魔法少女世界線 Re:START 〜勇者も魔法少女もやれってか!〜

お花畑ラブ子

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第1章 はじまりの魔女とサクラサク

生徒会魔法少女ミナト書記

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「会長あんがとう!さくらこだっけか?んで、お前ら一緒に来な。ルイズ庶務。そっちの子らのこと頼んだよ。」
何やら捕まえられた彼は言いたげだったが、不気味な先輩の不穏な一言に青ざめる。
「ミナトちゃん、処していい?いい?」
「お、おれは、エリートの獅子組だぞ」
精一杯の虚勢をはる。
「奇遇ね。あたしも2年の獅子組ぃ。たっぷり可愛がったげる」
彼女は舌を出しながらにたりと笑う。唖然とした少年が若干気の毒に思える。
「だめだ。会長から罰は受けてるからな。それに新入生たちは、午前下校だ。さっさと、帰してやりな。とりあえずあたしは、こいつら連れてくわ。またあとでな」

「あ、あ、あ、ご飯~」
そういうと、ミナトはさくらこたち3人を連れて食堂を後にした。


「くくく、あーはっはっはっは!まさか、朝助けた子にこんなに早く会えるなんて。」
「ねぇ、さくらこ。この人、誰?」
食堂から足早にどんどん遠ざかっていく。
「え、と、わたしもあったばかりで詳しくなくて」
チラりと彼女を見る。朝見た時は青い髪だったのに今は落ち着いた髪色をしてる。八重歯がチラりと口から覗く。
「なんだ?さくらこ新入生。なんで、そんなコソコソはなしてる?あたしは正義の味方!なにを隠すことがある?」
「えっと、ミナト、先輩」
恐る恐る声をかけてみると、先輩はぷるぷると震え始めた。
「くぅー」
「どうしたんだ?」
「ついにあたしも先輩かぁと思ってな。何でも聞きな。さくらこ新入生。」
「あたしこれからどうなるんですか」
「生徒会の雑務を手伝ってもらう。お前たちは帰っていいぞ。あのボウズはどうかわからんが、ワロス家に目をつけられると面倒だからな。アイツの兄貴ときたら、まったくもう。あ、すまね。よけいな面倒が起きる前に一緒に連れ出したってわけだ。アンリ新入生、マツリ新入生、君たちは寮か?」
「はい」
「はい……」
マツリはじっとミナト先輩を見ていた。
「ん?」
「……助けて頂きありがとうございます」
「うむ!寮までは自分で帰れるな。またな」
2人が去った後
「ライオリアどうした?」
「アンリなぁ、あの人どっかで見たことないか?」
「さぁ?」


さくらことミナトは体育館にいた。フリフリの衣装を来ていた。ふわっと膨らみのあるスカート。白い生地に蒼い刺繍が美しく飾られている。場違い感がすごい。
「なにこれ!いや、恥ずかしい」
「何を恥ずかしがってんだよ。可愛いじゃねーか。減点を0にしとかないと、初日からマイナスじゃかっこつかねーだろ?」
「だってこんなに、スカート丈が、あと、胸元も」
「かはは。恥ずかしがるほど、ふくらんでねーじゃねーか。」
「ごふっ」
唐突に刺された気分だ。
「これでお前は魔法少女マジカルブルーのメンバーだ。んーマジカルライトブルーだな」
「めっちゃ青で攻めてくるじゃないですか。」
「驚くなかれ!この魔法少女の衣装には魔石が込められていて、超人的なパワーがでるんだ。認識阻害魔法もかけられてるから、多少何かをぶっ壊しても、みんなからあたしだとは気づかれない。容姿も若干変わるしな。髪色とか。まぁ、だいたいお咎めなしだ。ん?なんでお前はあたしのことおぼえてるんだ?」
「さ、さぁ」
私が覚えているなら他の人も覚えているのでは?冷や汗がながれる。
「かしーな。杖は正常なのに。ま、いっか。こないだ。世界樹が急成長したみたいでな。体育館の壁を突き破ってるみたいでな。へし折るのは簡単なんだが、受け止めるやつがいなくて。とりあえずあたしの予備が着れてよかったよ」
「あたしも魔法を使えるようになれるんですか?」
杖はもらっていても魔法なんて使えた試しがない。
「あたしクラスにはまだなれないだろうけど、ほれ」
彼女はバスケットボールをこちらに投げてきた。
「あわわわ!」
ぱん!!
「へ」
受け止めようとしたバスケットボールはぺちゃんこに潰れていた。
「普通の女の子よりもはるかにつよい。んで、これが魔石」
胸元の宝石を指さす。青色の透き通った石が輝いていた。魔力を帯びた石が力を生み出す。

「魔石の使用回数や時間には気をつけないといけないぜ。ま、手伝いだから関係ないか。ほら、こっち来な」

大きな木が壁を貫通していた。壁から横向きに木が生えていた。杖でこずきながらミナトは植物を調べている。
「すご」
「こりゃ世界樹のもんじゃねーな。世界樹の魔力にあてられた別の植物だ。だれがこんな真似を。めんどーな。さくらこ新入生。ちょっと持ってな。」
「こうですか?」
「そーだ。いくぞ」
ズドンと言う音が体育館に響く。ポッキリとその木は折れた。作業自体はなんでもない作業だったが、折れた木から大量の生き物が飛び出てきた。
「ひぃいいい!?!」
カサカサと蠢くそれは二人の少女におそいかかる。

