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60 ライラの爪
◆ライラの爪
一月二日、早朝。
雪は上がり、積雪の表面がキラキラと太陽光を反射している。
そんな雪深い中、紫輝とライラは裏の山に入っていく。
ある大ぶりな木に目をつけたライラは、丸い右手を振り上げた。
ケンッと、まるできこりが木に斧を叩きつけたような音が、辺りに響く。
ライラが爪を木に突き立てたのだ。
その様子を紫輝はそばで見ていて、ひえぇっとなる。
ライラはそんな紫輝に構わず、真剣な顔つきで、爪をなにやらグリグリして。
みしみしみしっ。
紫輝は見ていられなくて、手で両目を隠した。
「…ぬけたわぁ」
「な、生爪?」
スプラッタなライラの御手々を想像し、紫輝はライラの手を取るが。
全部、爪は生えそろっている。
「ふるいつめをはがしただけよぉ? いたくないわぁ」
そして木の幹には、ライラの、抜けた大きな爪が刺さっている。
紫輝はそれを引っこ抜いて、赤穂の屋敷に持ち帰ったのだった。
★★★★★★
紫輝は赤穂と月光の前に、スマホサイズの半透明の爪を置いて、説明する。
「俺と天誠が話すみたいに、これで赤穂たちとも話ができるよ。ライラが言うには、天誠みたいに爪を通してこちらの様子を見たり、憑依して話すことはできないんだって。天誠とライラは、俺の特別な加護を受けている。だからできるみたいなんだけど。でも赤穂は俺の加護が一部だけだから、話すだけなんだって」
いわゆる、天誠とはテレビ電話ができるけど。赤穂とは電話だけできる、みたいな。
「ええぇ? それでもすごいことだよ? 本拠地とここで、僕たちも話ができるの? 信じられない」
感心するように、月光がライラの爪を持って、興味津々に見ている。
「赤穂が媒体、経由することになるから、月光さんひとりじゃ使えないからね? 気をつけて」
「はぁあい。紫輝とはいつまでも話していたいからなぁ、長話しちゃいそうだね?」
「大丈夫だ。俺が切る」
「ひどーい、赤穂の意地悪」
まあるい頬を膨らませて、拗ねる月光の桃色髪を、赤穂がぐしゃぐしゃと撫で回す。
元から仲は良かったふたりだが、この頃やけにイチャイチャが激しくて、目のやり場に困ります。
「だがこれで、本拠地や基地での様子がわかれば、対策はできやすくなる。ここからは、気を抜けない場面も増えてくるだろうから、慎重に行こう。紫輝、気をつけてな?」
赤穂は、紫輝にも髪ぐしゃぐしゃをし、注意をうながす。
すっごい子供扱い。
いや、マジ子供だけど。
でも四歳しか離れていないんだからな。と紫輝は思って。
だけどしばらく会えないと思うと、寂しくも感じて。
口を突き出して。への字にして。また引き結んで、と百面相してからにっこり笑った。
「うん。じゃあ行ってくるね、赤穂、月光さん」
「毎日、なんでもいいから連絡してね? 待ってるからね?」
紫の軍服を着て、背中にライラ剣を背負って、茶色い革のマントをかぶった紫輝がふたりに手を振って挨拶し。玄関を出ると、準備万端の廣伊と大和がいた。
時間は大体、朝の九時くらい。
昼過ぎには本拠地に着くだろうという計算だ。
雪道だから、もう少しかかるかもね。
村の門のところに、橘が馬を用意してくれている。
三人は馬にまたがり、村人のお見送りに手を振って応え。それから本拠地に向かって馬を走らせたのだ。
「千夜は今日も先行しているのか? 一緒に行ってもいいんじゃないかな?」
紫輝が疑問をつぶやくと、赤茶色の髪の、モズ血脈である大和が答えた。
紫輝には、どうしてもレトリバーが尾を振る姿が見えてしまうけど。
「事前に道順を調べておくのは重要なことです。特に雪道は、悪路になっているとも限りませんし。困窮している村人が襲ってくることも、冬はなくはないので」
