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特別編3:異世界
強運
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私達が来なくても余裕で制圧出来ていたんだろう。4人は指示を出し合う事も無く騎士と勇者を一箇所に集めていた。
手際の良さからこういった荒事にも慣れているのだとよく分かるよ。
「それで、この人がフィエナさんですか?」
「ええ。私達も突然騎士達を攻撃してしまったからかなり驚かせてしまったみたいだけど」
セラさんは村の子供に話を聞いて広域探査魔法で居場所を特定、フィエナさんを奪還する為に勇者一行を急襲したらしい。
ヒサメさんが言うには「勇者相手に話が通じるとは思えなかった」そう。
その当人は今昏倒している勇者に猿ぐつわを噛ませて更に剣を突きつけている。
すごい念の入り用だね。
「あ、あの…助けていただいてありがとうございます」
セラさんのそばで小さくなっていたフィエナさんがお礼を言ってくる。
髪は明るい茶色のセミロング。歳は15、6歳かな。
「突然の事で驚いたでしょう。村に送って行きますから安心してください」
セラさんはフィエナさんを安心させるために優しく応えた。
「この連中の事も任せて。村の者にも危害が及ばない様に何とかしてみるから」
リオさんがそう付け加えるとフィエナさんはホッとした様子で大きく頷いた。
さてさて、あとはこの人達だね。
「それで、コイツらはどうする?」
「貴重な情報源として使わせてもらおう。彼らとの話は任せてもらってもいいかな?」
「慣れてるみたいだしお任せするわ」
レイナスさんが聞くとシルヴァリオさんが答える。私達に聞いてきた事にはリオさんが返事をしてくれた。
「それでは勇者様には起きてもらおうか」
そう言うとシルヴァリオさんは回復魔法を勇者に掛ける。
「っ…うぐ…」
「騒がないと約束してください。私達はあなた方と話がしたい」
シルヴァリオさんは低い声でゆっくりと語りかける。口調が変わっただけなのに国の偉い人みたいな印象になる。勇者さんが小さく二度頷くとシルヴァリオさんは猿ぐつわを外してあげた。
「ここは…」
「アルバトの勇者様とお見受けします。我が国の民に危害を加えた事に関して、何故かご説明できますかな?」
…我が国とか言っちゃってるけど会話を優位に運ぶ為のブラフだよね。
「あなた方は──「勇者と言えど他国でこの様な事をされるのは明らかな敵対行動です。この事は国王陛下にご報告して然るべき対応をさせていただく事になりますぞ」
『あなた方は何者なのか?』と聞きたかったんだろうけど、やや怒気を含んだ声で遮る。
「ああ…いや…その、無理矢理に連れ去ろうとした事は謝罪させてください。しかし…彼女には勇者の素養があり、あの貧しい村に居るよりは豊かな暮らしができるので私達と共に来ることは不幸な事にはならない筈です…」
気圧されて弱々しく言い訳をする勇者さん。
「貧しいか豊かを決めるのは彼女自身です。あなたは彼女の了解を得ずに行動に至った、それはただの誘拐です。その様な事は決して許される事ではありません」
「申し訳ありません…」
「謝罪ならまず彼女するべきでしょう」
そう言ってフィエナさんを見るシルヴァリオさん。フィエナさんは驚いていたけど、勇者さんに見えない様にシルヴァリオさんが笑い掛けて目で合図をすると「わ、私は謝罪を受け入れます」と言っていた。ほっとした顔になる勇者さん。
「彼女は許してくれましたが我々はあなた方を許してはいませんよ」
「…私はどうすれば良いのでしょうか?」
懇願する様にシルヴァリオさんに聞いている。
あっという間に主導権を取っちゃった。
「今、この世界は人類の敵となる魔王は存在しません。そして一部の勇者による犯罪的行為が自身の存在価値を揺るがしています」
「…はい」
「我々はこれ以上勇者の名を落とすわけにはいかないのです。国と国いや、全世界の民の為にも」
「つまりどう言う事でしょうか…?」
「…今回起こった事は些細な勘違いであり、勇者が起こした犯罪ではないとしましょう」
目を見開いてシルヴァリオさんを見る勇者さん。
「ただし、これには担保が必要です。あなたは今回罪を犯した。もう二度と同じ過ちを繰り返さないと約束してもらう為に、勇者しか知らない国の情報を教えてください」
「それは…!」
「今回の事を無条件で許す事は出来ないのです。次に無辜の民を脅かす事があればその情報の漏洩元であるあなたの名前を公表します。…二度と起こさなければ良いだけですから、ここは穏便に解決しましょう」
勇者さんの肩に手を置いて優しく語りかけるシルヴァリオさん。
小声で話を始めたので私達は離れた所で様子を見る事にした。
「シルヴァリオは交渉が上手いのね」
「俺達の中じゃ一番だな。人の心を掴むのが上手いんだ」
リオさんとレイナスさんが話している。
「心の隙に入り込むのが得意。魔王というか悪魔的?」
「それはなんか人聞きが悪いな…」
ソラちゃんは素直な感想を、テュケ君は苦笑いしていた。
「そういえば私達が運任せで来たと言った時に『同じだ』って言っていましたけど、皆さんも偶然ここに?」
「偶然と言えばそうだなんだけど、コイツのお蔭なんだ」
そう言うとレイナスさんは片方の剣を抜いて掲げる。すると刀身のあたりに小さな蛇竜が現れた。
全身が虹色に輝いていてとってもキレイ。
「剣の能力の一つで《フォルトゥナヴァースキ》という竜だ」
レイナスさんが言うには幸運を呼び込む竜なのだそう。
どうやら験担ぎではないらしく物事を良い方向に向かわせてくれる作用があるらしい。
「今回の一件が探すものに繋がるといいんだが…」
ヒサメさんはそう言ってセラさんと話しているフィアナさんを見る。セラさんは攫われる前の詳しい経緯を丁寧に聞き出していた。
と、シルヴァリオさんの方は話が終わったみたい。勇者さんと騎士達の拘束外していく。
「我々はもう行っても良いのですか?」
「ええ。互いにここでは会わなかったという事で」
「ありがとうございます。我々はこのまま国に帰ります」
「ええ、道中お気をつけて」
勇者さんは騎士達を連れてそそくさと帰っていく。すっかりシルヴァリオさんを信用してしまってるみたいだね。
「みんなちょっといい?フィエナさんの事なんだけど」
セラさんがやって来て話し始める。
「彼女に定着している能力は私の魂だと思うの」
フィエナさんは最近覚醒したらしく、見聞きした事の無い知識や対処法が頭に浮かぶ様になったのだとか。
「しかしそれだけでは確証とは程遠いな…」
「夢の中で知識を教えてくれる玉の様な物に触れたと言っているわ」
もしかしてオラクルに出入りしてるって事?
手際の良さからこういった荒事にも慣れているのだとよく分かるよ。
「それで、この人がフィエナさんですか?」
「ええ。私達も突然騎士達を攻撃してしまったからかなり驚かせてしまったみたいだけど」
セラさんは村の子供に話を聞いて広域探査魔法で居場所を特定、フィエナさんを奪還する為に勇者一行を急襲したらしい。
ヒサメさんが言うには「勇者相手に話が通じるとは思えなかった」そう。
その当人は今昏倒している勇者に猿ぐつわを噛ませて更に剣を突きつけている。
すごい念の入り用だね。
「あ、あの…助けていただいてありがとうございます」
セラさんのそばで小さくなっていたフィエナさんがお礼を言ってくる。
髪は明るい茶色のセミロング。歳は15、6歳かな。
「突然の事で驚いたでしょう。村に送って行きますから安心してください」
セラさんはフィエナさんを安心させるために優しく応えた。
「この連中の事も任せて。村の者にも危害が及ばない様に何とかしてみるから」
リオさんがそう付け加えるとフィエナさんはホッとした様子で大きく頷いた。
さてさて、あとはこの人達だね。
「それで、コイツらはどうする?」
「貴重な情報源として使わせてもらおう。彼らとの話は任せてもらってもいいかな?」
「慣れてるみたいだしお任せするわ」
レイナスさんが聞くとシルヴァリオさんが答える。私達に聞いてきた事にはリオさんが返事をしてくれた。
「それでは勇者様には起きてもらおうか」
そう言うとシルヴァリオさんは回復魔法を勇者に掛ける。
「っ…うぐ…」
「騒がないと約束してください。私達はあなた方と話がしたい」
シルヴァリオさんは低い声でゆっくりと語りかける。口調が変わっただけなのに国の偉い人みたいな印象になる。勇者さんが小さく二度頷くとシルヴァリオさんは猿ぐつわを外してあげた。
「ここは…」
「アルバトの勇者様とお見受けします。我が国の民に危害を加えた事に関して、何故かご説明できますかな?」
