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61 やっぱ、気づいちゃった?
◆やっぱ、気づいちゃった?
一月三日。
紫輝は、本拠地内にある堺の屋敷をたずねた。
門の中には荷物を運び入れる人たちが大勢いて、すごい賑わいだ。
門番の人に取り次いでもらうと、すぐ中に招き入れられた。
主が堺だからか、門番の人も働き手の人も紫輝を怖がることもなく、取次もスムーズで素敵だと。紫輝は目をキラキラさせるのだった。
通された部屋の中には、瀬間以外の幹部が勢ぞろいしている。
瀬間は一月は休みを取ると言っていたから、いないのだろう。
難しそうな顔で、みんななにやら見ている。
紫輝は青桐の後ろからそっとのぞき込んで、指差した。
「この色がいいよ」
あんまり真剣に見ていたからか、紫輝が声を出したら、みんな顔をあげた。
「軍服の色を決めているんだろ? 堺は美人だからなんでも似合うけど、青桐は落ち着いた色合いの方が似合うんじゃね?」
青桐たちが真剣に見ていたのは、軍服の色見本みたいな布の束だった。
「紫輝、いらっしゃい。紫輝が来たらすぐ通してとお願いしておいたのですが、大丈夫でしたか?」
「あぁ、すんなり通してくれた。ありがとう、堺」
紫輝は堺に笑顔を返す。
どうやら堺が事前に話を通していたらしい。さすが堺だ、気が利くな。
とか思っていたら。
青桐が。紫輝の袖を掴んで、廊下に引っ張っていった。
え? 追い出すの? なに?
青桐は廊下で紫輝と向き合うと、こっそりたずねてきた。
「なぁ、軍服作るのって金かかるんだろ? でも赤穂の金だろ?」
「軍服は必要経費だから、自腹じゃないよ。でも、堺に新調してやったら払うようかもだけど。青桐はもうお金持ちなんだから、堺と自分の分の軍服代くらいババーンと出したらいいじゃないか?」
「だって赤穂の金だぞ。いいのかよ? 昨日気づいたんだ。赤穂の屋敷に行って、愛鷹の屋敷と同じくらいのを想像していたんだ。あれでも充分に大きな屋敷だが、赤穂の屋敷はその三倍もあるじゃないか? そうしたら赤穂の屋敷と莫大な財産を、なんの関係もない俺が貰うことになるってことじゃないか? そんなの、申し訳ねぇ。赤穂は生きているのに…」
紫輝は。青桐はとてもまともな考え方をする人なんだなと思い、好感を持つ。
それに金銭感覚もしっかりしている。
赤穂の財の上に胡坐をかくような人物ではないのだ。
「なぁ、もう赤穂と俺が入れ替わってもいいんじゃね? それが本来の形だろ。俺の命が狙われないのなら、赤穂が俺に成り代わって青桐のフリをすれば、赤穂ももう殺されないはずだ。金蓮とは、そうそう顔を合わさないだろ? バレないって」
おおぉぅ…紫輝は青桐にクリティカルパンチをもらい、がっくり肩を落とす。
「やっぱ、気づいちゃった? ですよね…」
紫輝は十二月二十八日に青桐に会い、いろいろアドリブをかましてしまったので。
二十九日、家に戻ってから月光と精査したのだ。
青桐とどんなことをやり取りしたのか、できる限り、一言一句再生して。
それで月光が引っかかったのが。
『青桐が命を狙われることはないよ』の一言だった。
紫輝としては、赤穂は生きているが青桐と入れ替われない事情がある。でも、それで青桐の命が狙われることはないから安心して。という気持ちだけの、言葉だったのだ。
「もう、なんで深読みしちゃうかなぁ…頭の回転良すぎだって」
しかし、その言葉は。
青桐が命を狙われないということは、赤穂が出てこられない原因の人物が青桐を用意した人物であると示してしまう。
青桐を用意した人物は、赤穂を排除したい人物なのだ。
青桐を替え玉に据えたのは、金蓮なので。赤穂を排除したいのは金蓮、とつながってしまうということだ。