以前の世界では、道はいつでも整備されていた。
コンクリートはそれほど汚れるものではなかったし。
でもきっと、なにかがあったら、誰かが道を綺麗に整えていたのだろうな。
あまり気にしたことがなかったけど、当たり前だと思っていたことを、誰かが誰かのために陰ながらしていたことが、三百年前の世界にもあったのだろう。
そう思うと、遅まきながらありがたいことだったんだなと、紫輝は思うのだ。
「困窮している村人は、誰かが助けてくれるのか?」
「大抵は、所属する村の者が助けるものなのですが。村自体が困窮していると、その余裕もなくて。荷馬車を襲うこともあるんです。四季村のように備蓄を充分にしている村は、意外と少ないんですよ。金銭に換えてしまうので」
「お金があるなら、食料を買えばいいんじゃないのか?」
「でも冬に食料を調達するのは、難しいんです。金銭に換えると、収入があったとして将堂に税をおさめなければなりません。自分たちで作った食材は売らないで、ある程度確保しておいた方が、二重取りされなくて賢いんですけど。その仕組みがわかっていない庄屋が多いんです…っていうのは安曇様の受け売りですが」
「私たちは食料を持っていないが。それでも襲ってくるか?」
廣伊も大和に問いかける。龍鬼である廣伊は、今まで軍内部にほぼ常駐していたので、外のことはまだまだ知らないことが多いらしい。
昨日千夜と初めてのおつかい、ならぬ。初めてのウィンドーショッピング的な、村での買い物デートを楽しんでいた。
クリスマスに出したフライドポテトが子供たちに大人気で、いち早くそれを察知した村の総菜屋さんが、正月は小芋をいっぱい揚げて、塩を振って出していた。
唐揚げはダメだったが、ポテト文化は復活しそうだね。
千夜と廣伊は串に刺さったポテトを食べ歩きしながら、村を見て回っていた。
うん。これぞ、デートって感じ。
それはともかく。廣伊の質問への大和の答えが、これだ。
「…馬も食べられます」
ひえぇ、と。紫輝も廣伊も背筋を震わせたのだった。
心なしか、青毛のミロの速度が上がったような気がした。
★★★★★
予定通り、昼過ぎに本拠地入りした紫輝たちは、敷地内を馬に乗ったまま移動し、大隊長の屋敷に向かう。
門の前で馬を降りると、屋敷からなにやら良い匂いがした。
「うーん、なんか美味しそうな匂いがするぅ」
馬丁に馬を預け、屋敷の中に入ると。野際が出迎えてくれた。
「おかえりなさい、大隊長。紫輝。大和。寒かっただろ? 野際家特性の肉うどんができてるぞ」
ペリカン血脈の野際は、大きな体に真っ白で肉厚な翼がある。
髪は灰色なのだが。純粋なシロペリカンだけでなく、ハイイロペリカンも混ざっている、ということらしい。
現役兵士を引退した、アラサーの頼れるお兄さん的存在。
でも野際は紫輝を、己の子供のような目で見ている。
己の長男(十歳)と印象がかぶるからだ。
「わぁ、食べる食べるぅ」
十八歳の紫輝と十歳の長男を、一緒にしては失礼だとは思いつつ。
早速食堂の椅子に座ってうどんをすする紫輝は、長男よりも子供っぽいと思い、苦笑する野際だった。
「厨房に、いつの間にか大量のアジの干物が置いてあったんだが。心当たりあるか?」
野際に聞かれ、紫輝は思いを巡らす。
これはおそらく先行している千夜の仕業だ。
「うん。年末にちょっと用があって、前線基地に行ってきたんだ。そのお土産を、荷物運びの人が置いて行ったんだと思うよ」
「ふーん、声をかけてくれればいいのに」
千夜と野際は、元班長と班員で顔バレしているから、千夜は顔を出せない。
腕が生えているからな、今は。
野際は千夜のことをすごく心配していたから、教えてあげたい気はあるのだが。
千夜は隠密業になったから、知る人は少ない方がいいんだって。そういうものなんだって。