…我が国とか言っちゃってるけど会話を優位に運ぶ為のブラフだよね。
「あなた方は──「勇者と言えど他国でこの様な事をされるのは明らかな敵対行動です。この事は国王陛下にご報告して然るべき対応をさせていただく事になりますぞ」
『あなた方は何者なのか?』と聞きたかったんだろうけど、やや怒気を含んだ声で遮る。
「ああ…いや…その、無理矢理に連れ去ろうとした事は謝罪させてください。しかし…彼女には勇者の素養があり、あの貧しい村に居るよりは豊かな暮らしができるので私達と共に来ることは不幸な事にはならない筈です…」
気圧されて弱々しく言い訳をする勇者さん。
「貧しいか豊かを決めるのは彼女自身です。あなたは彼女の了解を得ずに行動に至った、それはただの誘拐です。その様な事は決して許される事ではありません」
「申し訳ありません…」
「謝罪ならまず彼女するべきでしょう」
そう言ってフィエナさんを見るシルヴァリオさん。フィエナさんは驚いていたけど、勇者さんに見えない様にシルヴァリオさんが笑い掛けて目で合図をすると「わ、私は謝罪を受け入れます」と言っていた。ほっとした顔になる勇者さん。
「彼女は許してくれましたが我々はあなた方を許してはいませんよ」
「…私はどうすれば良いのでしょうか?」
懇願する様にシルヴァリオさんに聞いている。
あっという間に主導権を取っちゃった。
「今、この世界は人類の敵となる魔王は存在しません。そして一部の勇者による犯罪的行為が自身の存在価値を揺るがしています」
「…はい」
「我々はこれ以上勇者の名を落とすわけにはいかないのです。国と国いや、全世界の民の為にも」
「つまりどう言う事でしょうか…?」
「…今回起こった事は些細な勘違いであり、勇者が起こした犯罪ではないとしましょう」
目を見開いてシルヴァリオさんを見る勇者さん。
「ただし、これには担保が必要です。あなたは今回罪を犯した。もう二度と同じ過ちを繰り返さないと約束してもらう為に、勇者しか知らない国の情報を教えてください」
「それは…!」
「今回の事を無条件で許す事は出来ないのです。次に無辜の民を脅かす事があればその情報の漏洩元であるあなたの名前を公表します。…二度と起こさなければ良いだけですから、ここは穏便に解決しましょう」
勇者さんの肩に手を置いて優しく語りかけるシルヴァリオさん。
小声で話を始めたので私達は離れた所で様子を見る事にした。
「シルヴァリオは交渉が上手いのね」
「俺達の中じゃ一番だな。人の心を掴むのが上手いんだ」
リオさんとレイナスさんが話している。
「心の隙に入り込むのが得意。魔王というか悪魔的?」
「それはなんか人聞きが悪いな…」
ソラちゃんは素直な感想を、テュケ君は苦笑いしていた。
「そういえば私達が運任せで来たと言った時に『同じだ』って言っていましたけど、皆さんも偶然ここに?」
「偶然と言えばそうだなんだけど、コイツのお蔭なんだ」
そう言うとレイナスさんは片方の剣を抜いて掲げる。すると刀身のあたりに小さな蛇竜が現れた。
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どうやら験担ぎではないらしく物事を良い方向に向かわせてくれる作用があるらしい。
「今回の一件が探すものに繋がるといいんだが…」
ヒサメさんはそう言ってセラさんと話しているフィアナさんを見る。セラさんは攫われる前の詳しい経緯を丁寧に聞き出していた。
と、シルヴァリオさんの方は話が終わったみたい。勇者さんと騎士達の拘束外していく。
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「ええ。互いにここでは会わなかったという事で」
「ありがとうございます。我々はこのまま国に帰ります」
「ええ、道中お気をつけて」
勇者さんは騎士達を連れてそそくさと帰っていく。すっかりシルヴァリオさんを信用してしまってるみたいだね。
「みんなちょっといい?フィエナさんの事なんだけど」
セラさんがやって来て話し始める。
「彼女に定着している能力は私の魂だと思うの」
フィエナさんは最近覚醒したらしく、見聞きした事の無い知識や対処法が頭に浮かぶ様になったのだとか。
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