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27 紫輝の村
◆紫輝の村
一同は、ひとつの部屋に集まって。これからどうするのか、という話し合いをすることになった。
千夜の身の振り方の話なので、幸直や井上は本来、この場にいなくてもいいのだが。
幹部たちの引き上げどきなども見極めるため、参加していた。
「遅ればせながら。幹部の方々には、お手数おかけしました。ありがとうございました。これからですが。俺は、元の村に、ひとりで戻るつもりです」
床板に車座になっている幹部たちに、千夜は頭を下げながら伝えた。
「まだ本調子じゃないのに。おまえをひとりになんて、できないぞ。それに、元の村といっても、住んでいた家も家族も、今はないだろう?」
廣伊は首を横に振る。
千夜は、幼い頃住んでいた家を、入軍と同時に引き払っている。祖父が亡くなったことで、家族も親戚もいなかった。
片腕を失った千夜の身の回りのことを、手伝ってくれる者など、いない。
「これ以上、迷惑はかけられねぇ。一兵士の俺のことで…廣伊、あんたも。いつまでも引き留めておけねぇよ。幸い、入軍してからは。それほど、給金に手をつけなかったから。それなりのものは持っている。なんとかなるだろ」
「家を借りられたって。生活も、ままならないだろうが? 私が…おまえの面倒を見る。将堂に入って十二年、休みなく働いた。しばらく休暇を取っても、誰も文句は言わないさ」
「優秀な兵士の廣伊が、軍を長く不在にできるわけない。俺のそばにいるなんて、不可能だ」
千夜は廣伊を突っぱね、彼の手を借りないつもりのようで。
そうしたら…廣伊がそばにいなかったら、千夜がふらりとどこかへ消えてしまいそうで。
紫輝は心配になる。
「俺から提案させてください」
そこに、大和が口をはさんだ。
大和は、ここへ来てから、あまり会話には加わらず。黙々と、雑用をこなしていた。
紫輝とは、それなりに話はしたが。
幹部や千夜とは、必要最低限の言葉しか交わしていなかったのだ。
なので。ここで大和が声を発したことに、みんなは一様に驚いた顔を向ける。
「俺は庄屋の息子なんですが。先ごろ代替わりしまして。うちの村で管理している空き屋敷を、組長たちに使っていただきたいのです。新しい家を用意するのは、時間がかかるでしょうし。ここと本拠地との行き来は、大変でしょう? うちの村は奥多摩の辺りなので、移動は馬で半日ほどだ。もし場所が気に入ったら、定住していただけるとありがたいです」
にこやかな表情、人当たりの良い言葉遣いで。大和が、廣伊と千夜にすすめる。
「屋敷には、使用人がいるので。組長が留守にしても、安心でしょう。組長補佐はまず、体をしっかりと養生し。支障なく生活が営めるようになってから、のちのちのことは考えればいい」
「…それは、甘えすぎでは?」
大和の話に、廣伊は戸惑うが。
それには幸直が、後押しする。
「えぇ、良い話じゃん? じっくり吟味して、気に入ったら、その空いた屋敷でも、家でも買えばいい。それに、いつまでも側近の屋敷に世話になるのは、肩身が狭いだろ?」
「僕は構わないけど。でも確かに、ここは本拠地からは遠いね」
幸直の言葉に、月光は答え。さらに、話を続けていく。
「実際、その申し出は、こちらも助かる。実は赤穂から、望月の容体が安定し次第。幹部は一度、本拠地に顔を出せという指令が出ていたのです。僕としては、もう少し紫輝と過ごしたかったけれど。報告書が溜まっているから助けてくれ…と言われたら。仕方ない」
丸く頬を膨らませ、可愛い顔つきをするが。赤穂、使えねぇ…と吐き捨てている。