「屋敷の働き手の人たちにお裾分けしてくれ。あ、野際の子供たちにも持っていってよ」
「そりゃ、ありがたい。魚は骨太になるから、子供たちにはいっぱい食べさせてやりたいが。庶民にはなかなか手が届かないからな」
今回の買い物の料金は赤穂のもので、紫輝は金銭的なことにまだ全くノータッチなのだ。
龍鬼なので、買い物できないということもあるが。
この世界の相場も、イマイチわからないというか。
千夜や大和にお金を預けて、お任せしているような状態だ。
それではいけないとは思うので、おいおい、いろいろ教えてもらおう。
赤穂は今回の殺人未遂事件で、唐突に青桐と立場を交代することになり。財産や屋敷はそっくり青桐が継承する形になるのだが。
なにやら、あちこちに隠し財産があったらしい。
なので暮らしには全く影響はない。
いわく。『傍流の俺は、将堂家を追い出される可能性が大きかった。当然、保険を用意してある』だって。
抜け目ないね。
月光の財産はそっくり紫輝が受け継いだので、大半は将堂に返還したものの、こちらもほぼノーダメージだ。
四季村で、隠密に手当てを出しながら楽しい隠居生活を充分に送れるくらいの貯えはある。
さすがです。
あと紫輝は、今まで将堂で働いた給料分に手を付けていない。これもそっくりそのままである。
廣伊も紫輝と同じで、龍鬼だから外で買い物など昨日までしたことがなかったわけで。
本を数冊買った以外は、十年以上分、ほぼ手付かずのままらしい。
だから、かなりのお金持ちのはずだ。
軍では本拠地内部のものは、ほぼ無料で支給されている。
食事や軍服や武器、光熱費などだ。
だから贅沢をしなければ、金銭を使うことなく軍内部で生活できる。
働き手の人たちの給料も、軍の負担だ。
隠密は、軍の所属じゃないから自腹だけど。
なので、紫輝や廣伊はそんな感じで給料にはノータッチなのだ。
…将堂軍、結構待遇良くね?
ちなみに千夜の給料は天誠持ちだって。今までそのこと考えてなかったよ。すみません。
「この近くにも海があるんだろ? 魚、取れないのか?」
東京湾は、三百年前はあまり綺麗な海とは言えず、埋め立て地なんかもあって、今はどんな状態なのかわからないのだが。
海は浄化されているはずだ。
「取れないこともないが、ここらは遠浅で、船を出すのが難しいみたいだぞ」
遠浅か。やっぱり埋め立て地が砂になって、海底に沈んだのだろうか?
「その分、貝は馬鹿みたいに取れる。貝は安いぞ。でも貝ばかりだと、飽きるからな」
野際の言葉に、紫輝はピッカリ目を光らせた。
貝の味噌汁、好き。
「貝? あさり? しじみ?」
「しじみはここいらでは取れないな。あさりかハマグリだ」
「ハマグリ? 高級品じゃね?」
以前の世界では、父の芸能人仲間がバーベキューパーティーしたときなどに出てきて。網の上で焼いたハマグリがパカリと貝を開いたら、貝汁にちょっと醤油を垂らして、熱々の汁をチュッとすすりつつ、身をハフハフ食べるのが最高だったけど。
大人気ですぐになくなった。
結構お高いって聞いていたのだが。
「いやいや、ハマグリなんか毎日でも食える定番の貝だぞ」
時代が変われば、というやつだろうか。
「ハマグリのお吸い物、食べたい。あと、アサリの味噌汁…」
「紫輝はそんなのが好きなのか? なら明日にでも出してやっから」
ちょっと呆れたような顔をした野際は、紫輝を安上がりな子だと思ったようだ。
「だって、おにぎりと味噌汁の組み合わせは、最強じゃん? それにハマグリは良い出汁が出るから、うどんのおつゆにも合うよ。海鮮うどん…食べたいぃ」
「海鮮うどんか。いいな、それ。今度作ってみるか。それなら、うちの坊主たちも貝を食べてくれそうだ」
毎日貝を出して、子供たちからクレームが出ているようだ。
お父さん、大変だな?
