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番外 右次将軍、美濃幸直 4
十八歳になった幸直は、幹部入りし、参謀に取り立てられた。
そして、空いた第八大隊長の席には、巴を推薦し。比較的あっさり受理された。
黒の叛逆の一件は、周囲を震え上がらせるほどの反応があり。力技といえど、荒くれ集団を掌握した巴の統率力は、幹部にも評価されたのだ。
カラス血脈の巴が、それほど波風立たせずに大隊長におさまったのは、彼の努力のたまものだな。
これで、巴は。もう、変な輩に絡まれることはないだろう。
強くて、頭も良くて、上品な、可愛い系和風美人。
こうして、彼の印象を並べてみると、恋する要素しかなくね?
幸直はこの、最高の友達(まだ恋人ではない)を、絶対に手放す気はないのだった。
その三ヶ月ほど前、子供が生まれ。実家に帰って来いと言われて、戻ったが。
妻は相変わらず、顔を見せず。子供の世話をしているのは、乳母だった。
己の子だと言われ、見せられたのは、立派なクマタカの男児。
小さくて、可愛いと思ったが。
いつの間にか生まれていたという感覚が大きく。
親になった、という実感が湧かなかった。
普通なら、母の腹の中に入っているうちから、腹を撫でたりして、子供とも触れ合う気持ちになって。十月をかけて男親の自覚が育つのだろうが。
幸直の中には、なにも育っていないのだ。
妻への愛も。妻が生んだ子への愛も。
冷たい男だよな。自分でもそう思う。
結婚したなら、愛する努力をしろよって。
でも、あちらも非協力的だ。
まともに、話す時間も貰えないなんて。知り合いだって、顔を合わせれば、笑顔で挨拶くらいするだろ?
妻は、他人より遠い存在だ。
そんな状況で、わかり合えるわけもない。
言い訳、だろうか。でも、己は無理なのだ。そのような女性を愛することは。
父は、初めての孫に、目を細めている。
子供の誕生に、多くの使用人が右往左往している実家は、どこか他人の家のような気がして。
幸直は、早く本拠地に戻りたい。巴に会いたい。と思ってしまうのだった。
結婚している己は、巴に愛を求める資格はないのかもしれない。
しかし、愛を全く感じられない夫婦生活に、心は冷やされるばかり。
恋愛の炎で、心を温めたい。
燃え盛るほどの恋の業火で、身を焼かれたい。
そんな想いで、巴への恋情はつのるばかり。
手を伸ばさずにいられない。
幸直はずっと、愛に飢えているのだ。
そうした中、巴は大隊長としても、才能をたんたんと発揮した。
上の指示に忠実で、こう動けと命じれば、上の意図を察して従順に兵を動かす。
それは、言うほど簡単なことではない。
五百名の兵の動きを把握しつつ、号令に合わせて動かすのだ。並の統率力ではない。
巴の采配術は幹部にも好評で、使い勝手のいい大隊として、巴の評価も上々だった。
これなら、己の右腕として、参謀補佐に任じる許可が下りる日も近いな。
幸直は虎視眈々と、巴を手中におさめるべく、彼をそばに置く計画を進めていた。
思えば、一年前。
巴と出会ったのは、奇跡的だった。
巴が乱暴されそうになった事件は、痛ましいものだったが。たまたま巴が逃げてきた、その場に居合わせて、彼を保護することができた。
もし巴の存在を知らず、三十八組の者に、なぶり殺しにされていたら。
剣術も戦術も秀でた才能を内包していた原石を、むざむざ打ち捨てることになるところだった。考えられない。
彼を拾い上げ、引き上げたのは己だから、いずれ隣に彼を置くのだ。
今まで誰も助けられなかった、情けない己だが。
彼を救うことは、できたのかな? そうだといいなぁ。
その想いは、幸直に達成感をもたらした。
己が助けた者だから、これからも己が、腕の中で大事に守るのだ。
「絶対、離さない。誰にも、渡さない。俺だけのもの。俺の痛みも苦しみも理解して、そっと寄り添ってくれる…大切な人」
友愛も恋愛も親愛も複雑に混ざり合って、狂気的な独占欲が芽生え始めているのを。
幸直は心の奥底で感じていた。
巴は、充分強い兵士になったが、休むことなく、剣の鍛錬に励む。
もう、真面目なんだから。どんだけ強くなるつもり?
幸直も、負けていられないと思った。
一応、己の方が強かったわけだから、巴より上でいたいという意識がある。
五回に一回は、負けてしまうが。完全に抜かれるわけにはいかないから。幸直も鍛錬をする。
そうしてふたりで強くなっていくのだ。
それって、すごく楽しいし。なんか、嬉しいじゃん?
