127 / 159
85 負のループ
◆負のループ
紫輝が、天誠と藤王と、ともにいたとき。高台から、赤穂と月光が降りてきた。
赤穂は、作務衣に丹前羽織っているラフなスタイルだが。月光は、着物を重ね着して、エプロンみたいな腰巻をつけた、この世界の女の子が好むスタイルだ。
なんというか、膝下のロングスカートにロングブーツ履いてるボブカット女子に見えるよ。
「わぁ、本当に藤王がいるぅ。首尾よく仲間に引き入れられたみたいだね?」
ピンクの大翼をわさわささせながら、月光が言うのに。藤王は小首を傾げる。
まぁ、つい最近、金蓮暗殺の場にいた月光とも、顔を合わせていたのだが。
藤王の、月光の印象というのは、赤穂の陰に隠れて、おとなしくしているフラミンゴ。というものだったのだ。
こんな、きゃぴきゃぴした女子ではない。
「赤穂様、瀬来様、その節はどうも…」
一応、目礼して謝る藤王。
肩身狭そう…と紫輝は思う。
ま、仕方ないよね。赤穂を傷つけたし。
「本当だよねぇ、困っちゃったよねぇ、こんなことになっちゃうなんてねぇ…」
そうしたら、やっぱり月光が、ネチネチし始めたよ。
ですよね。言うよね。
「もう、月光さん。チクチク言わないの」
頬を膨らませる月光の背中、というか肩を押して、紫輝は早々に高台に上がろうとした。
トラブル回避だ。
そうしたら、紫輝の後ろをついてきたライラが、藤王の隣に通りがかったとき、言った。
「あなた、おんちゃんを泣かせたことは、どうやらごかいだったみたいね。いいわ、ゆるしてあげる。白いのどうしで、あたしがお嫁さんになってあげてもいいわよ?」
「ダメッ」
急に紫輝が大きな声を出すから、月光はひえっと、翼をすくめた。
月光にはライラの声は聞こえていない。
紫輝はライラのそばに寄ると、首に抱きついて、懇願した。
「駄目だよぉ、ライラは俺のお嫁さんになるんだろう? 白いの仲間だろうと、ライラはお嫁に行かせないからっ」
最初の方はライラに、後ろの方は藤王に向かって紫輝は言った。
でも、藤王はきょとんだ。
「おまえはなにを言っているのだ? つか、これも。また文句言っているのか?」
藤王は眉間にしわを寄せて、これ、とライラを指差す。あれ?
「ライラの言葉、聞こえてないの? でも、最初の頃、話してたのに」
「棘を抜いたら、聞こえなくなった」
しばらく無言で、紫輝と藤王がみつめ合っていたが。
そこに天誠が、注釈を入れる。
「二年前からまとっていた紫輝の能力の欠片と、ライラの呪いが解けたから、ライラの話は聞こえなくなったんだろう」
「じゃあ、ライラがお嫁さんになる話は、なしで。お話しできないんだって。残念だねぇ」
「あら、おはなしできないの? ざんねんねぇ」
紫輝とライラは、お嫁の話をとっととチャラにして、月光とともにルンルンで高台に登って行った。
それに堺と青桐も続いていく。
「…なんだったんだ?」
「ライラは神秘なので、深く考えるな」
さっぱり状況が読めない藤王に、安曇は笑いかける。
愛想の良い安曇、なんか怖い。
「藤王、ちょっと話があるんだが」
そこに、赤穂が声をかけてきた。
藤王は、彼をじっくり見やる。
先ほど、青桐と話したが。目の前の赤穂は、やはり瓜二つ。しかし、まとう気迫が、段違いだと感じた。
表面だけ見れば、別人だと思う者は、少ないだろうが。
見る人が見たら、別人だとわかる。
でもそういう相手は、だいたい手練れの者。
幹部級はこの顛末は知っているだろうから、支障はないのかもしれない。
「赤穂と藤王がふたりきりというのは、良くない。俺も同席させてもらう」
「だいぶ、赤裸々な話をするつもりだ。俺は良いが、藤王はもしかしたら、安曇には知られたくない話かもしれないが?」
気遣うように、赤穂が藤王を見やる。
将堂の猛犬、血塗られた闘将と言われ。手裏兵も、味方の将堂兵も恐れるという、赤穂が。意外と配慮のできる男なので、驚いた。
藤王も、赤穂のことを、誰彼かまわず斬るような、血に飢えた男のように思っていたので。
でも、よくよく考えると。赤穂の評価は、金蓮が口にしたことばかりだ。
藤王は、弟の上司であった赤穂と、普通に会話していたし。あの繊細な弟が、彼のそばにいて、壊れることはなかったのだから。
本人を見ずに、他人の評価で彼を評価した、己が愚かだった、ということなのだろう。
「ちょうどいい。堺や紫輝の前では言えなかった、私の根幹に関わる部分を、今回の計画の主軸である安曇には知っておいてもらいたい。私が将堂憎しな件、赤穂、おそらく、その辺の話であろう?」
「たぶん。俺の屋敷で宴席の用意がされているから、本邸で話してもいいか?」