★★★★★
昼ごはんのあと、紫輝たちは指令本部の施設に行った。辞令が出ているか確認するためだ。
出掛ける前に、廣伊が辞令について説明してくれた。
「辞令は、直属の上司が任命して、それを上層部に受理してもらう形と。上層部から、直接任務を与えられる形がある。紫輝が副長になったときは、私が手続きを行った前者で。今回紫輝に下されるのは金蓮様からの辞令なので、後者だ。辞令を伝えにくる使者を待ってもいいが、今回はわかっていることなので、指令本部に出向いて手続きするのが良いと思う」
「手続きって、なにするんだ?」
「書類に認める旨の名前を記入すればいい」
簡単だ。
そんなわけで。指令本部の人事に行って、書類に名前を書いて終了した。
人事の壁には、大きなボードに木札が下がっていて、地位が一目瞭然になっていた。
「あ、俺面接のとき、この組織図見たよ。二十四組に配属されて、上から順繰りになぞっていったんだ。はは、あのときは一番下だったのに。もう上から数えた方が早いところに名前がある。すごくね?」
大和に言うと、彼は笑顔でうんうんとうなずいてくれた。
右軍の一番上には、准将、将堂青桐。側近が、麟義瀬間。将軍が、時雨堺。次将軍が美濃幸直だった。そしてその下が、筆頭参謀の里中巴。次参謀が間宮紫輝だ。
「ん? 廣伊、あの線なんだろう?」
紫輝は木の板を指差して、廣伊に聞いた。
堺から線が伸びて、紫輝に。幸直から線が伸びて、巴につながっていた。
「あぁ、あれは直下という意味だな。地位的には、交差してしまうが。紫輝の直属の上司が堺。里中参謀の直属の上司が美濃次将軍、ということだ」
「ふーん、なるほど、なるほど」
紫輝はさらにその下、右第五大隊隊長、高槻廣伊。副長、間宮紫輝。副長補佐、木佐大和の名前を確認してから、ふたりとともに施設を後にした。
金蓮は紫輝の副長兼務を認めてくれたようだ、それは良かった。
だけど紫輝は屋敷に戻った途端に、ぶふぉっと吹き出してしまった。
「扱いにくい龍鬼をひとまとめにした感がありありで、笑いそうになっちゃった」
「紫輝様、ここまでよく頑張りました」
大和が目をキラキラさせて、廣伊の屋敷の食堂の机に突っ伏してカカカと笑っている紫輝に言った。
「紫輝、扱いにくいとはなんだ? 私は職務に忠実だぞ」
その言い様に、廣伊はご立腹だ。
でも、それは紫輝が言ったことじゃない。
「金蓮様が言っていたんだよ。龍鬼というのは、どうしてこうも扱いにくいのか…みたいな。もう面倒くさくなって、ひとまとめにして無視するんじゃね? でも俺的には、堺の下につけてくれてありがたいよ。堺に隠し事はないし。守っても貰えるから、大和も安心だろ?」
金蓮は、青桐の正体を知っている者を、青桐の周りに固めている。
ゆえに大和を紫輝の補佐につけることは、今回できなかった。
青桐のそばに余計な人員を配置して、秘密がバレることを金蓮が危惧しているからだ。
なので幹部のそばにいるとき、紫輝は千夜に守ってもらうことになる。
しかし味方の堺がいれば、尚安心である。ということだ。
「そうですね。十分の三だけ、安心します」
大和が言う三とは、おそらく堺と千夜とライラの分だな。
あとの七つは大和の分。彼自身が守れないと、安心できないってことだ。
「まぁまぁ、俺は副長の任をメインにするから、夜はこの屋敷に戻ってくる。青桐の屋敷に常駐しないから、我慢してくれ、大和」
「昼間は、私が紫輝の代わりに大和をこき使っておいてやる」
紫輝の言葉を受け、廣伊が言う。廣伊は常に人員不足だ。大和をこき使う気、満々である。
「くみちょ…じゃない、大隊長。お手柔らかに。空いた時間は、紫輝様に張り付くので」
それに、大和はおののいた。
普通に激務が目に見えるようだからだ。
一週間後に、廣伊と紫輝は第五大隊の隊長と副長として挨拶をすることになっている。
九月の山本が謀反を起こした事件により、二十二組は壊滅的で。二十四組も五班と九班が諸々の事情でごっそり人員が減ってしまった。