ここにいる面々は、もう月光の表面の可愛らしさには誤魔化されないのだった。
「でも。私は龍鬼だ。村に龍鬼が出入りするのは、良くないのでは?」
廣伊も、それなりの資産を持っているのだが。己の家を持てないのには、そういう理由がある。
龍鬼には家を貸せない、というやつだ。
目にすれば、龍鬼がうつると言われている世の中なので。
買い物なども、嫌な顔をされるし。物資を調達できなければ、快適な生活を送れない。
村の端にいたとしても、良い顔をされないのだ。
なので、廣伊は。ずっと軍の宿舎にいた。
今までは、それで不自由はなかった。たまに襲われる以外は。
だが、今の状況では。
できれば、外に、千夜とともに暮らせる家が欲しい。
「その点については、ご心配なく。先祖代々の習わしで、村ではあらゆる差別が禁止されている。そのため、はぐれのカラス血脈の者なども、いますが。善良な生活をしていれば、誰も、なにも、咎められはしません。庄屋である俺の名にかけて、不快な思いはさせません」
「庄屋が、兵士なんてしていていいのかい?」
単純な疑問を、井上がしてきた。
この世界の庄屋とは、村のリーダー的な存在だ。
将堂から土地を任されており、村の中の商いや、農家の収穫などにより、将堂におさめるべき税を支払うのが主な役割。
庄屋のメリットは、村の運営や方針などが一任されることだ。
つまり、やるべきことが多いのに、兵士をしていられるのか? という質問。
「実は。うちの使用人は、みんな計算に強くて。剣術しか能のない庄屋は、足手まといなのです。俺の仕事は、優秀な彼らに仕事を任せること。そして役人と相対すること。それ以外は、好きにやらせてもらっているんですよ」
「木佐、世話になる。しばらくは、生活を安定させることを目指すが。落ち着いたら、家の調達なども視野に入れる」
意外にも、千夜が即決した。
たぶん、龍鬼に優しい村というところが決め手だったのかな、と紫輝は思う。
この世界に来て早々、石を投げられ、追い立てられた身としては。それは重要事項ですよ。
「よし。じゃあ、望月は奥多摩に移動するということで…馬、は無理だな。徒歩か?」
「千夜はライラに乗せていく。行きと同じく。明日、大和とライラと一緒に、場所確認し。夜中に千夜と移動する。しばらく、俺も千夜と、その村に滞在するから…な?」
幸直の話に、紫輝はようやく声を出す。
先ほど、千夜とは話をしたけれど。ぎこちなく、確認を取ってしまう。
もう怒っていないよね? そばにいてもいいよね? という気持ちで。
千夜はうなずいて了承し。廣伊も紫輝に、うなずいてくれた。
「紫輝が、千夜についていてくれると助かる。私も、第五大隊長としての業務と今回の報告など、一度は本拠地に顔を出さなければならない。休暇願いも出してくるつもりだ」
「俺の除隊手続きも、頼む」
さらりと千夜は言うが。
みんなは息をのむ。
つらい選択を口に出す彼の心中を、気に掛けるが。
千夜は軽く笑い飛ばした。
「慰労金を貰って、家を買うためだよ。変に勘繰るなって」
一同はホッとして。明日の段取りを確認する。
幸直が、一連の流れを提示した。
「では、明日出発で良いのか? 午前中に、紫輝と大和が場所確認。帰還したら、大和を道案内に、俺と側近と廣伊と井上が出る。夜になったら、紫輝と千夜が出る。あちらで合流、そんな感じか?」
「おおよそは良いけど。幸直と月光さんと井上先生は、直で本拠地に帰ってもいいんじゃないか? 廣伊は場所確認した方がいいと思うけど」
