彼らは自分を慰める

タマゴあたま

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彼らは自分を慰める

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 ここは旧校舎の男子トイレ。
 もちろん、普段使っている校舎にもトイレはある。
 わざわざ旧校舎のトイレに来た理由はただ一つ。

 「自分を慰める」ため。

 それは自分の部屋でもできる。
 でも僕はここでする。

 僕は個室に入り、鍵をかける。
 ズボンをおろし、パンツをおろし、便器に腰をおろす。
 僕のあれはむくむくと起き上がる。
 僕の脳裏にはある女の子が映っている。クラスメートだ。

 僕は思い出す。
 彼女が屈んだときに見えてしまった彼女の胸。
 決して豊満とは言えないが、確かにあった膨らみ。

 風の強い日にスカートがめくれ、露わになった彼女の下着。
 おとなしそうな彼女が黒の下着を履いていたことは衝撃だった。

 僕は妄想する。
 生まれたままの姿で壁に手をつき、下半身をつきだす彼女。

『早くいれて……』

 それに応えるように、僕は勃起させたそれを彼女の中に挿入する。

『んっ』

 彼女は小さく喘ぎ、身を震わせる。
 僕はゆっくりと腰を動かす。その度に、ぬちゅっと音が鳴る。

『もっと奥までちょうだい』

 彼女の甘えた声に僕の腰の動きは速くなる。音も段々と大きくなる。
 手と手を打ち合わせるような、そんな音が鳴り響く。

『いいよ。すごく気持ちいい! あっ。んっ。もっと気持ちよくして! もっと気持ちよくなって!』

 彼女の声が僕の耳で甘く響く。
 僕は彼女に覆いかぶさり、胸に手を回す。
 そして、彼女の胸を包み込むように揉む。
 彼女の吐息と僕の荒々しい息が混ざり合う。

『イクっ! イッちゃう! 中に出して良いよ。一緒に気持ちよくなろ? ね?』

 僕は果てた。
 手の中に熱い液体が流れだす。

 興奮による高揚感。
 射精したことによる快感。
 そして何より、公共の場でするという背徳感。
 これが何ともたまらない。
 クラスメートをオカズにしてしまった罪悪感も少しはある。
 罪悪感はあるが、性欲には勝てない。

 ――――――――

 私はトイレの個室に入る。
 用を足すためなら、普通のトイレで良い。
 ここじゃなきゃこんなことできない。自分の家でもできない。

 私は他の個室に誰もいないこと、廊下にも誰もいないことを確認して、個室に入りしっかり鍵をかける。スカートを脱ぎ、たたんでトイレのタンクの上に置く。蛇口はついていないから濡れる心配はない。
 パンツも脱ぎ、スカートの上に置く。ここでする時はこの下着を着けるって決めている。

 あの時と同じ色。
 突風のせいでスカートがめくれたことがあった。一瞬だったから誰も見ていないはず。
 それに、地味な私のを見ても誰も嬉しくないだろう。

 私はある男の子を思い浮かべる。同じクラスの男の子。
 明るく、誰にでも分け隔てなく接する優しい男の子。
 地味で暗い私にも笑顔で接してくれた。

 そんな彼に私は惹かれていた。
 それなのに、いや、だからこそかもしれない。
 私は彼をオカズにする。

 自分を慰めるために想像を膨らませる。
 私は壁に手をついていた。もちろん裸で。
 彼のそれはギンギンに反り返っていた。

『じゃあ、いれるよ』

 彼は大きく太くなったそれを私の中へと押し込む。
 形がはっきりとわかる。熱く脈打っているのがわかる。
 彼はゆっくりと腰を振る。それに合わせて私も腰を動かす。

『締まっててすっごく気持ちいいよ』

 彼は少し息を荒くさせる。
 一生懸命に腰を振る姿が愛おしい。

『おっぱいも触るね』

 そう言って、彼は私の胸に触れる。
 その手つきは優しく、でも激しく求めていた。
 彼の腰の動きはさらに速くなり、腰がぶつかり合う音も大きくなる。
 その音が心地よい。

『やばい。もう出そう!』

 人は彼のことを「早い」と言うかもしれない。
 でも、それは彼を早く気持ちよくさせられたという証でもある。
 私はそれが嬉しかった。

『中に出すとまずいよね。外に出すから』

 そのまま出してしまいたいだろうに、彼は私のことを心配してくれる。その気遣いが彼らしいところだ。
 私は彼のすべてを愛したい。

『え? うん。わかった。――出すよ!』

 私は指にまとわりついた液体を眺める。
 これが私の中で彼のあれと混ざり合うことはあるのだろうか。
 あるのだとすれば、それはとても幸せなことだろう。

 ――――――――

 トイレの壁一枚。
 たったそれだけを隔てて互いに想い合っていることを、二人はまだ知らない。
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