【完結】異世界行ったら龍認定されました

北川晶

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番外 初代国王、将堂紫輝 ②

 さてさて、次は藤王の話です。

 己は天誠によって、藤王の大体の事柄は教えてもらった。
 八年も、堺の前から行方をくらませたのは、弟の堺に懸想けそうしたことを、自分で許せなかったからみたい。
 熱を出して朦朧としている堺に、キスしてしまって、それを先代の不破に怒られた。

 天誠なんか、子供の頃から、寝ている己にキスしてたみたいだけど。
 ライラに尻尾ビッタンされて、怒られていたんだって。それと同じだな。
 ん? 同じかな?

 でも、不破は藤王に、八年間、堺に会ってはいけませんといういましめを課したんだって。
 それは…長いっ。長いよ。不破さん、それは可哀想だって。

 って、己は思ったんだけど。
 藤王は天誠に、こう話したらしい。

「先代の不破は、千里眼を持っていた。なんでも見通せる、不思議な力だ。見たいと思うものは、過去も現在も未来も見えるという、強力な能力だった。だが、不破が死んだあとのことは、わからないのだと。私には言っていた。実際、安曇を助けろと、不破は一言も、私に言わなかった。おそらく安曇は、不破が亡くなってから、この地に降りたから。彼には知り得なかったのだろう。しかし、不破は。八年後に堺の伴侶が現われると、知っていたんじゃないのかと思うのだ。だから、私に八年待てと言ったのではないかな?」

 憶測ではある。
 先代の不破にしか、それはわからないが。

 思えば、奇妙な縁だよな?
 藤王が金蓮暗殺に動かなければ、赤穂が死にかけることもなく。
 赤穂の身代わりに、青桐が山奥から連れ出されることもなかった。
 そして、青桐が堺と出会って、ふたりが恋に落ちることもなかったんだ。

 もしも藤王が、八年待たなかったら。
 それも運命は、ガラリと変わったことだろう。

 しかし。とにもかくにも。堺は青桐と出会ってしまい。藤王は、堺とは結ばれなかった。
 それが運命だと。
 運命づけるのは、好きではないが。

 彼らに限っては、そうとしか言いようがない。と思ったのだ。

 でもさ、悪いことばかりでもなかったんだよ。
 藤王は、金蓮のせいで、性的なトラウマを抱えてしまって。女性不信もあって。本人も誰かと付き合うなどもうあり得ない、なんて言っていたのだが。

 なんと、藤王の子供ができました。

 相手は、隠密で、ふたりめの黒マント役を務めていた、牙織だった。
 牙織の本名は、香織というのだが。
 女性ながら、隠密を志願して。当時の仲間内の、誰よりも強くて(大和の証言です)そして誰にも、噛みついてくるような、どう猛さがあった。
 牙をむいて威嚇するので、みんながガオと呼び始め。
 天誠が面白がって、当て字で命名したら。
 本人がそれを気に入ってしまって。以降、その名で通すようになってしまったんだって。

 もう、天誠はっ。女の子にそういうことして。

 己は、弟の所業に、眉根を寄せるが。
 当の本人、牙織は。天誠を、それはそれは崇拝していた。
 死にゆくしかなかった彼女を、天誠は引き上げ、隠密としての生きがいも与えたからだ。
 それだけで、天誠のことを神と崇める理由になったのだ。

 そうは言っても、牙織は天誠に恋をしてはいない。
 天誠が紫輝を愛する気持ちに、牙織は憧れていたのだ。

 天誠が愛する者、すなわち己にも、最大級の敬意を持ってくれたのだが…いやいや、天誠がしたことは立派だけど。己はなにもしていないので。そんなふうに思われるとくすぐったいばかりなんです。

