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88 将堂には戻れない
◆将堂には戻れない
寝台の中には、紫輝と天誠と、ライラがいる。
でっかいライラだ。
ライラは、早起きである。今はまだ、日が昇って、辺りが薄明るくなってきたくらいだから。朝の六時くらいかな。
この世界の人たちは、日の出とともに動き出すので、早起きでもないのかもしれないけれど。
ライラは三百年前は、いつも紫輝を、朝の五時に起こしていた。
その時間に、腹がすくのだ。
だから紫輝は、ライラを朝五時の女と呼んでいた。
それはともかく。
天誠は案外寝汚いのである。
今も、紫輝とライラに挟まれて暑苦しいのではないかと思うのだが。横向き寝でぐっすりさんだ。
紫輝は、昨日から、天誠の頭を抱いて寝ている。
昨夜は、遅くまで睦み合っていて、心も体も充分に彼とつながったと感じられたけれど。
再び今日、離れ離れになるから。
一分、一秒が惜しい感じで。
離れたくないし。
彼の体温や匂いや感触を、いつまでも味わっていたいのだ。
そうしたら、ライラが暇になったのか。丸い手で、天誠の翼をチョイチョイするので。
紫輝はこそっと、囁き声でライラを叱った。
「こら、天誠が起きちゃうよ。チョイチョイ我慢して」
「だいじょうぶよ。てんちゃんはたぬきなの」
たぬき、ってなんだろうと思っていたら。
天誠がプッと吹き出した。ん? 起きてた? あぁ、狸寝入りか。
「おはよう、兄さん」
「おはよう、天誠」
お約束、じゃないけど。目が覚めたら。自然にお互いに唇を寄せて、くちづける。
朝なのに、いつも、結構激しいやつ。
口の中で、ぬぷぬぷ音が鳴るくらい舌を絡めて。
冬の冷え切った部屋で、体が火照るほど情熱的に。互いが欲しがるままに。うっとり酔いしれるほど甘やかに。
唇を離す頃には、舌が痺れてしまうけど、胸がいっぱいで。
ふたりで笑っちゃうような。濃厚な、おはようのキス。
でも、今日はちょっと長めだったからか、ライラが天誠の体の上に乗っかかってきた。
「あぁ、もう。終わったから。ライラ、おはよう。つか、バラすなよぉ。せっかく兄さんのぬくもりを堪能していたっていうのに」
「おそようよ、てんちゃん。あたし、もっとまえから、おきてたわぁ。つか、たぬきはあざといわぁ」
「はいはい、ライラは早起きさんですねぇ。えらいえらい」
「なんだか、雑ね」
ライラは、天誠の腰の辺りを揉んでいく。
あぁ、良いなぁ。その手のひらのうごめき、職人技です。
「ライラ、そのでっかい手で揉んだら、布団が破けるだろうが」
そうは言いながら、天誠は本気でライラを怒っていないのだ。
知ってる。
なんだかんだで、甘いんだもんな。
「風呂、入ろうぜ。兄さん」
「こんな朝っぱらから? 用意するの大変だろう?」
「昨日の内から言ってあるから。沸いてるはずだ。行こう」
胸のうちで、紫輝は使用人たちに手を合わせた。
我が儘な弟ですみません。
ふたりは部屋を出たが。
例に漏れず、ライラはお風呂場には近寄らないのだった。
風呂場に行ったら、本当に湯が沸いていて。申し訳ございません、という気になった。
でも、せっかくだから。入らせていただきますね。
「ああああぁぁ、朝風呂、最高っ!」
思わず、全く色っぽくない、紫輝にしては低めの声が出た。
心からの感動の声だ。
それから、ふと天誠を見やると、朝の日差しの下に現れた、パーフェクトボディが目にまぶしい。
ゴリゴリの腹筋のおうとつが、陰影によって強調され、胸もパーンと張っていて。
昨日も見たはずなのに、なんだか久々に、ガーンという衝撃を受け。紫輝は天誠に腹パンチした。
ペチッと、音がしただけだが。カッチカチだ。
「もう、兄さんはなんで、俺に腹パンするんだ?」
なんのダメージも受けてないところが、腹立つ。
なんでって、ペソっとした、己のガリガリボディを思い知らされて、憤ったからに決まってるっ。
「おまえさぁ、そんなに良い体してんのに、なんで俺の貧弱なおっぱいが好きなんだよぉ?」
乳首をしつこく、ねちっこく攻める、昨夜の天誠の姿を思い返し、紫輝は頬を赤らめる。
「そりゃ、だって。兄さんのおっぱいだからに決まっているだろう?」
天誠は浴槽の縁を抱え込むように寄り掛かると、羽を広げて湯につけないようにした。
「兄さんのおっぱいは感度が良いし、色も薄桃色で可愛くて、でもいじっていると赤く熟れてきて。食べごろになるとぷっくり膨らんできて。兄さんがアンアン鳴くから、可愛くて可愛くて。ツンととがった愛らしい部分をコリコリ噛んで、つい歯ざわりとか楽しんでしまって…」
「やーめーろー、もう結構。俺は、お腹いっぱいなんで」
「俺はまだまだ食べられるよ? 昨日、いじり過ぎて、兄さんのおっぱいが、イチゴみたいに赤くなっちゃったから、舐めて、癒してあげようか?」
もう、今日、帰るのに。そんなことされたら、村から出られなくなっちゃうよっ。
そう思って、紫輝は両手で両胸を隠した。
「ダメダメ。もうっ、天誠はお触り禁止な」
「そんなぁ…嘘だよ。なにもしないから。兄さん、怒らないで」
耳にチュッチュッしながら、魅惑の極甘ボイスで言われたら。紫輝も、それ以上は強く言えないで。小さくうなずく。
紫輝は天誠の美声に、とことん弱かった。
「えっちなこと、しない?」
両手で胸を隠して、上目遣いでそんなことを言われたら。
天誠は。強烈なボディーブローを見舞われた気になった。
先ほどの腹パンチの三百億倍の威力がある。
紫輝は、恐ろしい暗殺者だっ。天誠は本気で命の危機を感じた。
「し、しないとも…」
ひっくり返った声の天誠に、紫輝は小首を傾げつつも。のんびりと、風呂の気持ち良さを堪能する。
本邸のお風呂は、ヒノキ風呂で。良い匂いで、ストレス解消されるんだよな。
昨日、酷使したから、腰を揉んでおこう。
「青桐の屋敷を、今、リフォームしてんだけど。龍鬼の区画に作る風呂がヒノキの予定なんだ」
紫輝は、大概のことは、ライラを通して天誠に報告しているし。天誠もたまに、こちらを見ているようなので。天誠が知らないことなどないような気もするのだが。
この件は言っていなかったみたい。彼が首を傾げた。
「なんだ、龍鬼の区画って?」
「准将の屋敷に、龍鬼を入れるなって雰囲気があってさ。堺の屋敷も、龍鬼が使う区画と別に、客用の区画があるって言うので。同じように作ってもらう予定なんだ」
「そうか、将堂の差別観は、やっぱ、きついんだな。まぁ、でも。こちらは現在、龍鬼は不破しかいないから、比較はできないか。あいつも、自分の屋敷以外で寝泊まりしないからな」
「藤王は、将堂での龍鬼の扱いが染みついていて、自然に振舞える極致までいってんじゃね? 堺もつい最近まで、そんな感じだったみたい。幹部と同じ屋敷に泊まるようなことは今回が初めてだ、みたいなことを言っていた。一兵士時代から、ずっと個室だったって」
「あぁ、早く、終戦にさせたいな。早く、紫輝とともに暮らして、龍鬼とか言われることのない生活をさせてやりたい。しかし、ここ、という決定打がないんだよな。最悪、和平交渉を持ちかけるときとかも、考えているのだが。どちらが先に頭を下げた、とか。のちのち優劣がつきそうなことをしたくないから、悩みどころだ」
「俺も、早くって、思うけど。焦って計画がとん挫するのが一番まずいじゃん? 天誠がここぞ、と思う瞬間が、きっと来るよ。もう少し、様子を見ていこう?」
天誠は紫輝を抱き寄せて、額と額を合わせてグリグリする。
天誠の好きなやつ。
「…そうだな。こちらには、将堂の宝玉もいるし、不破もなかなか頭がキレる。情勢の見極めは、間違えたりしないだろう。歯痒いが、もう少し様子見だな」
逸る気持ちをおさえ、紫輝と天誠はまったりと朝風呂を楽しんだ。
★★★★★
今日は、本邸の食堂に集まって、みんなで朝ご飯を食べたあと。
先に天誠たちが、村を出ることになった。
村の出口に、馬が用意されているが。
高台で、堺は藤王との別れを惜しんだ。
「兄さん、もう少しゆっくりお話ししたかったです。あの…私と将堂に戻るという選択は考えられませんか?」
堺は、手甲で傷が隠された藤王の右手を、両手で包み込み、真摯に願うが。
彼は首を振る。
「すまない、堺。私はもう、将堂には戻れない」
今も、腹に渦巻く憎しみを抱えている藤王が、ともに来てくれるとは思わなかったけれど。
それでも堺は、一度は、私とともに帰りましょうと、告げたかったのだ。
「堺の命を盾に取られたら、私は身動きが取れなくなる。再び、金蓮の言いなりにさせられるだろう。そのようなことは、もう…」
「そんなのは、私も嫌です。兄さんが私に自由を望むように。私も兄さんが憂いなく過ごすことを望みます。ただ、兄さんがそばにいないのは寂しいから。ちょっと言ってみただけです」
「…堺ッ」
はにかんで、言う弟が、べらぼうに可愛い。
ものすっごく、可愛い。
天上に登るほどに、可愛いっ。
藤王は思わず、堺を抱き締めてしまった。
「私も、堺と離れたくはないさ。だから、早急に、再び兄弟で暮らせる世の中を作り出そう。必ずな」
「兄弟で暮らす前に、俺と堺は結婚して、ふたりで暮らすがな」
藤王から堺を取り戻し、青桐が苦々しい顔つきで言う。
「まぁまぁ、家族は一生家族だよ。兄弟が毎日顔を合わせられる、それは素敵な環境だよ」
「会うな、なんて狭量なことは言わないさ」
フォローする紫輝に、青桐も鼻で息をついて言う。
つまり、兄弟で会うことは邪魔しないってことだよね?
もう、言い方が素直じゃないんだから。
「しかし、金蓮は。もう、藤王が生きていることを知っている。堺を盾に取って、藤王に出て来いと無茶を言うかもしれないな。もしも、堺が金蓮に奪われそうになったら、青桐は人事権を行使して、必ず阻止しろ。一応、准将は金蓮の部下という位置づけだが。右軍総司令官の地位は、伊達ではない。右軍のことについて、金蓮は容易に口出しできないようにはなっている。そこを前面に出して、突っぱねればいい」
藤王の言に引っかかって、赤穂が青桐に助言した。
うん。こっちの兄弟はなかなか、仲良さそうになったな。
「金蓮に奪われたら、堺の命が危ういってことだな? わかった。必ず阻止する」
赤穂と青桐、堺と藤王が話をする中。
天誠は紫輝をバックハグで抱き込んで、離さなかった。
昨日からずっとくっついているけど。紫輝もくっついていたいから、文句を言わなかった。
毎日ライラ電話で話しているから、寂しくはないけど。やっぱ、くっついていると、それだけで活力がみなぎるというか。元気になるんだよな?
それでも、天誠たちは、日があるうちに。少なくても、手裏の領地まで戻らなくてはならないから。
早くここを出なければならないのだ。
「道中、くれぐれも気をつけて。いつも、無事に、向こうにたどり着くまでは、心配だ」
「わかった。向こうに着いたら連絡するな?」
こめかみに、挨拶のキスをして。天誠と藤王、数名の隠密たちという黒マント軍団が、馬に乗って、村を出て行った。
紫輝と堺は、涙ぐんで、彼らを見送る。
また会える日を、ひたすら待ち望む日々が始まるのだ。つらいなぁ。
「思うのだが、あのふたりが動かないのなら、もう終戦のようなものなのではないか? 彼らが俺らに、戦場で刀を振るう、その場面が想像できねぇ」
堺の隣で、青桐が言う。
そう言われたら、紫輝も、そのような気になるけれど。
ま、夏は普通に天誠は攻撃してきたし。手加減はしたみたいだけど。
あれ、結構怖かったんだからな。あてにはできないよ。
「そうなると、いいね。じゃあ、俺らも帰る用意をしようか」
紫輝が振り返ると。そこには、ベソベソに泣いた月光が立っていた。
「紫輝ぃ、もう少し村にいなよぉ。パパとお話しようよぉ」
月光とは初日にいっぱい話したし、ライラ電話でも話せる。
面倒くさいので、赤穂が月光の首根っこ押さえている間に、さっさと支度をして村を出た。
はいはい、またね?
★★★★★
紫輝たちは、昼過ぎには、本拠地に着いた。
帰りはなだらかな下り坂になっているので、行きよりも早く着く。
「はぁ、腰痛かった。堺は大丈夫だった?」
なにげなく紫輝は聞いたのだけど。
それには、青桐が目くじらを立てた。
「おい、堺に下品なことを聞くんじゃねぇ。堺はまだまだ清い人なんだから」
「清いったって、することしているのでしょう?」
「していても、純情で清楚なんだよ。おまえとは違うんだ」
「ちぇっ、ちょっと、腰痛くなるから大変だよねって話したかっただけなのに」
なんて、やり取りを青桐としていたら。堺は言うのだ。
「馬に乗って腰が痛くなるのは、軸が定まっていないからです。体幹を鍛えると良いですよ?」
「…な?」
同意を青桐に求められ。紫輝はどうもすみませんでしたって、謝るのだった。
堺に匂わせは通用しない、つか、腰痛から夜のアレを連想することもないみたい。
ピュアレジェンドなんだね?
そして本拠地の中心部まで来て、紫輝は青桐と堺に、馬上から声をかけた。
「俺は指令本部に顔を出して、幸直たちに、帰ったことを知らせておくよ。ふたりは疲れただろうから、先に屋敷に戻って休んで。俺もこのあとは、第五の屋敷に戻って休むから」
「紫輝…」
すると、堺が馬を寄せてきて。神妙な顔…というか、泣きそうな顔で、切り出した。
「今回のこと、本当にありがとうございました。とても、嬉しかったのです」
どこで、誰が聞いているかわからないから、曖昧な言葉で濁しているが。
兄に会えたことを、心底喜んでいる、という感じだな。と紫輝は思う。
この局面で、将堂軍の中で、藤王の名は出せない。というのは、聡明な堺なら当然、理解していることだ。
「長年の胸のつかえであった、憂いと謎が解けた思いです。この気持ちを…どう表せばいいのかっ。とにかく、感謝しています。私は今、とても幸せなのです」
そうして向けた笑顔は、麗らかな春日を思わせる暖かいものだった。
紫輝は、堺のそんな表情を見て。
なんか、胸の奥から熱いものが込み上げてくるような感じになった。
感無量って、こんな感じ?
堺と初めて出会った、あの泉で。
彼は、なにもかもをあきらめて、傷ついていて。
とても、大隊を壊滅させた者と、同一人物とは思えない。儚げな印象だったのだ。
頼れる兄も不在で、孤独で、表情を凍らせて。
氷の鎧と盾で、触れるものをみんな遠ざけていた。
そんな堺が、今、幸せだと言って、柔らかく笑うのだ。
そんなの、涙が出るほど嬉しいじゃん?
「良かったな、堺。あ…明後日は、青桐の屋敷に引っ越しだろう? まだまだやることいっぱいだね? 明日手伝いに行くからな」
泣き顔を見せないように、紫輝は慌てて馬を反転させると。指令本部へと向かった。
だって、紫輝は堺のお兄ちゃんを自負しているのだから。情けないところなど見せられないのだっ。
「紫輝様の涙は、お美しいですねぇ」
横から大和が言うのに、紫輝は睨む。
「見るなよ。お金取るから」
「いくらでも積みます」
紫輝は大和を半目で見やる。冗談じゃないところが恐ろしい。
この頃、ゴールデンレトリバーが言うことを聞かなくて、紫輝は困っています。
★★★★★
指令本部に行くまでに、涙は乾いた。
もう、泣かせないでよね、堺。
ノックをして、室内に入ると。幸直と巴が、黙々と書類のチェックをしていた。
巴などは、紫輝が入室しても気づかないような集中力で。すごいです。
「幸直、巴。青桐たち、無事に屋敷に帰りついたから。報告な。俺も疲れたから、第五に戻って休むよ」
「マジ? 紫輝、第五に行くなら、廣伊に書類持っていって。人事、通ったから」
薄茶の髪を揺らしながら、顔を上げた幸直から。紫輝は書類を受け取った。
巴は相変わらず、書類とにらめっこをしているので。自然、紫輝は幸直と話すことになる。
つか、無視じゃないよね?
「ほんと? これで、第五再建の目途が立ちそう。良かったよ。あ、幸直たち、仲直りできた?」
「は? 喧嘩なんかしてないし。つか、おまえらがいない間、休む暇なく働いていたに決まってんだろ? 俺らにも休み、寄越せよな。絶対、休み貰うからな?」
「はいはい、じゃあ、青桐の屋敷の引っ越しが終わったら、堺に頼んでみるから」
紫輝が請け負うと。幸直はほんのりと、柔らかく笑った。
つい最近までのトゲトゲが薄まった感じだ。
「なになに? もしかして巴と旅行とかしちゃうの? ラブラブなの?」
「べっつに、そういうんじゃねぇしぃ」
とか言うけど、幸直はなにやらニヤニヤしている。
幸直は真っ正直だから、顔に出るよね?