「いや、とりあえず。金蓮が赤穂を殺そうとしたわけじゃない。そこは訂正しておくよ。あと赤穂の財産は青桐が好きに使っていい。赤穂は暮らしていけるだけの財産を確保してあるから、気兼ねなく、どうぞ」
「俺と赤穂が入れ替わるって案は? 俺は堺さえ伴侶にできればなにもいらねぇから」
「いろいろ、こんな廊下じゃ話せない。ほら、こそこそしてたらみんなおかしいと思うよ。部屋に戻って」
「…わかった。あとでいろいろ教えろよな」
ビシッと釘を刺してから、青桐は幹部たちがいる部屋に戻った。
紫輝は廊下で重いため息をつく。
あぁ、やっぱ、気づいちゃいましたよ。ポカしましたよ。ダメダメですよ。
紫輝は、青桐には別口で動いてもらう方法を考えていた。
青桐は堺に惚れているようだし、正攻法で龍鬼の差別撲滅キャンペーン的な運動をしてもらいたかったのだ。
将堂軍内部で龍鬼の地位向上が見込まれたら、紫輝も動きやすくなる。
天誠と結婚発表や終戦への道も、視野に入るんじゃないかなと。
だが青桐が想像以上に頭がキレるので。
もう、こちら側にだいぶ足を突っ込まれている感じだ。
「やっぱ四季村にご案内コースかね? 月光さん、調子に乗ってアドリブかましてごめんなさいっ」
廊下で、紫輝はひとりつぶやくのだった。
★★★★★
心を立て直して、紫輝が部屋に入ると。仕立て屋が部屋を出るところだった。
「紫輝の選んだ色に決めましたよ。紫輝が言うとおり、青桐様にはあの色がお似合いだと思います」
堺が柔らかい笑みで、紫輝に言った。
堺の表情がすごく柔らかくなっていて、紫輝は驚いてしまう。
廣伊にも見習ってもらいたいものだ。
「堺にも似合うよ、絶対」
「私はこちらで良いと言ったのですが。青桐様が臣下との強い結びつきを示すために、必要だと…」
堺はこちらで己の軍服を示す。堺の軍服は、水色に近い薄い青だが。
紫輝が選んだのは、青と紺の間くらいの海色だ。
千夜が着ていた瑠璃色より、おさえめの青。
でも青みがかった堺の白髪には、青系ならどんな色でも似合いそう。
あ、千夜の瑠璃色は派手過ぎだから、堺には合わない。堺には落ち着いた色目が似合うよ。
「それは必要だ。上官と龍鬼の仲が円満なのを示すことで、兵士たちの龍鬼への差別思考も薄らぐんだよ」
「そうなのですか? なら、そうします」
青桐の提案にはごねたのに、紫輝の言うことにはすんなり従うので。
青桐は少し拗ねてしまうが。
堺と同じ軍服を着られるのだから、まぁいいと思う。
それに、参考になる。ああいうふうに話を持っていけば堺は納得するのだと、青桐は思った。
「ところで、なんで青桐の屋敷じゃなくて堺の屋敷にいるんだ? まぁ、なんとなくわかるけど」
紫輝はもちろん、ここへ来る前に青桐の屋敷をたずねたのだ。
そうしたら変な家令が出てきて。
『また龍鬼か。ここに青桐様はおられない』とか言って、シッシッと追い払われた。
犬じゃねぇし。むかつく。
まぁ、それで。あの家令が、龍鬼がどうのと言っていたから。堺の屋敷をのぞいたら。人の出入りが多くて。ビンゴ、と思ったわけなのだった。
「あぁ俺らは、宵の口にこちらに着いたんだが。荷物は先に運び入れていたんだよ。そうしたら青桐様の屋敷の使用人が、堺の荷物だけ勝手に堺の屋敷に送り返したんだ。そうしたら、青桐様が怒っちゃって」
幸直が昨日の話を面白おかしく話してくれる。
ま、なにも面白くはないが。
あの家令、いかにもな龍鬼差別だったもんな。
「堺をないがしろにするとか、許せない。でもまぁ、俺も。ここでのことは覚えていないので。ちゃんと連絡が伝わっていなかったのかと思い。一度はやんわりと、堺はここに住むので荷物を戻すよう指示してくれと頼んだのだが…」
青桐が奥歯をギリギリし出した。
そういう顔は、赤穂より迫力があるよ。
その怒りの青桐の言葉を、幸直が引き継いだ。
「青桐様が龍鬼にお優しいのは、大変素晴らしいことです。しかし将堂の御屋敷に龍鬼を住まわせるのは、金蓮様がお許しになりません。と、家令が言ったところで。青桐様は彼の言葉を止め。瀬間と相談した。我らも長距離移動で疲れていたし。即決して堺の屋敷にみんなで移ってきたわけだ。堺の屋敷なら、龍鬼対策がばっちりだし」
「龍鬼対策って?」
紫輝の質問に、堺が答えた。
「主に、風呂場です。私の屋敷では、私用の浴場と客用の浴場が別れていますので。私の屋敷に泊まるような方はそれほど厳しいことをおっしゃいませんが、食事や手洗いを別にしてほしいと言う者は多くいます」
「え? でも幸直さ、河口湖で俺と同じ風呂場、使ったよな?」
「俺は別に、龍鬼がどうとか思ってないから。愛鷹でも、構わず堺と同じ浴場を使っていたし。でも本拠地の使用人がそれを見て、眉をしかめるかもしれないだろ? あの、青桐様の家令のように」
「俺の家令じゃねぇ。あんなやつ、知らねぇ」
むすっとした顔で、青桐は長い前髪を手でかき上げた。
どきっ、男の色気っ。ヤバい。
「でも、確かに。赤穂が…あぁ、青桐が記憶を無くす前の、な。赤穂があの家令を雇っていたとは考えにくい」
紫輝も、青桐に同意する。
赤穂は紫輝を屋敷に招こうとしていたのだ。
あんな家令がいる屋敷に、赤穂が紫輝を呼び寄せるのは考えられない。息子に嫌われたくない父親だからな。
「そうですね。以前お屋敷に顔を出したときは、別の方が家令だったと思います。すぐに部屋に通していただきましたし。対応も良かったですよ?」
堺の話にうなずいて、紫輝はドッコラショと腰をあげた。
「そこら辺、少し調べてみるよ。このまま堺の屋敷で暮らすのもアリだろうが、准将が己の屋敷に戻れない状況は良くないだろうし。自分の家が居心地悪いなんて最悪だもんな」
「おい」
逃げんのか、って。青桐が睨んでる。
待って待って。こっちも対策考えなきゃ、なんだから。
「今日は顔出しだけ。詳しい話は、後日ってことで。あ、幸直、巴、昇進おめでとうございます。堺も、俺の直属の上司になっていた。これからよろしくな?」
シャッと頭を下げて、シャッと部屋を出たのだが。
素早く堺に捕まってしまった。
堺は、近くの空き室に紫輝を押し込むと。床板に座った。
えぇ? 長い話?
まぁ、堺ならいいか。紫輝も対面に座った。
「あの、紫輝は幹部になったので屋敷に入ることができるのですが、瀬間も幸直も引っ越しを嫌がって、今の屋敷を動かないそうなのです。それで今、右で空いているのが。側近の瀬来様が使用していた屋敷なのですが」
あぁそうか、昇進すると家が貰えるんだった。
なんとなく廣伊の部下っていうのが基本にあって、昇進したのがまだピンときていないんだよね。
「あ、え…屋敷って、堺の屋敷サイズ? 大きさ?」
「大きさは…私の屋敷より大きいです。側近の屋敷なので」
ひええぇ、こんな大きな家の維持は無理無理。
「いや、俺は。今のところでいいよ。大隊長の屋敷も充分広いし。あそこで使用人を集めるのも大変だった。主が龍鬼だから、誰もなり手がいなくて。…堺の使用人さんはどうやって集めたの?」
「私は、時雨家に長年勤めていた者がそのまま務めてくれているので、新たに雇う必要がなかったのですが。そうですか。使用人がいないとあの大きさの家の管理は大変ですね?」
そこで堺は、言葉を切って。
うつむいて。
なにやら言いにくそうにしている。
「あの…青桐様が。紫輝が大丈夫だって言ったって。キスも、情交も…」
ほんのりと頬を赤くして、堺が上目遣いでうかがってくる。
あぁぁ、家の話は前置きで、こっちが本題だね?
