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番外 筆頭参謀、里中巴 2
第八大隊長である、美濃幸直と知り合いになり。巴は、三十八組から三十七組に異動することになった。
三十八組の組長は、明らかな職務怠慢で、降格させたいところなのだが。すぐにはできないということで。
緊急措置として、そのように手配してくれたのだ。
班の者に、蹴られ、殴られ、犯されかけた巴は、組長の元に逃げ込んだわけだが。彼は助けてくれず。
救いの手を差し伸べてくれたのは、大隊長の幸直だった。
幸直は、特に多くを語らなかった巴の様子を見て、状況を的確に言い当て。
『男性であっても、性的に乱暴されかけたというだけで、精神的に傷を負うものだ。軽視はできない』と言ってくれたのだ。
「だが、巴。君も、強くならなければならない。大勢の者から逃げられたというのは、とても幸運だったが。本来は多勢に無勢でおさえつけられたら、逃げるのは困難だ。まず、そのような事態になる前に、自力で逃げられるよう、最低限の力量をつけるべきだな」
今回の件で、己の顔が、男に好かれるものだということがわかったが。
幸直は、そんな顔で男を誘うおまえが悪い、というようなことは言わず。
でも、火の粉を払う力は必要だな、と助言してくれた。
将堂に来て、ハグレである自分が、初めて人間扱いされたような。そんな嬉しさを巴は感じた。
巴が三十七組に移ったあとも、幸直は巴に目をかけてくれた。
というより、友達扱いしてくれるようになった。
第八大隊長の屋敷に、出入りを許してくれて。剣術を磨くために、道場を使っていいと許可をくれる。
不埒な想いを向けてくる男どもと、カラス差別主義者から、身を守るため。一刻も早く、剣技を磨きたかった巴には、ありがたいことだった。
自主練として、道場を使わせてもらっていると、たまに幸直が乱入してくる。
「俺も、鍛錬するっ、巴、付き合ってよ?」
屈託ない笑顔で、誘われれば。否は言えない。
というより、手練れである幸直に相手をしてもらえるなんて、贅沢すぎて、引くくらいである。
巴は木刀で、本気で挑みかかっていく。
しかし幸直は、難なくいなして。子供と大人、生徒と教師、くらいの力の差で、打ち負かす。
やっぱり、強いな。
のほほんとした顔ながら、巴はそう思っていた。
巴も、十二歳くらいまでは、弟の相手をして、剣術を齧っていたのだが。弟に負かされるようになって、刀に触らなくなった。
だから、幼い頃に培った基本は、一応できている。
刀と剣の違いはあれど、剣術の基本は、どちらもそう変わらない。
あと、人より華奢な分、身軽で、動きが速いのが有利な点だ。
巴に足りないのは、経験と、腕力と、気合。
できれば、なにもしないで絵だけを描いていたい巴には、全くもってない要素である。
「巴、髪を切ったのか? ずいぶん思いきった短髪にしたな?」
巴の剣を受けながら、話しかけてくる。余裕だな、幸直。
不精をして、肩くらいまで髪が伸びていたのだが。
男に言い寄られるようになり、巴は男らしくあるために、髪はできるだけ短くするように心掛けていた。
華奢な体格は、そう簡単に、ごつくはできないが。
「見た目、だけでも、男っぽく、した方が…」
打ち込まれるたび、言葉が途切れる。
自分がまだまだだってことを、自覚できる。
「伸ばしたら、巴の黒髪は、絶対つやつやして、綺麗だと思うのにな。強ければ、ありのままでいられるぞ? 強いは、やっぱ正義だろっ」
強い力で吹っ飛ばされ、巴は道場に尻餅をついた。
だがすぐに立ち上がって、幸直に挑む。
「もう一度。頼む」
「いいぜ、何度でも。その代わり、強くなったら髪、伸ばしくれよ。俺の為に」
「僕の髪型は、僕が、決めるし」
負けん気を出して、向かってくる巴に、幸直はニヤリと笑う。
喜々として、瞳を輝かせ。薄茶の髪を揺らす。
その躍動感。生命力。絵にして残したいと、巴は思う。
「巴は既婚者なのか? そういう噂だが」
「それも、男避けだ。恋愛的な、やつは。そこで引いてくれるが。ヤバいのは、そういうの無視して、無理矢理やろうと、してくるやつだ」
