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「……師匠は……やっぱりすごいな……」
ジャンがパパしゃんに会いたいと言い続ける問題を予想しただけでなく、エディの負担にならないよう、そして、私が気を遣わなくて済むような解決策を用意しちゃうなんて。
朝食を食べ終わるとエディが席をたった。
「じゃあ、さっそくツデラ鳥を獲りに行きましょう」
「ふふ、20層関係の依頼がないか依頼票を確認しないと」
銀級の依頼は残念ながら20層では見つからなかった。金級からしか。
ということで、依頼ついでは無理そうなので、16階層の依頼2つと、20階層にある常時買い取りしてるものをチェックしてからカウンターに足を運ぶ。
「ミミリアさん、依頼受付お願い」
と、依頼票を出す。
「シャリア、昨日の査定なんだけど」
あ、そういえばあとでと言って慌てて帰ったんだっけ。
「今日の分とまとめて帰りにお願いしていい?」
「それは問題ないけれど……」
ミミリアさんの後ろからギルド長が顔を出してカウンターに出した依頼表を見た。
「なんだ、銀級の依頼が今日はたった2つか?昨日は銀色依頼3つに常時買い取り依頼を4つとすっ飛ばしてたみたいだが」
ギルド長にニンマリと笑ってみせる。
「ツデラ鳥を捕まえてくるんです。だから、依頼は2つ」
ミミリアさんが口をあんぐりあける。
「20階層のツデラ鳥ですか?銅級パーティーが?……って、シャリアさんとエディさんの組み合わせなら問題ないでしょうけれど……」
ミミリアさんがちらりとギルド長の顔色をうかがう。
「あー、そうだな。流石に銅級が金級でもなかなか取れないツデラ鳥を獲ってきたとなると目立ちすぎる。買い取りはできないぞ?」
うん?
「目立ちすぎる?……えーっと、目立つと何が問題なんでしたっけ?」
ギルド長に鼻をつままれた。
「おーまーえーはぁ!ギルドの臨時職員を何年やってたんだ!」
「1年とちょっとですってば!何年って言える前に首にしたのはギルド長ですよっ!」
はぁーと、ギルド長がため息をついた。
「銅級パーティーなのに、金級がとってくるようなツデラ鳥が取れるなんて知られてみろ。どうなるか分かるか?」
「うーんと、本当にお前たちがとったのかと疑われる?」
ギルド長が頭を押さえた。
「まぁ、普通はそうだ。普通はな。だが、このギルドでお前のことを知らない者なんかいないから誰も疑わねぇだろ」
そうね。一緒に働いていたギルドのみんなは私がそんなズルするような人間じゃないって知ってるもんね。
「それじゃあやっかまれる?生意気だとか……言われる?」
くっとギルド長が笑った。
「実力がすべての冒険者だ。やっかむような奴は上に上がれねぇだけだ。問題はそうじゃねぇ」
「じゃあ何が問題……はっ、分かった!目立つと、エディがモテる!」
ギルド長が私のほっぺを両手で挟んだ。
「そりゃ、強い男はモテるさ。だから、俺なんかもってもてだ」
「そうです、足が臭くてもモテるんだから、強くてエディみたいに足が臭くなさそうな見た目なら余計にもて」
ギルド長が私に顔を近づけた。
「シャリアの好みか?」
ギルド長の言葉に、エディが「え?僕が、アイシャさんの好み?」と声を上げた。
「残念ですけど、足が臭いよりは臭くない方がいいですけど、それだけで好みなんて語りませんし、なんならジャンなら足が臭くても世界で一番好きなのは一生変わらないと思うんで。あ、それは強くなくてもね!」
身体強化8かけで、ギルド長の手をめりめりと引きあがす。
「……ってか、俺の足、そんなに臭いか?」
ギルド長がミミリアさんに涙目で尋ねた。
ジャンがパパしゃんに会いたいと言い続ける問題を予想しただけでなく、エディの負担にならないよう、そして、私が気を遣わなくて済むような解決策を用意しちゃうなんて。
朝食を食べ終わるとエディが席をたった。
「じゃあ、さっそくツデラ鳥を獲りに行きましょう」
「ふふ、20層関係の依頼がないか依頼票を確認しないと」
銀級の依頼は残念ながら20層では見つからなかった。金級からしか。
ということで、依頼ついでは無理そうなので、16階層の依頼2つと、20階層にある常時買い取りしてるものをチェックしてからカウンターに足を運ぶ。
「ミミリアさん、依頼受付お願い」
と、依頼票を出す。
「シャリア、昨日の査定なんだけど」
あ、そういえばあとでと言って慌てて帰ったんだっけ。
「今日の分とまとめて帰りにお願いしていい?」
「それは問題ないけれど……」
ミミリアさんの後ろからギルド長が顔を出してカウンターに出した依頼表を見た。
「なんだ、銀級の依頼が今日はたった2つか?昨日は銀色依頼3つに常時買い取り依頼を4つとすっ飛ばしてたみたいだが」
ギルド長にニンマリと笑ってみせる。
「ツデラ鳥を捕まえてくるんです。だから、依頼は2つ」
ミミリアさんが口をあんぐりあける。
「20階層のツデラ鳥ですか?銅級パーティーが?……って、シャリアさんとエディさんの組み合わせなら問題ないでしょうけれど……」
ミミリアさんがちらりとギルド長の顔色をうかがう。
「あー、そうだな。流石に銅級が金級でもなかなか取れないツデラ鳥を獲ってきたとなると目立ちすぎる。買い取りはできないぞ?」
うん?
「目立ちすぎる?……えーっと、目立つと何が問題なんでしたっけ?」
ギルド長に鼻をつままれた。
「おーまーえーはぁ!ギルドの臨時職員を何年やってたんだ!」
「1年とちょっとですってば!何年って言える前に首にしたのはギルド長ですよっ!」
はぁーと、ギルド長がため息をついた。
「銅級パーティーなのに、金級がとってくるようなツデラ鳥が取れるなんて知られてみろ。どうなるか分かるか?」
「うーんと、本当にお前たちがとったのかと疑われる?」
ギルド長が頭を押さえた。
「まぁ、普通はそうだ。普通はな。だが、このギルドでお前のことを知らない者なんかいないから誰も疑わねぇだろ」
そうね。一緒に働いていたギルドのみんなは私がそんなズルするような人間じゃないって知ってるもんね。
「それじゃあやっかまれる?生意気だとか……言われる?」
くっとギルド長が笑った。
「実力がすべての冒険者だ。やっかむような奴は上に上がれねぇだけだ。問題はそうじゃねぇ」
「じゃあ何が問題……はっ、分かった!目立つと、エディがモテる!」
ギルド長が私のほっぺを両手で挟んだ。
「そりゃ、強い男はモテるさ。だから、俺なんかもってもてだ」
「そうです、足が臭くてもモテるんだから、強くてエディみたいに足が臭くなさそうな見た目なら余計にもて」
ギルド長が私に顔を近づけた。
「シャリアの好みか?」
ギルド長の言葉に、エディが「え?僕が、アイシャさんの好み?」と声を上げた。
「残念ですけど、足が臭いよりは臭くない方がいいですけど、それだけで好みなんて語りませんし、なんならジャンなら足が臭くても世界で一番好きなのは一生変わらないと思うんで。あ、それは強くなくてもね!」
身体強化8かけで、ギルド長の手をめりめりと引きあがす。
「……ってか、俺の足、そんなに臭いか?」
ギルド長がミミリアさんに涙目で尋ねた。
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