【完結】異世界行ったら龍認定されました

北川晶

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幕間 その頃の幸直と巴   ★

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     ◆幕間 その頃の幸直と巴

 視察という名で、本拠地を出て行った青桐たちを。堺の屋敷の前で見送った、幸直と巴は。堺の家令に告げた。

「今日は俺たちも、自分の屋敷に戻る。主のいない屋敷に泊まるのは、肩身が狭いからな」

 家令はうけたまわりましたと頭を下げ。
 そして幸直たちは、いつもどおり指令本部に行く。
 青桐たちがいなくても、書類は待ったなしだ。
 夕方まで、みっちり机に張りついて仕事をし、日暮れ前に終える。

 指令本部から屋敷までの道のりは、それなりにある。なので、馬に乗って帰宅するわけだが。
 特に体を動かしたわけでもないのに、疲労を感じる体を、馬の上で伸ばしてほぐす幸直に。並列で馬に乗る巴が聞いてきた。

「幸直、今日は…」
 堺の家に帰らないのなら、これからどうするのだ? と巴は聞きたいのだろうと、幸直は思った。

「俺の家に来いよ、巴。邪魔者のいないところで、ゆっくり甘えさせてもらうから」
「それもいいのだが。今日は、僕の屋敷に来ないか? もてなしをさせてくれ」
「巴のもてなし、というと…酌をしてくれるとか? 膝枕とか? 風呂で体洗ってくれるとか?」
 周りには誰もいないが、馬を少し寄せて、幸直はひっそりと囁く。
 巴は、それに苦笑いだ。

「まぁ…してもいいが。絵を見てもらおうと思って」
 幸直は、その言葉に目を輝かせた。
 年末に、ちらりとだけ見たが。それ以後、幸直は巴の絵を見たことがない。
 絵を描いていたというのも、年末に初めて知って。この前、紫輝との話の中で、巴が絵を描いて暮らしたいという望みを持っていることも、そのとき初めて知ったのだ。

「わぁ、見る見る。この前は、あまり見せてもらえなかったから、気になっていたんだよぉ」
「あれは途中だったから。半端な絵は見せたくないんだ」

「俺は、自分では描かないが、美術品などは、それなりに見てきたから。目は肥えているぞ。巴、大丈夫か?」
「さぁ、僕は胸の中にあるなにものかを、吐き出したいから、描いているだけだ。ま、評価は存分にしてくれ」
 どんな絵が見られるのだろうと、幸直はわくわくして。巴の屋敷に、馬の頭を向けたのだ。

     ★★★★★

 久しぶりに、自分の屋敷に戻った巴だったが。留守中も、使用人が屋敷を綺麗に整えてくれていた。
 幸直をもてなす料理や用意を頼んで。巴は幸直を、絵の仕事部屋へ案内した。

 紙に描く鉛筆画や墨絵は、その気になったときにサッと描けるので、膨大な量があるが。幹部にもなって、金銭に余裕ができたので。掛け軸や屏風びょうぶなどにも、絵を描くようになっていた。
 題材は、もっぱら、幸直が持ってきた季節の花々や。今まで目にしてきた、雄大な自然風景だ。
 部屋に入ってすぐ、幸直の目に飛び込んだ、大きな屏風に描かれていたのは。

 綺麗な百合の花だった。

 屏風は二枚、または複数枚の縦長の板に丈夫な紙を貼りつけた、風よけの道具だが。
 幸直が目にしているのは、横長の、腰高屏風に描かれた、一枚絵である。
 用途は寝台の目隠しや部屋の仕切りだが、おおよそ美術品扱いだ。

「うわぁ、すごく綺麗だな。立体感が。なんか、花びらの質感とか、茎とか、さわれそうだ」
 絵に、手で触れてはいけないことくらいは、わかっているので。しないが。本当に、飛び出て見えるほどに、そのものが、そこにあるように目に映った。
 それは、今まで見た絵画の中の、どれとも違う。そして明らかに玄人くろうと以上の、質と出来だった。