一週間後の挨拶の前に、人員補充をして隊列を整えなければならない。
なのでやることはいろいろある。書類とか、打診とか、連絡とか。
大和、頑張れ。
「紫輝。青桐様への挨拶は明日だろう? 早速人員の書類に目を通してくれ」
「いや、これから行ってこようかな? なんて」
「まだ到着されていないだろう。もしかしたら途中で一泊されるかもしれない。挨拶は明日でも遅くないぞ」
そう言って、廣伊は安定の無表情で紫輝の目の前に書類の束を置いた。
ひぇ、大和を応援している場合ではなかった。
一月二日、早朝。
雪は上がり、積雪の表面がキラキラと太陽光を反射している。
そんな雪深い中、紫輝とライラは裏の山に入っていく。
ある大ぶりな木に目をつけたライラは、丸い右手を振り上げた。
ケンッと、まるできこりが木に斧を叩きつけたような音が、辺りに響く。
ライラが爪を木に突き立てたのだ。
その様子を紫輝はそばで見ていて、ひえぇっとなる。
ライラはそんな紫輝に構わず、真剣な顔つきで、爪をなにやらグリグリして。
みしみしみしっ。
紫輝は見ていられなくて、手で両目を隠した。
「…ぬけたわぁ」
「な、生爪?」
スプラッタなライラの御手々を想像し、紫輝はライラの手を取るが。
全部、爪は生えそろっている。
「ふるいつめをはがしただけよぉ? いたくないわぁ」
そして木の幹には、ライラの、抜けた大きな爪が刺さっている。
紫輝はそれを引っこ抜いて、赤穂の屋敷に持ち帰ったのだった。
★★★★★★
紫輝は赤穂と月光の前に、スマホサイズの半透明の爪を置いて、説明する。
「俺と天誠が話すみたいに、これで赤穂たちとも話ができるよ。ライラが言うには、天誠みたいに爪を通してこちらの様子を見たり、憑依して話すことはできないんだって。天誠とライラは、俺の特別な加護を受けている。だからできるみたいなんだけど。でも赤穂は俺の加護が一部だけだから、話すだけなんだって」
いわゆる、天誠とはテレビ電話ができるけど。赤穂とは電話だけできる、みたいな。
「ええぇ? それでもすごいことだよ? 本拠地とここで、僕たちも話ができるの? 信じられない」
感心するように、月光がライラの爪を持って、興味津々に見ている。
「赤穂が媒体、経由することになるから、月光さんひとりじゃ使えないからね? 気をつけて」
「はぁあい。紫輝とはいつまでも話していたいからなぁ、長話しちゃいそうだね?」
「大丈夫だ。俺が切る」
「ひどーい、赤穂の意地悪」
まあるい頬を膨らませて、拗ねる月光の桃色髪を、赤穂がぐしゃぐしゃと撫で回す。
元から仲は良かったふたりだが、この頃やけにイチャイチャが激しくて、目のやり場に困ります。
「だがこれで、本拠地や基地での様子がわかれば、対策はできやすくなる。ここからは、気を抜けない場面も増えてくるだろうから、慎重に行こう。紫輝、気をつけてな?」
赤穂は、紫輝にも髪ぐしゃぐしゃをし、注意をうながす。
すっごい子供扱い。
いや、マジ子供だけど。
でも四歳しか離れていないんだからな。と紫輝は思って。
だけどしばらく会えないと思うと、寂しくも感じて。
口を突き出して。への字にして。また引き結んで、と百面相してからにっこり笑った。
「うん。じゃあ行ってくるね、赤穂、月光さん」
「毎日、なんでもいいから連絡してね? 待ってるからね?」
紫の軍服を着て、背中にライラ剣を背負って、茶色い革のマントをかぶった紫輝がふたりに手を振って挨拶し。玄関を出ると、準備万端の廣伊と大和がいた。
時間は大体、朝の九時くらい。
昼過ぎには本拠地に着くだろうという計算だ。
雪道だから、もう少しかかるかもね。
村の門のところに、橘が馬を用意してくれている。
三人は馬にまたがり、村人のお見送りに手を振って応え。それから本拠地に向かって馬を走らせたのだ。
「千夜は今日も先行しているのか? 一緒に行ってもいいんじゃないかな?」
