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プロローグ
星崎あかりと朝波ゆずは
しおりを挟む私、朝波ゆずはには最近、思うことがある。そりゃ高校生だし、新入生だし、多感な時期でもあるわけだから仕方ないとは思うのだけど。
「ゆ、ゆずは!一緒に学校行こう?!」
「う、うん‥‥」
これだ。簡単に言えば中学校からの友達、星崎あかりの存在。
中学1年生の頃はたまに話す程度。2年生くらいから仲良くなった気もするけどあまり覚えていない。そんな関係。そんな私たちが最近、毎日一緒に学校へ通っているのはなんら不思議ではない、はずなんだけど。
「なんで疑問詞?」
「へぁえ?!んと、そのぉー‥‥」
いくら仲が良いと行っても毎日一緒に登校するほどではなかった。第一、家がお互い少し遠いからあかりには負担になっている気がする。それに、誘う時の態度もどこかぎこちない。手は若干震えてるし顔も紅いし、目が合わない。
毎朝なにかドッキリが仕掛けられているのでは?と勘ぐってしまう。
「あたしと登校したい理由でもあるの?」
「おおいにあるよ!」
「たとえば?」
「この美しい景色を共有したい!」
「うちの学園の方が緑とかもっと整備されてるし綺麗だよ」
「‥‥」
いや一個しかないんかい。
たしかにここらへんは綺麗だと思うけどあたし、近所だし。別にあかりと見たいとは思わないかな。
「だって‥‥もっと__」
「うん?」
「だって‥‥もっと、ゆずはと……!」
「あたしと?」
「~~~~!!」
あ、固まっちゃった。
そんなに種明かしがいやなのかね。
「はぁ、いいよ別に。無理に言わなくても」
「ゆずは‥‥」
「でも、どんなドッキリがきたって驚かないからね?」
バッチこいだよ。そう笑うとあかりは少し頰をふくらませ、顔を真っ赤にして叫んだ。
「ゆずはの鈍感!」
「えぇっ?」
何をそんなに怒られなきゃいけないんだろう。
学校に着くまでの間、何度も聞いてみたけど。結局、あかりが教えてくれることはなかった。
「もしかして会いたい人がいて付き添ってほしかったとか?」
「ゆずはのばかー!」
なんだとう。泣きそうな顔で走り出すあかりを見て、少しため息をついてしまった。
「まったく、可愛いやつめ」
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