転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

文字の大きさ
727 / 826
特別編3:異世界

深部

しおりを挟む
作った料理は手のかけようがない様なものだったけど、《料理》技能が作動して味を劇的に変えてくれたみたい。
元々どんな味だったのか分からないからね。

「ミナは料理の天才なんじゃないか?」
「そんな事はないですよ」

技能のお陰だし。

「明日は危険地帯に入るからな。騎士様達もしっかり休んで今日の疲れをとっておいてくださいよ」
「ああ、もちろんだとも」
「ようやく俺達の本領発揮だな」
「ミナさんは僕達が護りますからね」

3人とも張り切っているね。
それぞれ野宿には慣れていないみたいだったけど鎧を外して布に包まって寝始める。

…って、夜の見張りはザクスさんとルルさんだけでやる気なの?

「ミナも寝ていいぞ」
「それだとザクスさんとルルさんの負担が大きいですよ。私も見張りをやります」
「俺達は案内だからこれくらいは何でもない。気にせずに寝てくれ」
「分かりました。何かあったらすぐに起こしてくださいね」

ザクスさんは二人で番をする事を譲りそうにないので私も休ませてもらう。

これからずっと2人で見張りじゃ大変だよ。明日はマークさん達も交えて交代で見張りをする事を提案しよう。

[ミナが寝ている間も私とレナトゥスが警戒しているので安心してください]
〈何かあれば直ぐに起こしますからね。お休みなさい〉

うん。よろしくね。

ーーーー

夜は何事もなく過ぎて次の日。

夜明け前にアウラさんに起こされる。

[寝たままで聞いてください]

うん?どうしたの…?

[昨晩、ザクスが不穏な事を言っていたので伝えておきます]

アウラさんはそう前置いてから昨日の会話の内容を教えてくれる。

ルルさんと話していたのは、深部には奴隷にならずに逃げ込んだ獣人族が多数いると言う事で、ザクスさんはその人達と面識があるらしい。

連邦の人間、特に騎士には強い恨みをもっている獣人族が多く、彼らに見つかったらただでは済まないという事。

行方不明になっても捜索隊が組織される可能性は低く、魔物に殺されたと判断されるだろうと。

…これってまさか、私達は深部で襲撃されるって事?

[明言はしていないので断定はできません。しかし警戒はしておくべきでしょう]

ザクスさん、良い人っぽいのに…。

〈ザクスは騎士達を憎んでいる節がありましたし、彼が例の村に関係があるとしたら獣人族と繋がっている可能性もありますよね〉

こんな状態で深部に入って大丈夫かな。

[この世界の人間や獣人族ならば大丈夫でしょう。軍で攻めて来てもミナの敵ではありません]

そういう問題じゃないと思うよ?

このまま寝たフリをしていても仕方ないので起きて朝食の準備をしてしまおう。

メニューは昨日の夕飯と同じだったので手早く料理してしまう。

匂いにつられて騎士さん達も起きてくる。

食事を取りながらザクスさんに今日の行程について聞いてみる事に。

「今日だけで深部を抜けれるんですか?」
「直進すれば抜けられるかも知れないがそのルートは危険すぎる。迂回ルートを通るから二泊はする事になるな」
「それなら尚の事、夜の見張りは全員で交代でやるべきですよ。ザクスさんとルルさんばかりに負担を掛けられないです」

私がそう言うと騎士さん達は嫌そうな顔をしていた。

「俺達が見張りをやらないといけないのか?」
「当たり前です。ザクスさんが疲れて判断を間違えたら全滅する可能性もあるんですよ?」

疑いたくはないけど、ザクスさんだけが起きているタイミングで獣人族を手引きする様な事があったら本当に全滅の可能性があるんだよ。

「確かに…彼だけに任せるのは良くないか」
「そう言う事なら僕達も見張りをやろうよ」

マークさんとニールさんはそう言って頷いた。それを見てゴードンさんも渋々了承してくれた。

逆にザクスさんは不満そうな顔をしていたけど、それは騎士さん達の能力を認めていないからだと信じたい。

食事を済ませて荷物を片付けた私達は、小川を渡って森の深部に入っていく。
隊列は昨日と同じ。案内は完全にザクスさん頼りだ。

「危険な魔物ってどんなのがいるんですか?」
「人喰い植物が数種類、人を絡め取って絞め殺す木や一飲みにしてくるデカい花を見た事があるぞ。あとは恐ろしく獰猛ですばしっこいリスみたいな魔物が厄介だった。大群で襲ってくるからあっという間に何十箇所と噛み付かれて死ぬ事になる」

森の最深部にはザクスさんも数回しか行った事がないらしいけど、特にリスの魔物に襲われた時は仲間を3人失ったそう。

「だ、大丈夫。私達が護るから」
「騎士さん達みたいな取り回し難い鎧なんか着ているとヤバいですぜ。隙間から入り込んで喰い荒らされちまう」

ひぇ…それは怖い。見つけたら近寄らせない様にしないとだね。
マークさんとゴードンさんは顔を青くしていた。

ザクスさんが遭った事がないだけで、その他に凶暴な熊みたいな魔物や背中に無数の触手を生やした狼がいるらしい。

《索敵》をしっかりやった方が良さそうだね。

全員が緊張しながら周囲を警戒している。
私は《索敵》の技能とアウラさんのサポートで警戒。

森は鬱蒼としていて日中なのにかなり暗い。ザクスさんはランタンを持って足元を照らしながら歩く。

この辺りは獣道みたいな道しか無いみたいで、ザクスさんも時折立ち止まって注意深く道を確認しながら進んでいた。

結構な距離歩いたけど、今のところ魔物は現れていない。

朝方アウラさんが教えてくれた事、もしもザクスさんが深部に住んでいる獣人族に私達を引き渡すつもりなら、そろそろ誰かが様子を見に来てもおかしくない。

[《索敵》に感あり。遠距離に獣人族が4人]

来た。

[こちらに気付いていない様です]

おや…?

[範囲から外れました]

待ち伏せではないって事?気になるからオーバーブーストを掛けてもう一度《索敵》。

さっきの4人よりもずっと向こう側、深部中央付近に獣人族が沢山いる。ここが集落だね。それよりも西側、小川に近い方に10人ほどの一団が居る。

集落への道を見張っているだけにしては人数が多いね。

うーんこれはもしかして、ザクスさんは獣人族を避けながら森を歩いてくれているんじゃないかな?

〈獣人族に襲撃位置への誘導を依頼されたけど、引き受けたフリをして位置を教えてもらい避けて歩いている可能性もありますね〉

だとしたらザクスさんは私達を裏切るつもりは無いって事だよね。
しおりを挟む
感想 1,520

あなたにおすすめの小説

転生令嬢は庶民の味に飢えている

柚木原みやこ(みやこ)
ファンタジー
ある日、自分が異世界に転生した元日本人だと気付いた公爵令嬢のクリステア・エリスフィード。転生…?公爵令嬢…?魔法のある世界…?ラノベか!?!?混乱しつつも現実を受け入れた私。けれど…これには不満です!どこか物足りないゴッテゴテのフルコース!甘いだけのスイーツ!! もう飽き飽きですわ!!庶民の味、プリーズ! ファンタジーな異世界に転生した、前世は元OLの公爵令嬢が、周りを巻き込んで庶民の味を楽しむお話。 まったりのんびり、行き当たりばったり更新の予定です。ゆるりとお付き合いいただければ幸いです。

素材採取家の異世界旅行記

木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。 可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。 個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。 このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。 裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。 この度アルファポリスより書籍化致しました。 書籍化部分はレンタルしております。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。