緋色の魔王(α)と暴君王子(α)の寵愛は愛に飢えた僕(Ω)を離してくれない

子犬一 はぁて

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初めての子育てにあわあわする王子様(いないいないばあ編)

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「さーくらっ」

「あぅーううー」

 普段、遠征や他国との会合のために桜に会うことが1週間に数日しかない王子が、たまたま連続で会いに来た夕方。桜はお昼寝から目覚めて、遊ぶ気満々だ。僕は、王子に桜の遊び相手を任せて少し休むことにした。

 ベッドに横になり、桜をあやすシュカ王子の後ろ姿を見る。襟足まで伸びている白い白銀のような髪の毛を桜が引っ張っている。

「こらこら、やめてくれ」

 桜の表情はにこにこ笑顔だ。普段構ってもらえないパパに構ってもらえて相当嬉しいんだろう。ご機嫌な様子で笑っている。

 シュカ王子は「いないいないばあ」を始めたらしく、桜が少し大人しくなった。

 ふふふ。シュカ王子。そんな生易しい「いないいないばあ」はこの子には通じないよ。

 日々、僕ときなこくん、桜の3人で「いないいないばあ」をしているのだが、きなこくんが本気すぎるんだよね。めちゃくちゃ変顔してくれる。それを見て桜も僕も我慢できずに笑っちゃうんだ。シュカ王子は桜が全く表情を変えないため、焦り始めた様子だ。

「阿月……桜が笑わなくなったぞ」

 こしょこしょ、と僕に近づいて耳打ちをするシュカ王子。僕がジトーっとした目で見上げれば、

「なんだその目は……」

 と、困り眉を見せる。

 シュカ王子の困ってる顔珍しいな。

 僕はまじまじと思案顔のシュカ王子を見つつ、桜の様子を伺う。

「桜は少しお笑いに厳しいから、シュカ王子がもっとぶっ飛んだやつをやらないと笑わないかもしれないですね」

 冗談のつもりで言ったのだが、この言葉はシュカ王子の心を射抜いてしまったらしい。

「そうか。しばし待て」

 そう言って、きなこくんに何かを指示する。きなこくんは猛ダッシュで部屋から出ていった。

 一体、きなこくんに何を命じたのだろう。

 数分後、ぜえぜえと息を切らすきなこくんが戻ってきた。手に持ってきた何かをシュカ王子に手渡す。

「フォッフォッフォ。桜! これでどうだ」

 白い付け髭をつけたシュカ王子がドヤ顔で桜を抱っこする。口ひげと顎ひげがもさもさとしていて、まるで僕のいた世界でいうところのサンタクロースみたいだ。

 桜の反応はというと、驚いてしまって声が出ない様子だ。しかし、すぐに好奇心がわいたのかシュカ王子のあごひげを引っ張り始める。やんちゃな子だな……物怖じせずに、自分から進んでチャレンジしていく姿勢は成長しても大事にして欲しい。

 してやったりというシュカ王子の顔を見ながら、ゆっくりと瞳を閉じた。

 これが家族っていうものなのかな。
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