4 / 4
地獄、それは無間のエネルギー
しおりを挟む
地獄冷却システムと名付けられた冷却システムは瞬く間に日本中に広まった。これによりヒートアイランド現象に終止符を打つことができたのだ。一部霊感の強い人たちから反対運動が起こされたが、暑さには勝てないということですべての反対運動は無視されることとなった。
そしてついに本命の八大地獄にドリルを打ち込む日が来た。地元の有名な強盗殺人を犯したとかの噂をもつ爺さんが死んだときに蜘蛛の糸を飛ばしてみれば、無事地獄まで到達したようである。
ファイバースコープを入れて見ると大きな鉄の山の間で焼けた縄を打たれた者がたくさん転がり、さらに灼けた斧で切り裂かれる様が見られる。
「これは多分黒縄(こくじょう)地獄って奴じゃないでしょうか」
山伏が八寒地獄に落ちてしまったので代わりに助手が解説する。大手商社の菱印商事は熱よりも大きな鉄山に興味を持ったようだが、残念ながら海底資源以上の採取の難しさだと説得され肩を落とす。
地獄の鬼たちが驚愕の表情を見せているのを尻目に地獄の地面を削っていく。しばらくすると刀の生えた木々の生い茂る地獄に到達する。
「これは衆合(しゅうごう)地獄でしょうか~」
強姦殺人などした者が落とされる地獄だという。なるほど美人の面をした鬼が居るのでそれを追いかけて罪人が切り刻まれるようだ。
「こわー。先生はこういう地獄に落ちないでくださいね」
「心配するな。俺は殺人に興味はない」
この衆合地獄は鉄の地面のようで今のドリルヘッドでは削れなくなった。特殊合金製のヘッドに交換し作業を再開する。たまたま現れた鉄の象をもろとも穿ち、さらにドリルは進む。叫喚地獄、大叫喚地獄とすすみ、鬼たちが叫喚しているかはわからない。なぜなら地獄の時間感覚からは極一瞬でドリルが進んでいくので、鬼からすれば認識した頃にはすでに鉄の棒が貫いている状況だ。
そうしてついに焔渦巻く地獄に到達する。
「これが焦熱地獄……か?温度は何度だ」
「え~と~……約1500Kです~」
ついに到達した灼熱の地獄に。早速熱交換器を突っ込むが、さすがに蜘蛛の糸は耐えられないので1500Kまでの耐熱性のあるでこぼこ印刷開発の特殊ペイントで般若経を印字したパイプを突っ込んでいく。
この先には大焦熱地獄と無間地獄が広がっていると推察されるが、これ以上の耐熱塗料がないので今後の技術開発に応じてと言うことになった。しかしこの地獄の熱により無限の熱を獲得し、同時に無限に冷却ができる環境が整ったと言うことになる。
この功績により、科学者はイグノーベル賞を受賞し霊界科学なる新たな学問分野が開拓されていくこととなる。
そして数年が経ち、日本中で火力発電所は終焉を迎える。地獄発電という名の地獄の熱と冷気を利用した温度差発電システムに切り替わった。再生可能エネルギーを超える究極のエネルギー源の誕生であった。
またこの無限のエネルギーにより日本周辺の気候は完全にコントロール可能となり日本中どこでもおいしいお米が育つようになった。このため糖尿病がさらに深刻な問題になったそれは致し方のない代償であった。
しかし不思議なことにこれは世界のエネルギー問題の解決にはならなかった。仏教圏とヒンドゥー教圏でしか実用化できなかったのである。この問題の解決を図るため科学者と研究員、そして助手たちはさらに研究を深めていくこととなる。
一方その頃の地獄では、閻魔が叫喚地獄で叫喚していた。
「な、な、な、んなんじゃこりゃぁぁぁぁ!」
「そ、それが気がついたときにはこの鉄の杭が何本も立っておりまして……」
「この熱はおそらく焦熱地獄に到達しているのだろうが……現世の者は一体何をしておるんじゃ」
「こ、これでは暑さでどこもかしこも焦熱地獄になってしまいます」
「それは別に構わんのだが……はぁ、一度天部で相談してみるか」
「閻魔様は天部がお嫌いでしたね」
「ああ、意識高度が高すぎていけ好かない連中だが仕方がない。明日にでも聞きに行ってみるさ」