安曇がうなずいたので、三人は高台に上がっていき、人気のない本邸に入っていった。
その間も、藤王は思案していた。
青桐と気迫が段違い、とはいえ。やはり丸くなったような気がする。
堺が十五歳のとき、藤王は将堂を離れたが。そのとき、赤穂は十三歳。年若く当主になった金蓮のことを、あなどる者や、苦言という名の暴言を吐く輩を、問答無用で斬り捨てていた。
あの頃の赤穂は、ガリガリにとがっていた。
紫輝は、金蓮と赤穂の子供だという。
この八年で、赤穂にも、いろいろあったということなのだろう。
本邸には、先触れをしていたのだろう。居間の囲炉裏には火がついて、室内は暖かい。
安曇の腹心である亜義が、お茶を人数分用意すると。安曇が言った。
「亜義、人払いしろ。おまえも下がっていい」
小さく頭を下げると、亜義は部屋を出て。辺りは静かになった。
この村は、亜義のような隠密が、そこかしこにいる気配がある。
安曇は紫輝を守るため、と言うのだろうが。将堂の要人も、この村には集結しつつあり。万全の警備がなされているのだろう。
話を始める前に、藤王は赤穂に頭を下げた。
「赤穂様、申し訳ありませんでした。貴方を殺すつもりは、毛頭なかったのですが…」
「矢を射たのは、銀杏なのだろう。おまえは指示したにすぎない。ま、痛かったがな。傷が、というより。息子の命を縮めたかもしれないことに…」
赤穂の言葉に、安曇も深くうなずく。
「それは、俺も痛かった。紫輝が千夜の傷を治したとき、消耗が激しかったので、二度と使うなと釘を刺してはおいたのだが。ま、父親が死ぬとなったら…やはり紫輝は止まってくれなかった」
赤穂は、父親と言われ、ニヤリとするが。
ただ嬉しがってもいられないという、複雑な表情を見せた。
「赤穂様の傷を治したのは、紫輝なのか?」
藤王は安曇にたずねる。
どうやって? あの龍鬼は傷も癒せるのか?
「紫輝は、時を操る龍鬼だ。その物の時間を巻き戻して、維持している。という感じか」
「傷を治すのではなく、その物の時間を巻き戻す? なんて出鱈目な能力だ」
そして、膨大で、圧倒的な能力だ。
藤王は、己の能力がそれなりに高いと自負していた。
特殊能力に関しても、己の力が強いから、他者の特殊能力を模倣できるのだと思っている。
しかし、紫輝は。己よりはるかに強力な龍鬼で。
だから己は、時空の穴に手を突っ込むことしかできなかった。
紫輝の能力の片鱗をなぞったにすぎなかったのだと、今、気づいた。
時間を巻き戻して、維持?
いくら模倣する能力があったとしても、そんなのできる気がしない。
「…技を繰り出すことが、龍鬼の寿命に関わるという噂がある。知っているか?」
赤穂が安曇に聞く。それは紫輝の寿命に関する、繊細な話題だ。
「あぁ、俺も一時は、龍鬼として過ごしていたので。そのとき、これほどに差別される龍鬼というものは、いったいなんなのかと、研究したことがある。そこで、そういう文献を読んだことがあった。まぁ、理にかなっている。普通は使えない能力を使えば、肉体に負担がかかるのは道理だ。紫輝は子供のときに、時空を超えた。それは、かなりの大技だろう。加えて千夜と赤穂の傷を治した。もう大技は使わせねぇ」
「わかっているなら、いい。で、藤王への話というのは、他でもない。金蓮と寝たか?」
雑談からの、唐突な本題突入に、藤王は飲んでいたお茶が気管に入ってむせた。
先ほどは、配慮のできる男かと思って、感心したのに。やっぱり無神経だった。
そして無神経に、赤穂は話を続ける。
「人格者であった藤王が、将堂を裏切るというのが、俺はどうにも信じられなくてな。だが、人格者であるがゆえに受容できないものがあるのだろうと、安曇に言われ…そして思い当たったのだ。将堂を見限り、金蓮を暗殺しようと思うほどの、屈辱的ななにか。煮え湯を飲まされたと感じるほどのなにかが。金蓮と関係を持った折に、あったのだろう?」
ようやく息を整え、藤王は睨むような眼力で赤穂を見やる。
「…っ、寝る、が、性交を指すのなら、寝ていない。一方的に体をいじくられたがな」
「なるほど。それは確かに、煮え湯に等しいな。心の伴わない性行為ほど、心を傷つけるものはない。俺も体験したからわかるぞ。兄上は…俺を藤王だと思い込んでいた」
驚きに、藤王は目をみはる。
自分がいなくなったことで、金蓮の毒牙が赤穂に向いたのかと思い、いたたまれない気になり。顔を曇らせる。
「俺は、月光を愛していたが、そのときは一緒にいられなくて、苦しくて。同じ傷痕を兄上と舐め合ったのだ。だから、藤王がそんな顔して、気に病むことはない。ある意味、同意だった。互いに間違った、同意ではあるが…」
苦々しい顔つきで、赤穂は唇を噛む。
