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第 四章 家庭教師な日々と初めての錬金術。
第 48話 家庭教師2日目。①
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もう朝か。早く起きて準備しないとな。身支度を済ませタオルと代えの下着を持って階下に降りる。
「お早うございます。」
女将さんに挨拶をする。
「おや、お早いね。じゃあ今日は仕事かい?」
「はい、ここ一ヶ月はずっと午後から仕事が入りまして、貧乏暇なしなんですよ。」
「おやまあ、えらく長期の仕事なんだねぇ。何をやってるんだい?」
「いや、大したことじゃないんだけどね。剣術の家庭教師を指名されてね、面倒なんだけど断れなくてね。昨日からやることになった。その間はギルドの他の仕事はお休みさ。」
「まあ、剣術の先生かい。アンタもしかして強かったのかい?」
「いやー、俺より強いやつなんて幾らでもいるよ。ま、そこそこ強い位だよ。」
「まあ、何はともあれ仕事があって良かった。頑張りな。」
「ハハハ、クビにならないように、頑張るさ。じゃ、顔を洗ってくるよ。」
裏手にある水場に向かい、周りに人がいないのを確かめてから、服を全て脱ぎ裸になり頭から汲み上げた水を被った。もう一回水をかぶり、タオルで全身をこする。新しい下着を着け服を着る。また乾いたタオルで頭を拭く。使ったタオルを水で洗い〈クリーン〉と〈ピュリフィケーション〉を使い綺麗にしてから部屋に戻った。
タオルを干して椅子に座る。本当ならここはコーヒーかお茶を飲む場面だが、なんてこったい、湯沸かしするコンロを買い忘れていたよ。魔法道具屋とかにあるのかな?仕方ない、家庭教師が始まる前に買いに行こう。
気分を変えて、朝飯を食いに行こう。階下に下りて、女将さんに鍵を預けて飯屋に向かう。
「いらっしゃいませ。」
いつもの元気な挨拶の声で迎えてくれた。
「カイラ、モーニングと果実水を頼むよ。」
「銅貨七十五枚です。サンドイッチは今日はいらないの?」
「ああ、ここ一ヶ月は街の中での仕事なんだよ。」
「ふーん、そうなんだ。なら昼や夜も食べに来られるね。」
「ハハハ、ちゃっかりしているな。ここの飯は旨いからな、来れるだけ来るよ。」
「毎度~♪」
笑顔で奥に戻っていく。
十歳とは言え、商売人の子供なんだと、小さくてもしっかりしてるわ。思わず笑みがこぼれた。
ちなみに、今日のメインは鳥肉の塩焼きだった。何の鳥かは、聞かなかったがアッサリ塩味で朝からガッツリいけた。うむ、美味であった。
朝飯を済ませ宿屋へ戻り女将さんに、魔道具屋はあるのか聞いたところ、トニー道具店を教えてもらった。昼過ぎからは家庭教師があるので、急いで向かった。
「こんにちは、どなたかいませんか?」
「はーい、ちょっとお待ちを。」
奥からパタパタと小走りで来る音がする。
「お待たせしました。どんなご用でしょうか?」
「料理に使えるコンロを探しているのだが。」
「魔道具のコンロですか?」
「ああ、そうだ。野外でも使える物が欲しいのだが。」
「そうしますと、あまり大型の物は難しいですね。」
「ああ、夜営等で使える物が欲しいのだが。」
「それですと、こちらにある物など如何でしょうか。」
日本のカセットコンロのサイズの物を奨められる。
「これで、どの位火はもつ?」
「これに入っている魔石の大きさだと、毎日使って約一月位ですね。」
「一つ幾らだい。」