「うん。まぁ、そのようなことは言ったよ。龍鬼に触れると翼が腐り落ちるなんて、そんな話を聞いたときは俺もびっくりしたけど…」
紫輝はそこで堺に近づいて、耳元にこっそり囁いた。
「キスもエッチもしたけど、俺の伴侶はピンピンしているよ。龍鬼に触れたって、なにも起きやしない」
「あの…た、体液とか。本当に、大丈夫ですか?」
堺もこっそり聞くので、紫輝もまたこっそり返した。
「うん。べちょべちょのぐちょぐちょになるけど、大丈夫。むしろ。俺の伴侶は俺のを舐めて、元気になるかも。龍鬼の体液は伴侶を元気にさせる秘薬なのかもね?」
いや、知らんけど。
つか、好きな人の体液舐めて元気になるのは、龍鬼でなくてもそうなんだけど。
堺は龍鬼であることで臆病になりがちだから、少し盛っちゃった。
ま、青桐は間違いなく、元気になるタイプでしょう。
「堺、もしかして。青桐とチュウ、した?」
期待に胸を弾ませながら聞いたら、堺はこの上なく顔を真っ赤にして、うなずいた。
かーわーいーいー。
「じゃあ愛も恋も分かち合える人が、現れたんだな?」
「愛していると、言われました。でも。彼は将堂家の方になられた。私は生涯あの方のおそばで仕えるつもりです。しかし将堂家の方と愛を交わすのは、どうしてもいけないようなことに思えてしまって」
「俺はね、この家だから駄目なんて考え方自体を、ぶっ壊したいんだ。だから堺にも、ぶっ壊してほしい。まず堺の気持ちを考えて? 彼が愛しい。彼に愛されたい。そう思うのなら、心のままにするべきだ。そこに家だの龍鬼だのは、いらない」
眉毛をしょんぼりさせて、堺は自信なさそうにする。
そんな彼の髪を、紫輝は優しく撫でる。
「堺が心のままに振舞っても、誰にも咎められない、そんな世の中を俺は必ず作ってやるよ。でもそれが形になるまで、青桐は待ちきれないだろうから。堺は彼が欲しがるものを与えればいいんじゃないかな。将堂家の方が、青桐が、欲しているものを差し出すだけ。そう思えば、堺は気が楽なのでは?」
「青桐様が欲するものには、罪はないんですね?」
「罪など最初からないけど。うん。罪はない。まずはそこからだね?」
堺は、龍鬼である己が触れたりすることに罪の意識があるみたいだ。
堺の心の壁が、堺が心のままに振舞うのを邪魔している。
ならば、それを壊さないと。
龍鬼は罪であるという、思い込みを。
堺の繊細な心が壊れないよう、慎重に、丁寧に、少しずつ壊して。大丈夫だよと力づけながら、己と青桐で、堺がどれだけ愛されているのかということを教えていくのだ。
そうして堺の傷を、癒してあげたいのだ。
「堺、何度でも言ってやる。龍鬼が恋をしても、誰もなにも傷つかない。堺が心のままに振舞える世の中を、俺は作る。約束する。だから俺を信じてくれ。龍鬼や家に縛られちゃ、駄目だよ」
「紫輝。信じています、貴方を。そして青桐様のことも、信じたい。私は龍鬼である自分が好きではない。でも青桐様は。龍鬼である私だから好きだと言ってくださいました。その彼の気持ちを、否定したくはない。まずはあの方にすべてを委ねてみようと思います」
おお、龍鬼の堺が好きだなんて。青桐、なかなか良いこと言うじゃん?
でも委ねるのは良いことだけど。
「嫌なことは、嫌と言うんだよ? 我慢しちゃ駄目だ。それも、長く付き合うのなら必要なことだからな?」
「嫌なことなど青桐様はしません、から…」
「本当にぃ?」
まぁ、堺のこの様子だと。青桐は忠告通り、同意を取って少しずつ進めているようだ。よしよし。
「なにも知らぬ未熟な私に、丁寧に、いろいろ…教えてくれます。青桐様は、とてもお優しいです」
紫輝はハテナを脳裏に浮かべる。
ちょっと。いろいろのあとの、意味深な間が気になるんですけど。
青桐が優しいって、なに?
どこまで手を出した?
もう、青桐ぃ、任せて大丈夫?
