ないわよ。ここは観光地でもないのだから」

リオさんは特に気に留める様子もなく言っている。

私達って中身は日本人でも見た目は外国人だからね。
この中で日本人の姿をしているのは川本さんとほのかさんだけだ。

古い作りのうどん屋さんに到着。中に入る。

他にお客さんはいないみたい。

「いらっしゃいませ。空いてる席にどうぞ」

声を掛けてきたのは若い女性。

テーブル席に着いてそれぞれ注文する。

厨房で働いているのは女性の旦那さんかな?やり取りを聞いているとそんな感じだね。

「ここはおばちゃんが切り盛りしていたんだけど、息子さん達に譲ったのかな?結構な歳だろうし…」

少し残念そうなほのかさん。

何十年も経ってしまっているのなら仕方ない事だね。

話していたらうどんを運んで来てくれた。

「この辺りに外国の方が来るのは珍しいですね。この辺りに興味が?」
「ええ。この人達は歴史的建造物に興味があって、ここは古くから瓦の生産の産地なので是非見てみたいと言われまして」

川本さんが咄嗟に作った説明をする。

「そうでしたか。あなたはこの辺りの方で?」
「はい。昔こちらに住んでいた事がありまして、この店もその時によく利用させていただいていました。昔はもっと年配の方がやられていたと思うのですが」
「ああ、それなら私の祖母ですよ。忙しい時は今でも手伝ってくれるんです」

川本さん、ほのかさんの話した事を元にどんどん話を作っていく。

私はそういうのは苦手だからすごいと思う。

「いただきまーす!」
「うん、美味しい」

ソラちゃんとアンネさんは早速食べている。

「あら、随分とお箸の使い方が上手なんですね」
「日本の文化が大好きだそうで、箸で食事をしているそうです」
「まあ!それは嬉しいですね」

ニコニコしながら厨房の方へ戻って行く孫娘さん。

私もいただこう。

うん!味はアッサリしていて麺はコシがあって美味しい!

「それにしても皆さんお箸の使い方上手ですね」
「私達の世界にも箸はありますからね~。ホント美味しいですねぇ、おかわりしてもいいですか?」

レフィさんが言うにはフォークやスプーンを使う食事とお箸を使うのは人によって様々なのだそう。

レフィさん、アンネさん、ソラちゃんがおかわりすると、運んできてくれたのはお婆ちゃんだった。

「お待ちどうさま。当店に食べに来てくれていたのはそちらの方ですか?」
「はい。ここの味が好きでよく通わせていただきました」
「そうでしたか。ありがとうございます。最近、昔来てくださっていたお客さんがよく食べに来てくださるんですよ」

ニコニコしながら話してくれるお婆ちゃん。
ほのかさんを見て一瞬動きを止めた。

「もしかして杉浦さんの所のご親戚だったりしませんか?」
「いえ、違いますが…」
「すみません。昔よく来ていたご家族の娘さんによく似ていたものですから」
「その杉浦さんはもう来られていないのですか?」
「つい最近来て下さった昔の常連というのが杉浦ご夫妻なんです。何でも今は海外で暮らされているそうで」

お婆ちゃんが言うには娘さんが失踪した何年か後に海外旅行に行ってから、旅行先が気に入って移住したのだと教えてくれたそう。

ほのかさんのご両親が元気なのは確認できたね。
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