「いや…。すまないが。将堂の大事な龍鬼を野放しにできねぇ。廣伊と望月は、特別な関係だろう? ふたりで雲隠れされるとマズいんだ。あと、紫輝もな。常時監視とか、そういうつもりはない。ただ、居場所を把握しておきたいだけだ。いざというとき、連絡を取れるようにしておくためにもな」
痛くない腹をさぐられ、紫輝はムッと唇を突き出す。
なんか嫌な感じ。
でも仕方ないのかな。
廣伊は、一騎当千の猛者だもの。
ふたりとも、足抜けしたときの顛末は、紫輝に忠告するほどに熟知している。だから、そんな選択はしないだろうけど。
上層部的には、しっかりマークしておきたいのだろう。
幸直は、護衛という名目だったが。
もしかしたら、龍鬼の監査役のような指示も受けていたのかもしれないな。
なんかやたら、自分にちょっかいかけてきたし。
「それに、寄り道というほど、遠回りでもないし。その屋敷で一泊して、次の日に本拠地へ行く方が、こちらの…特に馬の負担も軽い」
大和に目をやる。ふと笑ったので、大丈夫と言う意味だろう。
元は、眞仲の屋敷だというから。将堂の幹部を迎え入れたら、なんかいろいろバレないかと、紫輝はちょっと心配だが。
ここは大和を信じて。
「じゃ、そういうことで」
天誠の言うとおり、なんとか彼の屋敷に誘導できて。ホッとしたところで。
話は終わったのだった。
★★★★★
月光の屋敷で過ごす、最終日。
井上は、投薬指導をするため、廣伊と千夜と同じ部屋で寝ることになり。
あとは各々、個室を当てられたのだが。
月光が、ちょいちょいと手招きする。
紫輝は月光に、言いたいことがあったので。ちょうど良いと思い。彼の部屋に入った。
月光の前に正座した紫輝は、深く頭を下げる。
「月光さん。今回は、本当にありがとうございました。幹部が、一兵士に屋敷を提供することなんかないって、言われて。でも、屋敷を貸してくれたから、千夜はあそこまで元気になった。本当に、感謝してます」
「紫輝。紫輝は一兵士じゃない。僕の息子だよ? こんなことくらいで紫輝が喜ぶなら。僕はいくらでも、いつでも、力を貸すから。もっと父さんを頼ってよ」
顔をあげると、父さんと言うには可愛らし過ぎる、彼の顔がある。
表面的には、上官と部下。
でも、本当は親子。
おおっぴらには言えないから、月光は囁くけれど。
頼りになる父を持つことができて。紫輝は嬉しいし、心強かった。
「っていうか。僕的には。あいつに手柄を横取りされた感が強いんだけど?? あいつの子飼いの大和が、庄屋のわけねぇだろ。ポンと家を譲るなんて。しかも、奥多摩? 敵地に屋敷、構えんじゃねぇ。マジ腹立つぅ」
大和が、天誠の隠密だと知っている月光は。あの弟のそつのなさが、激烈に腹立たしい。
自分がそこまで用意してやれなかったことが、悔しくて。奥歯をギリギリ噛んでしまう。
「月光さん、賛成してくれていたじゃん?」
「仕方ない。認めたくはないが、あれは最適解だった」
のほほんとしている紫輝を、月光は恨めしげに見やる。
これは熾烈な、紫輝争奪頭脳戦なのだ。
千夜を養生させるために、屋敷を提供し。月光は一歩、抜きん出たつもりでいたのに。
それを上回る、千夜除隊後を見据えた、屋敷の提供とか。
しかも立地が絶妙。
河口湖から奥多摩と。奥多摩から本拠地までの距離は、ほぼ同じ。
馬で毎日通勤は、難しいが。時間ができたから家に帰ろう、と思えるくらいの距離間ではある。
将堂の拠点からは、若干距離があり。山に囲まれていることから、将堂自ら開拓に乗り出すことはなさそう。
誰の目も気にせずに、龍鬼が静かに暮らすには。良い、と言う他ない。
おそらく、あの男は。紫輝のために用意しておいたのだろう。だが、その家を譲っていいのか?