「だが、紫輝が生まれたことは、最上の喜びだ。紫輝には、両親が愛し合って生まれたのだと、言ってやりたかったが。あの子は聡いから、それも隠しきれなくてな。しかし、あの子は月光との仲をつなぐ、かすがいになってくれて。紫輝がいなかったら、俺と月光は、いまだ、暗闇の中を歩いていたかもしれない。ただ存在するだけで、愛おしい子だ。だから俺は、もう金蓮に憎しみは向けない。ただ、ひたすらに、あの子を守るつもりだ」
藤王は、きゃぴきゃぴした、先ほどの月光を思い出す。
突出した頭脳を持ち、将堂の宝玉と誉めそやされていたはずなのに。彼はなぜか、華々しく前面に立つことなく、赤穂の陰に隠れていたという印象だった。
でも今は、すごく明るい顔つきで、紫輝たちと楽しそうに過ごしている。
赤穂と彼、そして金蓮の間に、どれほどの紆余曲折があったのか、それは知らないが。
陰にいた月光に、光がさし。赤穂とふたりで、明るい道を歩いているのなら。それは喜ばしいことだと思う。
しかし。赤穂には、得るものがあった。だから許せるのだろうが。
藤王は、金蓮の仕打ちによって、すべてを失ったと言っても過言ではない。
赤穂になにを言われても、到底許すことなどできない。そう思っていた。
「金蓮を許せ、とは言わない。だが、知っていてもらいたいのは。金蓮も父上に性虐待をされていたようなのだ」
声もなく、藤王は驚愕し。赤穂をみつめた。
彼はたんたんと話していく。
「父が『男ではない、この醜い体を、美しいと褒めてくれたのだ』と、金蓮は俺に言った。いつか男の体にしてやると言い、体に触れたのだと…」
「おぞましいっ、聞きたくない」
親が子供の体に触れるなど、あってはならない。そう思い、藤王は赤穂からも顔をそむけたが。
そこで、藤王は思い出した。
「不破が、将堂山吹が大罪を犯したので、暗殺したと…言っていた」
「なに?」
赤穂も安曇も、藤王にいぶかしげな顔を向けた。
先代、不破が。山吹を殺したという話は、藤王も初めて口にするので。
ふたりが驚くのは、無理もないことだ。
「先代の不破は、千里眼という特殊能力を持ち。不遇な扱いを受ける龍鬼を助ける、救済の龍鬼だった。だが、その救済には、子供への虐待も含まれていて…前当主が金蓮を虐待していたというのなら、彼が山吹様を暗殺したのも、道理だった…のか?」
「忌まわしい、負のループだな」
藤王のつぶやきに、安曇もつぶやいた。
るうぷという言葉がわからないが。
赤穂はため息交じりに『ふのるうぷってのは、なんだ?』と安曇にたずねている。
「虐待が虐待を呼ぶ。親から虐待された子供が、自分が親になったとき。自分もそうされた、親はそうするものだと思い込み、同じく子を虐待してしまう。そしてその子が、また己の子に…というのが負のループという。ループというのは、輪っかのことだ。延々と回り続ける。誰かが断ち切らないと、いつまでも虐待はなくならないのだ」
藤王は安曇の話を聞いて、ゾッとした。
自分は、金蓮にされたことを、堺にもしようとしたのだ。
同意なく、激しいキスをしてしまった。
まだキスの意味も知らなかった、無垢な弟に。
白皙の顔を青くする藤王を、安曇は肩を叩いて励ました。
「堺は、大丈夫だ。紫輝の話を聞く限り、純粋、純真、ピュアッピュアだ。堺はすでに、忌まわしい輪っかからは外れているさ」
「そうか…そうだな。やはり堺は、私では駄目なのだ。青桐が、優しく、大切に愛してくれるというのなら。彼に任せる方が、堺のためになる」
「…堺に手を出したから、八年も雲隠れしていたのか?」
空気を読まない赤穂が、デリケートな部分に足を突っ込んできた。と思い、安曇は半目になる。
「熱を出した堺に、口移しで水を与えながら…キスをしたのだ」
「は? キス、だけか? おいおい、俺なんざ十歳前にベロチュウは済んでたぞ。堺もだが、藤王も負けず劣らずの純粋、純真じゃね? それだけで八年は隠れすぎだっつうの」
「不破に、そうしろと言われたのだっ」
「「真面目かっ」」
赤穂と安曇、ふたり同時に言われて。
え? そんなに? と思ってしまう。
でも。字面にすると、キスしただけ、なのだが。
藤王は、無垢な弟に邪な想いを向けたことこそが、大罪に値すると思っていて。
自分のことを、自分が許せないのだ。
「不破は、私の知る限り、すべての龍鬼を助けたと言える。廣伊を倉庫で育てた両親も、殺したらしい。堺を手にかけようとした私の両親も。そして両親を殺そうとした私を、親殺しにしないよう、不破が両親を手にかけ。私の心も守ってくれた。…あの場に私が残ったら、堺は私によって負のループとやらに巻き込まれたかもしれない。それも、おそらく阻止してくれたのだ」
「まぁ、確かに。負のループを断ち切るのは大変だと言われている。結果的には、それで良かったのかもしれないな。不破が納得しているなら、きっと、それが最善だったのだろう」
安曇は思う。三百年前は平和な世の中だったが、虐待により子供が殺される事象は、後を絶たなかった。
人の性なのか、何百、何千年経っても、虐待もいじめも差別もなくならないというのは、人の心に進歩がないとしか言いようがない。
「先代、不破の意志を継いだおまえに。俺は、命を救われた。銀杏も、手裏家の座敷牢から出された。俺が孤児たちを働き手にしようと考えついたのは、おまえに倣ってのこともある。不破は多くの者を救ってきたのだ。堺のことで、気に病んでいることもあるだろうが、今の彼は、幸せそうじゃないか。戦の世だから、おまえによって傷つけられた者がいないとは言わないが。少なくとも、おまえの大事な人のことを、おまえは傷つけていない。だからもう、自分を責めるのはやめろ。おまえは、おまえが考えている以上に、立派で、真面目な男だよ」
安曇の言葉を噛み締め、藤王はひとつうなずく。
「…そうだな。これ以上は自虐になる。赤穂、金蓮のことは、今はなんとも言えないが。一考はするつもりだ。それよりも今は、終戦に向けて進むことが建設的だろう。己の憎しみはいったん脇に置くことにする」
「そうしてくれると、ありがたい。不用意な敵対行動は、終戦への道の妨げになる恐れがある。手裏と将堂を統合するまでは、突出せず、今までどおりを心掛けたい」
「不用意…金蓮暗殺を起こしてしまったが…というか、赤穂はなぜ、将堂に戻らないのか? 一度死んだのか?」
今回の金蓮暗殺が、不用意な敵対行動とみなされ、我知らず安曇の足を引っ張ったのではないかと、藤王は心配になった。
そこに、赤穂が言う。
「死んではいないのだが。金蓮が、藤王を連れ戻せなかったという失態を隠すため、すべてなかったことにした。だから、金蓮暗殺事件はなかったし、そこで巻き込まれて瀕死になった俺は、捨て置かれ。代りを青桐が勤めているところだ。あれ、言葉にすると、案外ひどいな、兄上の所業は」
ハハハと赤穂は軽く笑うが。
それでいいのかと、藤王は思う。なんか、不憫。
「むしろ、今の位置は、俺にとって好都合だ。月光は、あまり体が強くない。月光が軍に戻ったのは、紫輝を探すためだったが。望みが叶ったからには、早めに軍から引き剥がしたかったので、いい機会だったな。それに、この位置は俯瞰して物事を見れる。べったり張りついて紫輝を守りたいとは思うが、それは廣伊や堺に任せるよ」
「廣伊も、もう仲間か?」
たずねると、安曇がニヤリと、悪い男の顔で笑った。
「あぁ、おまえが加わり、現存する龍鬼は、すべて紫輝が掌握することになった」
背筋がゾワッとした。
紫輝がこの世界に来たのは、四月、まだ一年経っていなかった。
そんな短期間で龍鬼を掌握するなんて…。
龍鬼は、迫害を受け、力で従わせられていることが多いので、すごく臆病で警戒心が強い。
柔らかい笑顔で、蝶を追いかけていたのに。戦場に出て、笑顔を凍らせてしまった堺も。
倉庫で育てられ、人と関われず、村人から袋叩きにされ、人間不信で表情を失った廣伊も。
藤王がどれだけ親身に接しても、心を開かせることはできなかった。
いったい、なにをどうしたら、そのようなことができるのだ。
でも。堺の、紫輝に向ける信頼の目を見れば。
その安曇が言った『掌握』という言葉が、ただのお友達、のような軽いものではないのだとわかる。
「それは…やべぇな」
それ以外の言葉が浮かばなかった。
安曇と紫輝、このふたりの兄弟に、己がなにをしてやれるのか、それはわからないが。
とりあえず藤王は、安曇に従っていようと思うのだった。思考停止、である。
紫輝が、天誠と藤王と、ともにいたとき。高台から、赤穂と月光が降りてきた。
赤穂は、作務衣に丹前羽織っているラフなスタイルだが。月光は、着物を重ね着して、エプロンみたいな腰巻をつけた、この世界の女の子が好むスタイルだ。
なんというか、膝下のロングスカートにロングブーツ履いてるボブカット女子に見えるよ。
「わぁ、本当に藤王がいるぅ。首尾よく仲間に引き入れられたみたいだね?」
ピンクの大翼をわさわささせながら、月光が言うのに。藤王は小首を傾げる。
まぁ、つい最近、金蓮暗殺の場にいた月光とも、顔を合わせていたのだが。
藤王の、月光の印象というのは、赤穂の陰に隠れて、おとなしくしているフラミンゴ。というものだったのだ。
こんな、きゃぴきゃぴした女子ではない。
「赤穂様、瀬来様、その節はどうも…」
一応、目礼して謝る藤王。
肩身狭そう…と紫輝は思う。
ま、仕方ないよね。赤穂を傷つけたし。
「本当だよねぇ、困っちゃったよねぇ、こんなことになっちゃうなんてねぇ…」
そうしたら、やっぱり月光が、ネチネチし始めたよ。
ですよね。言うよね。
「もう、月光さん。チクチク言わないの」
頬を膨らませる月光の背中、というか肩を押して、紫輝は早々に高台に上がろうとした。
トラブル回避だ。
そうしたら、紫輝の後ろをついてきたライラが、藤王の隣に通りがかったとき、言った。
「あなた、おんちゃんを泣かせたことは、どうやらごかいだったみたいね。いいわ、ゆるしてあげる。白いのどうしで、あたしがお嫁さんになってあげてもいいわよ?」
「ダメッ」
急に紫輝が大きな声を出すから、月光はひえっと、翼をすくめた。
月光にはライラの声は聞こえていない。
紫輝はライラのそばに寄ると、首に抱きついて、懇願した。
「駄目だよぉ、ライラは俺のお嫁さんになるんだろう? 白いの仲間だろうと、ライラはお嫁に行かせないからっ」
最初の方はライラに、後ろの方は藤王に向かって紫輝は言った。
でも、藤王はきょとんだ。
「おまえはなにを言っているのだ? つか、これも。また文句言っているのか?」
藤王は眉間にしわを寄せて、これ、とライラを指差す。あれ?
「ライラの言葉、聞こえてないの? でも、最初の頃、話してたのに」
「棘を抜いたら、聞こえなくなった」
しばらく無言で、紫輝と藤王がみつめ合っていたが。
そこに天誠が、注釈を入れる。
「二年前からまとっていた紫輝の能力の欠片と、ライラの呪いが解けたから、ライラの話は聞こえなくなったんだろう」
「じゃあ、ライラがお嫁さんになる話は、なしで。お話しできないんだって。残念だねぇ」
「あら、おはなしできないの? ざんねんねぇ」
紫輝とライラは、お嫁の話をとっととチャラにして、月光とともにルンルンで高台に登って行った。
それに堺と青桐も続いていく。
「…なんだったんだ?」
「ライラは神秘なので、深く考えるな」
さっぱり状況が読めない藤王に、安曇は笑いかける。
愛想の良い安曇、なんか怖い。
「藤王、ちょっと話があるんだが」
そこに、赤穂が声をかけてきた。
藤王は、彼をじっくり見やる。
先ほど、青桐と話したが。目の前の赤穂は、やはり瓜二つ。しかし、まとう気迫が、段違いだと感じた。
表面だけ見れば、別人だと思う者は、少ないだろうが。
見る人が見たら、別人だとわかる。
でもそういう相手は、だいたい手練れの者。
幹部級はこの顛末は知っているだろうから、支障はないのかもしれない。
「赤穂と藤王がふたりきりというのは、良くない。俺も同席させてもらう」
「だいぶ、赤裸々な話をするつもりだ。俺は良いが、藤王はもしかしたら、安曇には知られたくない話かもしれないが?」
気遣うように、赤穂が藤王を見やる。
将堂の猛犬、血塗られた闘将と言われ。手裏兵も、味方の将堂兵も恐れるという、赤穂が。意外と配慮のできる男なので、驚いた。
藤王も、赤穂のことを、誰彼かまわず斬るような、血に飢えた男のように思っていたので。
でも、よくよく考えると。赤穂の評価は、金蓮が口にしたことばかりだ。
藤王は、弟の上司であった赤穂と、普通に会話していたし。あの繊細な弟が、彼のそばにいて、壊れることはなかったのだから。
本人を見ずに、他人の評価で彼を評価した、己が愚かだった、ということなのだろう。
「ちょうどいい。堺や紫輝の前では言えなかった、私の根幹に関わる部分を、今回の計画の主軸である安曇には知っておいてもらいたい。私が将堂憎しな件、赤穂、おそらく、その辺の話であろう?」
「たぶん。俺の屋敷で宴席の用意がされているから、本邸で話してもいいか?」
安曇がうなずいたので、三人は高台に上がっていき、人気のない本邸に入っていった。
その間も、藤王は思案していた。
青桐と気迫が段違い、とはいえ。やはり丸くなったような気がする。
堺が十五歳のとき、藤王は将堂を離れたが。そのとき、赤穂は十三歳。年若く当主になった金蓮のことを、あなどる者や、苦言という名の暴言を吐く輩を、問答無用で斬り捨てていた。
あの頃の赤穂は、ガリガリにとがっていた。
紫輝は、金蓮と赤穂の子供だという。
この八年で、赤穂にも、いろいろあったということなのだろう。
本邸には、先触れをしていたのだろう。居間の囲炉裏には火がついて、室内は暖かい。
安曇の腹心である亜義が、お茶を人数分用意すると。安曇が言った。
「亜義、人払いしろ。おまえも下がっていい」
小さく頭を下げると、亜義は部屋を出て。辺りは静かになった。
この村は、亜義のような隠密が、そこかしこにいる気配がある。
安曇は紫輝を守るため、と言うのだろうが。将堂の要人も、この村には集結しつつあり。万全の警備がなされているのだろう。