「幸直が、僕に初めてくれた花だった。そのときの感動を残しておきたくて、すぐに絵にしたのだが。物足りなくて、屏風にしてしまった。気に入ったなら、幸直の屋敷に送ってやるが?」

「でも、巴が欲しくて作ったのだろう?」
「僕は、いくつでも描けるから」
「本当に? じゃあ、貰おうかな。巴の絵を、毎日見て暮らせるなんて、最高だ。それにこの百合は、巴の立ち姿に似ていると思って贈ったものだから、なんとなく、そこに巴が立っているようにも見えるよ」

 幸直の言葉に、巴はポッと頬を赤らめた。
「そういうふうに言われると。なんだか気恥ずかしいな」
「ダメダメ、この屏風は、もう俺のものだから。ちゃんと、送ってくれ。あ、名も記してな」
「あぁ。じゃあ、幸直が僕の、初めてのご贔屓ひいきさんだな」
 巴の作品を、己が一番に手にできるのも、嬉しいことだが。
 あの、ドキドキしながら巴に贈った花束が、いまだ絵の中に色鮮やかに残っているのを知り。

 幸直は超感動したのだった。

     ★★★★★

 風呂では、巴に、髪も体も丁寧に洗ってもらい。その細い指先の動きを、堪能した。
 石鹸は高級品で、普段は使用しないが。手に泡を作り、肩や胸を撫でるように、巴が繊細な手つきで洗ってくれる。
 湯けむりの中、巴の一重の目蓋が、妖艶に見え。誘われるように、くちづけた。
 胸と胸を合わせて、鼓動を重ね。ゆるりと動いて、互いに泡をこすりつけ合う。
 波に漂うような心地よさの中に、性感の愉悦が生まれ。互いの局部も、張り詰めてくる。

「ん、んぅ…」
 唇を離さないから、鼻から艶声が漏れた。
 ぬるりとした局部の刺激に、巴はお尻をくねらせて逃げるが。幸直は臀部を力強く掴んで。逆に、巴の屹立に剛直を押しつける。
 その淫猥な享楽に酔いしれ。腕の中で巴が身悶えるサマを、長く、目で楽しんだ。

 舌を絡める、くちゅくちゅとした音と。泡がはじける、にゅるにゅるとした音が。ふたりを高ぶらせ。精を吐き出すまで、その淫靡な音と甘い吐息が、浴室に響いていた。

 風呂上りは、浴衣と丹前という楽な格好になり。夕食で酌をしてもらい。自分も巴に、酒を注いで。ほろ酔いの良い気分になって。
 御馳走を堪能したあと、巴の部屋に、ふたりで入った。

 今は、寝台の上で膝枕をしてもらっているところだ。

 あぁ、なんていう至福の時間。手厚いおもてなしに、幸直は御満悦だった。
「ここは、天国か、楽園か。なぁ、巴。明日の仕事は休みにして、一日中、寝台の中で過ごそうぜ?」
「駄目だよ、幸直。それでなくても、上司が不在なんだ。幹部が誰もいない状況は、作り出せない」
「もう、真面目だな、巴はっ」

 幸直は巴の胴に腕を回し、腿に頭をすりつける。
 年末、巴に膝枕してもらってから、常々、もう一度体験したいと思っていたのだ。
 究極に、甘え倒しているという感覚になる。
 そして、その甘えを、許されている。それが心地いいのだ。

「その代わり、彼らが帰ってきたら、休暇を貰おう。外に遊びに出てもいいし。二日間、寝台にこもってもいい」
「なにそれ…最高じゃん。そうしよう。よし、明日も仕事するぞ」
 巴の提案に、幸直は、がぜんやる気が出てきた。
 だが、それはそれ、これはこれだ。

「じゃあ、今日は。なにして遊ぶ?」
 巴の浴衣の帯をほどきながら聞く、幸直の問いに。艶事の意味合いがあるのは、わかっている。

「風呂でも充分盛り上がったのに、まだご所望ですか? ご主人様」
「もう、そういうのなしだぞ。俺と巴は、対等だ」
 怒って、そうは言うけど。幸直は自分の浴衣を寝台の下に投げ捨てながら、巴を組み敷くのだ。