「まだいるのか? そんなやつが」
実は、こうして幸直と鍛錬をしていることで。巴は幸直のお手付きと思われて、ちょっかいかけてくる男どもの人数は激減した。
しかし。巴をハグレだと蔑む輩は、幸直もその口だと思い込んで。どういう扱いしてもいい者として、巴に襲い掛かってくる。
「困ったことに、馬鹿は減らない」
「美濃家に逆らうのかって、凄んでやろうか?」
「はは、そういうの、嫌いな癖に…」
幸直はすでに、美濃の家督を継いでいる。
十七歳の若さで、将堂に次ぐ名家の当主である。
だが、家のコネだと思われるのを嫌がり。家の威光を振りかざすのを嫌がり、美濃様とへりくだられるのも嫌いだ。
幸直には、剣術の才能があるから、美濃家でなくても出世はできただろうと、巴はわかるけれど。
周りの者は、よっぽど、幸直ではなく、美濃家に注目しているようで。
実力主義の幸直には、美濃の家名は、重く、つらいばかりなのだろう。
「俺の気持ちをわかってくれるのは、巴だけだよ。そんな貴重な友達が困っているんだから、それぐらいはするぜ?」
「助けにはならないよ。美濃様と毎日しているんだろって。いやらしい口撃を受けるだけだ」
「モテモテで、困るな」
「いらぬ相手から、モテても、嬉しくないんだが? 龍鬼の方が、犯される心配が、ないだけ、マシかも」
巴がつぶやくと。幸直は動きを止め。剣を下ろした。
真剣な感じで、巴をみつめる。
「俺のそばには、龍鬼がいるが。彼らは、迫害を受け、とても苦しんでいる。マシだなんて、言ったらダメだ」
「でも龍鬼は、そのせいで、変なやつは寄りも触りもしないんだろ? 殴る蹴る犯す、よりは。無視の方が痛くない。僕はひとりでいても、苦にならない方だし。放っておいてほしいくらいなんだ」
「しかし、俺の友達は。親からも冷遇されて。心を閉ざしてしまった。巴がそうなったら、俺は悲しいよ」
親から冷遇か。それはつらいな。
甘えた境遇で、好きなことだけしてきた巴には、耳の痛い話だ。
巴も、手裏の領内にいれば、ここまでひどい扱いをされないのだが。命がかかっているので、ここから動けない。
ここで、将堂で、なんとか生きていかなければならないのだけれど…。
カラス羽と、龍鬼は、境遇が似ているような気がして、つい引き合いに出してしまったが。
親に虐げられるほどの迫害というのは、厳しいな。
子供のうちから、心を常に叩かれているようなものだ。
巴は、人の情というものに疎いのだが。痛いとか怖いとか苦しいのは、自分がされたら、普通に嫌なので。
そういうものには、同情できる。
でも、家族が死んだとき、痛かっただろうなぁとか、不思議に思わなかった。
なぜだろう。心の防衛機能が働いたのかな。
深く考えたら、悲しみに沈むから、それを回避するような…。
いい意味でとらえれば、だが。
単純に薄情なのかもしれないけれど。うーん。
「そうか。考えなしで、すまない。無視や罵倒の方が、精神を傷つけられてつらい、と思う者もいるものな」
巴などは、心の前に防御壁を立てて、無視する相手を無視できるのだが。
でも、ハグレと呼ばれ、巴という名を無視されたのは。案外、心が傷ついた。
巴は本名ではないから、それほど傷つかないと思ったけれど。
名前というのは、意外と重要な位置づけにあるようだ。
たぶん、誰もが。
龍鬼は、そういう悪意の積み重ねで、心を閉ざしてしまったのだろう。
巴には、近くに巴と呼んでくれる幸直がいたから。痛烈に傷つかずに済んだのかもしれない。
だとしたら、やはり。幸直は、巴の心の恩人なのだろう。
いつも凪いでいる心の波が、フワと、揺れたような気がした。
「心を閉ざすことは、心の防衛だと、僕は思うけど。幸直の友達の龍鬼は、なんで君がそばにいたのに、心を閉ざしてしまったのだろう? 幸直は平等だから、心の支えになるのに」
ぼんやり考えながら、巴はつぶやく。
幸直が、少し頬を赤くしたことに気づかなかった。
「それって、俺は巴の心の支えになっているってこと?」
「あぁ、頼りにしている」
とつとつと、真実を述べると。
幸直は。照れたような顔で苦笑した。
なにか、照れる要素あったか?