幸直は幹部入りしたことで、本拠地の中央に屋敷を構えることになった。
以前使っていた第八大隊長の屋敷は、巴が入ることになり。幸直は使用人を、そのまま残していったのだ。
ハグレを蔑む風潮は、巴が強くなったあとも、それなりにあり。使用人を集めるのが大変だろうと思ったから。
巴には、そういう些末なことでわずらわされてほしくなかった。
それよりも、鍛錬で剣術を磨いたり、戦術の勉強をしたり、有意義なことに目を向けてもらいたい。
以前は、幸直の屋敷に巴が遊びに…というか。道場に鍛錬しに来ていたが。
今は、幸直が、巴の屋敷に遊びに行く。
勝手知ったる屋敷に入り、道場に向かうと。真面目な巴は、やはりいた。
でも、道場の真ん中で、大の字になって寝ている。
これは珍しい。
床に汗が飛び散っているので、ひと練習終えたあと、というところか。
幸直は、巴が起きないよう、そっと近づいて、彼の寝顔を見やる。
少し汗に湿った黒髪は、艶を放ち。目蓋はしっかりと閉じられ。口は三角に開いている。
つか、髪を伸ばしてくれと言ったのに、今も短く刈り込まれ、細い首があらわになっている。
玉のような汗が、首筋にあるのを見れば。舐めたい衝動に駆られる。
この頃になると、幸直はもうはっきりと、巴に恋情を抱いているのを自覚していた。
さらには、欲情もしている。
よからぬ妄想は、当たり前で。自慰のおかずも、もっぱら彼。
でも巴に、性の対象にされているなどと知られたら。こんなふうにそばにはいられなくなるかもしれないな。
幸直は、巴を脅えさせたくなかった。
できたら、己に恋をしてほしいが。
あんな経験をしたら、すぐは無理だろうな。
だから今は、友達の立ち位置を崩したくはない。そばにいて、彼を誰にも渡さないのだ。
触れない。でも触れたい。
少しだけなら、友達の悪ふざけにならないだろうか?
彼の顔に視線を落とし、幸直は巴の唇をみつめる。
薄く、淡白な印象ながら。少し開いた口から漏れる、小さな寝息が可愛い。
彼の口は、開くと三角になる。下唇は真っ直ぐなのに、柔らかそうな上唇がムニュッと開いているのだ。
ずっと。出会った当初から思っていたのだが。
ここに、指を突っ込みたい。
柔らかい上唇をつまんで、口の中を探りたい。
己のモノを、この唇に愛撫されたら、どれだけ気持ちいいだろう…。
彼の口元は、妄想をかき立てた。想像だけで、たぎってくる。
それで、つい魔がさして。
巴の唇に、指で触れた。
指が沈むような、柔らかさ。やっぱり、ムニュッとしてる。弾力が…と堪能していたら。
巴の目が開いた。
寝惚けているのか、あの、魅惑の黒い瞳がジッとみつめてくる。
だから、みつめたら駄目だって言っているのに。
止まらなくなるよ。
巴が悪いんだからな?
誘うように、物欲しそうに、みつめるから。
幸直は巴の手を握って、起き上がれないようにし。顔を寄せてくちづけた。
もしも嫌がられたら、すぐに引くつもりだったぞ? 嫌がらせたくも、怖がらせたくもないのだ。
でも、唇で揉むようにすると、巴の唇はふかふかに柔らかくて。心地よくて離せない。
口腔に舌を差し入れても、巴は動かなかった。
幸直にとって、これが初めてのキスだった。
柔らかくて、温かくて、包み込まれるようで。舌と舌が合わさると、じんと腰が痺れて。
ゆっくり、かき回すようにすると、巴と混ざり合うような不思議な心地になって。
あんまり気持ちが良いから、夢中になってしまった。
だって、巴は嫌がっていない。なすがままだから、大丈夫。
あぁ、気持ち良い、気持ち良い、気持ち良い。
ずっと、このままでいたい。
でも、あまりにも反応がないものだから、心配になってしまった。
まさか、気絶でも、しているんじゃないかと。
舌は、動いているけど。気持ち悪すぎて、硬直しているとか?
不安が募って、幸直は目を開けた。
そうしたら…。巴がガン見してた。
目が、かっ開いている。
ええぇ? 良いの? 嫌なの? なんなの?