「…命令じゃないけどぉ、口で、してくれるか?」
 幸直は、巴の唇に人差し指を当てる。
 その柔らかい唇の弾力を楽しみ。口の端から口の端へ、なぞるように行き来させてから、下唇をめくって、指を口腔に差し入れる。
 言われる前に、巴は、幸直の指先にチュッと吸いついて。舌で指先を包むように舐め撫でる。
 命令でも、命令でなくても、巴は幸直の要望にはなんでも従うつもりだ。

「初めて会ったときから、思ってた。柔らかそうな唇だって。巴にくわえてもらったら…夢心地になるだろうって」
 チュプと音をさせて、幸直の指を離し、唾液を舌先で拭うと。
 巴は幸直を、熱くみつめた。

「夢を壊したら、すまない。でも、最善を尽くすよ」
 枕をいっぱい詰んだ上に、一糸まとわぬ幸直を寝かせる。
 少し上半身が起きた状態で、立てた足の間に、巴は体を入れ込んだ。
 巴は…まだ浴衣を羽織った状態だが、全裸同士になると肌色が多いな、なんて。絵面えづらを考えてしまい。このままでいいかと思うのだった。

「間近に見ると、おっきぃな。これが自分の中に入るとか、信じられない」
 期待してか、すでに隆々とみなぎっている幸直のモノを、巴はしげしげと見やってから。チュッとキスをした。そして茎にパクリと食いつく。
 幸直は、歯を立てられたわけでもないが、少しひやりとする。
 でも、巴が唇で揉むようにしながら、舌でなぞり上げていくのを見て。ぞくぞくと官能が湧き上がってくる。
 落として、上げられ。逆に敏感になるみたいな。

 突端にたどり着いた巴の舌先が、己の雁首かりくびを熱心に舐めるから。快感がどんどん襲い来る。
 ヤバい。全く躊躇することなく、飴玉を味わうみたいに、巴はつるりとした幸直の先端を、チュプチュプといやらしい音を立てながら、舐めしゃぶった。
 そして蜜口に舌先を入れ込む。

「く…ぅ」
 そこは、マジで、ヤバいって。声、出る。

 だが巴は、幸直が反応したことに気を良くして、微笑みさえ浮かべながら、そこを重点的に攻めてくる。
 いつも、弱いところを攻められているから、お返しのつもりか?
 でも。そうはいかない。
「巴、口を開けて…含んで」
 言われるとおり、巴は、あの柔らかい唇をおずおずと開く。歯を当てないよう、先端をムニュッとした感触の唇で優しく覆い、ゆっくりと剛直を咥えこんでいった。
 枕と己の体の間に挟まる翼が、ビビビッとなる。

 ずっと、したいと思っていた状況が、目の前にっ。
 己のモノが、巴の口の中にっ。
 視界の暴力。破壊力が半端ない。

「…っ、頭を動かして、口の中の柔らかい部分に、俺のを当てるように」
 うなずく頭の動きで、巴は幸直のモノを愛撫する。
 幸直は手を伸ばして、巴の頭を支え。彼の上顎で、突端をこするように動かす。
 上顎のぼこぼこした感触が、敏感な突端を刺激し。腰を突き上げたい衝動に駆られる。

「ん、ん、んん…」
 でも、巴が苦しげな吐息を鼻から漏らすから。
 我慢我慢。
 飲み込めきれない唾液が、茎をツッと伝い降りる。その些細な感触にも、幸直は奥歯を噛むほど感じた。

「あぁ、いい。巴、こっち見て」
 剛直を咥えたまま、巴は幸直に視線を送る。
 重めの目蓋が、上目遣いで開き、可愛い顔。
 情欲に濡れる黒真珠の瞳、色づいた唇に包まれた己のモノ、目に見えるすべてが、淫猥で刺激的だった。

 幸直は支えていた手で、巴の頭を上げさせた。
「ん、ぁ…幸直っ」
 美味しいものを取り上げられた、みたいな声を巴があげる。
 なにそれ、愛おしすぎるっつうの。
 大丈夫、一番の御馳走を取り上げたりはしないから。

「先走りを、舌で舐め取って。先端ばかりじゃなくて、根元から全部、愛して?」
「ん、わかった」
 唇をいつものへの字にして、小さくうなずくと。巴は再び、剛直にむしゃぶりついた。
 もう、可愛いっつうの。

 両手で剛直を支え持ち、垂れた唾液も、己の蜜液も、丁寧に舐め取って。舌先をとがらせて根元を突くように刺激したり、繊細な指の動きで撫でさすったり。

「あふれるの、吸い取って」
 舌でペロペロして先走りを拭った巴は、先端に吸いつき。口を離すときに、チュポッと音をさせる。
 それを何度か繰り返されると、たまらなかった。
 腰の奥から、なにかが吸い出されるような感覚。
 その鮮烈な性感に、没頭してしまう。もう、限界が近かった。

「舌を動かすのも忘れないで…あぁ、いい。巴、イくよ」
 言うと、巴は。再び剛直を口に迎えた。充分に高まり切っていた幸直は、巴の上顎に少し己をこすりつけるだけで、極めてしまう。
 勢いよく、巴の口の中に精をほとばしらせた。
「んん…んっ、んっ」
 剛直を含んだまま、巴は精を嚥下した。
 放出の体感に、幸直はいつも至福を味わうが。それは、巴の愛に包まれているからだ。
 飲み込めきれずに、こぼした白濁も。すべて綺麗に舐め取っていく。その巴の行いに、幸直はひしひしとそれを感じた。

「おいで、巴」
 両手を広げて誘うと、巴は、はにかんだ笑みを見せ。幸直の胸に飛び込んだ。
 巴の頬に飛ぶ己の白濁を、幸直は親指で拭い取り。感謝のキスを顔中に散りばめる。

「巴、俺のこと、愛してくれて、ありがとう。嫌じゃなかったか?」
「嫌なことなどあるわけない。僕は幸直の、どんな顔も見たいんだから。口に含んでいくときの、期待に輝く目も。僕に煽られて、情欲にゆるむ頬も。快感を噛みしめて耐える、野性的な顔も…」

 巴は幸直の頬を両手で包んで、いかにも愛おしげに微笑んだ。
「でも、いつも達するときの顔は、見れないんだ。今も、幸直に頭をおさえられて、見れなかった」

 巴は、それほど表情豊かではないのだが。あからさまに、シュンとしているのはわかる。
 そんなに?

「そんな、まぬけな顔、見られたくないんだが」
 あの瞬間は、顔を作ることなどできないから。絶対にアホみたいな顔をしてるに違いない。
 己の顔が好きだと言う巴に、見せたい顔ではないな。

「イくときは、僕も一緒のことが多いから。いつも目をつぶって、見れない」
「じゃあ、いつも一緒に達するようにしてやる。絶頂のときの顔など、屏風にされたらかなわない」
 幸直が言うと、巴は少し残念そうに、眉尻を下げる。
 おい、まさか。己の顔を屏風に残す気じゃないだろうな?

「俺の春画を作るのは禁止だぞ」
「…一番好きなのは、僕を組み敷くときの、ギラギラした目つきの顔だ。その美しい顔に、人間味と、生命力が乗る瞬間が。いいのだが?」
 巴が、自分の下着を脱いで、誘うから。
 幸直は胸を躍らせ、巴を甘やかに抱き締める。

「いいよ。じゃあ、翼を開いて。俺に全部ちょうだい」
 枕を積み上げた上に、今度は巴が翼を開いてあおむけになり。両手を差し伸べる。

「すべて、君のものだよ。幸直」

 不敵にニヤリと笑い、幸直は巴のすべてを奪うべく、彼を組み敷いた。
「今度は、イく顔、見れると良いな?」
 見せるつもりはないけどな、と思いながら。幸直は巴にくちづける。

 ふたりの夜は、これからだ。

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