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「随分と警戒しているな。それとも余裕を見せているのか?」
相当離れていてもハッキリと存在が判るほど、煌々と輝く篝火に男は苛立つ。
そしてゆっくりと後ろを振り返ると彼と同様の布を被った者たちへ語り掛ける。
「ドーソン男爵家はお家取り潰しに為る。だが我らの忠義が先代ドーソン男爵様に在る限り負けはしない」
静かな声だが、彼の言葉には強烈な意志が込められていた。暗闇ながらハッキリと全員の顔が判るほど目に闘志が宿り、男は満足げに頷いた。
「我らドーソン男爵騎士団、先代様の名を残さん」
彼は被っていた布を脱ぎ捨てと、彼等も同様に脱ぎ去った。彼等は先代ドーソン男爵によって取り立てられた者たちである。出自は問わず、先代が彼こそはと思った者を採用し、英才教育を施し今に到る。男の名はユラルン、貧しい農家の五男として生れ決して裕福な将来を望めぬ環境だった。ところが彼には力が在った。同年代の誰よりも力強く、それは大人も顔負けの才能を発揮していた。
それが先代の目に留り農家の平民が受けられない教育を受けられるようになり、ドーソン男爵騎士団の隊長に就いている。彼の忠義は先代に在り、この家を守ると固く誓っている。当代アレンについてはすでに見限り、たとえどうなろうとも助けると言う選択肢は無かった。この場に居る者は誰もが似た様な境遇から取り立てられた者たちであり、ドーソン男爵の譜代家臣は含まれていない。
その訳はユラルンが彼らの上司に就いた事で不満を抱き、現当主に変わると態度を急変させてしまったからだ。
「我らの一撃でドーソン男爵騎士団ここにありと分らせる。そして先代様に鍛えられた我らの力をあの世から見て頂く。総員騎乗」
物音を立てる事なく速やかに馬に跨るとゆっくりと光輝く場所へと突き進む。最初は歩く程度に、近付く毎に加速され、相手が視認出来る距離になると最速へと切り替わっていた。
「行くぞ! 突撃っ!!」
先頭を駆けるユラルンは大声を出しながら、目の前で「敵襲」と叫ぶ兵士の胸を一突きに絶命させた。続く部下たちも同様に手際よく目の前の敵を葬り去る。さらに勢いを増した一団はそれ自体が槍の如く突き進む。
「な、敵襲だと!?」
見張りを行っていた兵士は確実に仕事を行っていた。僅か一言だが、大きな声で敵襲と叫んだことで多くの味方の耳に届いたのである。
討伐軍司令官アプリットはその声を聞き遂げた配下に起こされ、直ちに鎧を身に着ける。
「恐れていた事が起こったか……、総員集合せよ。その後司令官の下へ向かう」
グレア・コーンスッドは予感が的中し愕然としたが、ここで崩れる訳にはいかないと気を入れ直し部下に命令を下す。集まった数名の部下は直ちに命令を実行し、集まっていない味方に命令を伝達する。その間にも奇襲攻撃は陣中央に在るアプリットの天幕を目指し着実に近付いている。グレアはその事が非常に気掛かりだが、兎に角心を落ち着け集合を待つ。
「進め。進め!! 我らの力を見せつけるのだ!!」
「おうっ!!」
ユラルンの言葉は部下に力を与える。その一言に討伐軍の死傷者は増加していた。
「サラ姉様!」
フロランス侯爵家令嬢マリアンは襲撃の声を聞き、着のみ着のまま姉サラの下へと向かった。女性だからと配慮されるわけでもないが、一応フロランス侯爵家の令嬢という立場から二人の天幕は隣り合っていた。それがマリアンには有り難かった。
「ええ、分っているわ。貴女もすぐ用意しなさい」
「ね、姉様……」
「出来る限り我が銃兵部隊の力を見せつけてやりましょう。さあ早く」
「はっ、はい!!」
サラはすでに準備を整え、マリアンを待ち構えていた。必ず来ると分っているかの様に落ち着き椅子に腰掛け、その姿は威風堂々としたものだった。
「お待たせ致しました!」
「では参りましょうか、私達の実力を見せる為に」
「はっ!」
サラはスッと立ち上がると天幕を出る。
「ああ、心地良い風ね……」
風が吹き、彼女の体に当たる。それを受け笑みを浮かべ、彼女は心地良さを感じていた。
「総員整列!」
マリアンの言葉で全員が整列する。三十名からなる銃兵部隊は王国でも次世代戦力の中核を担うと目されている虎の子の精鋭部隊だ。
その為彼女の言葉に一切遅れる事のない整列を見せる。
「皆さん、この状況下で慌てていないのは流石です。まあ、私が鍛え上げた部隊ですので当然です。いいですか、これから我が部隊は敵を殲滅致します。よろしいですね?」
「はっ!!」
「よろしい、では参りましょう」
サラはとても戦場とは思えないほど落ち着き払った言葉と態度から醸し出される雰囲気を纏っていた。それが伝播してこの部隊だけはどこか神々しくもあり、彼女たちを見た者たちはどん底に落ちた士気を盛り返し、混乱は収まる。サラとマリアンも手には銃を持ち、そこには火石が収まっていた。
「姉様、前方に!」
「ええ、見えていますわ。では、私がお手本を」
マリアンが前方で暴れるドーソン男爵騎士団の一人を発見した。この頃になると騎士団へ四方から圧力を掛け始め、彼は集団から逸れながらも獅子奮迅の活躍を見せていた。
サラは銃を構え、照準器を目標に合わせると引き金を引いた。大きな爆発音と共に本物の火球が銃身より飛び出した。ライフリングが施された銃身内で生み出された火球はジャイロ回転を形成し目標へと吸い込まれる。
「お見事です、姉様」
「当然ですわ。この程度の事は私の部下なら当然出来る事です。では、進みますよ」
戦場では聞いた事のない音に全軍の動きが止まる。兵士の中には初めて耳にする轟音に驚き腰を抜かす者も現れ、その衝撃は大きかった。
「銃の音……、フロランスの部隊か」
「な、何だ、この音は!?」
アプリットは中央で兵士を整え急襲に備えていた。襲撃者のユラルンは聞き覚えのない音に慌てる馬を宥めつつ状況を把握しようと努める。だが動きは止まってしまい奇襲の目は潰えた。
「あれが銃兵の力か、これは戦場が変わるな……、いや変わる」
グレアもフロランス侯爵の下で銃兵の訓練風景を眺めていたが、実際の戦場で力を見たことで将来の戦いが変化する事を確信する。それは己が磨き続けた剣、槍の終焉を予感するものだった。
「姉様、見えました。あれこそが敵の本隊です!」
「ではみなさん、何時もの手順で攻撃を行いなさい」
マリアンの言葉でサラは隊を停止させ攻撃を下命する。
兵士たちは彼女の期待に応え、同様に銃を構えると瞬く間に発砲を行った。その時の一斉射はサラ単体で放った時と比較にならなかった。
「うーん、まだまだですわね。倒したのは十人程ですか……」
「申し訳ございません、姉様」
「まあ、初の実戦にしては及第点にしておきますか。では第二射目の用意を」
この銃は火石を用いて火球を生み出し攻撃する。その為、銃身を始めとした銃全体を約三十秒掛けて冷却しなくては使用出来ない。右に火石が、左に水石をセットした銃は水石を使用すると瞬く間に水蒸気が立ち昇る。
その異様な部隊を見つけたユラルンは驚愕する。
「な、何だあれは!!」
丁度冷却中の水蒸気が沸き上がっている所を見た為、余計に見知らぬ物への恐怖心が包み込む。そして彼の決断は早かった。
「撤退する!!」
守備の薄い場所を瞬時に見つけると馬首をそちらへ向け、腹を思い切り蹴り馬は急加速で駆け出した。生き残った部下も遅れず彼の後に続く。その素早い決断は正しいものだった。
二斉射目の火球は間一髪のところで彼等を捉える事が出来なかった。
「意外でしたわね。随分と素早く逃げましたこと」
「はい。それに次攻撃までの冷却時間が問題ですね」
「仕方ありません。ですがこれで銃兵の重要性が理解出来たと思います。では皆さん、司令官の下へ向かいましょう」
周囲を唖然とさせながら、逃げるドーソン男爵騎士団も無視しフロランス銃兵部隊はアプリットの天幕へと進む。彼女がゆったりと先頭を進むと面白い様に人が割れ、妨害なく目的地に辿り着いた。
そこにはアプリットを始めとした王国騎士団の幹部とコーンスッド侯爵、そして怯えるユーラカル侯爵ら多数が彼女の部隊を出迎えるのであった。
相当離れていてもハッキリと存在が判るほど、煌々と輝く篝火に男は苛立つ。
そしてゆっくりと後ろを振り返ると彼と同様の布を被った者たちへ語り掛ける。
「ドーソン男爵家はお家取り潰しに為る。だが我らの忠義が先代ドーソン男爵様に在る限り負けはしない」
静かな声だが、彼の言葉には強烈な意志が込められていた。暗闇ながらハッキリと全員の顔が判るほど目に闘志が宿り、男は満足げに頷いた。
「我らドーソン男爵騎士団、先代様の名を残さん」
彼は被っていた布を脱ぎ捨てと、彼等も同様に脱ぎ去った。彼等は先代ドーソン男爵によって取り立てられた者たちである。出自は問わず、先代が彼こそはと思った者を採用し、英才教育を施し今に到る。男の名はユラルン、貧しい農家の五男として生れ決して裕福な将来を望めぬ環境だった。ところが彼には力が在った。同年代の誰よりも力強く、それは大人も顔負けの才能を発揮していた。
それが先代の目に留り農家の平民が受けられない教育を受けられるようになり、ドーソン男爵騎士団の隊長に就いている。彼の忠義は先代に在り、この家を守ると固く誓っている。当代アレンについてはすでに見限り、たとえどうなろうとも助けると言う選択肢は無かった。この場に居る者は誰もが似た様な境遇から取り立てられた者たちであり、ドーソン男爵の譜代家臣は含まれていない。
その訳はユラルンが彼らの上司に就いた事で不満を抱き、現当主に変わると態度を急変させてしまったからだ。
「我らの一撃でドーソン男爵騎士団ここにありと分らせる。そして先代様に鍛えられた我らの力をあの世から見て頂く。総員騎乗」
物音を立てる事なく速やかに馬に跨るとゆっくりと光輝く場所へと突き進む。最初は歩く程度に、近付く毎に加速され、相手が視認出来る距離になると最速へと切り替わっていた。
「行くぞ! 突撃っ!!」
先頭を駆けるユラルンは大声を出しながら、目の前で「敵襲」と叫ぶ兵士の胸を一突きに絶命させた。続く部下たちも同様に手際よく目の前の敵を葬り去る。さらに勢いを増した一団はそれ自体が槍の如く突き進む。
「な、敵襲だと!?」
見張りを行っていた兵士は確実に仕事を行っていた。僅か一言だが、大きな声で敵襲と叫んだことで多くの味方の耳に届いたのである。
討伐軍司令官アプリットはその声を聞き遂げた配下に起こされ、直ちに鎧を身に着ける。
「恐れていた事が起こったか……、総員集合せよ。その後司令官の下へ向かう」
グレア・コーンスッドは予感が的中し愕然としたが、ここで崩れる訳にはいかないと気を入れ直し部下に命令を下す。集まった数名の部下は直ちに命令を実行し、集まっていない味方に命令を伝達する。その間にも奇襲攻撃は陣中央に在るアプリットの天幕を目指し着実に近付いている。グレアはその事が非常に気掛かりだが、兎に角心を落ち着け集合を待つ。
「進め。進め!! 我らの力を見せつけるのだ!!」
「おうっ!!」
ユラルンの言葉は部下に力を与える。その一言に討伐軍の死傷者は増加していた。
「サラ姉様!」
フロランス侯爵家令嬢マリアンは襲撃の声を聞き、着のみ着のまま姉サラの下へと向かった。女性だからと配慮されるわけでもないが、一応フロランス侯爵家の令嬢という立場から二人の天幕は隣り合っていた。それがマリアンには有り難かった。
「ええ、分っているわ。貴女もすぐ用意しなさい」
「ね、姉様……」
「出来る限り我が銃兵部隊の力を見せつけてやりましょう。さあ早く」
「はっ、はい!!」
サラはすでに準備を整え、マリアンを待ち構えていた。必ず来ると分っているかの様に落ち着き椅子に腰掛け、その姿は威風堂々としたものだった。
「お待たせ致しました!」
「では参りましょうか、私達の実力を見せる為に」
「はっ!」
サラはスッと立ち上がると天幕を出る。
「ああ、心地良い風ね……」
風が吹き、彼女の体に当たる。それを受け笑みを浮かべ、彼女は心地良さを感じていた。
「総員整列!」
マリアンの言葉で全員が整列する。三十名からなる銃兵部隊は王国でも次世代戦力の中核を担うと目されている虎の子の精鋭部隊だ。
その為彼女の言葉に一切遅れる事のない整列を見せる。
「皆さん、この状況下で慌てていないのは流石です。まあ、私が鍛え上げた部隊ですので当然です。いいですか、これから我が部隊は敵を殲滅致します。よろしいですね?」
「はっ!!」
「よろしい、では参りましょう」
サラはとても戦場とは思えないほど落ち着き払った言葉と態度から醸し出される雰囲気を纏っていた。それが伝播してこの部隊だけはどこか神々しくもあり、彼女たちを見た者たちはどん底に落ちた士気を盛り返し、混乱は収まる。サラとマリアンも手には銃を持ち、そこには火石が収まっていた。
「姉様、前方に!」
「ええ、見えていますわ。では、私がお手本を」
マリアンが前方で暴れるドーソン男爵騎士団の一人を発見した。この頃になると騎士団へ四方から圧力を掛け始め、彼は集団から逸れながらも獅子奮迅の活躍を見せていた。
サラは銃を構え、照準器を目標に合わせると引き金を引いた。大きな爆発音と共に本物の火球が銃身より飛び出した。ライフリングが施された銃身内で生み出された火球はジャイロ回転を形成し目標へと吸い込まれる。
「お見事です、姉様」
「当然ですわ。この程度の事は私の部下なら当然出来る事です。では、進みますよ」
戦場では聞いた事のない音に全軍の動きが止まる。兵士の中には初めて耳にする轟音に驚き腰を抜かす者も現れ、その衝撃は大きかった。
「銃の音……、フロランスの部隊か」
「な、何だ、この音は!?」
アプリットは中央で兵士を整え急襲に備えていた。襲撃者のユラルンは聞き覚えのない音に慌てる馬を宥めつつ状況を把握しようと努める。だが動きは止まってしまい奇襲の目は潰えた。
「あれが銃兵の力か、これは戦場が変わるな……、いや変わる」
グレアもフロランス侯爵の下で銃兵の訓練風景を眺めていたが、実際の戦場で力を見たことで将来の戦いが変化する事を確信する。それは己が磨き続けた剣、槍の終焉を予感するものだった。
「姉様、見えました。あれこそが敵の本隊です!」
「ではみなさん、何時もの手順で攻撃を行いなさい」
マリアンの言葉でサラは隊を停止させ攻撃を下命する。
兵士たちは彼女の期待に応え、同様に銃を構えると瞬く間に発砲を行った。その時の一斉射はサラ単体で放った時と比較にならなかった。
「うーん、まだまだですわね。倒したのは十人程ですか……」
「申し訳ございません、姉様」
「まあ、初の実戦にしては及第点にしておきますか。では第二射目の用意を」
この銃は火石を用いて火球を生み出し攻撃する。その為、銃身を始めとした銃全体を約三十秒掛けて冷却しなくては使用出来ない。右に火石が、左に水石をセットした銃は水石を使用すると瞬く間に水蒸気が立ち昇る。
その異様な部隊を見つけたユラルンは驚愕する。
「な、何だあれは!!」
丁度冷却中の水蒸気が沸き上がっている所を見た為、余計に見知らぬ物への恐怖心が包み込む。そして彼の決断は早かった。
「撤退する!!」
守備の薄い場所を瞬時に見つけると馬首をそちらへ向け、腹を思い切り蹴り馬は急加速で駆け出した。生き残った部下も遅れず彼の後に続く。その素早い決断は正しいものだった。
二斉射目の火球は間一髪のところで彼等を捉える事が出来なかった。
「意外でしたわね。随分と素早く逃げましたこと」
「はい。それに次攻撃までの冷却時間が問題ですね」
「仕方ありません。ですがこれで銃兵の重要性が理解出来たと思います。では皆さん、司令官の下へ向かいましょう」
周囲を唖然とさせながら、逃げるドーソン男爵騎士団も無視しフロランス銃兵部隊はアプリットの天幕へと進む。彼女がゆったりと先頭を進むと面白い様に人が割れ、妨害なく目的地に辿り着いた。
そこにはアプリットを始めとした王国騎士団の幹部とコーンスッド侯爵、そして怯えるユーラカル侯爵ら多数が彼女の部隊を出迎えるのであった。
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