60 / 187
終わりの時間
しおりを挟む
「トーマルク公爵家では、公爵夫人がお亡くなりになってからは舞踏会を開いていないし……あとは王都ではなく、それぞれの領地の本邸にはあるのかもしれないけれど……さすがに、王都を離れてわざわざ出席することもねぇ……できないわよねぇ」
「そ、そうよね……」
ほっ。すぐにトーマルク公爵家の話ではなくなりほっとする。
……よく考えたら、エミリーなら私がトーマルク公爵令嬢だと知っても突然距離を置くようなことも、態度を変えるようなこともないような気がする。だったら、教えても構わないんじゃないかな。
……とはいえ、男性アレルギーのこと、お父様もお兄様も必死に隠してくださっているのに、私が勝手に教えるのはどうなんだろう。
公爵令嬢は男性アレルギー……。一応お父様に、男性アレルギーのことを知られてしまった方がいて信用できる人なので公爵令嬢だって教えても構いませんかと尋ねてからの方がいいかしら。
「リリー、そんなに難しい顔をしないで。大丈夫よ、私が何とかするわ。きっと、ロイホール公爵家の舞踏会以外でも会えるように考えるから……ね?いつもの可愛い顔に戻ってちょうだい」
太陽が陰る頃に、二人の秘密のお茶会は終わった。
「どうだったかい?無理はしていないかい?沈んだ顔をしているが……やはり辛いならやめてもいいんだよ?」
屋敷に戻ると、心配そうに玄関までお父様が迎えに出ていた。
「ええ、大丈夫です。酷いアレルギーも……ディック様のときに出たきりで……」
お父様がうーんとうなった。
「ディックか。好青年だと思っていたし、ロバートとも仲がいいからいい縁談になるかもと思っていたが……そうか。酷いアレルギーが出るんじゃ、無理だな」
お父様の言葉に、ふっとおかしくなる。
誰でもいいといいながら、誰だったらいいなぁと思っているってことですよね。本当は、色々な人に合わせてみたいと思っているのかもしれない。
お父様は、私に結婚して幸せになってもらいたいんだろうな。
私は、結婚したいと思ったことがないから、結婚が幸せにつながるとは思えないんだけれど……。
エミリーと初めて会った時、エミリーにお願いしようとしたことがあるのを思い出した。
言いそびれて、そのまま別の話になってしまったけれど。
そして、エミリーと話をすればするほど、お願いしなくて良かったと思ったこと。
……婚約者のふりをしてほしい……と。
それはつまり、私の前でも他の人がいるときは男のふりをしてくれということだもの。
私といるときだけは男のふりをしなくてもいいんだよって、今はそういう気持ちでいっぱいだ。
お願いしなくて良かったと思っている。
=================
ディック……以外にも、名前を憶えていられる。
それは、やっぱりテディベアからの~っていう流れでつけた名前という記憶があるからか
「そ、そうよね……」
ほっ。すぐにトーマルク公爵家の話ではなくなりほっとする。
……よく考えたら、エミリーなら私がトーマルク公爵令嬢だと知っても突然距離を置くようなことも、態度を変えるようなこともないような気がする。だったら、教えても構わないんじゃないかな。
……とはいえ、男性アレルギーのこと、お父様もお兄様も必死に隠してくださっているのに、私が勝手に教えるのはどうなんだろう。
公爵令嬢は男性アレルギー……。一応お父様に、男性アレルギーのことを知られてしまった方がいて信用できる人なので公爵令嬢だって教えても構いませんかと尋ねてからの方がいいかしら。
「リリー、そんなに難しい顔をしないで。大丈夫よ、私が何とかするわ。きっと、ロイホール公爵家の舞踏会以外でも会えるように考えるから……ね?いつもの可愛い顔に戻ってちょうだい」
太陽が陰る頃に、二人の秘密のお茶会は終わった。
「どうだったかい?無理はしていないかい?沈んだ顔をしているが……やはり辛いならやめてもいいんだよ?」
屋敷に戻ると、心配そうに玄関までお父様が迎えに出ていた。
「ええ、大丈夫です。酷いアレルギーも……ディック様のときに出たきりで……」
お父様がうーんとうなった。
「ディックか。好青年だと思っていたし、ロバートとも仲がいいからいい縁談になるかもと思っていたが……そうか。酷いアレルギーが出るんじゃ、無理だな」
お父様の言葉に、ふっとおかしくなる。
誰でもいいといいながら、誰だったらいいなぁと思っているってことですよね。本当は、色々な人に合わせてみたいと思っているのかもしれない。
お父様は、私に結婚して幸せになってもらいたいんだろうな。
私は、結婚したいと思ったことがないから、結婚が幸せにつながるとは思えないんだけれど……。
エミリーと初めて会った時、エミリーにお願いしようとしたことがあるのを思い出した。
言いそびれて、そのまま別の話になってしまったけれど。
そして、エミリーと話をすればするほど、お願いしなくて良かったと思ったこと。
……婚約者のふりをしてほしい……と。
それはつまり、私の前でも他の人がいるときは男のふりをしてくれということだもの。
私といるときだけは男のふりをしなくてもいいんだよって、今はそういう気持ちでいっぱいだ。
お願いしなくて良かったと思っている。
=================
ディック……以外にも、名前を憶えていられる。
それは、やっぱりテディベアからの~っていう流れでつけた名前という記憶があるからか
7
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
この子、貴方の子供です。私とは寝てない? いいえ、貴方と妹の子です。
サイコちゃん
恋愛
貧乏暮らしをしていたエルティアナは赤ん坊を連れて、オーガスト伯爵の屋敷を訪ねた。その赤ん坊をオーガストの子供だと言い張るが、彼は身に覚えがない。するとエルティアナはこの赤ん坊は妹メルティアナとオーガストの子供だと告げる。当時、妹は第一王子の婚約者であり、現在はこの国の王妃である。ようやく事態を理解したオーガストは動揺し、彼女を追い返そうとするが――
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる