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第二章 噂が広まるのは早いもので
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今、葵(+後ろに山上)は旧校舎裏にある寮の前に立っている。
新入生以外は通常授業なため、ここにいる生徒たちは新入生ということになるのだが、先ほどからすれ違う者たちと明らかに距離を感じていた。距離といっても、心の距離ではなく物理的距離だ。
――何で? 何で!? 俺、何かした!?
しかも、確実にこちらを見て何か言っている。すごくひそひそ聞こえる。振り返ると、一斉に逸らされる視線。
これはまさか……。
「あの人だよな? 初日で不良のトップ制圧したの」
「俺はクラス全員子分にしたって聞いたぞ」
「強いのかね~、特に見た目はそこまで怖そうじゃないけど」
「しっ! 聞こえたら殺されるぞ!」
――殺すか!! 何か変な噂立ってる……!
勝手に人を犯罪者にしてほしくない。それよりも、何故このような葵に不利でしかない噂が広まってしまっているのか。
明らかに不良の山上と一緒にいるのはまずいかもしれないが、目立ったことは言っていないししてもいない。やはり、クラスで「兄貴」と叫ばれたのが原因か……。
そう思っているところで、ふと思い出した。
――あ、やっちゃってた。山上君よりヤバそうな人と初っ端から会ってたわ。
しかも、不可抗力ながら思い切り吹っ飛ばしてしまっているわけで。原因が自分にあることに気付き、内心膝を手を付いて嘆いているところへ追い打ちがかかった。
「三年まとめてる不良倒したって噂だよ」
「マジかー……関わらない方がいいかな」
――マっ……マジか!!
葵は衝撃的な事実に心臓を何処かへ投げ飛ばしたくなった。
見るからに強そうな、そして悪そうな不良だとは思っていたが、まさか頭をはっている不良だったとは。不幸過ぎる。
――どうしよう……っ偶然あの人が気絶しちゃっただけなのに、俺が倒したことになってる!
朝出会った男が相当な人物だということに気付き、葵は青ざめた。
――俺……リンチされる!!
「どうしました? 兄貴、顔色よくないっス」
「はは、何でもないよ」
から笑いを浮かべることしか出来ず、山上に「じゃあ」と手を振り持ってもらっていた鞄を受け取る。黙って見つめていた山上が、ぽんと両手を合わせて思い当たったという顔をした。
「あ、分かった。便所っスね、腹でも壊したんですか? お気を付けてー!」
大声でそんなこと言わないでほしい。山上の声のデカさは通常運転なのか。
というか、トイレではない。
新入生以外は通常授業なため、ここにいる生徒たちは新入生ということになるのだが、先ほどからすれ違う者たちと明らかに距離を感じていた。距離といっても、心の距離ではなく物理的距離だ。
――何で? 何で!? 俺、何かした!?
しかも、確実にこちらを見て何か言っている。すごくひそひそ聞こえる。振り返ると、一斉に逸らされる視線。
これはまさか……。
「あの人だよな? 初日で不良のトップ制圧したの」
「俺はクラス全員子分にしたって聞いたぞ」
「強いのかね~、特に見た目はそこまで怖そうじゃないけど」
「しっ! 聞こえたら殺されるぞ!」
――殺すか!! 何か変な噂立ってる……!
勝手に人を犯罪者にしてほしくない。それよりも、何故このような葵に不利でしかない噂が広まってしまっているのか。
明らかに不良の山上と一緒にいるのはまずいかもしれないが、目立ったことは言っていないししてもいない。やはり、クラスで「兄貴」と叫ばれたのが原因か……。
そう思っているところで、ふと思い出した。
――あ、やっちゃってた。山上君よりヤバそうな人と初っ端から会ってたわ。
しかも、不可抗力ながら思い切り吹っ飛ばしてしまっているわけで。原因が自分にあることに気付き、内心膝を手を付いて嘆いているところへ追い打ちがかかった。
「三年まとめてる不良倒したって噂だよ」
「マジかー……関わらない方がいいかな」
――マっ……マジか!!
葵は衝撃的な事実に心臓を何処かへ投げ飛ばしたくなった。
見るからに強そうな、そして悪そうな不良だとは思っていたが、まさか頭をはっている不良だったとは。不幸過ぎる。
――どうしよう……っ偶然あの人が気絶しちゃっただけなのに、俺が倒したことになってる!
朝出会った男が相当な人物だということに気付き、葵は青ざめた。
――俺……リンチされる!!
「どうしました? 兄貴、顔色よくないっス」
「はは、何でもないよ」
から笑いを浮かべることしか出来ず、山上に「じゃあ」と手を振り持ってもらっていた鞄を受け取る。黙って見つめていた山上が、ぽんと両手を合わせて思い当たったという顔をした。
「あ、分かった。便所っスね、腹でも壊したんですか? お気を付けてー!」
大声でそんなこと言わないでほしい。山上の声のデカさは通常運転なのか。
というか、トイレではない。
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