「堺は…あぁ、龍鬼の幼馴染みなんだが。堺とは、子供の頃よく遊んだが。彼は七歳で初陣を迎えて、会えなくなった。俺は十五で初陣して、すぐ堺に会いに行ったが。その頃には、もう心を閉ざしていた。だから俺は、彼のそばにいられず、力にもなってやれなかったんだ」
「なるほど。その罪滅ぼしに、僕を助けてくれるんだな?」
ちょっとからかうように、巴は幸直に言った。
彼は慌てて、手を横に振る。
「いやいや、巴を、堺の身代わりにしているわけではない。でも、放っておけないとは思ってしまうかな。巴も、誰も、傷つかないで生きてもらいたいが。みんなを救えるわけもないし。手が届く範囲、できることをするだけだ」
巴は、心がひねくれているので。幸直の言葉を、偽善的だと思ってしまうのだが。
それでも清廉とした心根は、幸直の表情を、自然、明るくさせる。
絵の題材として、その底抜けの明るさは、巴の目にはまぶしく映った。それが彼の魅力なのだ。
「もうひとり、龍鬼の先生がいるんだけど」
幸直は、道場の床板に座り込んでしまう。話に重点をおくようだ。
巴もそれに従い、腰を下ろす。
「先生? 龍鬼が、名家の当主になにを教えるっていうんだ?」
「いっぱいだよ。礼儀作法とか、厳しくて、エグいぜ? でも。重きを置いているのは、大隊長として、組の采配の仕方とか。戦術とか。その中に、効果的な龍鬼の使い方、というのがあって。俺は、堺にしろ先生にしろ、龍鬼を戦の駒として扱いたくはないのだが。先生は、必要なことだと言う。巴、どう思う?」
巴は基成のときに、戦術も一通り習っている。
俯瞰して、軍を体系で見て、戦術を組めば。兵士を駒として扱いがちにはなる。
将棋と同じだ。
ただ、本物の戦では、駒に命が宿り、思惑も宿り、人格も宿る。
幸直は、それを感じているのだろう。
巴などは、全く、そこに人の意識を入れない。
そうするべしと教わってきた。
だから、幸直の考えを、らしいと思いつつ、甘いとも思う。
「一般論として。戦術を立てるときに、人格を思い浮かべてはならない。それをすると、兵士を動かせなくなるからな。そして、龍鬼は強力な戦力だから、便利に扱いがち。しかし、そこは人であるから、疲弊させてはならない。その均整を、先生は教えようとしているんじゃないかな? 龍鬼を使い捨てにしないよう注意しながら、ここぞという場面で用いる。それが先生の言う、効果的な龍鬼の使い方の意味だと。僕は思うが」
「なるほどな、すっごいわかりやすい。殺さないように、力を発揮できるように、龍鬼を采配するってことだな?」
こくりとうなずくと。幸直は、巴にニヤリとした笑みを見せる。なに?
「巴の話口ってさ、穏やかで、ぽつぽつしてるけど。短い文の中に含蓄あるなぁ、って。先生も、無口な人なんだけど。彼は圧倒的に言葉足らずで、わからないことが多くて、たまに困るよ」
困ると言いながらも、笑みを浮かべているので。
おそらく、その先生のことが、幸直は好きなんだろうなと思った。
「僕は無口じゃない。余計なことは言わない主義だ」
「それを、無口って言うんじゃないか?」
道場で鍛錬し合い、たまにそんな話をして、巴は幸直との友情を深めていった。
★★★★★
四月になって、巴は一兵士として、前線基地に初めて入った。
手裏にいたときも、軍に近寄らなかったから。富士のふもとに来たことが、初めてのことだ。
しかし春先だったので、大隊規模でぶつかり合う大きな戦闘はなく。
もっぱら、樹海の中の見回りや、戦場周辺の偵察をしていた。
三十八組で不遇だった巴は、宿舎内でもおとなしくしていたし。大体ひとりで行動して、積極的に友達を作ることもなかった。
というか、いらないのだ。
巴は、ひとりの時間が欲しいので。
食事を終えたら、宿舎の裏庭で、月明かりの中、絵を描くのが習慣だった。
紙は、まだ買えないから、地面に絵を描く。
題材を、頭の中で劣化させないように、描き起こす。紙が手に入ったら、すぐにも描き出せるように。
でも、ひとりでいると、馬鹿が挑んでくるのだ。
「おや? こんなところにカラスがいるぞ?」
将堂の軍服を着ているし、同じ第八の者だから、見知っているはずなのに。そうやって、絡んでくる。
巴は地面の絵を足で消し。宿舎に入ろうとするが。
まぁ、逃がしてはくれないものだ。
目の前に、立ちはだかってくる。
「第八大隊三十七組二班班長、里中巴ですが。なにか用か?」
「へぇ、班長なんだ。出世したなぁ? ハグレのくせに」
これはおそらく、以前いた三十八組の者だ。
巴は無視して、この場を離れようとするが。男が手を伸ばしてきた。
もう、揉め事は勘弁なんですけど、と思いながら。巴は剣を鞘ごと腰帯から抜いて、彼の腕に当てる。
ゴツと、鈍い音が響き。男は腕をおさえてうずくまった。
それを横目に、巴は立ち去る。
これぐらいなら、巴はもう、剣を抜くことすらしないで済んだ。
幸直との鍛錬のおかげで、巴はいつの間にか、組で一番腕が立つようになっていた。
二班の班長になったのも、そのおかげだ。
「スかしてんじゃねぇぞ。お高くとまりやがって。大隊長の女のくせに」
男が負け犬の遠吠えをしている。
男の中でも、ハグレから大隊長の女に格上げされたようだ。
いつか、男の里中巴だと覚えてもらいたいものだ。なんて、のんきに思いながら。巴は宿舎に戻った。
だが五月になって、大規模戦闘になったとき。事件が起こった。
三十八組の補佐をするという配置で、後方についていた三十七組だが。
三十八組が全く機能していなくて。
三十七組が前線に追い上げられる状態になってしまった。
「カラスは、ハグレのカラスに、全部やってもらえばいい。そいつが死んだら、手を貸してやってもいいぜ」
巴は、さすがにブチギレて。襲い掛かってくる手裏を、ひとりで三十人くらい倒した。
三十七組の者も、怒り心頭で。
このことはすぐに、上官に報告される。当たり前だ。
しかし、大規模戦闘中に組を散開させることはできない。
そこで、幸直と。幸直の助言者として指導していた二十四組組長の高槻は。今回、大隊を維持できたのは巴の働きが大きかった…と評価し。
巴を三十八組組長に任命した。
は? これはお仕置きですか?
全然嬉しくないんですけど。と、巴は思うが。
一兵士からの叩き上げということで、異例の大抜擢ではあるのだ。
「足を引っ張った三十八組組長と、他二十名の兵士は、二十四組で引き受けよう。私が性根を叩き直してやる」
緑の髪の龍鬼、幸直の先生は。真顔ながら、怒ってはいるようで。
兵士たちを引き連れて、第五大隊に戻っていった。
高槻に連れられて行く彼らの後ろ姿は、まるで売られる牛のように悲しげだ。
二十四組では、並の兵士では一年生きられないなどと、噂に聞いたが。本当だろうか?
「巴、六班編成でまとめてくれ。三十八組はしばらく補佐を任せるようにするので。頼む」
「幸直、無茶苦茶なんだが」
「ここで、実績をあげたら、俺もおまえを引き上げやすくなる。ここが踏ん張りどころだぞ、巴」
少しだけ背の高い幸直が、巴の肩に手を置いて、はげます。
もしも、幸直が引き上げてくれたら…。
紙を買えるようになるだろうか?
幸直としては、ハグレの差別や、性的嫌がらせを払拭できるいい機会、的な意味合いで言ったのだろう。
巴は、もちろん、そこがなくなるのも嬉しいが。
出世できたら紙を買える、そのことの方が望外に嬉しいのだった。
巴は目を光らせ、らしくなく、燃えた。
「よし、やってやるぜ、幸直っ」
その日。前線基地に戻った巴は、三十八組の兵士の前に立ち。組長であることを宣言。
文句がある者はかかって来いとハッパをかけ。五十人ほどの兵士を返り討ちにして、組の頂点に立ったのだった。
ちなみに、この話は『黒の叛逆』として伝説級の語り草になっているのだが。
そういうことは、本人の耳には入らないものだ。
三十八組の組長は、明らかな職務怠慢で、降格させたいところなのだが。すぐにはできないということで。
緊急措置として、そのように手配してくれたのだ。
班の者に、蹴られ、殴られ、犯されかけた巴は、組長の元に逃げ込んだわけだが。彼は助けてくれず。
救いの手を差し伸べてくれたのは、大隊長の幸直だった。
幸直は、特に多くを語らなかった巴の様子を見て、状況を的確に言い当て。
『男性であっても、性的に乱暴されかけたというだけで、精神的に傷を負うものだ。軽視はできない』と言ってくれたのだ。
「だが、巴。君も、強くならなければならない。大勢の者から逃げられたというのは、とても幸運だったが。本来は多勢に無勢でおさえつけられたら、逃げるのは困難だ。まず、そのような事態になる前に、自力で逃げられるよう、最低限の力量をつけるべきだな」
今回の件で、己の顔が、男に好かれるものだということがわかったが。
幸直は、そんな顔で男を誘うおまえが悪い、というようなことは言わず。
でも、火の粉を払う力は必要だな、と助言してくれた。
将堂に来て、ハグレである自分が、初めて人間扱いされたような。そんな嬉しさを巴は感じた。
巴が三十七組に移ったあとも、幸直は巴に目をかけてくれた。
というより、友達扱いしてくれるようになった。
第八大隊長の屋敷に、出入りを許してくれて。剣術を磨くために、道場を使っていいと許可をくれる。
不埒な想いを向けてくる男どもと、カラス差別主義者から、身を守るため。一刻も早く、剣技を磨きたかった巴には、ありがたいことだった。
自主練として、道場を使わせてもらっていると、たまに幸直が乱入してくる。
「俺も、鍛錬するっ、巴、付き合ってよ?」
屈託ない笑顔で、誘われれば。否は言えない。
というより、手練れである幸直に相手をしてもらえるなんて、贅沢すぎて、引くくらいである。
巴は木刀で、本気で挑みかかっていく。
しかし幸直は、難なくいなして。子供と大人、生徒と教師、くらいの力の差で、打ち負かす。
やっぱり、強いな。
のほほんとした顔ながら、巴はそう思っていた。
巴も、十二歳くらいまでは、弟の相手をして、剣術を齧っていたのだが。弟に負かされるようになって、刀に触らなくなった。
だから、幼い頃に培った基本は、一応できている。
刀と剣の違いはあれど、剣術の基本は、どちらもそう変わらない。
あと、人より華奢な分、身軽で、動きが速いのが有利な点だ。
巴に足りないのは、経験と、腕力と、気合。
できれば、なにもしないで絵だけを描いていたい巴には、全くもってない要素である。
「巴、髪を切ったのか? ずいぶん思いきった短髪にしたな?」
巴の剣を受けながら、話しかけてくる。余裕だな、幸直。
不精をして、肩くらいまで髪が伸びていたのだが。
男に言い寄られるようになり、巴は男らしくあるために、髪はできるだけ短くするように心掛けていた。
華奢な体格は、そう簡単に、ごつくはできないが。
「見た目、だけでも、男っぽく、した方が…」
打ち込まれるたび、言葉が途切れる。
自分がまだまだだってことを、自覚できる。
「伸ばしたら、巴の黒髪は、絶対つやつやして、綺麗だと思うのにな。強ければ、ありのままでいられるぞ? 強いは、やっぱ正義だろっ」
強い力で吹っ飛ばされ、巴は道場に尻餅をついた。
だがすぐに立ち上がって、幸直に挑む。
「もう一度。頼む」
「いいぜ、何度でも。その代わり、強くなったら髪、伸ばしくれよ。俺の為に」
「僕の髪型は、僕が、決めるし」
負けん気を出して、向かってくる巴に、幸直はニヤリと笑う。
喜々として、瞳を輝かせ。薄茶の髪を揺らす。
その躍動感。生命力。絵にして残したいと、巴は思う。