「そのサイズだと、一つ銀貨二十枚だね。代えの魔石は別売だよ。買うかい?」
「三つ買う。代えの魔石は幾らだ?」
「同じサイズだと、一つ銀貨五枚だよ。」
「なら、コンロと魔石を三つずつ頼む。
「はい、毎度あり。全部で銀貨七十五枚になるよ。」
「これで頼む。」
金貨一枚渡す。最近の侯爵様からの謝礼で懐が温かいお陰か、高い買い物も気にしないですむな。
釣りと商品を手渡され、店から出た。
すぐ脇の路地に入り、荷物をインベントリィに収納した。
あちこち廻っている内に時刻は昼になっていた。
昼は久々に屋台で取ろうと、食い物の屋台が並んでいる一角に向かう。昼時なので人通りが多くて、どこも混んでいた。いぜん食べた肉串焼きの屋台を探す。
相変わらず良い匂いをさせて屋台はそこにあった。
「相変わらず良い匂いだね」
「いらっしゃい。家はいつでも美味しいさ。」
胸を張って答えてくる主人。
「いいねぇ。プロはそうじゃなきゃね。」
「プロって何だかしらんが、誉めてくれてありがとよ。序でに買ってくれれば尚良いがね。(笑)」
「ああ、済まん。焼きたてを三本くれ。」
「あいよ、三本で銅貨七十五枚だ。」
主人にお金を渡す。早速焼いている串をクルクル回しながら焼き加減を見ている。よし、と呟き串をタレ壺に浸し再び火にかける。
「よし、良い焼き加減だ。ほら、焼きたての串三本だ。」
串を渡され、熱々なのを齧りつく。
熱く、少しピリ辛だが脂と肉の旨味が合わさり、ビールが欲しくなる味だ。
主人に追加で二十本頼み、待つ間はひたすら串に齧りついていた。
三本食べ終わる頃に、主人に銀貨五枚を渡し、串二十本を買うと、インベントリィから出しておいた空の皿に乗せて貰い屋台から離れた。人目の無いのを確認してインベントリィに収納した。これでいつでも、熱々の肉串が食べられるとニコニコしながら、侯爵邸に家庭教師をするために向かった。さあ、お嬢様は筋肉痛で動けませんなんてオチは無しで頼むよ(笑)。
「お早うございます。」
女将さんに挨拶をする。
「おや、お早いね。じゃあ今日は仕事かい?」
「はい、ここ一ヶ月はずっと午後から仕事が入りまして、貧乏暇なしなんですよ。」
「おやまあ、えらく長期の仕事なんだねぇ。何をやってるんだい?」
「いや、大したことじゃないんだけどね。剣術の家庭教師を指名されてね、面倒なんだけど断れなくてね。昨日からやることになった。その間はギルドの他の仕事はお休みさ。」
「まあ、剣術の先生かい。アンタもしかして強かったのかい?」
「いやー、俺より強いやつなんて幾らでもいるよ。ま、そこそこ強い位だよ。」
「まあ、何はともあれ仕事があって良かった。頑張りな。」
「ハハハ、クビにならないように、頑張るさ。じゃ、顔を洗ってくるよ。」
裏手にある水場に向かい、周りに人がいないのを確かめてから、服を全て脱ぎ裸になり頭から汲み上げた水を被った。もう一回水をかぶり、タオルで全身をこする。新しい下着を着け服を着る。また乾いたタオルで頭を拭く。使ったタオルを水で洗い〈クリーン〉と〈ピュリフィケーション〉を使い綺麗にしてから部屋に戻った。
タオルを干して椅子に座る。本当ならここはコーヒーかお茶を飲む場面だが、なんてこったい、湯沸かしするコンロを買い忘れていたよ。魔法道具屋とかにあるのかな?仕方ない、家庭教師が始まる前に買いに行こう。
気分を変えて、朝飯を食いに行こう。階下に下りて、女将さんに鍵を預けて飯屋に向かう。
「いらっしゃいませ。」
いつもの元気な挨拶の声で迎えてくれた。
「カイラ、モーニングと果実水を頼むよ。」