ギョッとして、幸直は唇を離した。
「おい、なんで目を開けたままなんだ?」
「だって、盛ったオスの顔をする幸直は、珍しいからな」
「…感想は」
「美形は、盛っていても美形、ということが判明した。間近で見ても、きめの細かい肌質は、女性もうらやむ、つるつる具合」
「見すぎだろ」
たまに、巴はこういうときがある。
ジッと見ているときは、なにか観察しているような真剣さなのだ。
そういうときの目は、すごく生き生きして、きらきらする。
普段は闇の底のような色なのに。
「どうしてキスなんか?」
んんっ、ここは誤魔化すぞ。全力で。
妄想がたまりすぎて、暴走したとは言えない。
「いやぁ、無防備に寝ている巴が、可愛いと思っちゃって。ま、起きてるときも可愛いけど」
「どうして上官が来たのに、知らせが来なかったのかな?」
軽く口説いたのに無視された。
むー、でも、このまま話がそれたら、それでよし。
「いやぁ、巴が道場にいるの、わかっていたから。使用人には、驚かせたいからそのまま行かせてって頼んだ」
「どうして既婚者で子供もいる幸直が、僕にキスをするのかな? 幸直は僕に恋愛感情はないはずだが」
「あ、そこに戻るんだ」
ですよね。
あれでは、誤魔化せないよね。
つか、巴は上げて落すよね。
そういう、ちょっと意地悪なところも好きだよ。人間味がある感じで。
「恋愛感情なんかないよ。親愛の表れかな?」
ここはきっぱり、完全否定しておく。
そうじゃないと、警戒されるからな。
巴に、距離を取られたくない。己の対象は女性だということを、印象づけておく。
まだ、男に迫られるのは怖いんだろう?
でも、己が巴に触れるのは当たり前、というところまで持っていきたい。
その上で巴が意識してくれたら。己に、恋してくれたら。と思っている。
でも今は、まだ早い。
「親愛の表れで、ベロちゅうするのか? 僕は初めてだったんだが」
重要情報を、ぽつぽつとぶっ込んできた。
よっし。巴の初めてのチュウは俺のものっ。
「マジ? 俺も俺も。キスしたの、巴が初めて」
これは、マジ話である。
「つか、既婚者がキス初めてなんて、そんなわけないだろ」
「結婚っつってもさ。血脈を残すための血族婚だからな。向こうがその気になったときに、タネを与えるだけさ。キスなんかしないよ。向こうはお姫様みたいな感じで、周りにいっぱい人がいてさ。すること済んだら、サッと引き上げてしまう。顔もまともに見たことないかも」
言うと、巴は眉間にしわを寄せた。
あ、やっぱ。この方式、変なんだ。
つか、自分も思うよ。あのやり方で、よく子供出来たなって。
思うに、あれは、情交というものではないと思うのだ。
だって、情なんか、交わしていないもんな。
抱き締めたことも、手を握ったこともない。
己は、彼女の笑みすら見たことがないのだ。
「で、僕なんかで、初めてのチュウを済ませて良かったのか?」
ふ、いいに決まっている。
つか、巴がいいんだ。
余裕ありげに、巴を引き寄せて。二度目のキスも奪った。
「初めてのチュウが巴で良かった」
爽やかに笑いかける。己には、邪な想いはない。という嘘を、自分に言い聞かせ、暗示をかける。
想いを通せば、それが真実になる…はずっ。
「つか、親友なら、チュウくらいするよ。俺と巴は親友だろ? キス、するする」
これは、友達の好きが高まってした、親愛のキスだと言い切る。
友達の悪ふざけ。友情の証。ただ、それだけ。
だから、キスを許して。
巴のくちづけは、己だけに許して。
巴は無表情に、やんわりうなずいて。
『そうか。じゃ、鍛錬するか? 親友』と腰を上げた。
いいよ、それで。今は、なにも思わないで。
犬に噛まれたと思ってくれても、いいよ。
でも、己にキスされることに、いつか慣れて。
それが嫌じゃなかったら。いつか巴を、俺のものにする。
とりあえず今日は。巴の初キスいただいて、超満足だ。
★★★★★
幸直は、奇襲隊を持っている。幹部直属の、別動隊だ。
巴は、黒い羽ということもあって、陰に隠れるのが得意だった。
崖から馬で降りる度胸もあるし、剣技も素晴らしいので。奇襲で、手裏の大隊陣形を崩すのに、とても役に立ったのだ。
赤穂も、巴の働きに、一目置いている。参謀補佐にすることも、すぐ了承してくれた。
あざっすっ。
己の補佐なのだ、堂々と、巴を伴って歩けるようになる。
そのことを巴に報告しに行ったとき、幸直は感極まって、巴に抱きついて、甘くくちづけてしまった。
深く唇を重ねて、舌と舌をこすらせて、ヌメヌメと口腔の中を味わう。
何度も口の角度を変えて、巴とのキスを堪能した。
それこそ、息も乱れるほどに。
