婚約破棄から始まる4度の人生、今世は隣国の王太子妃!?

緋水晶

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似た者同士はきっかけも一緒で

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「冗談はさておき」
「いえ、冗談は言っていないわ」
「ふふ、またご冗談を」
「だから言ってないってば」
こほんと空咳をしたアゼリアはリチャード様にすいと手を向ける。
「ご懸念のリチャード様ですが、私がお二人から伺った『時戻しの短剣』のことと『狂王の針』についてまで全て話し終えております」
私が促されるように目を向けると彼は小さく頷いた。
彼の顔には疑念も困惑も何もなく、ただ納得と理解だけがあった。
「お陰で何故頑なに結婚を拒否し続けた殿下が初対面であるはずのアンネローゼ様にここまで執心なさるのか納得出来ました。いやはや、まさかそれほど長い時間懸想していらっしゃったとはなんとも愉快で…おっと」
「おいわざとらしいぞ」
「わざとですので」
そしてその理由をそれはそれは清々しい笑顔で語ってくれたのだが、すぐにルード様から横槍が入った。
本当にこの二人は気の置けない仲なのだろうが、たまに単に子供の頃の悪友関係がそのまま大きくなっただけのような関係に見える。
「あの二人を相手にそんなことをお考えになるのはアンネローゼ様だけでしょうけれど」
同じく二人のやりとりを聞いていたアゼリアは私の考えを読んでふっと笑った。
内容を口に出さないでくれたことには感謝しよう。
「それには及びませんが、実は私がリチャード様に惹かれた理由はそこなんですよ」
「……は?」
だがそこで予想外の言葉を告げられて私はアゼリアを二度見しながらぽかんと口を開けてしまった。
まさかこの状況でそんな話をされるなど思ってもみなかったのだから仕方がない。
「そうですね、いきなりこんな話をされて驚かれるのも無理はありませんが、それでも先日アンネローゼ様がリチャード様を説き伏せた時の話を聞きまして、一応お伝えしておかなければと考えておりました」
アゼリアは苦笑を浮かべつつも私の目を真っ直ぐに見る。
「確かにリチャード様に好意を寄せるきっかけになったのは彼の頭脳です。けれどそれが恋に変わったのは偶然垣間見た殿下との軽口の応酬でした」
そう言ってはにかむような笑みを浮かべたアゼリアは年相応で本当に可愛らしかった。
この笑顔を見逃しては惜しいわとリチャード様を見ると、彼は先ほどの私のようにぽかんと口を開けてアゼリアを見ている。
その向かい側のルード様はニヤニヤと笑っており、そのお顔は陛下にそっくりだった。
「本当に取るに足らないようなくだらない話だったのです。ですがあれほどの頭脳を持った方がこんな風に子供のような面を見せるのだと驚き、同時になんだかとても可愛くて、次第にそれが愛おしいと感じるようになりました。普段公の場で見せる大臣たちへの冷徹とも言えるお顔の裏にこんな顔が隠されていたのだと知ってしまったらもう戻れません。あとは落ちるばかりでしたよ」
「そうだったの…」
私は自分が思っていたよりも遥かに乙女だったアゼリアの思いに驚きすぎて気の利いた言葉が一つも出てこなかった。
アゼリアの思いを知ったリチャード様など彫像のように動かなくなってしまったし、ニヤニヤと笑っていたルード様はえらく真剣な瞳でじっと私を見つめていた。
まさか私にもアゼリアのように思いを言えというのだろうか?
申し訳ないけれど、絶対に嫌よ?
「あ、アゼリア…」
そう思ってルード様を睨み返していると、それまで微動だにしなかったリチャード様がゆっくりと動き出す。
そろりそろりとアゼリアに手を伸ばし、ゆっくりと彼女の両頬に手を添えた。
「そんな風に思っていてくれたなんて、どうしてもっと早く言ってくれなかったのです?私との会話だけが貴女にとっての救いで魅力なのだろうと、私個人のことなどどうでもいいのだろうと思っていたのに」
リチャード様は泣きそうにも見えるほどに眉間に皺を寄せ目元を歪ませていた。
「だって、そう言ったら誰よりも高い矜持を持つ貴方はその顔を私に見せてくれなくなるでしょう?そんな惜しいことできるわけがないではないですか」
その彼に見つめられるアゼリアはふふっと幸せそうに笑う。
今までアゼリアの笑顔を何度か見る機会があったが今日ほど柔らかく笑う姿を見たのは初めてで、なんだかこちらが面映ゆい。
「いいや、そうとわかっていれば僕は気持ちを押し込めたりなどしなかった。僕個人を愛してくれていなければ一緒にいても虚しいだけだと思って耐えていたけれど、三年前の殿下の生誕祭で普段冷静な君が不意に見せた少女のような笑顔に心奪われてから、僕はずっと我慢していたんだよ」
「え…」
「君は気づいていなかっただろうけれど、僕だって君の素顔に惹かれたんだ」
そう言って深い笑みを浮かべたリチャード様がそのままアゼリアに顔を近づけていくのを察し、私はそっと顔を背けた。
けれど今はルード様のお顔を見る気がしなかったので反対を向いたため、彼がどんな顔をしてその光景を見ていたのかは知らない。
ただ、少し経ってからリチャード様が「殿下、空気を読んでくれませんか?」と苦言を呈しているのだけが聞こえた。
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感想 3

