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特別編3:異世界

再転生

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トールさんについてはストラクスさまも手を焼いていたそうで、こちらで引き取ると言ったら喜ばれてしまった。

「出来れば2度と悪さができない様にうんと弱くしてやって貰えると嬉しいです」
「それは…まあ確かに初期は弱い筈です。本人の頑張り次第で強くなるとは思いますが」

私がトールさんを意図的に弱く創る事はしたくない。普通の状態からスタートしてもらおうと思っている。

「いやぁ、ミナ様がこんなにも話しやすい方だとは思わなかったですよ」
「そうですか?」
「ええ。知り合いの神なんて『目が合っただけで世界が滅ぼされる』なんて言うものだから」

えぇ…。

「例えるなら、不良の喧嘩みたいなものかしら?」
「猫なんかも目が合うと喧嘩になるって言いますよね」

リオさんレアさん、私は不良でも猫でもないですから。

「それは酷い誤解ですよ。私はできる限り話し合いで解決したいと思っているんです」
「その様ですね。とにかく理性的な方で良かった…」

ストラクス様の知り合いの神様を紹介してもらおうかな?

「やめときなさい。恐怖で錯乱して自分の世界を壊したりしたらどうするのよ」
「そっとしておいてあげてください。可哀想ですよ」

何故か向こう側の擁護に回るリオさんとレアさん。

「まあとにかく、これでトールはアスティアに転生させられるし良かったんじゃない?そういえばカエデはどうするの?」
「ああ、そう言えば…」

イオザードから来たカエデさんは元の世界に帰すと言っても文明自体崩壊してしまっているだろうし難しいかな。

人間側の私に聞いてみようか。その間にこっちはトールさんの転生をやってしまおう。

──〔human side〕──

「トールさん、ストラクス様の許可がいただけたのでアスティアに転生出来ますよ」
「そうかよ」

素っ気ない返事。まあ、どちらも望んでないみたいだし仕方ないかな。

「転生したくないならアスティアのリソースになる?」
「それってつまり殺すって事だろ?」
「ええ。選ばせてあげるけど、どうする?」
「…転生で」

リオさん、あまり虐めないであげて。

ユルグさんもドルミレイトに送ってしまおう。
その前にあちらの神様には謝っておかないといけないよね。
神様側の私に頼んでみよう。

……え、受取拒否?
ドルミレイトの主神様もユルグさんはアスティアのリソースにしてって…。

「トラブルの種は要らないって事か」
「ミナに敵対してしまいましたからね」
「神様に見捨てられた哀れな男」

みんな、そんな風に言ったら可哀想だよ。

「私はどうすれば…」
「アスティアで転生します?」
「…はい」

トールさんとユルグさんはこちらの神界に送る事になった。

私達はもう一人の異世界帰還者、カエデさんの所に行く事に。

「お疲れ様、本物の私」
「え、うん。お疲れ様」

部屋に入ると《アドラステア》を発動した私が声を掛けてくる。

「何を話していたの?」
「カエデさんのイオザードでの生い立ちをね」

こっちは戦闘にらならずにずっとお話ししていただけだったみたい。

《アドラステア》の私が教えてくれたけど、カエデさんが転生した時には既にあの世界は崩壊に向かっていたらしく、自分や家族が生きて行くために出来る事は何でもしてきたそう。

…そのご家族も既に魂に還してしまったと思う。

「…イオザードはどうなりましたか?」
「世界を再生する為に知的生命体を魂に戻しました。恐らくご家族も…」
「そうですか…」

カエデさんは俯いているけど悲しそうではなかった。

「これで良かったのでしょう。あのまま生きていても苦しいだけでしたから」

生活はかなり厳しかったみたいだね。

「カエデさんはこれからどうしますか?」
「今までしてきた事を償わせてください。私の出来る事なら何でも致します」

《アドラステア》と話をして自分を見つめ直した結果なんだろう。充分反省しているみたいだし、私はもう良いと思うんだけど…。

「トール達と一緒に転生して貰えば?」
「彼らはこちらで転生するのですか?」

ソラちゃんの提案を聞いて驚くカエデさん。

「はい。ああ、ついでで申し訳ないのですけど、キリエさんもどうですか?」
「私も…ですか?」

キリエさんの世界、フレシュディアは既に存在していない。地球に帰る事も出来ないし、顔見知りの2人もトールさん達と一緒に転生させてしまったらどうかなと思った。

「ミナさんが宜しいのなら、お願いします」
「私もお願いします」

2人とも直ぐに返事をしてきた。
じゃあトールさん達と一緒に転生をしてもらおう。

ーーーー

4人の転生が完了した。
魂を修復して、全員新しい身体を得た4人は戸惑っていた。

「で、なんでこんなガキの姿なんだよ?」
「しかも孤児ですか…これは前途多難ですね…」

みんな等しく10歳で転生してもらっていた。前の姿をそのまま子供にした様な状態でみんな可愛い。

「ミナさん、これは私達への罰なのですね」
「これくらいなら、喜んで受けましょう」

キリエさんとカエデさんは互いに頷いていた。

「あー…孤児と言っても酷い環境に置いたりはしないから安心してください」

4人は私の孤児院からスタートしてもらう事にしたのだ。
因みに名前はそのままで、私の加護も与えてある。

4人にはここから新たな人生をスタートしてもらうことになった。
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