唇を離したとき、巴はほんのり頬を染めて『幸直が喜んでくれるのは嬉しい…』と言ったあと、耳を鷲掴んで『けど、親友のキスならやりすぎだな? なっ?』と言いながら引っ張った。
痛い痛い。耳は人体の急所だぞ。
巴は、基本、許してくれるけど。彼の友達の境界を超えると、待ったがかかる。
そういうときの巴は、遠慮会釈もない。
デコピンで撃退したり、眉間をグリグリ押してきたり、力任せに手をつねったり。
美濃という苗字は威圧があり、友達と言えど、容易に打ち解けられないものがあるようなのだが。
巴は容赦ない。そこが、好き。
痛いのが好きなわけではない、けど。隔てなく親しい感じがして、いい。
今までそういう友達がいなかったから。幸直は、友達としても、巴が大好きなのだ。
そして、二十歳になる頃には。
正式に幹部入りの辞令が降りた。
己は筆頭参謀、巴は右次参謀だ。幹部は、序列はあるものの、対等に渡り合うことを許さている。なので、これで対等の、地位、身分である。
幸直も巴も、身分などはあまり気にしてはいないのだが。隣に居並ぶのに、身分もわきまえずに、と巴を批判する者も、少なからずいたので。
そういう輩を、黙らせることができる。
それが痛快だ。
巴は、そんなことを言われても『大丈夫、気にしていない』と言って。自分の隣にいてくれた。
だから、好きなのだ。
己が好きになる者は、みんなそばから離れていく。
遠慮して、謙虚に、健気に。
幸直は、そういう控えめな子も好きだが。
子供のときから、家柄や身分などで人が離れていく、悲しい思いをしてきたから。なにがあってもそばにいてくれる友人というのが。それだけで、幸直は、胸がよじれるくらいに、嬉しいのだ。
でも巴は、己の隣にいるのは遠慮しないのに。
自分の身分が高くなることには、気後れする。
幹部なんて、身に余る…と。
なにを言っているのだ?
巴は、五十人の猛者を打ちのめした、伝説の剣豪なのだ。
堺も瀬間も、巴の真面目さや、鍛錬の厳しい姿勢や、剣術の腕を買っているというのに。
巴は自分が強いことに、気づいていない節がある。
巴だけが、自分をたいしたことないと断じているのだ。
でも、まぁ。謙虚なのは。巴の良いところでもある。
遠慮する手を握り『俺の手助けをしてほしいんだ』とごり押しで頼んだら。少し困った顔をしつつも、うなずいてくれた。
その顔、好き。
頼りなげで、儚げで。
大丈夫、己が守ってやるからなっ、という気になるのだ。
そんなこともありつつ。幸直は、巴と同僚になれて、満足していた。
むしろ。参謀職では。側近に、その基本に忠実な戦術を褒められ『巴、よく勉強しているな。幸直も見習うべきだよね』なんて言われちゃって。
なんとなく、己の立ち位置の方が怪しくなって、苦笑したけどね。
とにかく、幸直も巴も、出世に関しては順風満帆だった。
しかし…幸直はひとつ気にかかっていることがある。
巴が自分で、羽を抜いているのだ。
見かけたら、止めるようにしているのだが。
爪を噛んだり、羽を抜いたりしてしまうのは、心の病だという説がある。
急に出世したから、心に負荷がかかっているのか?
それとも、まだ誰かに言い寄られて、嫌な思いをしているのか?
もしそうだったら、許さねぇと思い。聞いてみたが。
巴は、ただの癖だから気にするな、と言う。
本当かなぁ? 巴は、繊細な心根なのだと思うのだ。
男に乱暴されそうになったことが、心の傷になっているのだとしたら。
やはり、まだ手を出せないな。
肩を抱いても、頭を撫でても、親友のキスをしても…嫌がりはしない。己の手を拒むことはない。
そうしてゆっくり、触れ合いを増やしてはいるが。
性的な意味合いを持つようなことは、我慢している。
あの細い首に、噛みつきたい気はあるけれど。
きつく抱いて、体中に手を這わしたいけれど。
巴の心を壊したくないから、我慢だ。
心の負荷、と言えば。幸直にもある。
いわゆる、実家問題だ。
この前、ふたり目が生まれた。しかし。最後にしたのが、十一ヶ月前という…。
巴と出会ってから、巴以外の者と情交をするのが嫌だと感じ、極力やりたくなくて。実家への足が遠のいている。男児が生まれたので、もう解放してほしい、という気分なのだ。
けれど、一族からも、妻の実家からも、突き上げが激しく。
いやだいやだと思いながら、実家に帰ったものだから。逆に覚えているのだ。
いつ、家に帰ったのか、を。
十一ヶ月…微妙。そんな長い妊娠期間、あるのか?
ま、女性の体はよくわからないし。十月十日とはよく言うが、遅くも早くもなるということは知っているし。
そういうことも、あるのかもしれないが。
でも、もういいだろう?