「巴は既婚者なのか? そういう噂だが」
「それも、男避けだ。恋愛的な、やつは。そこで引いてくれるが。ヤバいのは、そういうの無視して、無理矢理やろうと、してくるやつだ」
「まだいるのか? そんなやつが」
実は、こうして幸直と鍛錬をしていることで。巴は幸直のお手付きと思われて、ちょっかいかけてくる男どもの人数は激減した。
しかし。巴をハグレだと蔑む輩は、幸直もその口だと思い込んで。どういう扱いしてもいい者として、巴に襲い掛かってくる。
「困ったことに、馬鹿は減らない」
「美濃家に逆らうのかって、凄んでやろうか?」
「はは、そういうの、嫌いな癖に…」
幸直はすでに、美濃の家督を継いでいる。
十七歳の若さで、将堂に次ぐ名家の当主である。
だが、家のコネだと思われるのを嫌がり。家の威光を振りかざすのを嫌がり、美濃様とへりくだられるのも嫌いだ。
幸直には、剣術の才能があるから、美濃家でなくても出世はできただろうと、巴はわかるけれど。
周りの者は、よっぽど、幸直ではなく、美濃家に注目しているようで。
実力主義の幸直には、美濃の家名は、重く、つらいばかりなのだろう。
「俺の気持ちをわかってくれるのは、巴だけだよ。そんな貴重な友達が困っているんだから、それぐらいはするぜ?」
「助けにはならないよ。美濃様と毎日しているんだろって。いやらしい口撃を受けるだけだ」
「モテモテで、困るな」
「いらぬ相手から、モテても、嬉しくないんだが? 龍鬼の方が、犯される心配が、ないだけ、マシかも」
巴がつぶやくと。幸直は動きを止め。剣を下ろした。
真剣な感じで、巴をみつめる。
「俺のそばには、龍鬼がいるが。彼らは、迫害を受け、とても苦しんでいる。マシだなんて、言ったらダメだ」
「でも龍鬼は、そのせいで、変なやつは寄りも触りもしないんだろ? 殴る蹴る犯す、よりは。無視の方が痛くない。僕はひとりでいても、苦にならない方だし。放っておいてほしいくらいなんだ」
「しかし、俺の友達は。親からも冷遇されて。心を閉ざしてしまった。巴がそうなったら、俺は悲しいよ」
親から冷遇か。それはつらいな。
甘えた境遇で、好きなことだけしてきた巴には、耳の痛い話だ。
巴も、手裏の領内にいれば、ここまでひどい扱いをされないのだが。命がかかっているので、ここから動けない。
ここで、将堂で、なんとか生きていかなければならないのだけれど…。
カラス羽と、龍鬼は、境遇が似ているような気がして、つい引き合いに出してしまったが。
親に虐げられるほどの迫害というのは、厳しいな。
子供のうちから、心を常に叩かれているようなものだ。
巴は、人の情というものに疎いのだが。痛いとか怖いとか苦しいのは、自分がされたら、普通に嫌なので。
そういうものには、同情できる。
でも、家族が死んだとき、痛かっただろうなぁとか、不思議に思わなかった。
なぜだろう。心の防衛機能が働いたのかな。
深く考えたら、悲しみに沈むから、それを回避するような…。
いい意味でとらえれば、だが。
単純に薄情なのかもしれないけれど。うーん。
「そうか。考えなしで、すまない。無視や罵倒の方が、精神を傷つけられてつらい、と思う者もいるものな」
巴などは、心の前に防御壁を立てて、無視する相手を無視できるのだが。
でも、ハグレと呼ばれ、巴という名を無視されたのは。案外、心が傷ついた。
巴は本名ではないから、それほど傷つかないと思ったけれど。
名前というのは、意外と重要な位置づけにあるようだ。
たぶん、誰もが。
龍鬼は、そういう悪意の積み重ねで、心を閉ざしてしまったのだろう。
巴には、近くに巴と呼んでくれる幸直がいたから。痛烈に傷つかずに済んだのかもしれない。
だとしたら、やはり。幸直は、巴の心の恩人なのだろう。
いつも凪いでいる心の波が、フワと、揺れたような気がした。
「心を閉ざすことは、心の防衛だと、僕は思うけど。幸直の友達の龍鬼は、なんで君がそばにいたのに、心を閉ざしてしまったのだろう? 幸直は平等だから、心の支えになるのに」
ぼんやり考えながら、巴はつぶやく。
幸直が、少し頬を赤くしたことに気づかなかった。
「それって、俺は巴の心の支えになっているってこと?」
「あぁ、頼りにしている」
とつとつと、真実を述べると。
幸直は。照れたような顔で苦笑した。
なにか、照れる要素あったか?