「ひぃぃぃ!!」
「なんだこりゃ!!」
カサカサと蠢くそれらはまさに蜘蛛の巣を散らしたかのように足元を動き回っていた。
「ちぃっ!」
ミナトはスカートに手を突っ込み、模様の描かれた1片の紙を取り出す。それを地面に叩きつけて、杖で刺す。
「どっから出してんですか!!」

「ポケットなんざないんだよ!しかたねーだろ!空と大地を包み込め!断崖絶壁!旧結界(ホールドシールド)」
一瞬の輝きのあと、ドーム状に魔力の壁ができる。
「さくらこ新入生!こいつら、潰しまくれ!」
「え?!む、無理ですよ!!」
「やれ!あたしは結界の維持で手が離せない。こいつら、明らかに悪意あるもんだ。この場で全て殺す。この結界は早く発動するが脆い。長くはもたない」
「で、でも」
「踏み潰すだけでいいんだ」
「あ~もう、ええい!!」
ぐちゃ!
「ひぃ」
ゾクゾクと背中が寒くなる。足をあげるとネバネバとした体液のようなものと残骸がそこにはあった。
「うげぇ」
「よしその調子だ。」


「ぜぇ、ぜぇ、はぁ、はぁ。多分全部潰せたと思います。」
体育館の床はおびただしい量の虫の残骸が散らばっていた。
「ああ、ありがとう。こりゃ、報酬を上乗せしないとな。今日は帰りな。そこにシャワー室あるから。あたしは、ここの片付けしてかえるから。また明日な」
「は、はい」
さくらこと別れて、ミナトは床の残骸を調べる。虫のようではあるが、魔力で作られたものだろう。体液のようなものは消えてしまっている。足に見えたものは、それっぽく見せた金属製だった。
「襲撃にしては弱すぎるな。さくらこ新入生でも倒せる程度か。とりあえず会長に報告だな」
ミナトは電気を消し、食堂にもどる。誰も居なくなった体育館の床がぼうっと薄く光っていた。床から染み出したそれらは虫の中に入っていた体液に見せた魔法薬。ゆっくりと魔法陣を描いている。ゆっくりとゆっくりと体育館の床下で魔法陣を描いていく。



帰り道。
さくらこは杖を両手でくるくると回す。およそ自分の腕ぐらいはある杖の先にはほとんど透明な水晶玉。街ゆく先々で見かける杖は色の違いはあるも大体マーブル模様でたくさんの魔法が使える証になっている。八百屋では魔法で育てた野菜が宙を舞い、魚屋では空中で怪魚の解体ショー、たすけて、たすけて、肉屋では包丁がサーカスのようにくるくると周り肉をいろいろな部位にたすけて、切り分けている。この皆が見慣れた光景に。
「ん」
違和感を感じ、振り向くと魚屋のおじさんの包丁が魚じゃないものを切り刻んでしまうところだった。
「おじさん、ストーップ!!!」
助けたのは、今朝見たあのぬいぐるみのような奴だった。
「おいさくらこ!てめぇの魔法生物ならちゃんとてめぇで面倒みろってんだ!」
江戸っ子気質の魚屋の大将は、ピリピリしながら言った。
「いや、そういうわけでは」
彼女は否定するも魚屋は、既に魚の調理に戻ってしまった。
「かたじけない、腹が減っていたところ。美味そうな魚があったゆえ、勇者たりえる蛮行申し訳なかった」
「いえいえ」
そういえばさくらこも腹が減っていた。食堂で食べそこなってしまったから。
「なにやら、うまそうな匂いが足からくんかくんか」
そういうと、この生き物がスリスリとよってきて脚を嗅いできた。
「ひっ、なにすんのよ、あ、ごめ」
思わず思いっきり踏む。以外に柔らかな感触。
「至福!!いや、違う。お前の足から濃い魔力の香りがする」
「私の足がクサイって話なの?!」
さらに踏む。
「ワンダホー!!、じゃなくて、魔法がかけられてるんだよ。このままじゃ危ないから、食べさせてもらう。むしゃむしゃ」

ドMなんかこいつ。彼が口をもごもご動かすと足の裏から先ほどの体育館で踏み潰した虫の体液が剥がれ、彼の口に入っていった。
「もぐりんこ。んー、転送魔法の類だね。ストーカーにでも狙われてるのかい?」
「い、いやそんなことはないけど」
「ま、気をつけなよ。」
彼はそういうとトコトコと歩き始めた。さっきの様子でいうと、学校の体育館も危ないのでは?明日先輩に相談しよ。ただ上手くいく説明ができなさそうだ。
「ねぇ、君、明日ちょっと一緒に説明してくれないかな」
「?かまわないが」
「じゃあ明日世界樹の下で!」
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