転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

文字の大きさ
783 / 826
特別編3:異世界

正体

しおりを挟む
一人で隠れているのはプリーストの少年リテルさん。逃げているのはアーチャーの青年ロームさんとファイターの女性スーリャさん。ファイターはこの世界だと格闘家らしい。

追いかけているのはゼルオスヤースというモンスター。鎌を持っているのでターニャさんを刺したモンスターで間違いないと思う。
ちなみに寄生しているのはデゼスヤースだそう。

「厄介な事が分かったわ。私達がいるこの階層そのものがモンスターよ」

名前はザミーヌヤース。ゼルオスヤース、デゼスヤースも全て同一個体らしい。

「俺達はモンスターの腹の中にいるって事か?」
「腹か口かは分からないけど、ここにいる以上不利なのは間違いないわね」

マサキさんに答えるリオさん。

「何にせよ早く救出してこの階層から出た方がいい」
「だな。手分けして助けに行くのか?」

ハナちゃんとテュケ君は一刻も早くここを去りたいみたい。

「マサキ達のパーティにフィノーラを加えて身体を乗っ取られた二人を救助。そのあと侵食が酷い二人を倒して。私達のパーティとレネは追われている二人を助けてからもう一人を連れてポータルに戻るわ」

リオさんは人の割り振りをしながらどの位置に誰がいるのかを説明していく。

「空から行くわ。何かあったら互いに連絡を」
「わかった」

リオさん、ハナちゃん、ネネさん、レアさんが手分けして全員に《フライト》を掛けてくれて、それぞれが行動を開始した。

私達はリオさんの案内で逃げている二人の方へ飛ぶ。
多分無作為に逃げているからおおよその位置を推測して、近くに来たら声を掛ける。

「ローム!スーリャ!助けに来たわ!何処にいるの?」

リオさんが声を張り上げて名前を呼ぶ。
すると右手前方からヒューンと変わった音のする何かが空に撃ち出された。

「あれかな?」
「多分ね。ロームが鏑矢を放ったんだわ」

音の元へと移動して見下ろすと褐色肌の女の人が緑の服の男の人を担いで少し広めの通路を向こう側へ逃げているのが見えた。

そのすぐ後ろにはボロボロのフード付きのマントを着て鎌を持っているモンスター。

「援護する」

そう言ってソラちゃんが急降下する。私達もそれに続く。
女の人、スーリャさんはロームさんを担いでいるせいで逃げ遅れる。
鎌が振り下ろされる直前でソラちゃんが間に合った。

「勇者ソラ、さんじょー」

ハルバードで鎌を弾き飛ばして着地するソラちゃん。鎌には攻撃できるんだ?

私達はスーリャさん達の側に着地する。

「ホントに来てくれた!助かったよ!」

スーリャさんは笑顔を向けてくる。

「一か八か、賭けてみて正解だったな…ありがとう」

顔色の悪い男の人、ロームさんは疲れた顔でお礼を言ってきた。

「やられたの?」
「いいや、疲れが限界で…さっき無理な体勢で矢を放ったら足を挫いてしまったんだよ」

攻撃を受けてない事に安堵したリオさんは治療魔法と疲労回復魔法を掛け始める。

ハナちゃんは魔法の剣を4本作り出して周囲に浮かべる。私はソラちゃんの加勢に。

「鎌に攻撃が通るってよくわかったね」
「知らなかったよ。やってみたら出来ただけ」
「そ、そう…」

すり抜けたらソラちゃんが危なかったんだよ?

「解析するわ。暫く引き付けておいて」
「はい!」

レネさんが調べてくれている間、私達は出来るだけアレを引き付ける。

フードの中は骸骨。目の部分には小さな赤い光が灯っていて、しきりに動いて私達を観察していた。

「ソラちゃん、大丈夫…?」
「ん、ホネはへーき」

よかった。また抱きつかれたら今度は二人まとめて鎌の餌食だよ。

「《ソードコントロール》、行け!」

ディエスエグゼクリシオンの刀身を飛ばしてエスカトンディザスターを展開。
飛ばした刀身でゼルオスヤースの頭部を突き刺したけどすり抜けてしまう。

鎌を振りかぶって前進してくるゼルオスヤース。ソラちゃんが前に出てハルバードをスイング。ゆっくりと振り下ろされる鎌を弾…けない!?

「危ない!」

私は咄嗟にソラちゃんに体当たりをして一緒に斜め前方に転がる。

「怪我してない?」
「うん、ありがとミナ。助かった」

ギリギリセーフ…。

でも何で?さっきは鎌に攻撃出来たのに…。

ゼルオスヤースがこちらに向いて鎌を横薙ぎに振ってくる。
素早く立ち上がるとソラちゃんは後ろへ飛んで回避。私はジャンプして近くの壁を蹴り、ソラちゃんの近くに着地した。

「むぅ、これじゃ無闇に攻撃出来ない」
「でもやるしかないよ。レネさんを信じよう」

私達はゼルオスヤースを挟んで反対側に立っている。いざとなれば飛んで逃げれば良いとして、とにかく攻撃を続けてみよう。

私はゼルオスヤースとの距離を詰める。
相手は私とソラちゃんを見た後リオさん達の方に振り返る動作を繰り返していた。

落ち着きがない。前の階層のお猿のボスより戦い慣れしていない?

踏み込みからフェイントを入れつつ右に移動しながら水平に斬り付ける。…やっぱりすり抜ける。

私の動きに合わせて鎌を振り回してくるけど避けられない程の速さじゃない。身体を振って2撃3撃と躱し、通路の壁ギリギリまで後退。追撃してくるかと思ったけど、首を振ってソラちゃん、リオさん達を交互に見ている。

ソラちゃんはハルバードを引き手に構えて様子を見ていて、ハナちゃんも自分達の周囲に展開した魔法剣をゆっくりと前進させる。

「全員同時攻撃よ。ハナは上から、リオも魔法を撃って」
「りょーかい」「はい!」「わかった」

レネさんの指示で、私は身を低くして一気に間合いを詰める。
鎌を突き出してきたのを最小限のジャンプで避けると、鎌の刃を立てて振り上げてきた。

大丈夫。予想通り。

ディエスエグゼクリシオンの刀身を足元に飛ばして踏み台にすると、少しだけ左に逸れて着地。そのまま首に目掛けて薙ぎ払う様に攻撃。

やっぱりすり抜けた。

でもそのあとのソラちゃんの振り下ろし攻撃はゼルオスヤースの右肩を粉砕。リオさんの放った光の弾は腰付近に命中。ハナちゃんの魔法剣が頭に突き刺さって頭蓋骨を砕いた。

やった!

「そのモンスターは目で見ている攻撃を透過させる能力があるみたい。しきりに首を振っていたのはその為ね」

レネさんは崩れ落ちるゼルオスヤースを見ながら解説する。

タネが分かってしまえば何の事はなかったね。
しおりを挟む
感想 1,520

あなたにおすすめの小説

転生令嬢は庶民の味に飢えている

柚木原みやこ(みやこ)
ファンタジー
ある日、自分が異世界に転生した元日本人だと気付いた公爵令嬢のクリステア・エリスフィード。転生…?公爵令嬢…?魔法のある世界…?ラノベか!?!?混乱しつつも現実を受け入れた私。けれど…これには不満です!どこか物足りないゴッテゴテのフルコース!甘いだけのスイーツ!! もう飽き飽きですわ!!庶民の味、プリーズ! ファンタジーな異世界に転生した、前世は元OLの公爵令嬢が、周りを巻き込んで庶民の味を楽しむお話。 まったりのんびり、行き当たりばったり更新の予定です。ゆるりとお付き合いいただければ幸いです。

素材採取家の異世界旅行記

木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。 可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。 個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。 このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。 裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。 この度アルファポリスより書籍化致しました。 書籍化部分はレンタルしております。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。