離縁は、できないだろうが。ふたりも子を成し、義務は果たしたと思う。
己は、巴を伴侶にして、心のままに彼を愛したいのだ。
愛のない情交など、もうしたくない。
愛のある情交を、巴としたいのだ。
いや、まだ一度もしたことはないけれど。いつか、彼が己を好いてくれたなら…。
とにかく己は、巴を大事にしたい。巴と愛し合いたい。巴と睦み合いたいのだ。
そして、空いた第八大隊長の席には、巴を推薦し。比較的あっさり受理された。
黒の叛逆の一件は、周囲を震え上がらせるほどの反応があり。力技といえど、荒くれ集団を掌握した巴の統率力は、幹部にも評価されたのだ。
カラス血脈の巴が、それほど波風立たせずに大隊長におさまったのは、彼の努力のたまものだな。
これで、巴は。もう、変な輩に絡まれることはないだろう。
強くて、頭も良くて、上品な、可愛い系和風美人。
こうして、彼の印象を並べてみると、恋する要素しかなくね?
幸直はこの、最高の友達(まだ恋人ではない)を、絶対に手放す気はないのだった。
その三ヶ月ほど前、子供が生まれ。実家に帰って来いと言われて、戻ったが。
妻は相変わらず、顔を見せず。子供の世話をしているのは、乳母だった。
己の子だと言われ、見せられたのは、立派なクマタカの男児。
小さくて、可愛いと思ったが。
いつの間にか生まれていたという感覚が大きく。
親になった、という実感が湧かなかった。
普通なら、母の腹の中に入っているうちから、腹を撫でたりして、子供とも触れ合う気持ちになって。十月をかけて男親の自覚が育つのだろうが。
幸直の中には、なにも育っていないのだ。
妻への愛も。妻が生んだ子への愛も。
冷たい男だよな。自分でもそう思う。
結婚したなら、愛する努力をしろよって。
でも、あちらも非協力的だ。
まともに、話す時間も貰えないなんて。知り合いだって、顔を合わせれば、笑顔で挨拶くらいするだろ?
妻は、他人より遠い存在だ。
そんな状況で、わかり合えるわけもない。
言い訳、だろうか。でも、己は無理なのだ。そのような女性を愛することは。
父は、初めての孫に、目を細めている。
子供の誕生に、多くの使用人が右往左往している実家は、どこか他人の家のような気がして。
幸直は、早く本拠地に戻りたい。巴に会いたい。と思ってしまうのだった。
結婚している己は、巴に愛を求める資格はないのかもしれない。
しかし、愛を全く感じられない夫婦生活に、心は冷やされるばかり。
恋愛の炎で、心を温めたい。
燃え盛るほどの恋の業火で、身を焼かれたい。
そんな想いで、巴への恋情はつのるばかり。
手を伸ばさずにいられない。
幸直はずっと、愛に飢えているのだ。
そうした中、巴は大隊長としても、才能をたんたんと発揮した。
上の指示に忠実で、こう動けと命じれば、上の意図を察して従順に兵を動かす。
それは、言うほど簡単なことではない。
五百名の兵の動きを把握しつつ、号令に合わせて動かすのだ。並の統率力ではない。
巴の采配術は幹部にも好評で、使い勝手のいい大隊として、巴の評価も上々だった。
これなら、己の右腕として、参謀補佐に任じる許可が下りる日も近いな。
幸直は虎視眈々と、巴を手中におさめるべく、彼をそばに置く計画を進めていた。
思えば、一年前。
巴と出会ったのは、奇跡的だった。
巴が乱暴されそうになった事件は、痛ましいものだったが。たまたま巴が逃げてきた、その場に居合わせて、彼を保護することができた。
もし巴の存在を知らず、三十八組の者に、なぶり殺しにされていたら。
剣術も戦術も秀でた才能を内包していた原石を、むざむざ打ち捨てることになるところだった。考えられない。
彼を拾い上げ、引き上げたのは己だから、いずれ隣に彼を置くのだ。
今まで誰も助けられなかった、情けない己だが。
彼を救うことは、できたのかな? そうだといいなぁ。
その想いは、幸直に達成感をもたらした。
己が助けた者だから、これからも己が、腕の中で大事に守るのだ。
「絶対、離さない。誰にも、渡さない。俺だけのもの。俺の痛みも苦しみも理解して、そっと寄り添ってくれる…大切な人」
友愛も恋愛も親愛も複雑に混ざり合って、狂気的な独占欲が芽生え始めているのを。
幸直は心の奥底で感じていた。
巴は、充分強い兵士になったが、休むことなく、剣の鍛錬に励む。
もう、真面目なんだから。どんだけ強くなるつもり?
幸直も、負けていられないと思った。
一応、己の方が強かったわけだから、巴より上でいたいという意識がある。
五回に一回は、負けてしまうが。完全に抜かれるわけにはいかないから。幸直も鍛錬をする。
そうしてふたりで強くなっていくのだ。
それって、すごく楽しいし。なんか、嬉しいじゃん?