紫輝が疑問をつぶやくと、赤茶色の髪の、モズ血脈である大和が答えた。
紫輝には、どうしてもレトリバーが尾を振る姿が見えてしまうけど。
「事前に道順を調べておくのは重要なことです。特に雪道は、悪路になっているとも限りませんし。困窮している村人が襲ってくることも、冬はなくはないので」
以前の世界では、道はいつでも整備されていた。
コンクリートはそれほど汚れるものではなかったし。
でもきっと、なにかがあったら、誰かが道を綺麗に整えていたのだろうな。
あまり気にしたことがなかったけど、当たり前だと思っていたことを、誰かが誰かのために陰ながらしていたことが、三百年前の世界にもあったのだろう。
そう思うと、遅まきながらありがたいことだったんだなと、紫輝は思うのだ。
「困窮している村人は、誰かが助けてくれるのか?」
「大抵は、所属する村の者が助けるものなのですが。村自体が困窮していると、その余裕もなくて。荷馬車を襲うこともあるんです。四季村のように備蓄を充分にしている村は、意外と少ないんですよ。金銭に換えてしまうので」
「お金があるなら、食料を買えばいいんじゃないのか?」
「でも冬に食料を調達するのは、難しいんです。金銭に換えると、収入があったとして将堂に税をおさめなければなりません。自分たちで作った食材は売らないで、ある程度確保しておいた方が、二重取りされなくて賢いんですけど。その仕組みがわかっていない庄屋が多いんです…っていうのは安曇様の受け売りですが」
「私たちは食料を持っていないが。それでも襲ってくるか?」
廣伊も大和に問いかける。龍鬼である廣伊は、今まで軍内部にほぼ常駐していたので、外のことはまだまだ知らないことが多いらしい。
昨日千夜と初めてのおつかい、ならぬ。初めてのウィンドーショッピング的な、村での買い物デートを楽しんでいた。
クリスマスに出したフライドポテトが子供たちに大人気で、いち早くそれを察知した村の総菜屋さんが、正月は小芋をいっぱい揚げて、塩を振って出していた。
唐揚げはダメだったが、ポテト文化は復活しそうだね。
千夜と廣伊は串に刺さったポテトを食べ歩きしながら、村を見て回っていた。
うん。これぞ、デートって感じ。
それはともかく。廣伊の質問への大和の答えが、これだ。
「…馬も食べられます」
ひえぇ、と。紫輝も廣伊も背筋を震わせたのだった。
心なしか、青毛のミロの速度が上がったような気がした。
★★★★★
予定通り、昼過ぎに本拠地入りした紫輝たちは、敷地内を馬に乗ったまま移動し、大隊長の屋敷に向かう。
門の前で馬を降りると、屋敷からなにやら良い匂いがした。
「うーん、なんか美味しそうな匂いがするぅ」
馬丁に馬を預け、屋敷の中に入ると。野際が出迎えてくれた。
「おかえりなさい、大隊長。紫輝。大和。寒かっただろ? 野際家特性の肉うどんができてるぞ」
ペリカン血脈の野際は、大きな体に真っ白で肉厚な翼がある。
髪は灰色なのだが。純粋なシロペリカンだけでなく、ハイイロペリカンも混ざっている、ということらしい。
現役兵士を引退した、アラサーの頼れるお兄さん的存在。
でも野際は紫輝を、己の子供のような目で見ている。
己の長男(十歳)と印象がかぶるからだ。
「わぁ、食べる食べるぅ」
十八歳の紫輝と十歳の長男を、一緒にしては失礼だとは思いつつ。
早速食堂の椅子に座ってうどんをすする紫輝は、長男よりも子供っぽいと思い、苦笑する野際だった。
「厨房に、いつの間にか大量のアジの干物が置いてあったんだが。心当たりあるか?」
野際に聞かれ、紫輝は思いを巡らす。
これはおそらく先行している千夜の仕業だ。
「うん。年末にちょっと用があって、前線基地に行ってきたんだ。そのお土産を、荷物運びの人が置いて行ったんだと思うよ」
「ふーん、声をかけてくれればいいのに」
千夜と野際は、元班長と班員で顔バレしているから、千夜は顔を出せない。
腕が生えているからな、今は。
