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第 七章 ツール移動準備とやはりあったお約束。
第 97話 領地に向けて出発とまたお約束の影。②
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明後日にツールへ向けて出発する準備で忙しい中で、王宮から登城せよと連絡が来た。また何事だと思いつつ馬車に乗って王宮に向かった。
王城に着くと謁見の間ではなく、いつもの応接室に通されて、今はお茶とビスケットの様なクッキーを齧っている。
暫くすると、陛下と病気だった王女と宰相の三人が連れだって入って来た。
立ち上がり頭を下げて迎えた。
「面を上げてくれ、ツール伯爵。楽にして座ってくれ。」
陛下の言葉に従い、ソファーに座り直す。
「それで陛下、今日はどんなご用件で?」
「うむ、まずは君に改めて礼を言う。見ての通り、娘も出歩ける程に回復した。本当に有り難う。この通りだ。」
王様は言葉の後、深々と頭を下げた。ソニア王女も一緒になって頭を下げる。
「二人共頭を上げて下さい。たまたま、出来る人間がいて、出来ることをやっただけです。礼は無用ですよ。」
俺は笑って答え。
「本当に弟の言う通りだな。やれるからやったか。名誉欲や打算は無いのだな。そんな君だからこそ託せる。」
(む、なにやら不穏な気配が。)
「陛下、託すとは何を?」
「実はな、昨日娘の快気祝いに私と妃と娘の三人で、主神アマテル様にお礼の祈りを捧げに教会へ行ったのだ。祈りの最中になんとアマテル様に呼ばれて、お会いする事が出来た。そこでお言葉を頂き娘に君の手助けをさせる為に救われたと仰られた。親としては複雑な所だが、どの様な理由であっても、命長らえたのは事実だ。娘も夢のお告げでも『力を貸してあげなさい。』と言われていたので不服は無いそうで、承知した。親としては心配ではあるが、神の言葉に従う事にした。
そこでだ、オオガミ、娘を君に託したい。伯爵位であればぎりぎり降嫁させても大丈夫だし、何より神の使徒である君なら、私としても異存は無い。受けてくれるな?」
王女は顔を赤くして俯いている。
(おいおいおい!お約束か?お約束なのか?まあ可愛いし、将来は絶対美人決定だが、この世界は一夫多妻オーケーなのか?後ろから刺されるのは嫌だぞ。確認しないと。)
「陛下、大変名誉なお話なのですが、先に確認したいのですが、この国は一夫多妻は許されているのですか?」
「うむ、本人同士が納得ならばな。お主が言いたいのは、セイラとシーラの事であろう?神よりお主の妻は三人になると聞かされておる。セイラもソニアならと納得した。後は君の返事を貰うだけだ。娘をお願いする。」
国王陛下から頭を下げられては、断れんがな。しゃーないわぁ。
「分かりました。お預かりします。ただ結婚は王女が十八歳になってからです。それまでは許嫁とさせて貰いますが、宜しいですね?」
「確かセイラもその条件だったな。こちらは異存ない。」
(はい、ハーレム決定。神様よー、こんな大事なことはメールをくれよな。しかも、神様公認で推奨だし。知らなかったのは俺だけじゃんかぁ。)
「オオガミよ、実はもう一つ話があってな、その神と対面したときに、娘が君の力になれるようにと、神が娘の職業を『賢者』にして下さった。元々魔力量は多かったので適職だと言われた。そこで、城にある全ての魔法書を貸し出すから、娘を指導してもらいたい。オオガミは魔法も得意と聞くのでな、そして、娘を鍛えてくれ。今は魔道具で常時魔力を減らして生活魔法で調整して症状を押さえているが、やはり根治させたいのだ。魔物狩りに連れていって、鍛えてもらえないか。お願いする。」
再び頭を下げる王様とソニア王女。
(確かに俺も完治させた方が良いと思うしな、預かる以上鍛えていこう。俺もレベリングまだしたいしね。)
「分かりました。俺も完治させた方がソニア王女様にとっても良いと思いますので、それも含めて預からせて頂きます。」
