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拗らせ社長
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入って右側の壁にはホワイトボードと白い壁。白い壁に向けて天井にはプロジェクター映写機のようなものがあるので、あそこから映像を壁に映し出すのだろう。
そして、ロの字に配置された机。プレゼンをする人の場所、それから向かい合った長机には、それぞれ10名ほどが座れるようになっている。正面のいわゆる誕生日席の椅子だけが他の椅子よりも立派なのは、社長が座る場所だからだろうか。
部長が、東御の担当者に挨拶をしていると、20代半ばの東御の女性社員が近づいてきた。
「さっき、府網建築の木頭専務が噂していたのはあなたね」
噂?
「二棲建築は綺麗な女性を連れてきたって言っていたわ」
正確には、綺麗に化粧をした女性で、特別綺麗というわけではいと思いますけど。
「気を付けてね。社長って女嫌いって話は聞いた?」
「ええ、まぁ……噂では。でも、女嫌いであれば何も気を付けなくてもいいのでは?むしろ女好きの社長の方が厄介だと思いますけど」
私の言葉員社員の女性が目を丸くしてぷっと笑った。
「そうだ!本当だわ!確かにそうね!あ、私は東御で社長秘書補佐をしている東御茉莉です」
「二棲建築の深山です。……東御?」
東御グループで、東御って苗字?
「社長の妹なんです。深山さんはプレゼンの手伝いですか?」
「はい。よろしくお願いします。急遽、担当者の都合がつかずに……」
茉莉さんがああと、大きく頷いた。
「ピンチヒッターか……。うーん、じゃぁ、下心があってのことじゃないとは思うけれど……うん、でも、やっぱり注意してね」
下心?
「府網建築の人が何か噂していましたか?色仕掛けで仕事を取るとか……そのつもりはないですよ」
小さな声で茉莉さんに伝えると、茉莉さんがこちらへ来てと手招きしながら小さな声で答えた。
「ううん、そうじゃなくて、社長はね特に自分に自信のある美人が嫌いなのよ。今までも何人も女嫌いでも自分なら落とせるだろうって、しつこい女にひどい目にあったみたいだから」
自身のある美人?
あー。まぁ、できる女風のばっちりメイクしているからそう見られるよね。
「目を合わせないようにね。それだけで誘惑しようとしてるんじゃって疑うくらい、もう本当に……」
社員の女性が眉を寄せる。何を思い出しているのか分からないけれども、女嫌いという噂レベルの話ではなさそうだ。
いろいろこじらせているみたい……。
「親切にご忠告ありがとうございます」
「あら?それはどうやら本心?何人も忠告なんて必要ないわって鼻で笑われたけれど、忠告じゃないんですよ。機嫌が悪くなった社長を相手に働くこっちの身にもなってほしいんです。いえ、怒りをぶつけられるわけじゃないんですけど、いら立ちを解消するために、めちゃくちゃ働くんですよ。いつもの3倍くらい仕事が増えて……」
3倍。
そして、ロの字に配置された机。プレゼンをする人の場所、それから向かい合った長机には、それぞれ10名ほどが座れるようになっている。正面のいわゆる誕生日席の椅子だけが他の椅子よりも立派なのは、社長が座る場所だからだろうか。
部長が、東御の担当者に挨拶をしていると、20代半ばの東御の女性社員が近づいてきた。
「さっき、府網建築の木頭専務が噂していたのはあなたね」
噂?
「二棲建築は綺麗な女性を連れてきたって言っていたわ」
正確には、綺麗に化粧をした女性で、特別綺麗というわけではいと思いますけど。
「気を付けてね。社長って女嫌いって話は聞いた?」
「ええ、まぁ……噂では。でも、女嫌いであれば何も気を付けなくてもいいのでは?むしろ女好きの社長の方が厄介だと思いますけど」
私の言葉員社員の女性が目を丸くしてぷっと笑った。
「そうだ!本当だわ!確かにそうね!あ、私は東御で社長秘書補佐をしている東御茉莉です」
「二棲建築の深山です。……東御?」
東御グループで、東御って苗字?
「社長の妹なんです。深山さんはプレゼンの手伝いですか?」
「はい。よろしくお願いします。急遽、担当者の都合がつかずに……」
茉莉さんがああと、大きく頷いた。
「ピンチヒッターか……。うーん、じゃぁ、下心があってのことじゃないとは思うけれど……うん、でも、やっぱり注意してね」
下心?
「府網建築の人が何か噂していましたか?色仕掛けで仕事を取るとか……そのつもりはないですよ」
小さな声で茉莉さんに伝えると、茉莉さんがこちらへ来てと手招きしながら小さな声で答えた。
「ううん、そうじゃなくて、社長はね特に自分に自信のある美人が嫌いなのよ。今までも何人も女嫌いでも自分なら落とせるだろうって、しつこい女にひどい目にあったみたいだから」
自身のある美人?
あー。まぁ、できる女風のばっちりメイクしているからそう見られるよね。
「目を合わせないようにね。それだけで誘惑しようとしてるんじゃって疑うくらい、もう本当に……」
社員の女性が眉を寄せる。何を思い出しているのか分からないけれども、女嫌いという噂レベルの話ではなさそうだ。
いろいろこじらせているみたい……。
「親切にご忠告ありがとうございます」
「あら?それはどうやら本心?何人も忠告なんて必要ないわって鼻で笑われたけれど、忠告じゃないんですよ。機嫌が悪くなった社長を相手に働くこっちの身にもなってほしいんです。いえ、怒りをぶつけられるわけじゃないんですけど、いら立ちを解消するために、めちゃくちゃ働くんですよ。いつもの3倍くらい仕事が増えて……」
3倍。
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