小姑は心配です。
一月三日。
紫輝は、本拠地内にある堺の屋敷をたずねた。
門の中には荷物を運び入れる人たちが大勢いて、すごい賑わいだ。
門番の人に取り次いでもらうと、すぐ中に招き入れられた。
主が堺だからか、門番の人も働き手の人も紫輝を怖がることもなく、取次もスムーズで素敵だと。紫輝は目をキラキラさせるのだった。
通された部屋の中には、瀬間以外の幹部が勢ぞろいしている。
瀬間は一月は休みを取ると言っていたから、いないのだろう。
難しそうな顔で、みんななにやら見ている。
紫輝は青桐の後ろからそっとのぞき込んで、指差した。
「この色がいいよ」
あんまり真剣に見ていたからか、紫輝が声を出したら、みんな顔をあげた。
「軍服の色を決めているんだろ? 堺は美人だからなんでも似合うけど、青桐は落ち着いた色合いの方が似合うんじゃね?」
青桐たちが真剣に見ていたのは、軍服の色見本みたいな布の束だった。
「紫輝、いらっしゃい。紫輝が来たらすぐ通してとお願いしておいたのですが、大丈夫でしたか?」
「あぁ、すんなり通してくれた。ありがとう、堺」
紫輝は堺に笑顔を返す。
どうやら堺が事前に話を通していたらしい。さすが堺だ、気が利くな。
とか思っていたら。
青桐が。紫輝の袖を掴んで、廊下に引っ張っていった。
え? 追い出すの? なに?
青桐は廊下で紫輝と向き合うと、こっそりたずねてきた。
「なぁ、軍服作るのって金かかるんだろ? でも赤穂の金だろ?」
「軍服は必要経費だから、自腹じゃないよ。でも、堺に新調してやったら払うようかもだけど。青桐はもうお金持ちなんだから、堺と自分の分の軍服代くらいババーンと出したらいいじゃないか?」
「だって赤穂の金だぞ。いいのかよ? 昨日気づいたんだ。赤穂の屋敷に行って、愛鷹の屋敷と同じくらいのを想像していたんだ。あれでも充分に大きな屋敷だが、赤穂の屋敷はその三倍もあるじゃないか? そうしたら赤穂の屋敷と莫大な財産を、なんの関係もない俺が貰うことになるってことじゃないか? そんなの、申し訳ねぇ。赤穂は生きているのに…」
紫輝は。青桐はとてもまともな考え方をする人なんだなと思い、好感を持つ。
それに金銭感覚もしっかりしている。
赤穂の財の上に胡坐をかくような人物ではないのだ。
「なぁ、もう赤穂と俺が入れ替わってもいいんじゃね? それが本来の形だろ。俺の命が狙われないのなら、赤穂が俺に成り代わって青桐のフリをすれば、赤穂ももう殺されないはずだ。金蓮とは、そうそう顔を合わさないだろ? バレないって」
おおぉぅ…紫輝は青桐にクリティカルパンチをもらい、がっくり肩を落とす。
「やっぱ、気づいちゃった? ですよね…」
紫輝は十二月二十八日に青桐に会い、いろいろアドリブをかましてしまったので。
二十九日、家に戻ってから月光と精査したのだ。
青桐とどんなことをやり取りしたのか、できる限り、一言一句再生して。
それで月光が引っかかったのが。
『青桐が命を狙われることはないよ』の一言だった。
紫輝としては、赤穂は生きているが青桐と入れ替われない事情がある。でも、それで青桐の命が狙われることはないから安心して。という気持ちだけの、言葉だったのだ。
「もう、なんで深読みしちゃうかなぁ…頭の回転良すぎだって」
しかし、その言葉は。
青桐が命を狙われないということは、赤穂が出てこられない原因の人物が青桐を用意した人物であると示してしまう。
青桐を用意した人物は、赤穂を排除したい人物なのだ。
青桐を替え玉に据えたのは、金蓮なので。赤穂を排除したいのは金蓮、とつながってしまうということだ。
「いや、とりあえず。金蓮が赤穂を殺そうとしたわけじゃない。そこは訂正しておくよ。あと赤穂の財産は青桐が好きに使っていい。赤穂は暮らしていけるだけの財産を確保してあるから、気兼ねなく、どうぞ」
「俺と赤穂が入れ替わるって案は? 俺は堺さえ伴侶にできればなにもいらねぇから」
「いろいろ、こんな廊下じゃ話せない。ほら、こそこそしてたらみんなおかしいと思うよ。部屋に戻って」
「…わかった。あとでいろいろ教えろよな」
ビシッと釘を刺してから、青桐は幹部たちがいる部屋に戻った。
紫輝は廊下で重いため息をつく。
あぁ、やっぱ、気づいちゃいましたよ。ポカしましたよ。ダメダメですよ。
紫輝は、青桐には別口で動いてもらう方法を考えていた。
青桐は堺に惚れているようだし、正攻法で龍鬼の差別撲滅キャンペーン的な運動をしてもらいたかったのだ。
将堂軍内部で龍鬼の地位向上が見込まれたら、紫輝も動きやすくなる。
天誠と結婚発表や終戦への道も、視野に入るんじゃないかなと。
だが青桐が想像以上に頭がキレるので。
もう、こちら側にだいぶ足を突っ込まれている感じだ。
「やっぱ四季村にご案内コースかね? 月光さん、調子に乗ってアドリブかましてごめんなさいっ」
廊下で、紫輝はひとりつぶやくのだった。
★★★★★
心を立て直して、紫輝が部屋に入ると。仕立て屋が部屋を出るところだった。
「紫輝の選んだ色に決めましたよ。紫輝が言うとおり、青桐様にはあの色がお似合いだと思います」
堺が柔らかい笑みで、紫輝に言った。
堺の表情がすごく柔らかくなっていて、紫輝は驚いてしまう。
廣伊にも見習ってもらいたいものだ。
「堺にも似合うよ、絶対」
「私はこちらで良いと言ったのですが。青桐様が臣下との強い結びつきを示すために、必要だと…」
堺はこちらで己の軍服を示す。堺の軍服は、水色に近い薄い青だが。
紫輝が選んだのは、青と紺の間くらいの海色だ。
千夜が着ていた瑠璃色より、おさえめの青。
でも青みがかった堺の白髪には、青系ならどんな色でも似合いそう。
あ、千夜の瑠璃色は派手過ぎだから、堺には合わない。堺には落ち着いた色目が似合うよ。
「それは必要だ。上官と龍鬼の仲が円満なのを示すことで、兵士たちの龍鬼への差別思考も薄らぐんだよ」
「そうなのですか? なら、そうします」
青桐の提案にはごねたのに、紫輝の言うことにはすんなり従うので。
青桐は少し拗ねてしまうが。
堺と同じ軍服を着られるのだから、まぁいいと思う。
それに、参考になる。ああいうふうに話を持っていけば堺は納得するのだと、青桐は思った。
「ところで、なんで青桐の屋敷じゃなくて堺の屋敷にいるんだ? まぁ、なんとなくわかるけど」
紫輝はもちろん、ここへ来る前に青桐の屋敷をたずねたのだ。
そうしたら変な家令が出てきて。
『また龍鬼か。ここに青桐様はおられない』とか言って、シッシッと追い払われた。
犬じゃねぇし。むかつく。
まぁ、それで。あの家令が、龍鬼がどうのと言っていたから。堺の屋敷をのぞいたら。人の出入りが多くて。ビンゴ、と思ったわけなのだった。
「あぁ俺らは、宵の口にこちらに着いたんだが。荷物は先に運び入れていたんだよ。そうしたら青桐様の屋敷の使用人が、堺の荷物だけ勝手に堺の屋敷に送り返したんだ。そうしたら、青桐様が怒っちゃって」
幸直が昨日の話を面白おかしく話してくれる。
ま、なにも面白くはないが。
あの家令、いかにもな龍鬼差別だったもんな。
「堺をないがしろにするとか、許せない。でもまぁ、俺も。ここでのことは覚えていないので。ちゃんと連絡が伝わっていなかったのかと思い。一度はやんわりと、堺はここに住むので荷物を戻すよう指示してくれと頼んだのだが…」
青桐が奥歯をギリギリし出した。
そういう顔は、赤穂より迫力があるよ。