でも、まぁ。出掛ける前に心配していた、悪い展開にはなってなさそう。
良かった。ラブラブなら、それでよし。
寝台の中には、紫輝と天誠と、ライラがいる。
でっかいライラだ。
ライラは、早起きである。今はまだ、日が昇って、辺りが薄明るくなってきたくらいだから。朝の六時くらいかな。
この世界の人たちは、日の出とともに動き出すので、早起きでもないのかもしれないけれど。
ライラは三百年前は、いつも紫輝を、朝の五時に起こしていた。
その時間に、腹がすくのだ。
だから紫輝は、ライラを朝五時の女と呼んでいた。
それはともかく。
天誠は案外寝汚いのである。
今も、紫輝とライラに挟まれて暑苦しいのではないかと思うのだが。横向き寝でぐっすりさんだ。
紫輝は、昨日から、天誠の頭を抱いて寝ている。
昨夜は、遅くまで睦み合っていて、心も体も充分に彼とつながったと感じられたけれど。
再び今日、離れ離れになるから。
一分、一秒が惜しい感じで。
離れたくないし。
彼の体温や匂いや感触を、いつまでも味わっていたいのだ。
そうしたら、ライラが暇になったのか。丸い手で、天誠の翼をチョイチョイするので。
紫輝はこそっと、囁き声でライラを叱った。
「こら、天誠が起きちゃうよ。チョイチョイ我慢して」
「だいじょうぶよ。てんちゃんはたぬきなの」
たぬき、ってなんだろうと思っていたら。
天誠がプッと吹き出した。ん? 起きてた? あぁ、狸寝入りか。
「おはよう、兄さん」
「おはよう、天誠」
お約束、じゃないけど。目が覚めたら。自然にお互いに唇を寄せて、くちづける。
朝なのに、いつも、結構激しいやつ。
口の中で、ぬぷぬぷ音が鳴るくらい舌を絡めて。
冬の冷え切った部屋で、体が火照るほど情熱的に。互いが欲しがるままに。うっとり酔いしれるほど甘やかに。
唇を離す頃には、舌が痺れてしまうけど、胸がいっぱいで。
ふたりで笑っちゃうような。濃厚な、おはようのキス。
でも、今日はちょっと長めだったからか、ライラが天誠の体の上に乗っかかってきた。
「あぁ、もう。終わったから。ライラ、おはよう。つか、バラすなよぉ。せっかく兄さんのぬくもりを堪能していたっていうのに」
「おそようよ、てんちゃん。あたし、もっとまえから、おきてたわぁ。つか、たぬきはあざといわぁ」
「はいはい、ライラは早起きさんですねぇ。えらいえらい」
「なんだか、雑ね」
ライラは、天誠の腰の辺りを揉んでいく。
あぁ、良いなぁ。その手のひらのうごめき、職人技です。
「ライラ、そのでっかい手で揉んだら、布団が破けるだろうが」
そうは言いながら、天誠は本気でライラを怒っていないのだ。
知ってる。
なんだかんだで、甘いんだもんな。
「風呂、入ろうぜ。兄さん」
「こんな朝っぱらから? 用意するの大変だろう?」
「昨日の内から言ってあるから。沸いてるはずだ。行こう」
胸のうちで、紫輝は使用人たちに手を合わせた。
我が儘な弟ですみません。
ふたりは部屋を出たが。
例に漏れず、ライラはお風呂場には近寄らないのだった。
風呂場に行ったら、本当に湯が沸いていて。申し訳ございません、という気になった。
でも、せっかくだから。入らせていただきますね。
「ああああぁぁ、朝風呂、最高っ!」
思わず、全く色っぽくない、紫輝にしては低めの声が出た。
心からの感動の声だ。
それから、ふと天誠を見やると、朝の日差しの下に現れた、パーフェクトボディが目にまぶしい。
ゴリゴリの腹筋のおうとつが、陰影によって強調され、胸もパーンと張っていて。
昨日も見たはずなのに、なんだか久々に、ガーンという衝撃を受け。紫輝は天誠に腹パンチした。
ペチッと、音がしただけだが。カッチカチだ。
「もう、兄さんはなんで、俺に腹パンするんだ?」
なんのダメージも受けてないところが、腹立つ。
なんでって、ペソっとした、己のガリガリボディを思い知らされて、憤ったからに決まってるっ。
「おまえさぁ、そんなに良い体してんのに、なんで俺の貧弱なおっぱいが好きなんだよぉ?」
乳首をしつこく、ねちっこく攻める、昨夜の天誠の姿を思い返し、紫輝は頬を赤らめる。
「そりゃ、だって。兄さんのおっぱいだからに決まっているだろう?」
天誠は浴槽の縁を抱え込むように寄り掛かると、羽を広げて湯につけないようにした。