幸直は幹部入りしたことで、本拠地の中央に屋敷を構えることになった。
以前使っていた第八大隊長の屋敷は、巴が入ることになり。幸直は使用人を、そのまま残していったのだ。
ハグレを蔑む風潮は、巴が強くなったあとも、それなりにあり。使用人を集めるのが大変だろうと思ったから。
巴には、そういう些末なことでわずらわされてほしくなかった。
それよりも、鍛錬で剣術を磨いたり、戦術の勉強をしたり、有意義なことに目を向けてもらいたい。
以前は、幸直の屋敷に巴が遊びに…というか。道場に鍛錬しに来ていたが。
今は、幸直が、巴の屋敷に遊びに行く。
勝手知ったる屋敷に入り、道場に向かうと。真面目な巴は、やはりいた。
でも、道場の真ん中で、大の字になって寝ている。
これは珍しい。
床に汗が飛び散っているので、ひと練習終えたあと、というところか。
幸直は、巴が起きないよう、そっと近づいて、彼の寝顔を見やる。
少し汗に湿った黒髪は、艶を放ち。目蓋はしっかりと閉じられ。口は三角に開いている。
つか、髪を伸ばしてくれと言ったのに、今も短く刈り込まれ、細い首があらわになっている。
玉のような汗が、首筋にあるのを見れば。舐めたい衝動に駆られる。
この頃になると、幸直はもうはっきりと、巴に恋情を抱いているのを自覚していた。
さらには、欲情もしている。
よからぬ妄想は、当たり前で。自慰のおかずも、もっぱら彼。
でも巴に、性の対象にされているなどと知られたら。こんなふうにそばにはいられなくなるかもしれないな。
幸直は、巴を脅えさせたくなかった。
できたら、己に恋をしてほしいが。
あんな経験をしたら、すぐは無理だろうな。
だから今は、友達の立ち位置を崩したくはない。そばにいて、彼を誰にも渡さないのだ。
触れない。でも触れたい。
少しだけなら、友達の悪ふざけにならないだろうか?
彼の顔に視線を落とし、幸直は巴の唇をみつめる。
薄く、淡白な印象ながら。少し開いた口から漏れる、小さな寝息が可愛い。
彼の口は、開くと三角になる。下唇は真っ直ぐなのに、柔らかそうな上唇がムニュッと開いているのだ。
ずっと。出会った当初から思っていたのだが。
ここに、指を突っ込みたい。
柔らかい上唇をつまんで、口の中を探りたい。
己のモノを、この唇に愛撫されたら、どれだけ気持ちいいだろう…。
彼の口元は、妄想をかき立てた。想像だけで、たぎってくる。
それで、つい魔がさして。
巴の唇に、指で触れた。
指が沈むような、柔らかさ。やっぱり、ムニュッとしてる。弾力が…と堪能していたら。
巴の目が開いた。
寝惚けているのか、あの、魅惑の黒い瞳がジッとみつめてくる。
だから、みつめたら駄目だって言っているのに。
止まらなくなるよ。
巴が悪いんだからな?
誘うように、物欲しそうに、みつめるから。
幸直は巴の手を握って、起き上がれないようにし。顔を寄せてくちづけた。
もしも嫌がられたら、すぐに引くつもりだったぞ? 嫌がらせたくも、怖がらせたくもないのだ。
でも、唇で揉むようにすると、巴の唇はふかふかに柔らかくて。心地よくて離せない。
口腔に舌を差し入れても、巴は動かなかった。
幸直にとって、これが初めてのキスだった。
柔らかくて、温かくて、包み込まれるようで。舌と舌が合わさると、じんと腰が痺れて。
ゆっくり、かき回すようにすると、巴と混ざり合うような不思議な心地になって。
あんまり気持ちが良いから、夢中になってしまった。
だって、巴は嫌がっていない。なすがままだから、大丈夫。
あぁ、気持ち良い、気持ち良い、気持ち良い。
ずっと、このままでいたい。
でも、あまりにも反応がないものだから、心配になってしまった。
まさか、気絶でも、しているんじゃないかと。
舌は、動いているけど。気持ち悪すぎて、硬直しているとか?
不安が募って、幸直は目を開けた。
そうしたら…。巴がガン見してた。
目が、かっ開いている。
ええぇ? 良いの? 嫌なの? なんなの?