その怒りの青桐の言葉を、幸直が引き継いだ。
「青桐様が龍鬼にお優しいのは、大変素晴らしいことです。しかし将堂の御屋敷に龍鬼を住まわせるのは、金蓮様がお許しになりません。と、家令が言ったところで。青桐様は彼の言葉を止め。瀬間と相談した。我らも長距離移動で疲れていたし。即決して堺の屋敷にみんなで移ってきたわけだ。堺の屋敷なら、龍鬼対策がばっちりだし」
「龍鬼対策って?」
紫輝の質問に、堺が答えた。
「主に、風呂場です。私の屋敷では、私用の浴場と客用の浴場が別れていますので。私の屋敷に泊まるような方はそれほど厳しいことをおっしゃいませんが、食事や手洗いを別にしてほしいと言う者は多くいます」
「え? でも幸直さ、河口湖で俺と同じ風呂場、使ったよな?」
「俺は別に、龍鬼がどうとか思ってないから。愛鷹でも、構わず堺と同じ浴場を使っていたし。でも本拠地の使用人がそれを見て、眉をしかめるかもしれないだろ? あの、青桐様の家令のように」
「俺の家令じゃねぇ。あんなやつ、知らねぇ」
むすっとした顔で、青桐は長い前髪を手でかき上げた。
どきっ、男の色気っ。ヤバい。
「でも、確かに。赤穂が…あぁ、青桐が記憶を無くす前の、な。赤穂があの家令を雇っていたとは考えにくい」
紫輝も、青桐に同意する。
赤穂は紫輝を屋敷に招こうとしていたのだ。
あんな家令がいる屋敷に、赤穂が紫輝を呼び寄せるのは考えられない。息子に嫌われたくない父親だからな。
「そうですね。以前お屋敷に顔を出したときは、別の方が家令だったと思います。すぐに部屋に通していただきましたし。対応も良かったですよ?」
堺の話にうなずいて、紫輝はドッコラショと腰をあげた。
「そこら辺、少し調べてみるよ。このまま堺の屋敷で暮らすのもアリだろうが、准将が己の屋敷に戻れない状況は良くないだろうし。自分の家が居心地悪いなんて最悪だもんな」
「おい」
逃げんのか、って。青桐が睨んでる。
待って待って。こっちも対策考えなきゃ、なんだから。
「今日は顔出しだけ。詳しい話は、後日ってことで。あ、幸直、巴、昇進おめでとうございます。堺も、俺の直属の上司になっていた。これからよろしくな?」
シャッと頭を下げて、シャッと部屋を出たのだが。
素早く堺に捕まってしまった。
堺は、近くの空き室に紫輝を押し込むと。床板に座った。
えぇ? 長い話?
まぁ、堺ならいいか。紫輝も対面に座った。
「あの、紫輝は幹部になったので屋敷に入ることができるのですが、瀬間も幸直も引っ越しを嫌がって、今の屋敷を動かないそうなのです。それで今、右で空いているのが。側近の瀬来様が使用していた屋敷なのですが」
あぁそうか、昇進すると家が貰えるんだった。
なんとなく廣伊の部下っていうのが基本にあって、昇進したのがまだピンときていないんだよね。
「あ、え…屋敷って、堺の屋敷サイズ? 大きさ?」
「大きさは…私の屋敷より大きいです。側近の屋敷なので」
ひええぇ、こんな大きな家の維持は無理無理。
「いや、俺は。今のところでいいよ。大隊長の屋敷も充分広いし。あそこで使用人を集めるのも大変だった。主が龍鬼だから、誰もなり手がいなくて。…堺の使用人さんはどうやって集めたの?」
「私は、時雨家に長年勤めていた者がそのまま務めてくれているので、新たに雇う必要がなかったのですが。そうですか。使用人がいないとあの大きさの家の管理は大変ですね?」
そこで堺は、言葉を切って。
うつむいて。
なにやら言いにくそうにしている。
「あの…青桐様が。紫輝が大丈夫だって言ったって。キスも、情交も…」
ほんのりと頬を赤くして、堺が上目遣いでうかがってくる。
あぁぁ、家の話は前置きで、こっちが本題だね?
