転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄

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特別編3:異世界

蹂躙

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「リフェア正確な位置を教えて」
「はい。送ります」

《ディレクションシェル》で座標みたいな数字の羅列が表示される。

「確認したわ。周囲に他の生命反応は?」
「離れた所に幾つか。詳細送りました」

イスファリナさんのリクエストにリファナさんはすぐに応えている。手慣れてるなぁ。

「詠唱を始めるわ」
「魔力を送ります」
「私も手伝います!」

リフェアさんとリファナちゃんがイスファリナさんに魔力を供給する。

「いいわね。これならすぐに完成するわ」

イスファリナさんの周りに幾つもの魔法陣が浮かび上がる。

「あの人も戦略級魔法ってのを使えるんだな」
「暫定でヌスクァム最強の魔法使いですからね~」

テュケ君が呟くと隣に来ていたレフィさんが笑いながら答えている。
ヌスクァムと表裏一体の世界には更に上の魔法使いがいるって教えていた。

「《バリスティックスペル》、《ルインブレイザー》」

イスファリナさんが魔法を発動させると、ゆっくりと空に昇っていく。速度はどんどん増していってあっという間に見えなくなっちゃった。

「さて、この世界の魔王はどう出るかしらね?」

余裕の表情のイスファリナさん。

「弾着確認。観測をします」

リフェアさんが言うのとほぼ同時に地面が揺れる。これって魔法の衝撃?

「魔王と思しき魔力反応は大幅に縮小。微弱ながら健在です」
「しぶといわね。もう一発いこうか?」

そういえば「魔王と思しき」なんだよね。あんな大きな魔力なんだから人じゃないのは間違いないけど。

「見に行こうぜ」
「マサキ…あなた戦ってみたいだけでしょう?」

ネネさんに図星を突かれて目を逸らすマサキさん。

「逆方向から大きな魔力反応。これは…ゲルドさんでしょうか」

レアさんが教えてくれて確認すると、確かにゲルドさんだ。リオさんの能力をエギル・エギラさんがコピーした事でこんな魔力反応になってるんだよね。

「向こうは何が起こっているのか分かっていない筈だから出迎えた方がいいでしょうね」
「私行ってきます」

リオさんの言う通り、ゲルドさんは戦闘体勢で来るだろうから安全だって知らさないとだね。

「ついてくー」
「一応俺も行くよ」
「私も行こう」

ソラちゃんとテュケ君、ハナちゃんがついてきてくれた。

《フライト》で飛んで行くとゲルドさんも向こうから飛んでくる。

「むむ…!君達は!」
「ゲルドさんどう…も…?」

私達を見るなり構えた剣を下ろしてくれた。

ゲルドさんの見た目が何か違う。

「おっさん若返った?」
「む?そんな事はないと思うのだが」
「いや、確実に10は若くみえるぞ」

ソラちゃんとハナちゃんがゲルドさんをじっと見つめる。そう、肌に張りがあって目尻の皺が無くなってる。

「剣の影響…いや、事象改変か」
「何の事だかわからないが、元々この顔だったと思うぞ」

大した事象改変じゃなくて良かったと言っていいのかな?そんな事よりゲルドさんは何をしにきたのかな?

「エギル殿がとてつもない魔力の反応があると言うので来てみたのだが、君達だったのか」

姿が変わっていても私達とダンジョンに入った記憶は普通にあるみたい。

『少女達よ遥か遠くの魔力反応が突然無くなったのだが君達の仕業か?』
「そうだよ。魔王っぽいから先制攻撃した」
『そ、そうか…』

ソラちゃんが答えるとエギル・エギラさんは若干引いていた。

「我々はその魔王とやらに会いに行こうと思うのだが」
「真の勇者の務めですか?」
「うむ。今なら魔王相手にも通用すると思うのだ」

そう言う事なら私達も行ってみようか。まだ倒せていないみたいだし、攻撃を始めたのはこちらだしゲルドさんだけに任せるのは無責任かな。

《ディレクションシェル》で伝えるとみんな「いいよ」と言ってくれた。

(ついでに魔皇王に報告してルミを引き渡そう)

そうだったね。ルミさんはまだ目を覚さないけど、ここに置いていく訳にはいかない。

私達は魔王と思しき反応の所に向かうチームと魔皇王に報告をするチームに別れる事にした。

ーーーーー

報告チームは面識のあるイスファリナさん達とフィノーラさん、レネさんにお任せする事になった。他のメンバーは魔王の所に。
ゲルドさんを知っている人達は姿が変わっている事に驚いていたけど特に何か言う事はなかった。

爆心地に空から近付くと巨大なクレーターの中心に人影がある事に気付く。

(各員戦闘体制を)

レアさんの声掛けで全員がいつでも攻撃の出来るよう身構える。

「ねえ、あれ…子供じゃない?」
「子供とはいえあれだけの魔力を放っていたのだ。油断してはならない」

リオさんに警戒を怠らないように伝えるゼクセル陛下。

「詠唱始めます!」

リファナちゃんは隊列から外れて魔法の準備にかかる。

魔力の反応に気付いた小さな人影はこちらを見上げてたじろいでいる。

…泣いてない?

「ちょ、ちょっと待ってください!もしかしたら話が出来るかも知れないので少しだけ時間をください」
「了解。俺達のパーティとミナのパーティが降りる。何かあったら援護を頼むよ」
「俺も行こう」

シルヴァさん達もついて来てくれる。ゲルドさんも一緒だ。

少し離れた所に着地すると怯えた様子で尻餅をつく。

「何故我がこんな目に遭わなくちゃならんのじゃ!」

涙で顔をグシャグシャにしながら叫ぶ子供。髪短く色は白に近い紫色。目は赤く犬歯が少し長めかな。
《ディテクト》したら名前は無く、種族が魔王。性別は女の子らしい。

「魔王だから?」
「それだけで攻撃をしてきたのか!横暴だ!我にも言い分があるのじゃ!」

ソラちゃんがハルバードを肩に担ぎながら首を傾げて言うと魔王の子は泣きながら反論してくる。

「生まれたばかりであんな魔法をぶつけられて死ぬ所だったんだぞ!我は何も悪い事はしとらん!…あと空にいる魔術師に魔法を撃つのをやめる様に言ってくれ…我は人種に危害を加える気など無いのじゃ」

おや…まさかの良い魔王?

「証明する方法が無いわね。滅ぼした方が早そうだけど?」
「滅ぼすじゃと!?お主らに人の心はないのか!」

リオさんに冷たくされて泣き喚く魔王の子。

「人に悪さをしないと証明できるのなら見逃してやれるんだが…何か方法はあるか?」

レイナスさんが聞くと泣き止んでこちらを見る。

「ある!我には名がない。名前をつけてさえくれれば主従の契約が結ばれるのじゃ。それで我を縛ってくれれば何も出来ん」

なるほど。それならどうにかなりそうだね。
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