ギョッとして、幸直は唇を離した。
「おい、なんで目を開けたままなんだ?」
「だって、盛ったオスの顔をする幸直は、珍しいからな」
「…感想は」
「美形は、盛っていても美形、ということが判明した。間近で見ても、きめの細かい肌質は、女性もうらやむ、つるつる具合」
「見すぎだろ」
たまに、巴はこういうときがある。
ジッと見ているときは、なにか観察しているような真剣さなのだ。
そういうときの目は、すごく生き生きして、きらきらする。
普段は闇の底のような色なのに。
「どうしてキスなんか?」
んんっ、ここは誤魔化すぞ。全力で。
妄想がたまりすぎて、暴走したとは言えない。
「いやぁ、無防備に寝ている巴が、可愛いと思っちゃって。ま、起きてるときも可愛いけど」
「どうして上官が来たのに、知らせが来なかったのかな?」
軽く口説いたのに無視された。
むー、でも、このまま話がそれたら、それでよし。
「いやぁ、巴が道場にいるの、わかっていたから。使用人には、驚かせたいからそのまま行かせてって頼んだ」
「どうして既婚者で子供もいる幸直が、僕にキスをするのかな? 幸直は僕に恋愛感情はないはずだが」
「あ、そこに戻るんだ」
ですよね。
あれでは、誤魔化せないよね。
つか、巴は上げて落すよね。
そういう、ちょっと意地悪なところも好きだよ。人間味がある感じで。
「恋愛感情なんかないよ。親愛の表れかな?」
ここはきっぱり、完全否定しておく。
そうじゃないと、警戒されるからな。
巴に、距離を取られたくない。己の対象は女性だということを、印象づけておく。
まだ、男に迫られるのは怖いんだろう?
でも、己が巴に触れるのは当たり前、というところまで持っていきたい。
その上で巴が意識してくれたら。己に、恋してくれたら。と思っている。
でも今は、まだ早い。
「親愛の表れで、ベロちゅうするのか? 僕は初めてだったんだが」
重要情報を、ぽつぽつとぶっ込んできた。
よっし。巴の初めてのチュウは俺のものっ。
「マジ? 俺も俺も。キスしたの、巴が初めて」
これは、マジ話である。
「つか、既婚者がキス初めてなんて、そんなわけないだろ」
「結婚っつってもさ。血脈を残すための血族婚だからな。向こうがその気になったときに、タネを与えるだけさ。キスなんかしないよ。向こうはお姫様みたいな感じで、周りにいっぱい人がいてさ。すること済んだら、サッと引き上げてしまう。顔もまともに見たことないかも」
言うと、巴は眉間にしわを寄せた。
あ、やっぱ。この方式、変なんだ。
つか、自分も思うよ。あのやり方で、よく子供出来たなって。
思うに、あれは、情交というものではないと思うのだ。
だって、情なんか、交わしていないもんな。
抱き締めたことも、手を握ったこともない。
己は、彼女の笑みすら見たことがないのだ。
「で、僕なんかで、初めてのチュウを済ませて良かったのか?」
ふ、いいに決まっている。
つか、巴がいいんだ。
余裕ありげに、巴を引き寄せて。二度目のキスも奪った。
「初めてのチュウが巴で良かった」
爽やかに笑いかける。己には、邪な想いはない。という嘘を、自分に言い聞かせ、暗示をかける。
想いを通せば、それが真実になる…はずっ。
「つか、親友なら、チュウくらいするよ。俺と巴は親友だろ? キス、するする」
これは、友達の好きが高まってした、親愛のキスだと言い切る。
友達の悪ふざけ。友情の証。ただ、それだけ。
だから、キスを許して。
巴のくちづけは、己だけに許して。
巴は無表情に、やんわりうなずいて。
『そうか。じゃ、鍛錬するか? 親友』と腰を上げた。
いいよ、それで。今は、なにも思わないで。
犬に噛まれたと思ってくれても、いいよ。
でも、己にキスされることに、いつか慣れて。
それが嫌じゃなかったら。いつか巴を、俺のものにする。
とりあえず今日は。巴の初キスいただいて、超満足だ。
★★★★★
幸直は、奇襲隊を持っている。幹部直属の、別動隊だ。
巴は、黒い羽ということもあって、陰に隠れるのが得意だった。
崖から馬で降りる度胸もあるし、剣技も素晴らしいので。奇襲で、手裏の大隊陣形を崩すのに、とても役に立ったのだ。
赤穂も、巴の働きに、一目置いている。参謀補佐にすることも、すぐ了承してくれた。
あざっすっ。
己の補佐なのだ、堂々と、巴を伴って歩けるようになる。
そのことを巴に報告しに行ったとき、幸直は感極まって、巴に抱きついて、甘くくちづけてしまった。
深く唇を重ねて、舌と舌をこすらせて、ヌメヌメと口腔の中を味わう。
何度も口の角度を変えて、巴とのキスを堪能した。
それこそ、息も乱れるほどに。
唇を離したとき、巴はほんのり頬を染めて『幸直が喜んでくれるのは嬉しい…』と言ったあと、耳を鷲掴んで『けど、親友のキスならやりすぎだな? なっ?』と言いながら引っ張った。
痛い痛い。耳は人体の急所だぞ。
巴は、基本、許してくれるけど。彼の友達の境界を超えると、待ったがかかる。
そういうときの巴は、遠慮会釈もない。
デコピンで撃退したり、眉間をグリグリ押してきたり、力任せに手をつねったり。
美濃という苗字は威圧があり、友達と言えど、容易に打ち解けられないものがあるようなのだが。
巴は容赦ない。そこが、好き。
痛いのが好きなわけではない、けど。隔てなく親しい感じがして、いい。
今までそういう友達がいなかったから。幸直は、友達としても、巴が大好きなのだ。
そして、二十歳になる頃には。
正式に幹部入りの辞令が降りた。
己は筆頭参謀、巴は右次参謀だ。幹部は、序列はあるものの、対等に渡り合うことを許さている。なので、これで対等の、地位、身分である。
幸直も巴も、身分などはあまり気にしてはいないのだが。隣に居並ぶのに、身分もわきまえずに、と巴を批判する者も、少なからずいたので。
そういう輩を、黙らせることができる。
それが痛快だ。
巴は、そんなことを言われても『大丈夫、気にしていない』と言って。自分の隣にいてくれた。
だから、好きなのだ。
己が好きになる者は、みんなそばから離れていく。
遠慮して、謙虚に、健気に。
幸直は、そういう控えめな子も好きだが。
子供のときから、家柄や身分などで人が離れていく、悲しい思いをしてきたから。なにがあってもそばにいてくれる友人というのが。それだけで、幸直は、胸がよじれるくらいに、嬉しいのだ。
でも巴は、己の隣にいるのは遠慮しないのに。
自分の身分が高くなることには、気後れする。
幹部なんて、身に余る…と。
なにを言っているのだ?