とはいえ。あいつは月光から、紫輝の手をかっさらい。大きく差をつけた。
あぁ、紫輝の背中が遠い。
でも、負けられない。紫輝の父親としても。将堂の宝玉としても。
「ねぇ、月光さん。今日は、ここで寝てもいい?」
「いいに決まってるだろう? 父さんに、向こうでどんな暮らしをしていたのか、教えてよ。あぁ…あいつの話は抜きで」
「一緒に育ったのに、天誠の話は抜きなんて、難しいよ」
不満ながらも、紫輝は可愛く微笑む。
いいんだよぉ、どんな話でも。紫輝のことなら。
紫輝の中に、父親としてなんとか割り込もうとしたが、あいつに阻まれ。口惜しい想いをしたが。
その、にがい思いも。紫輝の『一緒に寝てもいい?』攻撃で相殺された、溺愛パパだった。
★★★★★
翌日。日の出前に、紫輝は大和とともに、ライラに乗って、目的の村へ向かった。
山越えをするのだが。ライラに乗れば、なんのその。
一時間ちょっとくらいで、到着した。
ただ、猛烈な風を受けて走るので、ちょっと寒い。
ひと目で龍鬼とわからないよう、軍服の上にマントを着ていたのだが、正解だった。
もう秋真っ盛りなんだもんな。村はちょうど、紅葉のピーク。
山が、赤や緑や黄色で色づいている。
「わー、綺麗だな」
空気がひんやりと感じられる早朝に、紫輝たちは村に着いた。
大和が案内した屋敷は、山の中腹、村を見渡せる高台に建っていた。
山を切り崩して作られた、大きな敷地に。河口湖にある、月光の屋敷ほどのものが、五棟くらいある。
蔵とか、小さい建物も入れると、十…十五戸?
大和が庄屋の息子、というのは。作り話なのだが。
ここは、いかにも大庄屋の屋敷だ。
っていうか、この区域だけでも、村って言えそう。
ここで、村の運営をしているのかな?
「少し下っていくと、村人が暮らす家並みがあります。大体の者は、農業と畜産をしていますが。大工も店もあるので、ここだけで生活は成り立ちます。山の裾野には、段々畑が。今は収穫後なので、土が剥き出しですが。春にはレンゲが咲いて、美しいですよ。特産はワサビです」
盆地になっている村を見下ろしながら、大和は紫輝に説明してくれる。
「ふーん、素敵な村だね。千夜たち、こんないいところで暮らせるんだぁ」
自然が豊かで、衣食住の不足もない。
龍鬼を虐げる人が、本当にいないのなら。最高の環境じゃないか?
「貴方の村ですよ」
大和の言葉に、紫輝は首を傾げる。
ここには、千夜が住むのに?
「真ん中の本棟が、紫輝様と安曇様の屋敷。隣のこちら、別棟に、組長と組長補佐が住む予定です」
「え、そうなの?」
初耳である。
でも大和は、当たり前だというように、話を続ける。
「こちらの村の名前、四季村と言います。春は、レンゲやすみれが咲きほこり。夏は、濃い緑に覆われ。秋は、紅葉が。冬には、雪景色が。四季の彩りが素晴らしい村、ということで。ですが、あの方が用意されたのです。本当の意味は、貴方の名…紫輝の村ということです」
あまりの話に、紫輝は目を丸くして。信じられないものを見た、という顔で、大和を見やる。
「む、村? この屋敷だけじゃなくて? ここ、全部、天誠のものなのか? 天誠の、村?」
「紫輝様と安曇様の村です」
はわわ、と唇を揺らし。大和の言葉を頭の中で整理した。
「ん、じゃあ、俺も、ここに住むの? 住めるの? 千夜の容体が良くなったあとも? でも、廣伊もいるよ? 眞仲が…手裏の幹部が、将堂の兵士と一緒に住めるの?」
「そこは、あの方がうまくやるのでしょう」
大丈夫なのか? と思いつつも。
もう、動き出してしまっている。
それに、天誠は勝算があるから、そうするのだ。知っている。
でも。もしも『天誠とライラと紫輝が一緒に住める家』計画が破たんしてしまっても。自分はどこでもいいよ。
前線基地近くの露天風呂付俺たちの家でも。初めて眞仲と出会った、あの山小屋でも。
「とりあえず、本棟は俺の屋敷、隣を組長に貸すという設定にしろ。という、ご命令を受けています」
「うん。わかった。その方向で行くしかないしね」
紫輝は大和と、再びライラに乗って、河口湖にとって返した。
ライラだったら、あっという間だが。
道はあれども、以前のように舗装された道路はないし。山も越えるし。休憩も取らなければならないので。
馬で行く組は、八時間ほどはかかる道のりだ。
出発は、早ければ早い方がいいのだ。
一同は、ひとつの部屋に集まって。これからどうするのか、という話し合いをすることになった。
千夜の身の振り方の話なので、幸直や井上は本来、この場にいなくてもいいのだが。
幹部たちの引き上げどきなども見極めるため、参加していた。
「遅ればせながら。幹部の方々には、お手数おかけしました。ありがとうございました。これからですが。俺は、元の村に、ひとりで戻るつもりです」
床板に車座になっている幹部たちに、千夜は頭を下げながら伝えた。
「まだ本調子じゃないのに。おまえをひとりになんて、できないぞ。それに、元の村といっても、住んでいた家も家族も、今はないだろう?」
廣伊は首を横に振る。
千夜は、幼い頃住んでいた家を、入軍と同時に引き払っている。祖父が亡くなったことで、家族も親戚もいなかった。
片腕を失った千夜の身の回りのことを、手伝ってくれる者など、いない。
「これ以上、迷惑はかけられねぇ。一兵士の俺のことで…廣伊、あんたも。いつまでも引き留めておけねぇよ。幸い、入軍してからは。それほど、給金に手をつけなかったから。それなりのものは持っている。なんとかなるだろ」
「家を借りられたって。生活も、ままならないだろうが? 私が…おまえの面倒を見る。将堂に入って十二年、休みなく働いた。しばらく休暇を取っても、誰も文句は言わないさ」
「優秀な兵士の廣伊が、軍を長く不在にできるわけない。俺のそばにいるなんて、不可能だ」
千夜は廣伊を突っぱね、彼の手を借りないつもりのようで。
そうしたら…廣伊がそばにいなかったら、千夜がふらりとどこかへ消えてしまいそうで。
紫輝は心配になる。
「俺から提案させてください」
そこに、大和が口をはさんだ。
大和は、ここへ来てから、あまり会話には加わらず。黙々と、雑用をこなしていた。
紫輝とは、それなりに話はしたが。
幹部や千夜とは、必要最低限の言葉しか交わしていなかったのだ。
なので。ここで大和が声を発したことに、みんなは一様に驚いた顔を向ける。
「俺は庄屋の息子なんですが。先ごろ代替わりしまして。うちの村で管理している空き屋敷を、組長たちに使っていただきたいのです。新しい家を用意するのは、時間がかかるでしょうし。ここと本拠地との行き来は、大変でしょう? うちの村は奥多摩の辺りなので、移動は馬で半日ほどだ。もし場所が気に入ったら、定住していただけるとありがたいです」
にこやかな表情、人当たりの良い言葉遣いで。大和が、廣伊と千夜にすすめる。
「屋敷には、使用人がいるので。組長が留守にしても、安心でしょう。組長補佐はまず、体をしっかりと養生し。支障なく生活が営めるようになってから、のちのちのことは考えればいい」
「…それは、甘えすぎでは?」
大和の話に、廣伊は戸惑うが。
それには幸直が、後押しする。
「えぇ、良い話じゃん? じっくり吟味して、気に入ったら、その空いた屋敷でも、家でも買えばいい。それに、いつまでも側近の屋敷に世話になるのは、肩身が狭いだろ?」
「僕は構わないけど。でも確かに、ここは本拠地からは遠いね」
幸直の言葉に、月光は答え。さらに、話を続けていく。