「兄さんのおっぱいは感度が良いし、色も薄桃色で可愛くて、でもいじっていると赤く熟れてきて。食べごろになるとぷっくり膨らんできて。兄さんがアンアン鳴くから、可愛くて可愛くて。ツンととがった愛らしい部分をコリコリ噛んで、つい歯ざわりとか楽しんでしまって…」
「やーめーろー、もう結構。俺は、お腹いっぱいなんで」
「俺はまだまだ食べられるよ? 昨日、いじり過ぎて、兄さんのおっぱいが、イチゴみたいに赤くなっちゃったから、舐めて、癒してあげようか?」
もう、今日、帰るのに。そんなことされたら、村から出られなくなっちゃうよっ。
そう思って、紫輝は両手で両胸を隠した。
「ダメダメ。もうっ、天誠はお触り禁止な」
「そんなぁ…嘘だよ。なにもしないから。兄さん、怒らないで」
耳にチュッチュッしながら、魅惑の極甘ボイスで言われたら。紫輝も、それ以上は強く言えないで。小さくうなずく。
紫輝は天誠の美声に、とことん弱かった。
「えっちなこと、しない?」
両手で胸を隠して、上目遣いでそんなことを言われたら。
天誠は。強烈なボディーブローを見舞われた気になった。
先ほどの腹パンチの三百億倍の威力がある。
紫輝は、恐ろしい暗殺者だっ。天誠は本気で命の危機を感じた。
「し、しないとも…」
ひっくり返った声の天誠に、紫輝は小首を傾げつつも。のんびりと、風呂の気持ち良さを堪能する。
本邸のお風呂は、ヒノキ風呂で。良い匂いで、ストレス解消されるんだよな。
昨日、酷使したから、腰を揉んでおこう。
「青桐の屋敷を、今、リフォームしてんだけど。龍鬼の区画に作る風呂がヒノキの予定なんだ」
紫輝は、大概のことは、ライラを通して天誠に報告しているし。天誠もたまに、こちらを見ているようなので。天誠が知らないことなどないような気もするのだが。
この件は言っていなかったみたい。彼が首を傾げた。
「なんだ、龍鬼の区画って?」
「准将の屋敷に、龍鬼を入れるなって雰囲気があってさ。堺の屋敷も、龍鬼が使う区画と別に、客用の区画があるって言うので。同じように作ってもらう予定なんだ」
「そうか、将堂の差別観は、やっぱ、きついんだな。まぁ、でも。こちらは現在、龍鬼は不破しかいないから、比較はできないか。あいつも、自分の屋敷以外で寝泊まりしないからな」
「藤王は、将堂での龍鬼の扱いが染みついていて、自然に振舞える極致までいってんじゃね? 堺もつい最近まで、そんな感じだったみたい。幹部と同じ屋敷に泊まるようなことは今回が初めてだ、みたいなことを言っていた。一兵士時代から、ずっと個室だったって」
「あぁ、早く、終戦にさせたいな。早く、紫輝とともに暮らして、龍鬼とか言われることのない生活をさせてやりたい。しかし、ここ、という決定打がないんだよな。最悪、和平交渉を持ちかけるときとかも、考えているのだが。どちらが先に頭を下げた、とか。のちのち優劣がつきそうなことをしたくないから、悩みどころだ」
「俺も、早くって、思うけど。焦って計画がとん挫するのが一番まずいじゃん? 天誠がここぞ、と思う瞬間が、きっと来るよ。もう少し、様子を見ていこう?」
天誠は紫輝を抱き寄せて、額と額を合わせてグリグリする。
天誠の好きなやつ。
「…そうだな。こちらには、将堂の宝玉もいるし、不破もなかなか頭がキレる。情勢の見極めは、間違えたりしないだろう。歯痒いが、もう少し様子見だな」
逸る気持ちをおさえ、紫輝と天誠はまったりと朝風呂を楽しんだ。
★★★★★
今日は、本邸の食堂に集まって、みんなで朝ご飯を食べたあと。
先に天誠たちが、村を出ることになった。
村の出口に、馬が用意されているが。
高台で、堺は藤王との別れを惜しんだ。
「兄さん、もう少しゆっくりお話ししたかったです。あの…私と将堂に戻るという選択は考えられませんか?」
堺は、手甲で傷が隠された藤王の右手を、両手で包み込み、真摯に願うが。
彼は首を振る。
「すまない、堺。私はもう、将堂には戻れない」
今も、腹に渦巻く憎しみを抱えている藤王が、ともに来てくれるとは思わなかったけれど。
それでも堺は、一度は、私とともに帰りましょうと、告げたかったのだ。
「堺の命を盾に取られたら、私は身動きが取れなくなる。再び、金蓮の言いなりにさせられるだろう。そのようなことは、もう…」