「堺は…あぁ、龍鬼の幼馴染みなんだが。堺とは、子供の頃よく遊んだが。彼は七歳で初陣を迎えて、会えなくなった。俺は十五で初陣して、すぐ堺に会いに行ったが。その頃には、もう心を閉ざしていた。だから俺は、彼のそばにいられず、力にもなってやれなかったんだ」
「なるほど。その罪滅ぼしに、僕を助けてくれるんだな?」
ちょっとからかうように、巴は幸直に言った。
彼は慌てて、手を横に振る。
「いやいや、巴を、堺の身代わりにしているわけではない。でも、放っておけないとは思ってしまうかな。巴も、誰も、傷つかないで生きてもらいたいが。みんなを救えるわけもないし。手が届く範囲、できることをするだけだ」
巴は、心がひねくれているので。幸直の言葉を、偽善的だと思ってしまうのだが。
それでも清廉とした心根は、幸直の表情を、自然、明るくさせる。
絵の題材として、その底抜けの明るさは、巴の目にはまぶしく映った。それが彼の魅力なのだ。
「もうひとり、龍鬼の先生がいるんだけど」
幸直は、道場の床板に座り込んでしまう。話に重点をおくようだ。
巴もそれに従い、腰を下ろす。
「先生? 龍鬼が、名家の当主になにを教えるっていうんだ?」
「いっぱいだよ。礼儀作法とか、厳しくて、エグいぜ? でも。重きを置いているのは、大隊長として、組の采配の仕方とか。戦術とか。その中に、効果的な龍鬼の使い方、というのがあって。俺は、堺にしろ先生にしろ、龍鬼を戦の駒として扱いたくはないのだが。先生は、必要なことだと言う。巴、どう思う?」
巴は基成のときに、戦術も一通り習っている。
俯瞰して、軍を体系で見て、戦術を組めば。兵士を駒として扱いがちにはなる。
将棋と同じだ。
ただ、本物の戦では、駒に命が宿り、思惑も宿り、人格も宿る。
幸直は、それを感じているのだろう。
巴などは、全く、そこに人の意識を入れない。
そうするべしと教わってきた。
だから、幸直の考えを、らしいと思いつつ、甘いとも思う。
「一般論として。戦術を立てるときに、人格を思い浮かべてはならない。それをすると、兵士を動かせなくなるからな。そして、龍鬼は強力な戦力だから、便利に扱いがち。しかし、そこは人であるから、疲弊させてはならない。その均整を、先生は教えようとしているんじゃないかな? 龍鬼を使い捨てにしないよう注意しながら、ここぞという場面で用いる。それが先生の言う、効果的な龍鬼の使い方の意味だと。僕は思うが」
「なるほどな、すっごいわかりやすい。殺さないように、力を発揮できるように、龍鬼を采配するってことだな?」
こくりとうなずくと。幸直は、巴にニヤリとした笑みを見せる。なに?
「巴の話口ってさ、穏やかで、ぽつぽつしてるけど。短い文の中に含蓄あるなぁ、って。先生も、無口な人なんだけど。彼は圧倒的に言葉足らずで、わからないことが多くて、たまに困るよ」
困ると言いながらも、笑みを浮かべているので。
おそらく、その先生のことが、幸直は好きなんだろうなと思った。
「僕は無口じゃない。余計なことは言わない主義だ」
「それを、無口って言うんじゃないか?」
道場で鍛錬し合い、たまにそんな話をして、巴は幸直との友情を深めていった。
★★★★★
四月になって、巴は一兵士として、前線基地に初めて入った。
手裏にいたときも、軍に近寄らなかったから。富士のふもとに来たことが、初めてのことだ。
しかし春先だったので、大隊規模でぶつかり合う大きな戦闘はなく。
もっぱら、樹海の中の見回りや、戦場周辺の偵察をしていた。
三十八組で不遇だった巴は、宿舎内でもおとなしくしていたし。大体ひとりで行動して、積極的に友達を作ることもなかった。
というか、いらないのだ。
巴は、ひとりの時間が欲しいので。
食事を終えたら、宿舎の裏庭で、月明かりの中、絵を描くのが習慣だった。
紙は、まだ買えないから、地面に絵を描く。
題材を、頭の中で劣化させないように、描き起こす。紙が手に入ったら、すぐにも描き出せるように。
