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殿下の一度目の最期
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「あ、あー、こほん、それで、侯爵のことはそれでいいとして」
「は、はい」
まだドキドキと逸る胸に手を当てながらちらりと殿下を伺う。
目元に赤味は残っているがすでに平時のような顔をしていて、今度はそれが少しだけ面白くない。
私ばかりが狼狽えているみたいで。
「君には伝えておかなければいけないことがあるんだ」
んん、ともう一度小さく空咳を零して僅かに残っていた赤味をも消した殿下は表情を険しくした。
その気配で自然と私からも動揺は消えて背筋が伸びる。
殿下の目にはそうさせるだけの強さがあった。
「君が一度目の人生で騎士に刺された時に使用されていた凶器は恐らく、というかほぼ確実に時戻しの短剣だろう」
「はい」
一体何の話を始めるのだろうと思っていれば、それは確かに表情を引き締めなければならない話題だった。
私たちの目的である繰り返しの原因特定と解除、間違いなくその鍵になるものの話なのだから。
「アゼリアの話を聞いた時、急に思い出したのです。あの騎士が私の胸から短剣を抜き去った瞬間を」
咄嗟のことであまり形状は覚えていないが、一瞬だけ見えた短剣の柄は国宝であるとされても不思議ではないくらいには緻密な装飾が施されていたように思える。
今にして思えば一介の騎士が持つには過ぎたる代物だった。
「思い出したのはその瞬間のことだけですから、剣で切られたはずの私がいつ短剣を刺されたのかはわかりません。けれど確かに私の胸を貫いていた、それは間違いありません」
私は殿下の言葉に応えながら自分が思い出した記憶をなぞる。
そしてその時に騎士が言っていた言葉も殿下に伝えなければと思った。
「殿下、その時にあの騎士が言っていたのです。『やるべきことを終えたら必ず迎えに行きます』と」
「…やるべきこと?」
殿下の左眉がピクリと動く。
「それが何かは…、わかっていたら言っているな」
「はい、残念ながらそこまでは」
今ある私の記憶では騎士が言っていた『やるべきこと』がなんなのかはわからないし、推測も立たない。
もしかしたらまだ眠っている記憶の中に答えがあるのかもしれないが、思い出せない以上言っても詮無いことだ。
「それと関係があるのかはわからないが」
殿下はそう言うと自身の右手を右目に当てる。
先ほども見たその行動が意味するところは、やはり。
「一度目の人生で、俺は敵兵に短剣で右目を刺されたことがある」
そう言って殿下は僅かに目元に皺を寄せた。
「…一度目の人生で俺が死んだ時のことは話したな?」
「はい、確かガルディアナとの戦で亡くなったと」
「ああ」
私が覚えていると告げると殿下は一つ息を吐き、ぐっと右手に力を入れた。
巻き込まれた艶やかな黒髪が殿下の指に合わせて流れを歪ませる。
「あの時俺は負傷したリチャードに手を貸しながら廊下を進んでいた。何故か指令本部の場所がガルディアナに漏れていて…、恐らくあの時点で生き残っていたのは俺達だけだっただろう。本部にはジスもいたが、あいつは俺を逃がすために敵に討たれたからな」
今度は腿の上に置いていた左手をぐっと握りながら、殿下は絞り出すように続ける。
リチャード様は側近として、ジスは護衛として最後まで殿下のお傍にいたのだろう。
「リチャードも俺を庇って負傷したんだ。あいつは置いていけと言ったが、俺は意地でも見捨てるものかと、これ以上臣下も友も、誰も死なすものかと、そう思って」
「殿下…」
「だがあともう少しで隠し通路に着くという時、俺達の背後から敵兵が迫ってきた。それに気づいていなかった俺は剣で刺されそうになったが、寸でのところで気がついたリチャードに庇われた。奴は死に、俺は目の前が真っ暗になった」
言いながら殿下は右目を抑えたまま天を仰いだ。
その仕草は遠い過去を思い出すようでもあり、零れそうな涙を堪えるようにも見える。
「……そして気がついた時には辺りには火の手が迫っていた。そして10人はいたはずの敵兵は全て足元の血に沈み、俺だけが立っていた」
一つ頭を振って顔を戻した殿下は、けれど固く目を閉じていて、どんな感情を滲ませているのか読み取ることはできなかった。
「酷く惨めだった。ただ王であるという理由で俺だけが生かされて、敵だというだけで何十人と殺して。俺は心底辟易していた」
それは無理からぬことだろうと思う。
けれど戦は経験していてもただ巻き込まれただけの私とは違い殿下は渦中にいたのだ、そんな私がかけていい言葉なんてない。
取り返せない過去に打ちひしがれる彼に寄り添うことが、今の私にはできない。