野際は千夜のことをすごく心配していたから、教えてあげたい気はあるのだが。
千夜は隠密業になったから、知る人は少ない方がいいんだって。そういうものなんだって。
「屋敷の働き手の人たちにお裾分けしてくれ。あ、野際の子供たちにも持っていってよ」
「そりゃ、ありがたい。魚は骨太になるから、子供たちにはいっぱい食べさせてやりたいが。庶民にはなかなか手が届かないからな」
今回の買い物の料金は赤穂のもので、紫輝は金銭的なことにまだ全くノータッチなのだ。
龍鬼なので、買い物できないということもあるが。
この世界の相場も、イマイチわからないというか。
千夜や大和にお金を預けて、お任せしているような状態だ。
それではいけないとは思うので、おいおい、いろいろ教えてもらおう。
赤穂は今回の殺人未遂事件で、唐突に青桐と立場を交代することになり。財産や屋敷はそっくり青桐が継承する形になるのだが。
なにやら、あちこちに隠し財産があったらしい。
なので暮らしには全く影響はない。
いわく。『傍流の俺は、将堂家を追い出される可能性が大きかった。当然、保険を用意してある』だって。
抜け目ないね。
月光の財産はそっくり紫輝が受け継いだので、大半は将堂に返還したものの、こちらもほぼノーダメージだ。
四季村で、隠密に手当てを出しながら楽しい隠居生活を充分に送れるくらいの貯えはある。
さすがです。
あと紫輝は、今まで将堂で働いた給料分に手を付けていない。これもそっくりそのままである。
廣伊も紫輝と同じで、龍鬼だから外で買い物など昨日までしたことがなかったわけで。
本を数冊買った以外は、十年以上分、ほぼ手付かずのままらしい。
だから、かなりのお金持ちのはずだ。
軍では本拠地内部のものは、ほぼ無料で支給されている。
食事や軍服や武器、光熱費などだ。
だから贅沢をしなければ、金銭を使うことなく軍内部で生活できる。
働き手の人たちの給料も、軍の負担だ。
隠密は、軍の所属じゃないから自腹だけど。
なので、紫輝や廣伊はそんな感じで給料にはノータッチなのだ。
…将堂軍、結構待遇良くね?
ちなみに千夜の給料は天誠持ちだって。今までそのこと考えてなかったよ。すみません。
「この近くにも海があるんだろ? 魚、取れないのか?」
東京湾は、三百年前はあまり綺麗な海とは言えず、埋め立て地なんかもあって、今はどんな状態なのかわからないのだが。
海は浄化されているはずだ。
「取れないこともないが、ここらは遠浅で、船を出すのが難しいみたいだぞ」
遠浅か。やっぱり埋め立て地が砂になって、海底に沈んだのだろうか?
「その分、貝は馬鹿みたいに取れる。貝は安いぞ。でも貝ばかりだと、飽きるからな」
野際の言葉に、紫輝はピッカリ目を光らせた。
貝の味噌汁、好き。
「貝? あさり? しじみ?」
「しじみはここいらでは取れないな。あさりかハマグリだ」
「ハマグリ? 高級品じゃね?」
以前の世界では、父の芸能人仲間がバーベキューパーティーしたときなどに出てきて。網の上で焼いたハマグリがパカリと貝を開いたら、貝汁にちょっと醤油を垂らして、熱々の汁をチュッとすすりつつ、身をハフハフ食べるのが最高だったけど。
大人気ですぐになくなった。
結構お高いって聞いていたのだが。
「いやいや、ハマグリなんか毎日でも食える定番の貝だぞ」
時代が変われば、というやつだろうか。
「ハマグリのお吸い物、食べたい。あと、アサリの味噌汁…」
「紫輝はそんなのが好きなのか? なら明日にでも出してやっから」
ちょっと呆れたような顔をした野際は、紫輝を安上がりな子だと思ったようだ。
「だって、おにぎりと味噌汁の組み合わせは、最強じゃん? それにハマグリは良い出汁が出るから、うどんのおつゆにも合うよ。海鮮うどん…食べたいぃ」
「海鮮うどんか。いいな、それ。今度作ってみるか。それなら、うちの坊主たちも貝を食べてくれそうだ」
毎日貝を出して、子供たちからクレームが出ているようだ。
お父さん、大変だな?