話を始める前に、藤王は赤穂に頭を下げた。
「赤穂様、申し訳ありませんでした。貴方を殺すつもりは、毛頭なかったのですが…」
「矢を射たのは、銀杏なのだろう。おまえは指示したにすぎない。ま、痛かったがな。傷が、というより。息子の命を縮めたかもしれないことに…」
赤穂の言葉に、安曇も深くうなずく。
「それは、俺も痛かった。紫輝が千夜の傷を治したとき、消耗が激しかったので、二度と使うなと釘を刺してはおいたのだが。ま、父親が死ぬとなったら…やはり紫輝は止まってくれなかった」
赤穂は、父親と言われ、ニヤリとするが。
ただ嬉しがってもいられないという、複雑な表情を見せた。
「赤穂様の傷を治したのは、紫輝なのか?」
藤王は安曇にたずねる。
どうやって? あの龍鬼は傷も癒せるのか?
「紫輝は、時を操る龍鬼だ。その物の時間を巻き戻して、維持している。という感じか」
「傷を治すのではなく、その物の時間を巻き戻す? なんて出鱈目な能力だ」
そして、膨大で、圧倒的な能力だ。
藤王は、己の能力がそれなりに高いと自負していた。
特殊能力に関しても、己の力が強いから、他者の特殊能力を模倣できるのだと思っている。
しかし、紫輝は。己よりはるかに強力な龍鬼で。
だから己は、時空の穴に手を突っ込むことしかできなかった。
紫輝の能力の片鱗をなぞったにすぎなかったのだと、今、気づいた。
時間を巻き戻して、維持?
いくら模倣する能力があったとしても、そんなのできる気がしない。
「…技を繰り出すことが、龍鬼の寿命に関わるという噂がある。知っているか?」
赤穂が安曇に聞く。それは紫輝の寿命に関する、繊細な話題だ。
「あぁ、俺も一時は、龍鬼として過ごしていたので。そのとき、これほどに差別される龍鬼というものは、いったいなんなのかと、研究したことがある。そこで、そういう文献を読んだことがあった。まぁ、理にかなっている。普通は使えない能力を使えば、肉体に負担がかかるのは道理だ。紫輝は子供のときに、時空を超えた。それは、かなりの大技だろう。加えて千夜と赤穂の傷を治した。もう大技は使わせねぇ」
「わかっているなら、いい。で、藤王への話というのは、他でもない。金蓮と寝たか?」
雑談からの、唐突な本題突入に、藤王は飲んでいたお茶が気管に入ってむせた。
先ほどは、配慮のできる男かと思って、感心したのに。やっぱり無神経だった。
そして無神経に、赤穂は話を続ける。
「人格者であった藤王が、将堂を裏切るというのが、俺はどうにも信じられなくてな。だが、人格者であるがゆえに受容できないものがあるのだろうと、安曇に言われ…そして思い当たったのだ。将堂を見限り、金蓮を暗殺しようと思うほどの、屈辱的ななにか。煮え湯を飲まされたと感じるほどのなにかが。金蓮と関係を持った折に、あったのだろう?」
ようやく息を整え、藤王は睨むような眼力で赤穂を見やる。
「…っ、寝る、が、性交を指すのなら、寝ていない。一方的に体をいじくられたがな」
「なるほど。それは確かに、煮え湯に等しいな。心の伴わない性行為ほど、心を傷つけるものはない。俺も体験したからわかるぞ。兄上は…俺を藤王だと思い込んでいた」
驚きに、藤王は目をみはる。
自分がいなくなったことで、金蓮の毒牙が赤穂に向いたのかと思い、いたたまれない気になり。顔を曇らせる。
「俺は、月光を愛していたが、そのときは一緒にいられなくて、苦しくて。同じ傷痕を兄上と舐め合ったのだ。だから、藤王がそんな顔して、気に病むことはない。ある意味、同意だった。互いに間違った、同意ではあるが…」
苦々しい顔つきで、赤穂は唇を噛む。
「だが、紫輝が生まれたことは、最上の喜びだ。紫輝には、両親が愛し合って生まれたのだと、言ってやりたかったが。あの子は聡いから、それも隠しきれなくてな。しかし、あの子は月光との仲をつなぐ、かすがいになってくれて。紫輝がいなかったら、俺と月光は、いまだ、暗闇の中を歩いていたかもしれない。ただ存在するだけで、愛おしい子だ。だから俺は、もう金蓮に憎しみは向けない。ただ、ひたすらに、あの子を守るつもりだ」
藤王は、きゃぴきゃぴした、先ほどの月光を思い出す。
突出した頭脳を持ち、将堂の宝玉と誉めそやされていたはずなのに。彼はなぜか、華々しく前面に立つことなく、赤穂の陰に隠れていたという印象だった。
でも今は、すごく明るい顔つきで、紫輝たちと楽しそうに過ごしている。
赤穂と彼、そして金蓮の間に、どれほどの紆余曲折があったのか、それは知らないが。
陰にいた月光に、光がさし。赤穂とふたりで、明るい道を歩いているのなら。それは喜ばしいことだと思う。