 まぁ、とにもかくにも。
 牙織は、天誠を崇拝していたという背景がありまして。
 そこからどうして、藤王とそうなったのかというと。

 これは、天誠も知らなかったことなのだが。
 あとあと、藤王から聞いたところによると。こういう経緯があったらしい。

 銀杏が外され。基成を形作る三人体制の輪が崩れてしまった。
 しかし、その形態に慣れていた天誠と藤王は。銀杏の代わりに、初めは亜義を組み入れた。
 しかし亜義は身長が足りなかったので。長身の牙織に白羽の矢が立った。
 牙織は、天誠の役に立つべく。真面目に影武者を務めあげていたのだ。

 亜義はね、天誠の右腕みたいな重要な隠密頭なんだから、身長が足りなくても、気に病むことはないよ。
 己だって、身長低いけどさ。
 長身のやつばっかりで、全く腹が立つよね?
 あぁ、己の不満がダダ漏れてしまった。
 でもまぁ、きっと。亜義のことは大和が慰めてあげたんだろうね。それは良いとして。

 そして、ある日。
 天誠のいないところで、牙織と藤王が口論になったようなのだ。

「おまえは、己が差別されていると言いながら、龍鬼とそうでない者、男と女、を差別しているのだ」
 三人体制の内のひとりが、女性であることで。藤王が不必要に、牙織を遠ざけたのが原因だった。

 牙織は、隠密になった時点で、女であることで能力を低くみられることを、ひどく嫌っていた。
 女だから、という言葉は。牙織には禁句である。
 それでなくても、牙織は。あの劇団もびっくりするほどの、美しい男装の麗人なのだ。
 ぱっと見、女性とは気づかれない。

 なのに、亜義が身代わりを務めていたときは、なんの支障もなかったのに。牙織に変わった途端、藤王は彼女から距離を置いた。
 女であるという、くだらない理由で、藤王から避けられるのが。彼女は我慢ならなかったのだ。

「私は、おまえを権力で縛りつけたバカ女とは違うのだ。感情で動くような、浅はかな真似などするものか。安曇様が一番嫌う、女の典型だからな。安曇様も大概、女嫌いだが。かといって、女性全員を嫌っているわけではないぞ。女を武器にする女、感情剥き出し制御できない女、思考の足りない女が嫌いなのだ。普通に生活を営む女性には、とても寛大で、優しいお方だよ。だがおまえは、女はみんな、あの金蓮のようだと思っているのだろう? 一で全くくりする、それが差別なのだ。そういうおまえは、器が小さいのだ。安曇様の足元にも及ばぬはっ!」

 安曇を引き合いに出されて、くそみそに言われた藤王は。カッチーンときて。
「私が安曇に劣ると言うのかっ、許さんぞ、おまえ。いつかおまえに、吠え面をかかせてやるから、覚悟しろっ」
 そう言って、牙織に、己は差別主義者などではないと認めさせるよう、努めていたら。

「…いつの間にか、そういうことになっていた」

 牙織が行方不明になったとき、藤王は天誠に、そう暴露したのだ。
 崇拝している天誠に、牙織がなにも言わずに姿を消すというのは、余程のことである。
 しかし、結局天誠も、牙織の消息を掴めず。
 あせった藤王は、奥の手を出した。

 藤王の特殊能力は、他の龍鬼の能力を、一度だけ真似できるというものだった。
 それで藤王は、不破の千里眼を使って、牙織の行方を探し当てたのだ。
 そのときに、牙織が身ごもっていることも知った。

 牙織は、人知れず藤王の子を産んで、育てようと思っていたようなのだ。
 藤王と、そういう関係にはなったけれど。基本的に女嫌いである、彼の負担にはなりたくなかった。
 見てくれが男のようだから、藤王は自分に手を出せただけ。
 でも、子を身ごもってしまったら。否応なく自分を女性と意識するだろう。
 牙織は、藤王に背中を向けられることが怖かった。

 彼女も、藤王を愛してしまったのだ。

 牙織をみつけ出した藤王は、誠心誠意に言葉を尽くし。ともに子供を育てたい。君を愛していると告げたのだった。
 そりゃ、愛しているよね? 千里眼は、マジで奥の手だった。
 なんだってわかる、一度きりの究極奥義だよ。
 それを、牙織の捜索のために使ったのだから。
 藤王にとっても、牙織はそれくらい大事な人だったってことだ。

 天誠は、もったいないって嘆いていたけど。
 いいのっ。愛のためにとっておきを出すなんて、ロマンティックじゃーん?

 というわけで天誠は、牙織に四季村で子供を産むよう指示した。
 天誠に言われたら、牙織は逆らえないし。
 子供が生まれるまでは、藤王も仕事を休んで。牙織と愛情を育みなさい。ということになったのだ。

 四季村には、すみれちゃんもいるし。
 牙織にとっても顔馴染みが多いから。肩の力を抜いて子育てできるだろう。
 牙織は、ひとりで子供を産んで、育て上げなきゃって気負っていた時期もあったみたいだけど。お産は一大事だし。こればかりは、ひとりでするのは限界があるよ。
 もう、藤王が守ってくれると思うけど。
 みんなに助けてもらえばいいんだよ、そういうのは。ね?

     ★★★★★

 そう、お産は一大事なのですが。大変なことが起きたのです。

 四月に、堺が赤ちゃんを産みました!!!

 これには本当に驚きまして。
 計算が…と考えるでしょうが。
 ちゃんと堺と青桐の子で。
 十月十日とつきとおかでもなくて。お腹の中から出てきたのでもなくて。とにかく、すごい現象だったのです。

 出産のとき、己もちょうど、一緒にいたんだ。
 急に、堺がお腹が痛いと言い出して。青桐の屋敷で、休んでいたんだけど。堺が体をぎゅっって丸めたら。体中が光り出して。
 そこから小さな光がふたつ飛び出してきた。
 その光は、堺の手と。青桐の手の上に乗っかって。赤ちゃんになりました。

 やっべぇ、ファンタジーきたぁ!

 堺が産んだ赤ちゃんは、白髪の、白い翼に羽先が黒いタンチョウ血脈の女の子と。
 黒髪に翼のない龍鬼の男の子。双子ちゃんです。
 わぁ。すごーい。

 赤ちゃんを産んだ堺は、やはり私は人ではないのか、と。一瞬落ち込んだけど。
 青桐が赤ちゃんを抱きながら、号泣して。
 堺に似た赤ちゃん、可愛すぎるって、感動しているものだから。落ち込む暇もなく。子育てモードに切り替わったのだった。

 月光に赤ちゃんの育て方を習って。一生懸命、ふたりで子育てし始めたよ。
 つか、青桐に似た黒い子も、可愛がってやってよね?
 と思っていたら。
 堺も月光も、紫輝だ紫輝だって、言い始めて。
 黒髪の子に紫月って名前つけちゃったよ。そんな安易に名前つけて、いいの?
 てか、俺じゃなくて、青桐の子だからな?
 ま、青桐と己は、血縁だから。似てもおかしくはないんだけど。

 以前、青桐に。龍鬼は一途だから、俺たちの代で龍鬼の子供は望めないな、なんて話をしたことがあった。
 でも、できちゃったね、龍鬼の血を受け継ぐ子供たちが。

 こりゃ、この子たちが奇異な目で見られないよう、しっかり差別のない世の中を作っていかなければならないな。大人の責務だよね。

 そんなわけで、龍鬼の血族第一号は、堺の子供たちだった。
 つか、愛も恋も知らず『紫輝が恋人になってくれないのなら、龍鬼の私にそのような人など、もう現れたりしない』と悲しげな顔で言っていた堺が。
 愛も恋も、ゆっくり育んでくれて、堺のなにもかもを包みこんで、傷を癒して、ときに嵐のように情熱的に翻弄する、青桐と巡り会えたんだ。
 愛の結晶を形作るほどの、愛する人に出会うなんて。本当に、すごいことだよ。

 小姑は、今、猛烈に感動しているッ。

 良かったな。おめでとう、堺。
 これからも青桐に、いっぱい愛してもらってね?