「そんなのは、私も嫌です。兄さんが私に自由を望むように。私も兄さんが憂いなく過ごすことを望みます。ただ、兄さんがそばにいないのは寂しいから。ちょっと言ってみただけです」
「…堺ッ」
はにかんで、言う弟が、べらぼうに可愛い。
ものすっごく、可愛い。
天上に登るほどに、可愛いっ。
藤王は思わず、堺を抱き締めてしまった。
「私も、堺と離れたくはないさ。だから、早急に、再び兄弟で暮らせる世の中を作り出そう。必ずな」
「兄弟で暮らす前に、俺と堺は結婚して、ふたりで暮らすがな」
藤王から堺を取り戻し、青桐が苦々しい顔つきで言う。
「まぁまぁ、家族は一生家族だよ。兄弟が毎日顔を合わせられる、それは素敵な環境だよ」
「会うな、なんて狭量なことは言わないさ」
フォローする紫輝に、青桐も鼻で息をついて言う。
つまり、兄弟で会うことは邪魔しないってことだよね?
もう、言い方が素直じゃないんだから。
「しかし、金蓮は。もう、藤王が生きていることを知っている。堺を盾に取って、藤王に出て来いと無茶を言うかもしれないな。もしも、堺が金蓮に奪われそうになったら、青桐は人事権を行使して、必ず阻止しろ。一応、准将は金蓮の部下という位置づけだが。右軍総司令官の地位は、伊達ではない。右軍のことについて、金蓮は容易に口出しできないようにはなっている。そこを前面に出して、突っぱねればいい」
藤王の言に引っかかって、赤穂が青桐に助言した。
うん。こっちの兄弟はなかなか、仲良さそうになったな。
「金蓮に奪われたら、堺の命が危ういってことだな? わかった。必ず阻止する」
赤穂と青桐、堺と藤王が話をする中。
天誠は紫輝をバックハグで抱き込んで、離さなかった。
昨日からずっとくっついているけど。紫輝もくっついていたいから、文句を言わなかった。
毎日ライラ電話で話しているから、寂しくはないけど。やっぱ、くっついていると、それだけで活力がみなぎるというか。元気になるんだよな?
それでも、天誠たちは、日があるうちに。少なくても、手裏の領地まで戻らなくてはならないから。
早くここを出なければならないのだ。
「道中、くれぐれも気をつけて。いつも、無事に、向こうにたどり着くまでは、心配だ」
「わかった。向こうに着いたら連絡するな?」
こめかみに、挨拶のキスをして。天誠と藤王、数名の隠密たちという黒マント軍団が、馬に乗って、村を出て行った。
紫輝と堺は、涙ぐんで、彼らを見送る。
また会える日を、ひたすら待ち望む日々が始まるのだ。つらいなぁ。
「思うのだが、あのふたりが動かないのなら、もう終戦のようなものなのではないか? 彼らが俺らに、戦場で刀を振るう、その場面が想像できねぇ」
堺の隣で、青桐が言う。
そう言われたら、紫輝も、そのような気になるけれど。
ま、夏は普通に天誠は攻撃してきたし。手加減はしたみたいだけど。
あれ、結構怖かったんだからな。あてにはできないよ。
「そうなると、いいね。じゃあ、俺らも帰る用意をしようか」
紫輝が振り返ると。そこには、ベソベソに泣いた月光が立っていた。
「紫輝ぃ、もう少し村にいなよぉ。パパとお話しようよぉ」
月光とは初日にいっぱい話したし、ライラ電話でも話せる。
面倒くさいので、赤穂が月光の首根っこ押さえている間に、さっさと支度をして村を出た。
はいはい、またね?
★★★★★
紫輝たちは、昼過ぎには、本拠地に着いた。
帰りはなだらかな下り坂になっているので、行きよりも早く着く。
「はぁ、腰痛かった。堺は大丈夫だった?」
なにげなく紫輝は聞いたのだけど。
それには、青桐が目くじらを立てた。
「おい、堺に下品なことを聞くんじゃねぇ。堺はまだまだ清い人なんだから」
「清いったって、することしているのでしょう?」
「していても、純情で清楚なんだよ。おまえとは違うんだ」
「ちぇっ、ちょっと、腰痛くなるから大変だよねって話したかっただけなのに」
なんて、やり取りを青桐としていたら。堺は言うのだ。
「馬に乗って腰が痛くなるのは、軸が定まっていないからです。体幹を鍛えると良いですよ?」
「…な?」
同意を青桐に求められ。紫輝はどうもすみませんでしたって、謝るのだった。
堺に匂わせは通用しない、つか、腰痛から夜のアレを連想することもないみたい。
ピュアレジェンドなんだね?