「実際、その申し出は、こちらも助かる。実は赤穂から、望月の容体が安定し次第。幹部は一度、本拠地に顔を出せという指令が出ていたのです。僕としては、もう少し紫輝と過ごしたかったけれど。報告書が溜まっているから助けてくれ…と言われたら。仕方ない」
丸く頬を膨らませ、可愛い顔つきをするが。赤穂、使えねぇ…と吐き捨てている。
ここにいる面々は、もう月光の表面の可愛らしさには誤魔化されないのだった。
「でも。私は龍鬼だ。村に龍鬼が出入りするのは、良くないのでは?」
廣伊も、それなりの資産を持っているのだが。己の家を持てないのには、そういう理由がある。
龍鬼には家を貸せない、というやつだ。
目にすれば、龍鬼がうつると言われている世の中なので。
買い物なども、嫌な顔をされるし。物資を調達できなければ、快適な生活を送れない。
村の端にいたとしても、良い顔をされないのだ。
なので、廣伊は。ずっと軍の宿舎にいた。
今までは、それで不自由はなかった。たまに襲われる以外は。
だが、今の状況では。
できれば、外に、千夜とともに暮らせる家が欲しい。
「その点については、ご心配なく。先祖代々の習わしで、村ではあらゆる差別が禁止されている。そのため、はぐれのカラス血脈の者なども、いますが。善良な生活をしていれば、誰も、なにも、咎められはしません。庄屋である俺の名にかけて、不快な思いはさせません」
「庄屋が、兵士なんてしていていいのかい?」
単純な疑問を、井上がしてきた。
この世界の庄屋とは、村のリーダー的な存在だ。
将堂から土地を任されており、村の中の商いや、農家の収穫などにより、将堂におさめるべき税を支払うのが主な役割。
庄屋のメリットは、村の運営や方針などが一任されることだ。
つまり、やるべきことが多いのに、兵士をしていられるのか? という質問。
「実は。うちの使用人は、みんな計算に強くて。剣術しか能のない庄屋は、足手まといなのです。俺の仕事は、優秀な彼らに仕事を任せること。そして役人と相対すること。それ以外は、好きにやらせてもらっているんですよ」
「木佐、世話になる。しばらくは、生活を安定させることを目指すが。落ち着いたら、家の調達なども視野に入れる」
意外にも、千夜が即決した。
たぶん、龍鬼に優しい村というところが決め手だったのかな、と紫輝は思う。
この世界に来て早々、石を投げられ、追い立てられた身としては。それは重要事項ですよ。
「よし。じゃあ、望月は奥多摩に移動するということで…馬、は無理だな。徒歩か?」
「千夜はライラに乗せていく。行きと同じく。明日、大和とライラと一緒に、場所確認し。夜中に千夜と移動する。しばらく、俺も千夜と、その村に滞在するから…な?」
幸直の話に、紫輝はようやく声を出す。
先ほど、千夜とは話をしたけれど。ぎこちなく、確認を取ってしまう。
もう怒っていないよね? そばにいてもいいよね? という気持ちで。
千夜はうなずいて了承し。廣伊も紫輝に、うなずいてくれた。
「紫輝が、千夜についていてくれると助かる。私も、第五大隊長としての業務と今回の報告など、一度は本拠地に顔を出さなければならない。休暇願いも出してくるつもりだ」
「俺の除隊手続きも、頼む」
さらりと千夜は言うが。
みんなは息をのむ。
つらい選択を口に出す彼の心中を、気に掛けるが。
千夜は軽く笑い飛ばした。
「慰労金を貰って、家を買うためだよ。変に勘繰るなって」
一同はホッとして。明日の段取りを確認する。
幸直が、一連の流れを提示した。
「では、明日出発で良いのか? 午前中に、紫輝と大和が場所確認。帰還したら、大和を道案内に、俺と側近と廣伊と井上が出る。夜になったら、紫輝と千夜が出る。あちらで合流、そんな感じか?」
「おおよそは良いけど。幸直と月光さんと井上先生は、直で本拠地に帰ってもいいんじゃないか? 廣伊は場所確認した方がいいと思うけど」