「そうか、有り難う。この娘は病の為に外の事は殆ど知らないのだ。色々教えてやってくれ。」
「オオガミ様、宜しくお願い致しますわ。」
王様は複雑な表情を、ソニア王女はニッコリと笑顔でいう。俺自身もよく常識がわかってないけど、仕方ないか。
(しかし良いのかね?俺なんかで。元独身アラフォーのオジサンには、若い娘さんの扱いはわかりません。どうしよう。)
「陛下、それでいつ頃ツールに王女はいらっしゃるのですか?」
「その事なんだが、オオガミ達は明後日の出発だったな?」
「はい、そうですが。」
「ついでと言うと言葉は悪いが、君達と同行させてくれないか?馴染むのであれば早い方が良いし、ソニアと侍女一人だけなので、負担も少ないであろうし。どうかな?」
「俺は構いませんが、王女は宜しいのですか?大体十日ちょっとかかりますけど、大丈夫ですか?」
「はい、頑張ります。」
「途中、リヒトの街で休憩を入れますが、長丁場の旅になります。具合が悪くなったら直ぐに申し出で下さいね。」
笑顔で言い聞かせる。下手に頑張ってかえって体調を崩されても困るしね。
「明後日の朝九時に出発しますので、それまでに合流して下さい。」
「はい、承知しましたわ。」
「有り難う、オオガミ伯爵。ではこの後、宰相から魔法書を受け取ってくれたまえ。宰相頼むぞ。」
「承知しました。オオガミ伯爵、こちらへ着いてきてくれ。」
立ち上がり、宰相の後に着いて行く。
王城の奥、『書庫』と刻み込まれた金属プレートが張り付く扉に入って行く。
「ここは、王国内で出版さ本を集めたものだ。大変希少な本も多いので、扱いは注意してくれ。」
宰相から注意を受けて、本棚を見ていく。
「宰相閣下、魔法を使っても宜しいかな?」
「魔法とな?どんな魔法を?」
「はい、本の内容を丸ごと覚える魔法です。」
「なんと、その様な魔法は初めて聞く。伯爵は見知らぬ魔法を使うとは聞いていたが、真であったか。良かろう。許可 する。側で見ていても良いかの?」
「ええ、構いませんよ。余り見ていても面白くないと思いますが。」
その後、三時間かけて魔法や薬学、錬金関係や、魔道具の作成や、王国内の地図や産物について書かれた資料等と法令集、周辺国の概要を片っ端から〈コピー〉していった。
こりゃあ、歩く図書館だねぇ。
王城に着くと謁見の間ではなく、いつもの応接室に通されて、今はお茶とビスケットの様なクッキーを齧っている。
暫くすると、陛下と病気だった王女と宰相の三人が連れだって入って来た。
立ち上がり頭を下げて迎えた。
「面を上げてくれ、ツール伯爵。楽にして座ってくれ。」
陛下の言葉に従い、ソファーに座り直す。
「それで陛下、今日はどんなご用件で?」
「うむ、まずは君に改めて礼を言う。見ての通り、娘も出歩ける程に回復した。本当に有り難う。この通りだ。」
王様は言葉の後、深々と頭を下げた。ソニア王女も一緒になって頭を下げる。
「二人共頭を上げて下さい。たまたま、出来る人間がいて、出来ることをやっただけです。礼は無用ですよ。」
俺は笑って答え。
「本当に弟の言う通りだな。やれるからやったか。名誉欲や打算は無いのだな。そんな君だからこそ託せる。」
(む、なにやら不穏な気配が。)
「陛下、託すとは何を?」
「実はな、昨日娘の快気祝いに私と妃と娘の三人で、主神アマテル様にお礼の祈りを捧げに教会へ行ったのだ。祈りの最中になんとアマテル様に呼ばれて、お会いする事が出来た。そこでお言葉を頂き娘に君の手助けをさせる為に救われたと仰られた。親としては複雑な所だが、どの様な理由であっても、命長らえたのは事実だ。娘も夢のお告げでも『力を貸してあげなさい。』と言われていたので不服は無いそうで、承知した。親としては心配ではあるが、神の言葉に従う事にした。
そこでだ、オオガミ、娘を君に託したい。伯爵位であればぎりぎり降嫁させても大丈夫だし、何より神の使徒である君なら、私としても異存は無い。受けてくれるな?」
王女は顔を赤くして俯いている。
(おいおいおい!お約束か?お約束なのか?まあ可愛いし、将来は絶対美人決定だが、この世界は一夫多妻オーケーなのか?後ろから刺されるのは嫌だぞ。確認しないと。)