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みんなの感想(3件)

向日葵♡銀木犀

面白い~! 💘鷲掴みされた!! 一日で67話をイッキ読みしました!
長時間の稼動でPCがストライキしたので翌日にこの感想を書いてます。

最初の頃は良く有るループ物と思ってたのに…独特の設定でこれまでに無いストーリーに嵌まりました!
食事の時間も惜しんで、カロリーバーとカップ麺でしのぎ読みまくった!!
婚約破棄ものが好きで、ループものも好きで、ミス〇ープルも好きな自分には一粒で三度面白いお話しです。
推理部分はほぼ、出揃った様ですが色々想像しながら読めて楽しかったです♡
感激のあまりポチッと投票しました~。
更新楽しみにしてます♡♡♡

2024.02.13 緋水晶

向日葵️♡銀木犀 様

この度は拙作をご覧くださりありがとうございます。
ご感想をいただけてとても嬉しいです!

推理と言えるほどではないですが、そろそろ締めに入るところなので、今後は騎士さんの目的等々明かすだけになっている…と思います。
更新ペースは遅めですが、最後までのんびりお付き合いいただければ幸いです。
お待ちの間もしお時間があったら他の長編も読んでみてください。
そちらはループ系ではありませんが、この物語のように「何故この世界に転生したのか」を探る物語になっております。

貴重なお時間を割いてご感想をお寄せくださり、本当にありがとうございました。
今年の冬は暖かいですが、風邪など引かぬようご自愛くださいませ。
あとご飯はしっかり召し上がってくださいね💦

解除
歌川ピロシキ

8話まで拝読。
「ものすごく美しい猿」に噴きました。たしかに人間は霊長目の動物ですから間違ってはいませんね。

2023.04.16 緋水晶

お越しくださりありがとうございます!
読んでいただけて嬉しいです。
あちらで書いてるものとは雰囲気が違うのですが、少しでもお楽しみいただければ幸いです。
私も後ほど歌川様のページにお邪魔させていただきます(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”

解除
とまとさん
2022.09.05 とまとさん

🤔ループの元凶の騎士は誰なんだろう?
ループ元凶の騎士を捕縛出来れば
ループが収まるのかな?

2022.09.05 緋水晶

とまとさん 様

この度は拙作をご覧いただきありがとうございます。
仰る通りあの騎士さんが元凶ですので、あの人を見つけない限りループする呪いはどうにもできないはずです。
なので今後アンネローゼ達がどう彼に迫っていくのか、どう呪いを解くのか、引き続き見守っていただければ嬉しいです!

ご感想をお寄せいただき、ありがとうございましたm(_ _)m

解除

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