★★★★★
昼ごはんのあと、紫輝たちは指令本部の施設に行った。辞令が出ているか確認するためだ。
出掛ける前に、廣伊が辞令について説明してくれた。
「辞令は、直属の上司が任命して、それを上層部に受理してもらう形と。上層部から、直接任務を与えられる形がある。紫輝が副長になったときは、私が手続きを行った前者で。今回紫輝に下されるのは金蓮様からの辞令なので、後者だ。辞令を伝えにくる使者を待ってもいいが、今回はわかっていることなので、指令本部に出向いて手続きするのが良いと思う」
「手続きって、なにするんだ?」
「書類に認める旨の名前を記入すればいい」
簡単だ。
そんなわけで。指令本部の人事に行って、書類に名前を書いて終了した。
人事の壁には、大きなボードに木札が下がっていて、地位が一目瞭然になっていた。
「あ、俺面接のとき、この組織図見たよ。二十四組に配属されて、上から順繰りになぞっていったんだ。はは、あのときは一番下だったのに。もう上から数えた方が早いところに名前がある。すごくね?」
大和に言うと、彼は笑顔でうんうんとうなずいてくれた。
右軍の一番上には、准将、将堂青桐。側近が、麟義瀬間。将軍が、時雨堺。次将軍が美濃幸直だった。そしてその下が、筆頭参謀の里中巴。次参謀が間宮紫輝だ。
「ん? 廣伊、あの線なんだろう?」
紫輝は木の板を指差して、廣伊に聞いた。
堺から線が伸びて、紫輝に。幸直から線が伸びて、巴につながっていた。
「あぁ、あれは直下という意味だな。地位的には、交差してしまうが。紫輝の直属の上司が堺。里中参謀の直属の上司が美濃次将軍、ということだ」
「ふーん、なるほど、なるほど」
紫輝はさらにその下、右第五大隊隊長、高槻廣伊。副長、間宮紫輝。副長補佐、木佐大和の名前を確認してから、ふたりとともに施設を後にした。
金蓮は紫輝の副長兼務を認めてくれたようだ、それは良かった。
だけど紫輝は屋敷に戻った途端に、ぶふぉっと吹き出してしまった。
「扱いにくい龍鬼をひとまとめにした感がありありで、笑いそうになっちゃった」
「紫輝様、ここまでよく頑張りました」
大和が目をキラキラさせて、廣伊の屋敷の食堂の机に突っ伏してカカカと笑っている紫輝に言った。
「紫輝、扱いにくいとはなんだ? 私は職務に忠実だぞ」
その言い様に、廣伊はご立腹だ。
でも、それは紫輝が言ったことじゃない。
「金蓮様が言っていたんだよ。龍鬼というのは、どうしてこうも扱いにくいのか…みたいな。もう面倒くさくなって、ひとまとめにして無視するんじゃね? でも俺的には、堺の下につけてくれてありがたいよ。堺に隠し事はないし。守っても貰えるから、大和も安心だろ?」
金蓮は、青桐の正体を知っている者を、青桐の周りに固めている。
ゆえに大和を紫輝の補佐につけることは、今回できなかった。
青桐のそばに余計な人員を配置して、秘密がバレることを金蓮が危惧しているからだ。
なので幹部のそばにいるとき、紫輝は千夜に守ってもらうことになる。
しかし味方の堺がいれば、尚安心である。ということだ。
「そうですね。十分の三だけ、安心します」
大和が言う三とは、おそらく堺と千夜とライラの分だな。
あとの七つは大和の分。彼自身が守れないと、安心できないってことだ。
「まぁまぁ、俺は副長の任をメインにするから、夜はこの屋敷に戻ってくる。青桐の屋敷に常駐しないから、我慢してくれ、大和」
「昼間は、私が紫輝の代わりに大和をこき使っておいてやる」
紫輝の言葉を受け、廣伊が言う。廣伊は常に人員不足だ。大和をこき使う気、満々である。
「くみちょ…じゃない、大隊長。お手柔らかに。空いた時間は、紫輝様に張り付くので」
それに、大和はおののいた。
普通に激務が目に見えるようだからだ。
一週間後に、廣伊と紫輝は第五大隊の隊長と副長として挨拶をすることになっている。
九月の山本が謀反を起こした事件により、二十二組は壊滅的で。二十四組も五班と九班が諸々の事情でごっそり人員が減ってしまった。
一週間後の挨拶の前に、人員補充をして隊列を整えなければならない。
なのでやることはいろいろある。書類とか、打診とか、連絡とか。
大和、頑張れ。
「紫輝。青桐様への挨拶は明日だろう? 早速人員の書類に目を通してくれ」
「いや、これから行ってこようかな? なんて」
「まだ到着されていないだろう。もしかしたら途中で一泊されるかもしれない。挨拶は明日でも遅くないぞ」
そう言って、廣伊は安定の無表情で紫輝の目の前に書類の束を置いた。
ひぇ、大和を応援している場合ではなかった。
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