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姉妹
どうせ男性アレルギーがあるからと……。私は、全てを捨てて修道院へ行こうとしていた。
「ああ、私たち貴族令嬢であれば、自分ができること以外に自分がしなければならないこと……もあるわね。……はぁ、投げ出したいこともあるわね、流石に……」
ローレル様が小さく息を吐きだした。
私ができること?私がしなければならないこと?
ローレル様の言葉に、心の中がグルグルと渦を巻いている。
どうせ私なんて何の役にも立たない人間で……お父様やお兄様は愛してくださるけれど、他の誰かに必要とされることもなくて……。
エイミーだけはそうじゃなくてと思ったけれど、違うんだ。
私は誰かに必要とされるような努力もしてこなかった。公爵令嬢としての役割なんて、できるわけないと何もしてこなかった。
アレルギーがあっても、できることはあったんじゃない?男性と距離を保てばいいのだから。
「ごめんなさい、リリー様。説教めいたこと言ってしまったわね。私の悪い癖なの。つい、その、心配しすぎて口うるさく言ってしまうのよ。だから、男性に可愛げがないと言われるのよね。私といると、教師と一緒にいるようだって」
事情気味にローレル様が笑った。
「でも、それは相手のための言葉ですよね?間違った方へと進まないように、言ってあげられるのはすごいことだと思いますっ!」
可愛げが無いと言われようと、間違ったことを正そうとすることはきっと勇気もいることだ。
でも、もし人の上に立つ立場の者が間違った行動をし、誰もそれを諫めなければ大変なことになってしまう。
ローレル様のような方を妻に迎える領地は、よく治められるんじゃないのかなぁ。
あ、そういえば、皇太子妃になろうと思っていらっしゃったのよね?
うん。
ローレル様のような方が王妃になれば、この国も安泰かもしれない。応援したいな。とはいえ、応援の仕方が思いつかないけれど。
「はぁ、もう!リリー様可愛すぎる!こんなふうに、裏表なく褒められたらメロメロになるしかないわ。ああ、リリー様みたいな妹が欲しい!」
「わ、私も、ローレル様みたいなお姉様が欲しいですっ」
ローレル様と手を取り合ってぎゅっと握り合う。
外からラッパを鳴らす音が聞こえてきた。
「ああ、こうしてはいられないわね。出陣パレードが始まるようだわ」
出陣パレード。
そう言えば、今日は皇太子率いる王軍が王都を出発する日だった。あっという間だ。
==========================
あっという間なのは、諸事情(作者の)
「ああ、私たち貴族令嬢であれば、自分ができること以外に自分がしなければならないこと……もあるわね。……はぁ、投げ出したいこともあるわね、流石に……」
ローレル様が小さく息を吐きだした。
私ができること?私がしなければならないこと?
ローレル様の言葉に、心の中がグルグルと渦を巻いている。
どうせ私なんて何の役にも立たない人間で……お父様やお兄様は愛してくださるけれど、他の誰かに必要とされることもなくて……。
エイミーだけはそうじゃなくてと思ったけれど、違うんだ。
私は誰かに必要とされるような努力もしてこなかった。公爵令嬢としての役割なんて、できるわけないと何もしてこなかった。
アレルギーがあっても、できることはあったんじゃない?男性と距離を保てばいいのだから。
「ごめんなさい、リリー様。説教めいたこと言ってしまったわね。私の悪い癖なの。つい、その、心配しすぎて口うるさく言ってしまうのよ。だから、男性に可愛げがないと言われるのよね。私といると、教師と一緒にいるようだって」
事情気味にローレル様が笑った。
「でも、それは相手のための言葉ですよね?間違った方へと進まないように、言ってあげられるのはすごいことだと思いますっ!」
可愛げが無いと言われようと、間違ったことを正そうとすることはきっと勇気もいることだ。
でも、もし人の上に立つ立場の者が間違った行動をし、誰もそれを諫めなければ大変なことになってしまう。
ローレル様のような方を妻に迎える領地は、よく治められるんじゃないのかなぁ。
あ、そういえば、皇太子妃になろうと思っていらっしゃったのよね?
うん。
ローレル様のような方が王妃になれば、この国も安泰かもしれない。応援したいな。とはいえ、応援の仕方が思いつかないけれど。
「はぁ、もう!リリー様可愛すぎる!こんなふうに、裏表なく褒められたらメロメロになるしかないわ。ああ、リリー様みたいな妹が欲しい!」
「わ、私も、ローレル様みたいなお姉様が欲しいですっ」
ローレル様と手を取り合ってぎゅっと握り合う。
外からラッパを鳴らす音が聞こえてきた。
「ああ、こうしてはいられないわね。出陣パレードが始まるようだわ」
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そう言えば、今日は皇太子率いる王軍が王都を出発する日だった。あっという間だ。
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