「銅貨七十五枚です。サンドイッチは今日はいらないの?」
「ああ、ここ一ヶ月は街の中での仕事なんだよ。」
「ふーん、そうなんだ。なら昼や夜も食べに来られるね。」
「ハハハ、ちゃっかりしているな。ここの飯は旨いからな、来れるだけ来るよ。」
「毎度~♪」
笑顔で奥に戻っていく。
十歳とは言え、商売人の子供なんだと、小さくてもしっかりしてるわ。思わず笑みがこぼれた。
ちなみに、今日のメインは鳥肉の塩焼きだった。何の鳥かは、聞かなかったがアッサリ塩味で朝からガッツリいけた。うむ、美味であった。
朝飯を済ませ宿屋へ戻り女将さんに、魔道具屋はあるのか聞いたところ、トニー道具店を教えてもらった。昼過ぎからは家庭教師があるので、急いで向かった。
「こんにちは、どなたかいませんか?」
「はーい、ちょっとお待ちを。」
奥からパタパタと小走りで来る音がする。
「お待たせしました。どんなご用でしょうか?」
「料理に使えるコンロを探しているのだが。」
「魔道具のコンロですか?」
「ああ、そうだ。野外でも使える物が欲しいのだが。」
「そうしますと、あまり大型の物は難しいですね。」
「ああ、夜営等で使える物が欲しいのだが。」
「それですと、こちらにある物など如何でしょうか。」
日本のカセットコンロのサイズの物を奨められる。
「これで、どの位火はもつ?」
「これに入っている魔石の大きさだと、毎日使って約一月位ですね。」
「一つ幾らだい。」
「そのサイズだと、一つ銀貨二十枚だね。代えの魔石は別売だよ。買うかい?」
「三つ買う。代えの魔石は幾らだ?」
「同じサイズだと、一つ銀貨五枚だよ。」
「なら、コンロと魔石を三つずつ頼む。
「はい、毎度あり。全部で銀貨七十五枚になるよ。」
「これで頼む。」
金貨一枚渡す。最近の侯爵様からの謝礼で懐が温かいお陰か、高い買い物も気にしないですむな。
釣りと商品を手渡され、店から出た。
すぐ脇の路地に入り、荷物をインベントリィに収納した。
あちこち廻っている内に時刻は昼になっていた。
昼は久々に屋台で取ろうと、食い物の屋台が並んでいる一角に向かう。昼時なので人通りが多くて、どこも混んでいた。いぜん食べた肉串焼きの屋台を探す。
相変わらず良い匂いをさせて屋台はそこにあった。
「相変わらず良い匂いだね」
「いらっしゃい。家はいつでも美味しいさ。」
胸を張って答えてくる主人。
「いいねぇ。プロはそうじゃなきゃね。」
「プロって何だかしらんが、誉めてくれてありがとよ。序でに買ってくれれば尚良いがね。(笑)」
「ああ、済まん。焼きたてを三本くれ。」
「あいよ、三本で銅貨七十五枚だ。」
主人にお金を渡す。早速焼いている串をクルクル回しながら焼き加減を見ている。よし、と呟き串をタレ壺に浸し再び火にかける。
「よし、良い焼き加減だ。ほら、焼きたての串三本だ。」
串を渡され、熱々なのを齧りつく。
熱く、少しピリ辛だが脂と肉の旨味が合わさり、ビールが欲しくなる味だ。
主人に追加で二十本頼み、待つ間はひたすら串に齧りついていた。
三本食べ終わる頃に、主人に銀貨五枚を渡し、串二十本を買うと、インベントリィから出しておいた空の皿に乗せて貰い屋台から離れた。人目の無いのを確認してインベントリィに収納した。これでいつでも、熱々の肉串が食べられるとニコニコしながら、侯爵邸に家庭教師をするために向かった。さあ、お嬢様は筋肉痛で動けませんなんてオチは無しで頼むよ(笑)。
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