「だから『陛下』と呼び掛けられて油断したんだ。まだ俺を陛下と呼ぶ臣下が生き残っていたのだと思って」
殿下は目を開ける。
その目には強い憎悪が宿っていた。
「その男に見覚えはなかった。だが一般兵や市民兵もいる中でそんなことは当たり前だ。俺は自分に駆け寄ってくるその男が丸腰だったこともあって微塵も警戒していなかった」
ごくりと私の喉が鳴る。
恐らくは、その男が。
「男は俺に言った。『ああ、無事でよかった』と。そして懐に手を入れると極シンプルな短剣を取り出し俺に見せた。『これに見覚えはありますか?』と聞かれたが見覚えなどなく、『いや』と答えると男はその短剣をずいと俺に差し出し『よく見てください』と迫ってきた。こんな状況なのに何なんだと思ったし変な奴だとも思ったんだが、妙に追い詰められたような目をしていたからその言葉に従ったが、やはりそれは見覚えのない意匠だった」
殿下はまた頭を振ると目を眇めた。
「いい短剣だが見たことはない。そう告げると男は『そうですか』と言い、素早く短剣を持ち替えてそれを俺の右目に突き立てた」
ぎゅうっと殿下の右手が強く握られる。
先ほどまでは流れが歪んでいただけの前髪が指の隙間から飛び出るように弾ける。
まるで吹き出す血のようだと思ったのは話のせいか。
それともきつく噛み締められた口元が、痛みに耐えているように見えたからか。
「俺は突然の痛みに驚いたものの、すぐに男が敵だったのだと思い奴を切り捨てた。その男は短剣を握りしめたまま絶命したように見えたが俺はそれを確認することもなくすぐに移動した、いや、しようとしたがそこで力尽きて…そのまま失血死したか焼死したんだろう。そこからの記憶はない」
殿下は息を吐くとようやく右手を外した。
殿下の性のいい黒髪は癖がつくこともなくさらりと流れたが、その下には薄く赤い痕が残っている。
「これがどういう意味なのか今まで考えたことはなかった。単に自分の一度目の人生の最期の瞬間だということ以上の意味があるなんて思ってもいなかった。だが」
「アゼリアが呪具は短剣だと言ったことで、意味が出てきた可能性がある」
「そうだ」
私はそっと右手で殿下の左手に触れる。
すぐに握り返された手は痛いほどの力で握りしめられた。
縋るようなそれに、私は黙って左手も添えた。
「あの人が言っていた『やるべきこと』、それは殿下を呪具で害することだったのでしょうか」
殿下を刺した人物があの騎士かはわからないし、彼の目的にも確信はないが今のところはそれくらいしか可能性が浮かばない。
私はそのまま目を閉じ、殿下の肩に凭れるように身を寄せた。
「は、はい」
まだドキドキと逸る胸に手を当てながらちらりと殿下を伺う。
目元に赤味は残っているがすでに平時のような顔をしていて、今度はそれが少しだけ面白くない。
私ばかりが狼狽えているみたいで。
「君には伝えておかなければいけないことがあるんだ」
んん、ともう一度小さく空咳を零して僅かに残っていた赤味をも消した殿下は表情を険しくした。
その気配で自然と私からも動揺は消えて背筋が伸びる。
殿下の目にはそうさせるだけの強さがあった。
「君が一度目の人生で騎士に刺された時に使用されていた凶器は恐らく、というかほぼ確実に時戻しの短剣だろう」
「はい」
一体何の話を始めるのだろうと思っていれば、それは確かに表情を引き締めなければならない話題だった。
私たちの目的である繰り返しの原因特定と解除、間違いなくその鍵になるものの話なのだから。
「アゼリアの話を聞いた時、急に思い出したのです。あの騎士が私の胸から短剣を抜き去った瞬間を」
咄嗟のことであまり形状は覚えていないが、一瞬だけ見えた短剣の柄は国宝であるとされても不思議ではないくらいには緻密な装飾が施されていたように思える。
今にして思えば一介の騎士が持つには過ぎたる代物だった。
「思い出したのはその瞬間のことだけですから、剣で切られたはずの私がいつ短剣を刺されたのかはわかりません。けれど確かに私の胸を貫いていた、それは間違いありません」
私は殿下の言葉に応えながら自分が思い出した記憶をなぞる。
そしてその時に騎士が言っていた言葉も殿下に伝えなければと思った。
「殿下、その時にあの騎士が言っていたのです。『やるべきことを終えたら必ず迎えに行きます』と」
「…やるべきこと?」
殿下の左眉がピクリと動く。
「それが何かは…、わかっていたら言っているな」
「はい、残念ながらそこまでは」
今ある私の記憶では騎士が言っていた『やるべきこと』がなんなのかはわからないし、推測も立たない。
もしかしたらまだ眠っている記憶の中に答えがあるのかもしれないが、思い出せない以上言っても詮無いことだ。
「それと関係があるのかはわからないが」
殿下はそう言うと自身の右手を右目に当てる。