でも、ひとりでいると、馬鹿が挑んでくるのだ。
「おや? こんなところにカラスがいるぞ?」
将堂の軍服を着ているし、同じ第八の者だから、見知っているはずなのに。そうやって、絡んでくる。
巴は地面の絵を足で消し。宿舎に入ろうとするが。
まぁ、逃がしてはくれないものだ。
目の前に、立ちはだかってくる。
「第八大隊三十七組二班班長、里中巴ですが。なにか用か?」
「へぇ、班長なんだ。出世したなぁ? ハグレのくせに」
これはおそらく、以前いた三十八組の者だ。
巴は無視して、この場を離れようとするが。男が手を伸ばしてきた。
もう、揉め事は勘弁なんですけど、と思いながら。巴は剣を鞘ごと腰帯から抜いて、彼の腕に当てる。
ゴツと、鈍い音が響き。男は腕をおさえてうずくまった。
それを横目に、巴は立ち去る。
これぐらいなら、巴はもう、剣を抜くことすらしないで済んだ。
幸直との鍛錬のおかげで、巴はいつの間にか、組で一番腕が立つようになっていた。
二班の班長になったのも、そのおかげだ。
「スかしてんじゃねぇぞ。お高くとまりやがって。大隊長の女のくせに」
男が負け犬の遠吠えをしている。
男の中でも、ハグレから大隊長の女に格上げされたようだ。
いつか、男の里中巴だと覚えてもらいたいものだ。なんて、のんきに思いながら。巴は宿舎に戻った。
だが五月になって、大規模戦闘になったとき。事件が起こった。
三十八組の補佐をするという配置で、後方についていた三十七組だが。
三十八組が全く機能していなくて。
三十七組が前線に追い上げられる状態になってしまった。
「カラスは、ハグレのカラスに、全部やってもらえばいい。そいつが死んだら、手を貸してやってもいいぜ」
巴は、さすがにブチギレて。襲い掛かってくる手裏を、ひとりで三十人くらい倒した。
三十七組の者も、怒り心頭で。
このことはすぐに、上官に報告される。当たり前だ。
しかし、大規模戦闘中に組を散開させることはできない。
そこで、幸直と。幸直の助言者として指導していた二十四組組長の高槻は。今回、大隊を維持できたのは巴の働きが大きかった…と評価し。
巴を三十八組組長に任命した。
は? これはお仕置きですか?
全然嬉しくないんですけど。と、巴は思うが。
一兵士からの叩き上げということで、異例の大抜擢ではあるのだ。
「足を引っ張った三十八組組長と、他二十名の兵士は、二十四組で引き受けよう。私が性根を叩き直してやる」
緑の髪の龍鬼、幸直の先生は。真顔ながら、怒ってはいるようで。
兵士たちを引き連れて、第五大隊に戻っていった。
高槻に連れられて行く彼らの後ろ姿は、まるで売られる牛のように悲しげだ。
二十四組では、並の兵士では一年生きられないなどと、噂に聞いたが。本当だろうか?
「巴、六班編成でまとめてくれ。三十八組はしばらく補佐を任せるようにするので。頼む」
「幸直、無茶苦茶なんだが」
「ここで、実績をあげたら、俺もおまえを引き上げやすくなる。ここが踏ん張りどころだぞ、巴」
少しだけ背の高い幸直が、巴の肩に手を置いて、はげます。
もしも、幸直が引き上げてくれたら…。
紙を買えるようになるだろうか?
幸直としては、ハグレの差別や、性的嫌がらせを払拭できるいい機会、的な意味合いで言ったのだろう。
巴は、もちろん、そこがなくなるのも嬉しいが。
出世できたら紙を買える、そのことの方が望外に嬉しいのだった。
巴は目を光らせ、らしくなく、燃えた。
「よし、やってやるぜ、幸直っ」
その日。前線基地に戻った巴は、三十八組の兵士の前に立ち。組長であることを宣言。
文句がある者はかかって来いとハッパをかけ。五十人ほどの兵士を返り討ちにして、組の頂点に立ったのだった。
ちなみに、この話は『黒の叛逆』として伝説級の語り草になっているのだが。
そういうことは、本人の耳には入らないものだ。
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