「うん。まぁ、そのようなことは言ったよ。龍鬼に触れると翼が腐り落ちるなんて、そんな話を聞いたときは俺もびっくりしたけど…」
紫輝はそこで堺に近づいて、耳元にこっそり囁いた。
「キスもエッチもしたけど、俺の伴侶はピンピンしているよ。龍鬼に触れたって、なにも起きやしない」
「あの…た、体液とか。本当に、大丈夫ですか?」
堺もこっそり聞くので、紫輝もまたこっそり返した。
「うん。べちょべちょのぐちょぐちょになるけど、大丈夫。むしろ。俺の伴侶は俺のを舐めて、元気になるかも。龍鬼の体液は伴侶を元気にさせる秘薬なのかもね?」
いや、知らんけど。
つか、好きな人の体液舐めて元気になるのは、龍鬼でなくてもそうなんだけど。
堺は龍鬼であることで臆病になりがちだから、少し盛っちゃった。
ま、青桐は間違いなく、元気になるタイプでしょう。
「堺、もしかして。青桐とチュウ、した?」
期待に胸を弾ませながら聞いたら、堺はこの上なく顔を真っ赤にして、うなずいた。
かーわーいーいー。
「じゃあ愛も恋も分かち合える人が、現れたんだな?」
「愛していると、言われました。でも。彼は将堂家の方になられた。私は生涯あの方のおそばで仕えるつもりです。しかし将堂家の方と愛を交わすのは、どうしてもいけないようなことに思えてしまって」
「俺はね、この家だから駄目なんて考え方自体を、ぶっ壊したいんだ。だから堺にも、ぶっ壊してほしい。まず堺の気持ちを考えて? 彼が愛しい。彼に愛されたい。そう思うのなら、心のままにするべきだ。そこに家だの龍鬼だのは、いらない」
眉毛をしょんぼりさせて、堺は自信なさそうにする。
そんな彼の髪を、紫輝は優しく撫でる。
「堺が心のままに振舞っても、誰にも咎められない、そんな世の中を俺は必ず作ってやるよ。でもそれが形になるまで、青桐は待ちきれないだろうから。堺は彼が欲しがるものを与えればいいんじゃないかな。将堂家の方が、青桐が、欲しているものを差し出すだけ。そう思えば、堺は気が楽なのでは?」
「青桐様が欲するものには、罪はないんですね?」
「罪など最初からないけど。うん。罪はない。まずはそこからだね?」
堺は、龍鬼である己が触れたりすることに罪の意識があるみたいだ。
堺の心の壁が、堺が心のままに振舞うのを邪魔している。
ならば、それを壊さないと。
龍鬼は罪であるという、思い込みを。
堺の繊細な心が壊れないよう、慎重に、丁寧に、少しずつ壊して。大丈夫だよと力づけながら、己と青桐で、堺がどれだけ愛されているのかということを教えていくのだ。
そうして堺の傷を、癒してあげたいのだ。
「堺、何度でも言ってやる。龍鬼が恋をしても、誰もなにも傷つかない。堺が心のままに振舞える世の中を、俺は作る。約束する。だから俺を信じてくれ。龍鬼や家に縛られちゃ、駄目だよ」
「紫輝。信じています、貴方を。そして青桐様のことも、信じたい。私は龍鬼である自分が好きではない。でも青桐様は。龍鬼である私だから好きだと言ってくださいました。その彼の気持ちを、否定したくはない。まずはあの方にすべてを委ねてみようと思います」
おお、龍鬼の堺が好きだなんて。青桐、なかなか良いこと言うじゃん?
でも委ねるのは良いことだけど。
「嫌なことは、嫌と言うんだよ? 我慢しちゃ駄目だ。それも、長く付き合うのなら必要なことだからな?」
「嫌なことなど青桐様はしません、から…」
「本当にぃ?」
まぁ、堺のこの様子だと。青桐は忠告通り、同意を取って少しずつ進めているようだ。よしよし。
「なにも知らぬ未熟な私に、丁寧に、いろいろ…教えてくれます。青桐様は、とてもお優しいです」
紫輝はハテナを脳裏に浮かべる。
ちょっと。いろいろのあとの、意味深な間が気になるんですけど。
青桐が優しいって、なに?
どこまで手を出した?
もう、青桐ぃ、任せて大丈夫?
小姑は心配です。
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