「いや…。すまないが。将堂の大事な龍鬼を野放しにできねぇ。廣伊と望月は、特別な関係だろう? ふたりで雲隠れされるとマズいんだ。あと、紫輝もな。常時監視とか、そういうつもりはない。ただ、居場所を把握しておきたいだけだ。いざというとき、連絡を取れるようにしておくためにもな」
痛くない腹をさぐられ、紫輝はムッと唇を突き出す。
なんか嫌な感じ。
でも仕方ないのかな。
廣伊は、一騎当千の猛者だもの。
ふたりとも、足抜けしたときの顛末は、紫輝に忠告するほどに熟知している。だから、そんな選択はしないだろうけど。
上層部的には、しっかりマークしておきたいのだろう。
幸直は、護衛という名目だったが。
もしかしたら、龍鬼の監査役のような指示も受けていたのかもしれないな。
なんかやたら、自分にちょっかいかけてきたし。
「それに、寄り道というほど、遠回りでもないし。その屋敷で一泊して、次の日に本拠地へ行く方が、こちらの…特に馬の負担も軽い」
大和に目をやる。ふと笑ったので、大丈夫と言う意味だろう。
元は、眞仲の屋敷だというから。将堂の幹部を迎え入れたら、なんかいろいろバレないかと、紫輝はちょっと心配だが。
ここは大和を信じて。
「じゃ、そういうことで」
天誠の言うとおり、なんとか彼の屋敷に誘導できて。ホッとしたところで。
話は終わったのだった。
★★★★★
月光の屋敷で過ごす、最終日。
井上は、投薬指導をするため、廣伊と千夜と同じ部屋で寝ることになり。
あとは各々、個室を当てられたのだが。
月光が、ちょいちょいと手招きする。
紫輝は月光に、言いたいことがあったので。ちょうど良いと思い。彼の部屋に入った。
月光の前に正座した紫輝は、深く頭を下げる。
「月光さん。今回は、本当にありがとうございました。幹部が、一兵士に屋敷を提供することなんかないって、言われて。でも、屋敷を貸してくれたから、千夜はあそこまで元気になった。本当に、感謝してます」
「紫輝。紫輝は一兵士じゃない。僕の息子だよ? こんなことくらいで紫輝が喜ぶなら。僕はいくらでも、いつでも、力を貸すから。もっと父さんを頼ってよ」
顔をあげると、父さんと言うには可愛らし過ぎる、彼の顔がある。
表面的には、上官と部下。
でも、本当は親子。
おおっぴらには言えないから、月光は囁くけれど。
頼りになる父を持つことができて。紫輝は嬉しいし、心強かった。
「っていうか。僕的には。あいつに手柄を横取りされた感が強いんだけど?? あいつの子飼いの大和が、庄屋のわけねぇだろ。ポンと家を譲るなんて。しかも、奥多摩? 敵地に屋敷、構えんじゃねぇ。マジ腹立つぅ」
大和が、天誠の隠密だと知っている月光は。あの弟のそつのなさが、激烈に腹立たしい。
自分がそこまで用意してやれなかったことが、悔しくて。奥歯をギリギリ噛んでしまう。
「月光さん、賛成してくれていたじゃん?」
「仕方ない。認めたくはないが、あれは最適解だった」
のほほんとしている紫輝を、月光は恨めしげに見やる。
これは熾烈な、紫輝争奪頭脳戦なのだ。
千夜を養生させるために、屋敷を提供し。月光は一歩、抜きん出たつもりでいたのに。
それを上回る、千夜除隊後を見据えた、屋敷の提供とか。
しかも立地が絶妙。
河口湖から奥多摩と。奥多摩から本拠地までの距離は、ほぼ同じ。
馬で毎日通勤は、難しいが。時間ができたから家に帰ろう、と思えるくらいの距離間ではある。
将堂の拠点からは、若干距離があり。山に囲まれていることから、将堂自ら開拓に乗り出すことはなさそう。
誰の目も気にせずに、龍鬼が静かに暮らすには。良い、と言う他ない。
おそらく、あの男は。紫輝のために用意しておいたのだろう。だが、その家を譲っていいのか?
