転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

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特別編3:異世界

ヘッジホッグセレイラ

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上手くいったかは分からないけど、取り敢えず魔法で矯正しておいた。少しはマトモな統治をしてくれる様になると思う。

商人さん達はベルグラスに向かう途中だったそうで、アロート伯爵も同じ道を行くみたい。伯爵が気を失っている間に馬車を進めて商人さん達から遠ざかる事にしたそう。

目が覚めた時に商人さん達の事をどうにかしようと企むかも知れないけど、そこは老騎士さんが上手く話してくれる事になった。

「今から西に向かうのかい?行き先は…?そこなら私が取引をしている砦が近いね。面倒ごとに巻き込まれない様に砦の指揮官に手紙を書いておこう」

そう言って羊皮紙に書いて渡してくれた。

「ありがとうございます!」
「こちらこそありがとう。大切な家族を失わずに済んだよ」

おじさんは何度もお礼を言いながら、獣人族の人の荷物よりも大きな背負い袋を担いで歩いて行った。

街のおじさん達も言っていたけど、こっちの地方の人達は獣人族に優しくて嬉しくなるね。

「我々がいれば連邦国内なら何の問題は無いのですが、好意は受け取っておきましょう」

マークさんはそう言って頷いている。

「よし、目的地まではまだまだ遠いからな。出発しよう」

ザクスさんは御者台からみんなに乗る様に促してくる。

そうだね。早くエリザベートさん達と合流しないと。

ーーーー

3日後、私達は目的の地点付近まで来ていた。

とりあえず目指したのは商人のおじさんが取引をしている砦。そこで情報を得てからエリザベートさん達と合流すると決めていた。

だけど……

「騎士さん達、少しいいか?」
「どうした?」
「砦の様子がおかしい。どう思う?」

ザクスさんに呼ばれてマークさんが御者台の方へ顔を出す。

「確かに変だな…人気が無さすぎる」

何か起こってるのかな。

念の為《索敵》を使ってみると砦の中には人がいる様子は無かった。
全員出ている?そんな事をするとは思えないんどけど。何かあって避難したとかかな?

「戦闘の痕跡は?」
「ここから見た感じでは無さそうですぜ」

ゴードンさんの問いかけに答えるザクスさん。

「何かあったのは間違いないよ。砦を調べてみよう」

ニールさんは装備を確認しながら言っている。

馬車は砦の前に停車。ザクスさんとルルちゃんはこの場に残り私達4人で中を調べる。

扉は無造作に開け放たれていたけど内部は争った形跡はない。食事の途中で席を立った跡はあったけど、食べ物とかなり傷んでいるし結構時間が経っていた。

一通り探索して入り口に集まる。

「死体は見当たらないし血痕一つ出てこないな」
「緊急事態があったとしても一人も居ないというのは不自然です。砦を放棄するにしても装備くらい身に付けて行きますよね」

ゴードンさんとニールさんは怪訝な顔をしながら話をしていた。

私も装備保管庫を覗いてみたけどかなりの量の武具が残されていた。見た感じあれは備蓄ではなく普段使っているものの筈だけど、それを身につけずに撤退は有り得ない。

〈想定外の事が起こったのでしょう〉
[例えば、悪神パルクシュストに姿を変えられてしまった等の人間では抗えない事象でしょう]

そっか…パルクシュスト様はそんな事をやっていたね。

一応《索敵》の範囲を広げて調べてみたけど、この付近にはもう誰もいないみたい。

「私に心当たりがあります。もしかしたら痕跡があるかもしれません」

外に出て地面を調べてみると、大勢が南の方へ向かって行ったのが分かった。
南といえばヘッジホッグセレイラが不時着している方角だ。
私は全員にここの人達の身に起こったであろう事を説明しておく。

「それは元に戻る事はあるですか?」
「いえ…多分無理だと思います」

マークさんは顔を曇らせて聞いてきた。

「そうか…何にせよミナの仲間がそこにいるのなら早く行った方が良いだろう。すぐに出発だ」

ゴードンさんはいつもと同じ様子だった。きっと気を遣ってくれているんだろう。

この先は道がない為馬車は置いて行く事になる。馬を馬車から外しておいて近くの柵に繋いでおく。ここなら草も沢山あるし食べ物には困らないと思う。

自分達の装備を再確認してから徒歩で南下する。
草の生い茂る小高い丘から海を見ながら降って行く。風が強くルルちゃんがフラついていたけど、ザクスさんが支えてくれていた。

ーーーー

徒歩で歩くこと二日、私達は目指していた入り江に到着した。

改変される前の光景では、入り江に座礁したヘッジホッグセレイラが横たわっていたのだけど、その姿は無く防衛陣地が築かれていた。

…もしかしてここじゃなかった?

〈いえ、あの陣地の材質は飛空艇の物ですよ。つまりここで間違いありません〉

よく見ると魔力砲やアンカーの射出装置が幾つも並べられていた。

「止まれ!…ってアンタは確かミナ嬢じゃねえか!?」

防衛陣地の方から大きな声が聞こえて来たと思ったらゾロゾロと飛空艇の乗組員の皆さんが出てきた。

「皆さんご無事ですか?」
「おう!お嬢も無事で良かったぜ!」

そう言って頭をワシャワシャと撫でられる。

何だか懐かしいね。
この人達もきっと事象改変前の記憶はないだろうから私が船から放り出された記憶なんだよね。

「おいコラ野郎ども!むさ苦しい格好でミナを囲むんじゃない!」

エリザベートさんの声がして乗組員の皆さんが左右に分かれる。

「エリザベートさん!」
「ミナ、アニエスは来ていないのか?船に乗っていたのは本当にお前だったのか?」
「エリザベートさん、もしかして改変前の記憶があるんですか?」
「改変…?ああそうか、この世界の神の仕業だったのか!」

驚いた事にエリザベートさんは船に乗せて来たのはアニエスさんで、私達が後で救援に来た事も覚えていた。船員の皆さんは改変されていたのに何でだろう?

「それは多分これのお陰だろうな」

そう言って胸元から壊れたペンダントを取り出した。

「これは以前親父に貰った物だが、元々は鋼鉄の島のレトスさんに貰った物らしい。時間が巻き戻った時に壊れたのだからそういう事なんだろう」

という事は神様由来の物なのかな?
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