 そして、十月には。藤王の子供が生まれた。
 牙織が産んだのは、白髪の龍鬼の男の子だ。
 こちらは牙織が身ごもったせいか、しっかり十月十日、赤ちゃんはお腹の中にいた。

 でも、龍鬼の子が、必ず龍鬼というわけではない。
 堺の産んだ子は、ひとりはタンチョウの翼を持っていた。普通の子供たちのように、親の遺伝子を半分ずつ分けられて生まれてくる、ってことなんじゃないかな?
 厳密ではないにしろ、親が龍鬼同士でなかったら、龍鬼になる確率は五分五分ってこと?
 そんな感じじゃない?

 それで、続いて。廣伊まで子供を産んだのだ。
 マジか?

 廣伊が産んだのは、鮮やかな緑色の翼を持った、ケツァール血脈の男の子。
 そして、瑠璃色の髪の、龍鬼の男の子だった。
 うん、五分五分。っつか、ケツァールの翼って、本当に綺麗なんだ。
 エメラルドグリーンなのは、廣伊の髪色でわかっていたものの。翼の羽先、ニ本の羽がキューッと長くて。羽軸のところが少し瑠璃色に輝いていて。
 すっごい、綺麗。
 廣伊は、龍鬼の自分が生まれたことで、家が取り潰され、ケツァール血脈が絶えてしまうんじゃないかと、心配していたようだが。
 この子が誕生し、血脈を残す希望は生まれた。

 瑠璃色の龍鬼くんは、千夜に似て、彫りが深くて美男子になる予感。
 今日も元気いっぱいに泣いている。元気が一番だよな。

 それで、龍鬼の血族は五人も生まれ。龍鬼も、三人になった。
 紫輝の代の龍鬼は、年齢の前後があるだろうが、まだみつかっていない。
 戸籍が整備されれば、いつか、みつかると思うけれど。差別がひどくなくなった環境ならば、普通に家業を継いだりして、暮らしていけるのではないかと思う。

 でも、例年通りなら、堺の子供たちに近い年齢の龍鬼が、あとふたりは生まれ出でるはず。
 龍鬼が産んだ子は、普通に考えて龍鬼になる確率が高い。
 でも今までは、その前例がなかった。
 つまり、龍鬼が産んだ子以外に、龍鬼が生まれ出でるようになっているはずなのだ。

 遺伝子のせいか、なんの作用か、わからないが。
 二十年周期で三人程度が生まれるって。それが必定なら。龍鬼の子孫、以外の。龍鬼とは関りのないところで生まれ出でる龍鬼が、すでに生まれているはずで。
 この年代の龍鬼は五人になるはずなんだけどね。

 でもそうして、龍鬼が増えていけば。有翼人種と共存する未来が来るだろう。
 羽があっても。羽がなくても。みんな仲良く過ごせる世界。そういう未来になったらいいね。

     ★★★★★

 ところで。なんでみんな、男なのに子供が産めるんだ?
 龍鬼はやっぱり特別なのか?
 そう、堺と廣伊に聞いたら。どうやら魔法の言葉があるらしい。
 あの。『俺の龍』ってやつだ。

 睦み合っている最中、できれば絶頂の瞬間などに『俺の龍』と言われると。体の奥がキュキュッっとなって。子供ができるんだって。
 お腹が熱くなるから、なんとなくわかるらしいよ。

「えええぇ? そうなの?」
 半信半疑ながら。でも、実際に、堺と廣伊は子供を授かっているわけで。

 なので。寝台の上で天誠と向かい合っているときに。その話を彼に言ってみたわけ。
 やはり、これはふたりの問題。旦那に言わなきゃならん案件だろう?

「子供か…前に、紫輝の子供なら欲しいなんて言ったこともあったが。子供に紫輝を取られたくないんだよね。授かったら、もちろん、可愛がるが。俺らには、ライラがいるし。ライラは空気読める天才猫だから。俺と紫輝の時間を邪魔したりしないだろ? 許容できる我が子は、ライラだけだな」

 そう言って、寝台の枕元に、デーンと横になるライラの腹を、天誠がポンと叩いた。
 そうしたら、ライラが後ろ足で天誠を寝台から蹴り落としたのだ。

「ライラっ、自分のベッドで寝ろよ」
 黒い翼をバサバサさせながら、天誠は怒るが。
 ライラはいやぁよぉーと鳴く。
 手裏家の威厳を持つ、黒の大翼も、ライラにはかないません。
 そうしてライラは、今まで天誠が寝ていた場所にドドーンと長く横になり。紫輝と向かい合った。足を伸ばしたライラは、紫輝よりも大きかった。

 すごーい。でっかーい。足ながーい。

「あたしがおんちゃんとねるわぁ。てんちゃんは、あたしのベッドで寝てもいいわよぉ」
「ふっざけんな、空気が読める天才猫は撤回だ。ライラは上から目線の、空気の読めない、ダメ猫だっ」
 天誠は怒りながらも、ライラを寝台からどかすことはできなくて。グルリと回ってきて、紫輝の背中にぴったりくっつくようにして、身を横にする。
 紫輝を真ん中にして、川の字になった。せ、せまい。

 そうして、紫輝の耳に吹き込んだ。
「それに、紫輝は『俺の龍』じゃなくて。俺の兄さんだから」
 あの、尾てい骨がぶるぶるする、魅惑のスイートボイスで囁かれ。紫輝は背筋をおののかせた。

「ギャーッ、おまえ、ざらざらした砂糖を俺の耳に流し込むんじゃねぇ」
「好きな癖に」
「やーめーろー」

 クスクス、ギャハギャハ、笑い合って。
 紫輝は天誠とライラと三人、楽しい日々を過ごしていった。

 初代国王と、手裏家の大翼を持つ者の血族を残すべきじゃないか、と。いろいろな人から忠告されたこともあるが。
 天誠は決して、首を縦に振らなかった。

 それは、わかっていたからかもしれない。

 龍鬼の子供は、能力を多大に使用して産み出される、分身にも似た存在なのだと。
 とにかく天誠は、己が能力を使うことを厳しく制限した。

 そして、子供を作ろうとはしなかったのだ。

     ★★★★★

 そうだ、一番大事なことを記しておかないと。
 二十歳になった頃…身長が伸びたんだ。
 やったぁ。天誠の肩より、上に頭が出るくらいは、伸びたよ!
 できれば容姿も、青桐みたいなセクシーワイルドになれたら良かったんだけど。極悪ノラ猫の、極悪が取れたくらいにしかならなかった。
 モブ顔は、何年経ってもモブだよね。困ったね。

 でも、周りの皆さんは、綺麗とか可愛いとか褒めてくれる。
 本当かな?
 王様におべっか使ってんじゃないのかな?
 もしかしたら天誠が、圧力かけてるんじゃないかな?

 うん、きっとそうに違いない。話半分に聞いておくことにする。

 ま、とにかく身長が伸びて、天誠と並んだときのバランスが良くなったよ。
 天誠が、キスするのにベストな身長差だって、言ってくれた。えへ。

 それから…己の大事な友達、その子孫が、どういう人生をたどったのか。
 それは、己にはわからない。

 なんと、龍鬼で一番最年少だった己が、一番最初に死んでしまったからなんだ。

 時を操る、最強の龍鬼とうたわれ、初代国王を務めた己だが。
 やはり、寿命には敵わなかったな。
 三百年も時を飛んでしまったことや、千夜と赤穂の体を治したアレとかが。影響が大きかったみたいだね。
 でも、そのことは。全然、後悔していないんだ。
 だって、千夜も赤穂も、今や己の大切な家族。
 彼らが健康であれることは、己の幸せにつながるからな。

 それに、天誠とライラに会えたことも。
 大切な。
 己の命に等しい者たちに、出会えたことこそ。

 己の一番のお手柄だったと思わない?

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