とはいえ。あいつは月光から、紫輝の手をかっさらい。大きく差をつけた。
あぁ、紫輝の背中が遠い。
でも、負けられない。紫輝の父親としても。将堂の宝玉としても。
「ねぇ、月光さん。今日は、ここで寝てもいい?」
「いいに決まってるだろう? 父さんに、向こうでどんな暮らしをしていたのか、教えてよ。あぁ…あいつの話は抜きで」
「一緒に育ったのに、天誠の話は抜きなんて、難しいよ」
不満ながらも、紫輝は可愛く微笑む。
いいんだよぉ、どんな話でも。紫輝のことなら。
紫輝の中に、父親としてなんとか割り込もうとしたが、あいつに阻まれ。口惜しい想いをしたが。
その、にがい思いも。紫輝の『一緒に寝てもいい?』攻撃で相殺された、溺愛パパだった。
★★★★★
翌日。日の出前に、紫輝は大和とともに、ライラに乗って、目的の村へ向かった。
山越えをするのだが。ライラに乗れば、なんのその。
一時間ちょっとくらいで、到着した。
ただ、猛烈な風を受けて走るので、ちょっと寒い。
ひと目で龍鬼とわからないよう、軍服の上にマントを着ていたのだが、正解だった。
もう秋真っ盛りなんだもんな。村はちょうど、紅葉のピーク。
山が、赤や緑や黄色で色づいている。
「わー、綺麗だな」
空気がひんやりと感じられる早朝に、紫輝たちは村に着いた。
大和が案内した屋敷は、山の中腹、村を見渡せる高台に建っていた。
山を切り崩して作られた、大きな敷地に。河口湖にある、月光の屋敷ほどのものが、五棟くらいある。
蔵とか、小さい建物も入れると、十…十五戸?
大和が庄屋の息子、というのは。作り話なのだが。
ここは、いかにも大庄屋の屋敷だ。
っていうか、この区域だけでも、村って言えそう。
ここで、村の運営をしているのかな?
「少し下っていくと、村人が暮らす家並みがあります。大体の者は、農業と畜産をしていますが。大工も店もあるので、ここだけで生活は成り立ちます。山の裾野には、段々畑が。今は収穫後なので、土が剥き出しですが。春にはレンゲが咲いて、美しいですよ。特産はワサビです」
盆地になっている村を見下ろしながら、大和は紫輝に説明してくれる。
「ふーん、素敵な村だね。千夜たち、こんないいところで暮らせるんだぁ」
自然が豊かで、衣食住の不足もない。
龍鬼を虐げる人が、本当にいないのなら。最高の環境じゃないか?
「貴方の村ですよ」
大和の言葉に、紫輝は首を傾げる。
ここには、千夜が住むのに?
「真ん中の本棟が、紫輝様と安曇様の屋敷。隣のこちら、別棟に、組長と組長補佐が住む予定です」
「え、そうなの?」
初耳である。
でも大和は、当たり前だというように、話を続ける。
「こちらの村の名前、四季村と言います。春は、レンゲやすみれが咲きほこり。夏は、濃い緑に覆われ。秋は、紅葉が。冬には、雪景色が。四季の彩りが素晴らしい村、ということで。ですが、あの方が用意されたのです。本当の意味は、貴方の名…紫輝の村ということです」
あまりの話に、紫輝は目を丸くして。信じられないものを見た、という顔で、大和を見やる。
「む、村? この屋敷だけじゃなくて? ここ、全部、天誠のものなのか? 天誠の、村?」
「紫輝様と安曇様の村です」
はわわ、と唇を揺らし。大和の言葉を頭の中で整理した。
「ん、じゃあ、俺も、ここに住むの? 住めるの? 千夜の容体が良くなったあとも? でも、廣伊もいるよ? 眞仲が…手裏の幹部が、将堂の兵士と一緒に住めるの?」
「そこは、あの方がうまくやるのでしょう」
大丈夫なのか? と思いつつも。
もう、動き出してしまっている。
それに、天誠は勝算があるから、そうするのだ。知っている。
でも。もしも『天誠とライラと紫輝が一緒に住める家』計画が破たんしてしまっても。自分はどこでもいいよ。
前線基地近くの露天風呂付俺たちの家でも。初めて眞仲と出会った、あの山小屋でも。
「とりあえず、本棟は俺の屋敷、隣を組長に貸すという設定にしろ。という、ご命令を受けています」
「うん。わかった。その方向で行くしかないしね」
紫輝は大和と、再びライラに乗って、河口湖にとって返した。
ライラだったら、あっという間だが。
道はあれども、以前のように舗装された道路はないし。山も越えるし。休憩も取らなければならないので。
馬で行く組は、八時間ほどはかかる道のりだ。
出発は、早ければ早い方がいいのだ。
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