先ほども見たその行動が意味するところは、やはり。
「一度目の人生で、俺は敵兵に短剣で右目を刺されたことがある」
そう言って殿下は僅かに目元に皺を寄せた。
「…一度目の人生で俺が死んだ時のことは話したな?」
「はい、確かガルディアナとの戦で亡くなったと」
「ああ」
私が覚えていると告げると殿下は一つ息を吐き、ぐっと右手に力を入れた。
巻き込まれた艶やかな黒髪が殿下の指に合わせて流れを歪ませる。
「あの時俺は負傷したリチャードに手を貸しながら廊下を進んでいた。何故か指令本部の場所がガルディアナに漏れていて…、恐らくあの時点で生き残っていたのは俺達だけだっただろう。本部にはジスもいたが、あいつは俺を逃がすために敵に討たれたからな」
今度は腿の上に置いていた左手をぐっと握りながら、殿下は絞り出すように続ける。
リチャード様は側近として、ジスは護衛として最後まで殿下のお傍にいたのだろう。
「リチャードも俺を庇って負傷したんだ。あいつは置いていけと言ったが、俺は意地でも見捨てるものかと、これ以上臣下も友も、誰も死なすものかと、そう思って」
「殿下…」
「だがあともう少しで隠し通路に着くという時、俺達の背後から敵兵が迫ってきた。それに気づいていなかった俺は剣で刺されそうになったが、寸でのところで気がついたリチャードに庇われた。奴は死に、俺は目の前が真っ暗になった」
言いながら殿下は右目を抑えたまま天を仰いだ。
その仕草は遠い過去を思い出すようでもあり、零れそうな涙を堪えるようにも見える。
「……そして気がついた時には辺りには火の手が迫っていた。そして10人はいたはずの敵兵は全て足元の血に沈み、俺だけが立っていた」
一つ頭を振って顔を戻した殿下は、けれど固く目を閉じていて、どんな感情を滲ませているのか読み取ることはできなかった。
「酷く惨めだった。ただ王であるという理由で俺だけが生かされて、敵だというだけで何十人と殺して。俺は心底辟易していた」
それは無理からぬことだろうと思う。
けれど戦は経験していてもただ巻き込まれただけの私とは違い殿下は渦中にいたのだ、そんな私がかけていい言葉なんてない。
取り返せない過去に打ちひしがれる彼に寄り添うことが、今の私にはできない。
「だから『陛下』と呼び掛けられて油断したんだ。まだ俺を陛下と呼ぶ臣下が生き残っていたのだと思って」
殿下は目を開ける。
その目には強い憎悪が宿っていた。
「その男に見覚えはなかった。だが一般兵や市民兵もいる中でそんなことは当たり前だ。俺は自分に駆け寄ってくるその男が丸腰だったこともあって微塵も警戒していなかった」
ごくりと私の喉が鳴る。
恐らくは、その男が。
「男は俺に言った。『ああ、無事でよかった』と。そして懐に手を入れると極シンプルな短剣を取り出し俺に見せた。『これに見覚えはありますか?』と聞かれたが見覚えなどなく、『いや』と答えると男はその短剣をずいと俺に差し出し『よく見てください』と迫ってきた。こんな状況なのに何なんだと思ったし変な奴だとも思ったんだが、妙に追い詰められたような目をしていたからその言葉に従ったが、やはりそれは見覚えのない意匠だった」
殿下はまた頭を振ると目を眇めた。
「いい短剣だが見たことはない。そう告げると男は『そうですか』と言い、素早く短剣を持ち替えてそれを俺の右目に突き立てた」
ぎゅうっと殿下の右手が強く握られる。
先ほどまでは流れが歪んでいただけの前髪が指の隙間から飛び出るように弾ける。
まるで吹き出す血のようだと思ったのは話のせいか。
それともきつく噛み締められた口元が、痛みに耐えているように見えたからか。
「俺は突然の痛みに驚いたものの、すぐに男が敵だったのだと思い奴を切り捨てた。その男は短剣を握りしめたまま絶命したように見えたが俺はそれを確認することもなくすぐに移動した、いや、しようとしたがそこで力尽きて…そのまま失血死したか焼死したんだろう。そこからの記憶はない」
殿下は息を吐くとようやく右手を外した。
殿下の性のいい黒髪は癖がつくこともなくさらりと流れたが、その下には薄く赤い痕が残っている。
「これがどういう意味なのか今まで考えたことはなかった。単に自分の一度目の人生の最期の瞬間だということ以上の意味があるなんて思ってもいなかった。だが」
「アゼリアが呪具は短剣だと言ったことで、意味が出てきた可能性がある」
「そうだ」
私はそっと右手で殿下の左手に触れる。
すぐに握り返された手は痛いほどの力で握りしめられた。
縋るようなそれに、私は黙って左手も添えた。
「あの人が言っていた『やるべきこと』、それは殿下を呪具で害することだったのでしょうか」
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