しかしこの叫喚地獄における1日は地上における4000年なのでやはり人類にとって大きな問題になるのはまだまだ遠い未来の話であった。
~終~
そしてついに本命の八大地獄にドリルを打ち込む日が来た。地元の有名な強盗殺人を犯したとかの噂をもつ爺さんが死んだときに蜘蛛の糸を飛ばしてみれば、無事地獄まで到達したようである。
ファイバースコープを入れて見ると大きな鉄の山の間で焼けた縄を打たれた者がたくさん転がり、さらに灼けた斧で切り裂かれる様が見られる。
「これは多分黒縄(こくじょう)地獄って奴じゃないでしょうか」
山伏が八寒地獄に落ちてしまったので代わりに助手が解説する。大手商社の菱印商事は熱よりも大きな鉄山に興味を持ったようだが、残念ながら海底資源以上の採取の難しさだと説得され肩を落とす。
地獄の鬼たちが驚愕の表情を見せているのを尻目に地獄の地面を削っていく。しばらくすると刀の生えた木々の生い茂る地獄に到達する。
「これは衆合(しゅうごう)地獄でしょうか~」
強姦殺人などした者が落とされる地獄だという。なるほど美人の面をした鬼が居るのでそれを追いかけて罪人が切り刻まれるようだ。
「こわー。先生はこういう地獄に落ちないでくださいね」
「心配するな。俺は殺人に興味はない」
この衆合地獄は鉄の地面のようで今のドリルヘッドでは削れなくなった。特殊合金製のヘッドに交換し作業を再開する。たまたま現れた鉄の象をもろとも穿ち、さらにドリルは進む。叫喚地獄、大叫喚地獄とすすみ、鬼たちが叫喚しているかはわからない。なぜなら地獄の時間感覚からは極一瞬でドリルが進んでいくので、鬼からすれば認識した頃にはすでに鉄の棒が貫いている状況だ。
そうしてついに焔渦巻く地獄に到達する。
「これが焦熱地獄……か?温度は何度だ」
「え~と~……約1500Kです~」
ついに到達した灼熱の地獄に。早速熱交換器を突っ込むが、さすがに蜘蛛の糸は耐えられないので1500Kまでの耐熱性のあるでこぼこ印刷開発の特殊ペイントで般若経を印字したパイプを突っ込んでいく。
この先には大焦熱地獄と無間地獄が広がっていると推察されるが、これ以上の耐熱塗料がないので今後の技術開発に応じてと言うことになった。しかしこの地獄の熱により無限の熱を獲得し、同時に無限に冷却ができる環境が整ったと言うことになる。
この功績により、科学者はイグノーベル賞を受賞し霊界科学なる新たな学問分野が開拓されていくこととなる。
そして数年が経ち、日本中で火力発電所は終焉を迎える。地獄発電という名の地獄の熱と冷気を利用した温度差発電システムに切り替わった。再生可能エネルギーを超える究極のエネルギー源の誕生であった。
またこの無限のエネルギーにより日本周辺の気候は完全にコントロール可能となり日本中どこでもおいしいお米が育つようになった。このため糖尿病がさらに深刻な問題になったそれは致し方のない代償であった。
しかし不思議なことにこれは世界のエネルギー問題の解決にはならなかった。仏教圏とヒンドゥー教圏でしか実用化できなかったのである。この問題の解決を図るため科学者と研究員、そして助手たちはさらに研究を深めていくこととなる。
一方その頃の地獄では、閻魔が叫喚地獄で叫喚していた。
「な、な、な、んなんじゃこりゃぁぁぁぁ!」
「そ、それが気がついたときにはこの鉄の杭が何本も立っておりまして……」
「この熱はおそらく焦熱地獄に到達しているのだろうが……現世の者は一体何をしておるんじゃ」
「こ、これでは暑さでどこもかしこも焦熱地獄になってしまいます」
「それは別に構わんのだが……はぁ、一度天部で相談してみるか」
「閻魔様は天部がお嫌いでしたね」
「ああ、意識高度が高すぎていけ好かない連中だが仕方がない。明日にでも聞きに行ってみるさ」
しかしこの叫喚地獄における1日は地上における4000年なのでやはり人類にとって大きな問題になるのはまだまだ遠い未来の話であった。
~終~
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる