『私』が365日を生きるということは

藤嶋

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【きゅう:わんわんわんだほー】

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 一月九日。
 愛犬コムギの朝は早い。朝の五時に目が覚めケージの中を動き回って隣人を起こす。
 雪国の、とりわけ朝は寒く、保温状態の布団から抜け出すのは容易ではない。けれどもコムギが期待と催促で「ふぴー、ふぴー」と切なげに声を上げるものだから飼い主として起きないわけにはいかない。

「おはよぉ、コムギ」

 ガッチリ着込み準備してケージを開ければ、さも数年会えなかったかのようにハイテンションでリビングを駆け回り、時折ジャンプキックを繰り出すコムギに目が覚めてくる。
 そこらの目覚まし時計よりずっと効果的だ。

「今日も寒いよー、雪だよ。昨日の夜ずっと降ってたから積もってる」

 玄関を開ければ案の定、雪景色で。普通の靴では太刀打ち出来ないほど積もっている。
 長靴に履き替えている間、コムギは大人しく「待て」をしているが雪への興奮が抑え切れず後ろ足と丸尻を震わせている。

「よし行こう!」

 鍵をかけた音と同時に駆け出すコムギを見ていると、犬は喜び庭駆け回るというのは本当なのだと実感する。
 早朝の、誰も足跡をつけていない白紙のような雪に動く食パンが一斤埋もれているーーように見える。

「かなり積もったからコムギの足の長さじゃつらいか!」
 
 さすがコーギー。
 なかなか進めないでいるコムギに思わず吹き出せば、言葉がわかったかのように急に一歩を跳ねながら進み出す。
 速くなったが、この進み方は疲れそうーーと思っていたらやはり帰宅と同時に、寝た。
 玄関で体を拭いている最中に、そのタオルの中で。

 この欲に忠実なところが羨ましくて、可愛いのだ。
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