「陛下、大変名誉なお話なのですが、先に確認したいのですが、この国は一夫多妻は許されているのですか?」
「うむ、本人同士が納得ならばな。お主が言いたいのは、セイラとシーラの事であろう?神よりお主の妻は三人になると聞かされておる。セイラもソニアならと納得した。後は君の返事を貰うだけだ。娘をお願いする。」
国王陛下から頭を下げられては、断れんがな。しゃーないわぁ。
「分かりました。お預かりします。ただ結婚は王女が十八歳になってからです。それまでは許嫁とさせて貰いますが、宜しいですね?」
「確かセイラもその条件だったな。こちらは異存ない。」
(はい、ハーレム決定。神様よー、こんな大事なことはメールをくれよな。しかも、神様公認で推奨だし。知らなかったのは俺だけじゃんかぁ。)
「オオガミよ、実はもう一つ話があってな、その神と対面したときに、娘が君の力になれるようにと、神が娘の職業を『賢者』にして下さった。元々魔力量は多かったので適職だと言われた。そこで、城にある全ての魔法書を貸し出すから、娘を指導してもらいたい。オオガミは魔法も得意と聞くのでな、そして、娘を鍛えてくれ。今は魔道具で常時魔力を減らして生活魔法で調整して症状を押さえているが、やはり根治させたいのだ。魔物狩りに連れていって、鍛えてもらえないか。お願いする。」
再び頭を下げる王様とソニア王女。
(確かに俺も完治させた方が良いと思うしな、預かる以上鍛えていこう。俺もレベリングまだしたいしね。)
「分かりました。俺も完治させた方がソニア王女様にとっても良いと思いますので、それも含めて預からせて頂きます。」
「そうか、有り難う。この娘は病の為に外の事は殆ど知らないのだ。色々教えてやってくれ。」
「オオガミ様、宜しくお願い致しますわ。」
王様は複雑な表情を、ソニア王女はニッコリと笑顔でいう。俺自身もよく常識がわかってないけど、仕方ないか。
(しかし良いのかね?俺なんかで。元独身アラフォーのオジサンには、若い娘さんの扱いはわかりません。どうしよう。)
「陛下、それでいつ頃ツールに王女はいらっしゃるのですか?」
「その事なんだが、オオガミ達は明後日の出発だったな?」
「はい、そうですが。」
「ついでと言うと言葉は悪いが、君達と同行させてくれないか?馴染むのであれば早い方が良いし、ソニアと侍女一人だけなので、負担も少ないであろうし。どうかな?」
「俺は構いませんが、王女は宜しいのですか?大体十日ちょっとかかりますけど、大丈夫ですか?」
「はい、頑張ります。」
「途中、リヒトの街で休憩を入れますが、長丁場の旅になります。具合が悪くなったら直ぐに申し出で下さいね。」
笑顔で言い聞かせる。下手に頑張ってかえって体調を崩されても困るしね。
「明後日の朝九時に出発しますので、それまでに合流して下さい。」
「はい、承知しましたわ。」
「有り難う、オオガミ伯爵。ではこの後、宰相から魔法書を受け取ってくれたまえ。宰相頼むぞ。」
「承知しました。オオガミ伯爵、こちらへ着いてきてくれ。」
立ち上がり、宰相の後に着いて行く。
王城の奥、『書庫』と刻み込まれた金属プレートが張り付く扉に入って行く。
「ここは、王国内で出版さ本を集めたものだ。大変希少な本も多いので、扱いは注意してくれ。」
宰相から注意を受けて、本棚を見ていく。
「宰相閣下、魔法を使っても宜しいかな?」
「魔法とな?どんな魔法を?」
「はい、本の内容を丸ごと覚える魔法です。」
「なんと、その様な魔法は初めて聞く。伯爵は見知らぬ魔法を使うとは聞いていたが、真であったか。良かろう。許可 する。側で見ていても良いかの?」
「ええ、構いませんよ。余り見ていても面白くないと思いますが。」
その後、三時間かけて魔法や薬学、錬金関係や、魔道具の作成や、王国内の地図や産物について書かれた資料等と法令集、周辺国の概要を片っ端から〈コピー〉していった。
こりゃあ、歩く図書館だねぇ。
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