勇者召喚されたのですが、わけあって【巨大神竜】となり、異世界都市を踏み潰してます！～魔物はちまちま討伐するより、踏み潰す方が楽だし早い～

街のアップグレード

都市ダミリアスに向かって歩を進めていた巨人の隊列を、「小形分裂竜」とアイテムを駆使し、一網打尽にした後。

案内してくれたアマシア姫を連れて都市に戻り、人々に出していた避難指示を解除してもらう。


都市ダミリアスに鳴り響く鐘の音。

「危機は去った」ということを意味し、三度連続で鐘は鳴らされる。その音が、何度も繰り返される中、静まり返っていた建物の中から、人々が姿を現す。

そして互いの無事を確かめるように、また、何がどうなったのかを知ろうとして、皆、冒険者ギルドの前へと集まり始めた。


「この街に向かっていた魔物の軍勢は、無事、討伐されました。
この街を再び救ってくださったユウト様に、皆様、感謝を！」

アマシア姫と彼女の臣下たちが、人々にそう説明する。

最初にこの街を魔物から奪還したときと同じように、宴が行われた。



宴は夜通し行われた。

「この街の人、ほんと宴好きだな……」と思ったが、俺も悪い気はしなかった。

街に被害が及ばなくて何よりだ。


宴が終わると、城に呼ばれて、アマシア姫から正式に感謝の言葉が送られた。

「ユウト様、またしてもこの街を危機から救ってくださり、本当にありがとうございました」

「ああ、いや。それは大丈夫です」俺は首を振った。「そんなことより、アマシア姫。ちょっと相談がありまして」

「はい。何でしょうか？」

アマシア姫が、小さく首を傾げた。


「この街の防衛についてなのですが……」

俺は今回のことで気になったことについて、彼女に相談した。

今回は、運よく敵が街に攻めてくる前に、彼らと戦闘することができた。

しかし次はそううまくいくかどうかは分からない。

そういった場合に備えて、日頃から防御を固めておいた方がよいのではないかと俺は思った。


「俺もできる限りのことは手伝います。なので姫も、手を貸していただけませんか」

「……分かりました。ぜひ、よろしくお願い申し上げます」

「ありがとうございます。ではまず、この街に既に備わっている防衛手段について教えていただきたいのですが……」

こうして俺は、街の防衛レベルのアップグレード業務に着手することになった。



その防衛の成果は、早くも１０日ほどで試す機会が訪れてしまった。

またしても、魔物の軍勢がせめてきてしまったのだ。