巴は、五十人の猛者を打ちのめした、伝説の剣豪なのだ。
堺も瀬間も、巴の真面目さや、鍛錬の厳しい姿勢や、剣術の腕を買っているというのに。
巴は自分が強いことに、気づいていない節がある。
巴だけが、自分をたいしたことないと断じているのだ。
でも、まぁ。謙虚なのは。巴の良いところでもある。
遠慮する手を握り『俺の手助けをしてほしいんだ』とごり押しで頼んだら。少し困った顔をしつつも、うなずいてくれた。
その顔、好き。
頼りなげで、儚げで。
大丈夫、己が守ってやるからなっ、という気になるのだ。
そんなこともありつつ。幸直は、巴と同僚になれて、満足していた。
むしろ。参謀職では。側近に、その基本に忠実な戦術を褒められ『巴、よく勉強しているな。幸直も見習うべきだよね』なんて言われちゃって。
なんとなく、己の立ち位置の方が怪しくなって、苦笑したけどね。
とにかく、幸直も巴も、出世に関しては順風満帆だった。
しかし…幸直はひとつ気にかかっていることがある。
巴が自分で、羽を抜いているのだ。
見かけたら、止めるようにしているのだが。
爪を噛んだり、羽を抜いたりしてしまうのは、心の病だという説がある。
急に出世したから、心に負荷がかかっているのか?
それとも、まだ誰かに言い寄られて、嫌な思いをしているのか?
もしそうだったら、許さねぇと思い。聞いてみたが。
巴は、ただの癖だから気にするな、と言う。
本当かなぁ? 巴は、繊細な心根なのだと思うのだ。
男に乱暴されそうになったことが、心の傷になっているのだとしたら。
やはり、まだ手を出せないな。
肩を抱いても、頭を撫でても、親友のキスをしても…嫌がりはしない。己の手を拒むことはない。
そうしてゆっくり、触れ合いを増やしてはいるが。
性的な意味合いを持つようなことは、我慢している。
あの細い首に、噛みつきたい気はあるけれど。
きつく抱いて、体中に手を這わしたいけれど。
巴の心を壊したくないから、我慢だ。
心の負荷、と言えば。幸直にもある。
いわゆる、実家問題だ。
この前、ふたり目が生まれた。しかし。最後にしたのが、十一ヶ月前という…。
巴と出会ってから、巴以外の者と情交をするのが嫌だと感じ、極力やりたくなくて。実家への足が遠のいている。男児が生まれたので、もう解放してほしい、という気分なのだ。
けれど、一族からも、妻の実家からも、突き上げが激しく。
いやだいやだと思いながら、実家に帰ったものだから。逆に覚えているのだ。
いつ、家に帰ったのか、を。
十一ヶ月…微妙。そんな長い妊娠期間、あるのか?
ま、女性の体はよくわからないし。十月十日とはよく言うが、遅くも早くもなるということは知っているし。
そういうことも、あるのかもしれないが。
でも、もういいだろう?
離縁は、できないだろうが。ふたりも子を成し、義務は果たしたと思う。
己は、巴を伴侶にして、心のままに彼を愛したいのだ。
愛のない情交など、もうしたくない。
愛のある情交を、巴としたいのだ。
いや、まだ一度もしたことはないけれど。いつか、彼が己を好いてくれたなら…。
とにかく己は、巴を大事にしたい。巴と愛し合いたい。巴と睦み合いたいのだ。
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