しかし。赤穂には、得るものがあった。だから許せるのだろうが。
藤王は、金蓮の仕打ちによって、すべてを失ったと言っても過言ではない。
赤穂になにを言われても、到底許すことなどできない。そう思っていた。
「金蓮を許せ、とは言わない。だが、知っていてもらいたいのは。金蓮も父上に性虐待をされていたようなのだ」
声もなく、藤王は驚愕し。赤穂をみつめた。
彼はたんたんと話していく。
「父が『男ではない、この醜い体を、美しいと褒めてくれたのだ』と、金蓮は俺に言った。いつか男の体にしてやると言い、体に触れたのだと…」
「おぞましいっ、聞きたくない」
親が子供の体に触れるなど、あってはならない。そう思い、藤王は赤穂からも顔をそむけたが。
そこで、藤王は思い出した。
「不破が、将堂山吹が大罪を犯したので、暗殺したと…言っていた」
「なに?」
赤穂も安曇も、藤王にいぶかしげな顔を向けた。
先代、不破が。山吹を殺したという話は、藤王も初めて口にするので。
ふたりが驚くのは、無理もないことだ。
「先代の不破は、千里眼という特殊能力を持ち。不遇な扱いを受ける龍鬼を助ける、救済の龍鬼だった。だが、その救済には、子供への虐待も含まれていて…前当主が金蓮を虐待していたというのなら、彼が山吹様を暗殺したのも、道理だった…のか?」
「忌まわしい、負のループだな」
藤王のつぶやきに、安曇もつぶやいた。
るうぷという言葉がわからないが。
赤穂はため息交じりに『ふのるうぷってのは、なんだ?』と安曇にたずねている。
「虐待が虐待を呼ぶ。親から虐待された子供が、自分が親になったとき。自分もそうされた、親はそうするものだと思い込み、同じく子を虐待してしまう。そしてその子が、また己の子に…というのが負のループという。ループというのは、輪っかのことだ。延々と回り続ける。誰かが断ち切らないと、いつまでも虐待はなくならないのだ」
藤王は安曇の話を聞いて、ゾッとした。
自分は、金蓮にされたことを、堺にもしようとしたのだ。
同意なく、激しいキスをしてしまった。
まだキスの意味も知らなかった、無垢な弟に。
白皙の顔を青くする藤王を、安曇は肩を叩いて励ました。
「堺は、大丈夫だ。紫輝の話を聞く限り、純粋、純真、ピュアッピュアだ。堺はすでに、忌まわしい輪っかからは外れているさ」
「そうか…そうだな。やはり堺は、私では駄目なのだ。青桐が、優しく、大切に愛してくれるというのなら。彼に任せる方が、堺のためになる」
「…堺に手を出したから、八年も雲隠れしていたのか?」
空気を読まない赤穂が、デリケートな部分に足を突っ込んできた。と思い、安曇は半目になる。
「熱を出した堺に、口移しで水を与えながら…キスをしたのだ」
「は? キス、だけか? おいおい、俺なんざ十歳前にベロチュウは済んでたぞ。堺もだが、藤王も負けず劣らずの純粋、純真じゃね? それだけで八年は隠れすぎだっつうの」
「不破に、そうしろと言われたのだっ」
「「真面目かっ」」
赤穂と安曇、ふたり同時に言われて。
え? そんなに? と思ってしまう。
でも。字面にすると、キスしただけ、なのだが。
藤王は、無垢な弟に邪な想いを向けたことこそが、大罪に値すると思っていて。
自分のことを、自分が許せないのだ。
「不破は、私の知る限り、すべての龍鬼を助けたと言える。廣伊を倉庫で育てた両親も、殺したらしい。堺を手にかけようとした私の両親も。そして両親を殺そうとした私を、親殺しにしないよう、不破が両親を手にかけ。私の心も守ってくれた。…あの場に私が残ったら、堺は私によって負のループとやらに巻き込まれたかもしれない。それも、おそらく阻止してくれたのだ」
「まぁ、確かに。負のループを断ち切るのは大変だと言われている。結果的には、それで良かったのかもしれないな。不破が納得しているなら、きっと、それが最善だったのだろう」
安曇は思う。三百年前は平和な世の中だったが、虐待により子供が殺される事象は、後を絶たなかった。
人の性なのか、何百、何千年経っても、虐待もいじめも差別もなくならないというのは、人の心に進歩がないとしか言いようがない。
「先代、不破の意志を継いだおまえに。俺は、命を救われた。銀杏も、手裏家の座敷牢から出された。俺が孤児たちを働き手にしようと考えついたのは、おまえに倣ってのこともある。不破は多くの者を救ってきたのだ。堺のことで、気に病んでいることもあるだろうが、今の彼は、幸せそうじゃないか。戦の世だから、おまえによって傷つけられた者がいないとは言わないが。少なくとも、おまえの大事な人のことを、おまえは傷つけていない。だからもう、自分を責めるのはやめろ。おまえは、おまえが考えている以上に、立派で、真面目な男だよ」