そして本拠地の中心部まで来て、紫輝は青桐と堺に、馬上から声をかけた。
「俺は指令本部に顔を出して、幸直たちに、帰ったことを知らせておくよ。ふたりは疲れただろうから、先に屋敷に戻って休んで。俺もこのあとは、第五の屋敷に戻って休むから」
「紫輝…」
すると、堺が馬を寄せてきて。神妙な顔…というか、泣きそうな顔で、切り出した。
「今回のこと、本当にありがとうございました。とても、嬉しかったのです」
どこで、誰が聞いているかわからないから、曖昧な言葉で濁しているが。
兄に会えたことを、心底喜んでいる、という感じだな。と紫輝は思う。
この局面で、将堂軍の中で、藤王の名は出せない。というのは、聡明な堺なら当然、理解していることだ。
「長年の胸のつかえであった、憂いと謎が解けた思いです。この気持ちを…どう表せばいいのかっ。とにかく、感謝しています。私は今、とても幸せなのです」
そうして向けた笑顔は、麗らかな春日を思わせる暖かいものだった。
紫輝は、堺のそんな表情を見て。
なんか、胸の奥から熱いものが込み上げてくるような感じになった。
感無量って、こんな感じ?
堺と初めて出会った、あの泉で。
彼は、なにもかもをあきらめて、傷ついていて。
とても、大隊を壊滅させた者と、同一人物とは思えない。儚げな印象だったのだ。
頼れる兄も不在で、孤独で、表情を凍らせて。
氷の鎧と盾で、触れるものをみんな遠ざけていた。
そんな堺が、今、幸せだと言って、柔らかく笑うのだ。
そんなの、涙が出るほど嬉しいじゃん?
「良かったな、堺。あ…明後日は、青桐の屋敷に引っ越しだろう? まだまだやることいっぱいだね? 明日手伝いに行くからな」
泣き顔を見せないように、紫輝は慌てて馬を反転させると。指令本部へと向かった。
だって、紫輝は堺のお兄ちゃんを自負しているのだから。情けないところなど見せられないのだっ。
「紫輝様の涙は、お美しいですねぇ」
横から大和が言うのに、紫輝は睨む。
「見るなよ。お金取るから」
「いくらでも積みます」
紫輝は大和を半目で見やる。冗談じゃないところが恐ろしい。
この頃、ゴールデンレトリバーが言うことを聞かなくて、紫輝は困っています。
★★★★★
指令本部に行くまでに、涙は乾いた。
もう、泣かせないでよね、堺。
ノックをして、室内に入ると。幸直と巴が、黙々と書類のチェックをしていた。
巴などは、紫輝が入室しても気づかないような集中力で。すごいです。
「幸直、巴。青桐たち、無事に屋敷に帰りついたから。報告な。俺も疲れたから、第五に戻って休むよ」
「マジ? 紫輝、第五に行くなら、廣伊に書類持っていって。人事、通ったから」
薄茶の髪を揺らしながら、顔を上げた幸直から。紫輝は書類を受け取った。
巴は相変わらず、書類とにらめっこをしているので。自然、紫輝は幸直と話すことになる。
つか、無視じゃないよね?
「ほんと? これで、第五再建の目途が立ちそう。良かったよ。あ、幸直たち、仲直りできた?」
「は? 喧嘩なんかしてないし。つか、おまえらがいない間、休む暇なく働いていたに決まってんだろ? 俺らにも休み、寄越せよな。絶対、休み貰うからな?」
「はいはい、じゃあ、青桐の屋敷の引っ越しが終わったら、堺に頼んでみるから」
紫輝が請け負うと。幸直はほんのりと、柔らかく笑った。
つい最近までのトゲトゲが薄まった感じだ。
「なになに? もしかして巴と旅行とかしちゃうの? ラブラブなの?」
「べっつに、そういうんじゃねぇしぃ」
とか言うけど、幸直はなにやらニヤニヤしている。
幸直は真っ正直だから、顔に出るよね?
でも、まぁ。出掛ける前に心配していた、悪い展開にはなってなさそう。
良かった。ラブラブなら、それでよし。
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