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「あー、あいつ、鈍色時代が長すぎて間違えて持って帰っちまったのか……シャリアらしいな……」
ギルド長の顏を見て、エディがぼそりとつぶやいた。
「シャリアがかわいいんですね」
その言葉に、ギルド長が怖い顔をより怖くしてエディをにらむ。
「そうだ、シャリアはかわいい。いいか、手を出そうなんて考えるなよ?」
エディがふっと笑った。
「シャリアが兄のような人だと言っていた通り、妹のように心配するんですね」
どこか挑戦的なエディの言葉に、ギルド長が嫌な顔をした。
「17歳だ」
ギルド長のつぶやきに、エディが首を傾げた。
「シャリアが男に騙され捨てられ、家族もなく一人で子供を産んだ年だ」
エディがハッと目を見開く。
17歳、自分はまだ学生だった。数少ないが学園には女生徒もいた。試験の心配や剣術大会の応援に胸を弾ませている姿を思い出す。また社交場では、婚約者や家族と楽しそうにダンスを踊ったりおしゃべりするご令嬢の姿も思い出した。
「シャリアが冒険者登録に来た時はとてもここに足を踏み入れるには似つかわしくない綺麗な服をしていた」
エディが黙ってギルド長の言葉を聞いている。
「きっと、いいところのお嬢さんだったんだろう。それなのにすべてを……信じていた男に家族に家……すべてを失い、住むところを探して仕事を見つけてお金を稼ぎ子供を産んで育てる……すべてを一人で抱えて生きてる」
ギルド長だけじゃない。ミミリアもエディに厳しい目を向けていることにエディは気が付いた。
「兄だろうが父だろうが、俺が家族を失ったシャリアの家族代わりとして支えになるんなら何の不満もねぇんだよ」
ギルド長の強い思いに、エディは胸を打たれた。
「兄として、かわいい妹に手を出す奴は容赦しない。シャリアが好きな人の話を聞く以外は、手を出すやつが陛下だろうが英雄だろうが、俺がシャリアを守ってやる」
エディが苦笑する。
「英雄からも?」
ミミリアが口を挟んだ。
「ミスリル級冒険者は王と言えども言うことを聞かせることなどできませんから。それに、英雄といっても一人で戦っていたわけではないでしょ?ギルド長と1対1で戦ってどちらが勝つかなんて、分かりませんよ?」
と言いながらも、ミミリアはギルド長が勝つと信じているような顔をしている。
エディが小さくつぶやいた。
「そう……だな、やってみなくちゃ分からないが、やりあう日が来ないことを願うよ……」
エディがギルド長の顔を見る。
「シャリアがかわいい……」
「はぁ?俺の話を聞いていたのか?」
エディがにこりと笑う。
「シャリアが僕のことをかわいいって言うんです」
「は?」
エディが苦笑した。
「自慢だと受け取られると困るのですが、生まれてこの方年下の女性からカッコいいという言葉をもらうことはあっても、かわいいというのは始めて言われたので、かなり困惑しました」
と、いう者の、ミミリアさんはああと手をぽんっと叩いた。
「確かに、ここってギルド長をはじめとして、ごっつい男の人ばかりですもんねぇ。カッコいいは筋肉が基準だと思ってる人も多いし」
「ええ、それは僕もシャリアに言われました。ここでは女性はトラのような強い男性を狙うと」
ギルド長がエディの顔をしげしげと眺める。
「……にしても、かわいいか?」
ミミリアに尋ねている。
「うーん、そうですねぇ……流石に、ギルド基準で見ても、町娘基準で見ても、かわいいというよりも美男子?洗練された美しさがあるとか?かわいいって言葉で表現はしにくいかなぁとは思いますけど……」
エディがうんと頷いた。
ギルド長の顏を見て、エディがぼそりとつぶやいた。
「シャリアがかわいいんですね」
その言葉に、ギルド長が怖い顔をより怖くしてエディをにらむ。
「そうだ、シャリアはかわいい。いいか、手を出そうなんて考えるなよ?」
エディがふっと笑った。
「シャリアが兄のような人だと言っていた通り、妹のように心配するんですね」
どこか挑戦的なエディの言葉に、ギルド長が嫌な顔をした。
「17歳だ」
ギルド長のつぶやきに、エディが首を傾げた。
「シャリアが男に騙され捨てられ、家族もなく一人で子供を産んだ年だ」
エディがハッと目を見開く。
17歳、自分はまだ学生だった。数少ないが学園には女生徒もいた。試験の心配や剣術大会の応援に胸を弾ませている姿を思い出す。また社交場では、婚約者や家族と楽しそうにダンスを踊ったりおしゃべりするご令嬢の姿も思い出した。
「シャリアが冒険者登録に来た時はとてもここに足を踏み入れるには似つかわしくない綺麗な服をしていた」
エディが黙ってギルド長の言葉を聞いている。
「きっと、いいところのお嬢さんだったんだろう。それなのにすべてを……信じていた男に家族に家……すべてを失い、住むところを探して仕事を見つけてお金を稼ぎ子供を産んで育てる……すべてを一人で抱えて生きてる」
ギルド長だけじゃない。ミミリアもエディに厳しい目を向けていることにエディは気が付いた。
「兄だろうが父だろうが、俺が家族を失ったシャリアの家族代わりとして支えになるんなら何の不満もねぇんだよ」
ギルド長の強い思いに、エディは胸を打たれた。
「兄として、かわいい妹に手を出す奴は容赦しない。シャリアが好きな人の話を聞く以外は、手を出すやつが陛下だろうが英雄だろうが、俺がシャリアを守ってやる」
エディが苦笑する。
「英雄からも?」
ミミリアが口を挟んだ。
「ミスリル級冒険者は王と言えども言うことを聞かせることなどできませんから。それに、英雄といっても一人で戦っていたわけではないでしょ?ギルド長と1対1で戦ってどちらが勝つかなんて、分かりませんよ?」
と言いながらも、ミミリアはギルド長が勝つと信じているような顔をしている。
エディが小さくつぶやいた。
「そう……だな、やってみなくちゃ分からないが、やりあう日が来ないことを願うよ……」
エディがギルド長の顔を見る。
「シャリアがかわいい……」
「はぁ?俺の話を聞いていたのか?」
エディがにこりと笑う。
「シャリアが僕のことをかわいいって言うんです」
「は?」
エディが苦笑した。
「自慢だと受け取られると困るのですが、生まれてこの方年下の女性からカッコいいという言葉をもらうことはあっても、かわいいというのは始めて言われたので、かなり困惑しました」
と、いう者の、ミミリアさんはああと手をぽんっと叩いた。
「確かに、ここってギルド長をはじめとして、ごっつい男の人ばかりですもんねぇ。カッコいいは筋肉が基準だと思ってる人も多いし」
「ええ、それは僕もシャリアに言われました。ここでは女性はトラのような強い男性を狙うと」
ギルド長がエディの顔をしげしげと眺める。
「……にしても、かわいいか?」
ミミリアに尋ねている。
「うーん、そうですねぇ……流石に、ギルド基準で見ても、町娘基準で見ても、かわいいというよりも美男子?洗練された美しさがあるとか?かわいいって言葉で表現はしにくいかなぁとは思いますけど……」
エディがうんと頷いた。
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