安曇の言葉を噛み締め、藤王はひとつうなずく。
「…そうだな。これ以上は自虐になる。赤穂、金蓮のことは、今はなんとも言えないが。一考はするつもりだ。それよりも今は、終戦に向けて進むことが建設的だろう。己の憎しみはいったん脇に置くことにする」
「そうしてくれると、ありがたい。不用意な敵対行動は、終戦への道の妨げになる恐れがある。手裏と将堂を統合するまでは、突出せず、今までどおりを心掛けたい」
「不用意…金蓮暗殺を起こしてしまったが…というか、赤穂はなぜ、将堂に戻らないのか? 一度死んだのか?」
今回の金蓮暗殺が、不用意な敵対行動とみなされ、我知らず安曇の足を引っ張ったのではないかと、藤王は心配になった。
そこに、赤穂が言う。
「死んではいないのだが。金蓮が、藤王を連れ戻せなかったという失態を隠すため、すべてなかったことにした。だから、金蓮暗殺事件はなかったし、そこで巻き込まれて瀕死になった俺は、捨て置かれ。代りを青桐が勤めているところだ。あれ、言葉にすると、案外ひどいな、兄上の所業は」
ハハハと赤穂は軽く笑うが。
それでいいのかと、藤王は思う。なんか、不憫。
「むしろ、今の位置は、俺にとって好都合だ。月光は、あまり体が強くない。月光が軍に戻ったのは、紫輝を探すためだったが。望みが叶ったからには、早めに軍から引き剥がしたかったので、いい機会だったな。それに、この位置は俯瞰して物事を見れる。べったり張りついて紫輝を守りたいとは思うが、それは廣伊や堺に任せるよ」
「廣伊も、もう仲間か?」
たずねると、安曇がニヤリと、悪い男の顔で笑った。
「あぁ、おまえが加わり、現存する龍鬼は、すべて紫輝が掌握することになった」
背筋がゾワッとした。
紫輝がこの世界に来たのは、四月、まだ一年経っていなかった。
そんな短期間で龍鬼を掌握するなんて…。
龍鬼は、迫害を受け、力で従わせられていることが多いので、すごく臆病で警戒心が強い。
柔らかい笑顔で、蝶を追いかけていたのに。戦場に出て、笑顔を凍らせてしまった堺も。
倉庫で育てられ、人と関われず、村人から袋叩きにされ、人間不信で表情を失った廣伊も。
藤王がどれだけ親身に接しても、心を開かせることはできなかった。
いったい、なにをどうしたら、そのようなことができるのだ。
でも。堺の、紫輝に向ける信頼の目を見れば。
その安曇が言った『掌握』という言葉が、ただのお友達、のような軽いものではないのだとわかる。
「それは…やべぇな」
それ以外の言葉が浮かばなかった。
安曇と紫輝、このふたりの兄弟に、己がなにをしてやれるのか、それはわからないが。
とりあえず藤王は、安曇に従っていようと思うのだった。思考停止、である。
あなたにおすすめの小説
繋ぎの婚約を契約通り解消しようとしたら、王宮に溺愛軟禁されました
こたま
BL
エレンは子爵家のオメガ令息として産まれた。年上のアルファの王子殿下と年齢が釣り合うオメガ令息が少なく、他国との縁組も纏まらないため家格は低いが繋ぎとして一応婚約をしている。王子のことは兄のように慕っており、初恋の人ではあるけれど、契約終了時期か王子に想い人が現れた時には解消されるものと考えていた。ところが婚約解消時期の直前に王子宮に軟禁された。結婚を承諾するまでここから出さないと王子から溢れるほどの愛を与えられる。ハッピーエンドオメガバースBLです。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。抱かれたら身代わりがばれてしまうので初夜は断固拒否します!
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。
しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです…
本当の花嫁じゃないとばれたら大変!
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?
krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」
突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。
なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!?
全力すれ違いラブコメファンタジーBL!
支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。