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第 二章 冒険者ギルドとやっぱりのお約束
幕間 2話 あるギルマスの回顧録①。
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この話は、オオガミが冒険者ギルドに登録した時まで遡る。
「マスター!凄い子が登録しに来ました。」
俺は、何時になっても慣れない書類仕事と格闘していると、サブマスのイーナが扉から飛び込んで来た。
「なんだ、イーナ?普段はサブマスとして、俺の礼儀がなっちゃいないと口煩いのに、そのお前がノックもせずに飛び込んで来て、一体何事だ?」
「申し訳ありません。少し興奮してしまいました。実は、先程新人入会者の少年が来まして、報告に来ました。」
「何を騒ぐ事がある。少年の登録者など当たり前だろうが。」
「普通ならそうですが、先程来た少年は普通に新人で登録しにくる子達の能力値の十倍近い能力を持っていることが〈鑑定の水晶球〉で解りました。十倍ですよ、十倍。期待の逸材ですよ。」
「へぇ、十倍は凄いな~。その少年の名前はなんて言うんだ?」
「変わった名前で、ショウイチ・オオガミと名乗ってました。年は十五ですので、将来の期待の逸材ですよ。」
「ほう、十五で一般の十倍とは確かに凄いな。今度の新人戦闘訓練会に参加させよう。俺が直接見てみるか。」
実は、報告を受けていても話半分でその時は聞いていた。十五歳で一般人の十倍の能力値って、どんな化け物だよってその時は内心笑いながら聞いていたからだ。
翌日、そのオオガミと言う少年がギルドに来たとサブマスのイーナが報告にきた。階下の受付カウンターの後ろからその少年を見ると、黒髪黒目で装備も黒と周りとは異質に映った。
依頼を一通り見てから受付に来るようなので、空いていた窓口に俺は座り待った。
予想通り、空いていると思ったか、俺が座っている窓口に来た。
「おはようございます。」
「おう、おはようさん。何の用だい。」
「昨日登録したばかりの新人なんだが、冒険に必要な日用品や雑貨道具が欲しいのだが、売っている店の場所を教えてもらいたい。あと替えの服や下着を売っている店もたのむ。」
(ほう、十五歳の割には話し方が大人っぽいと言うか、生意気というか。もと貴族の子弟か何かかな?)
「新人か。すぐ依頼に出なくてしっかりと準備することは大事だ。最近はろくすっぽ準備もしていないのに、出かけてから困ったと騒ぐ奴等が多くなっているなかで、しっかりと準備してから依頼に行こうとは、若いのに、てぇしたやつだ。」
「いや、その場になって困るのが嫌なだけだよ。」
「そう言ってくるヤツ自体最近は少ないのさ。
(慎重だな。筋肉バカじゃないようだ。)
で店だったな。冒険者用の各種日用品は〈エバートン商店〉だな、品揃え十分だし安く揃う、ギルドからの紹介だと言えばすこしだが、割り引いてもくれるしな。服とかは〈キリー服飾店〉へ行ってみな。ここもギルドからの紹介だと言えば割り引いてくれるぞ。」
それぞれの案内を渡すと、内ポケットに入れた。
(おいおい、驚いたな。マジックボックス持ちかい。)
「ほう・・・」
つい感嘆の声を上げてしまったが、少年はわざと知らん顔している。
(こりゃあ、確かに逸材だな。滅多にいないマジックボックスを持つとは。後は戦闘力だな。)
嬉しくなってきて、ニヤリと笑ってしまった。
「明日朝九時から新人の戦闘訓練を行う。必ず参加すること。いいなオオガミ君?」
「なんで私の名前を知っている?」
(おうおう、驚いた顔をしているな。この辺りは十五歳だな。)
「なに、昨日の手続きの時に水晶球に手を置いただろ。あの水晶球はな、〈鑑定の水晶球〉って言ってな前科に関わる称号だけでなく、スキルや魔法以外の能力値や魔力量なんかもわかるのさ。それで受付した娘がえらく興奮して報告してきたのよ。逸材かもってな。」
「何の事か、わかりませんね。私は只の田舎から出てきた新人ですよ。そんな逸材とか言われてもきっと間違いですね。」
(ははは、慌ててるな。懸命に誤魔化そうとしているが、無駄だぞ。)
「ほう、とぼけるか。なら改めて言うぞ。ギルドマスターの権限でお前は必ず来い。以上だ。」
「うえっ!そんなお偉いさん何で窓口に?」
「決まっている。お前を待っていた。いいな、明日朝九時にギルドに来いよ。」
この世の終わりの様な顔をして、項垂れているな。
あいつがどの位強いか、最近運動不足だったからな、明日が楽しみだ。明日は旨い酒が飲めそうだ。
その日の午後、書類仕事を片付けた後、明日の訓練会に向けて、剣の訓練をしておこうと思った。
ギルド裏の訓練場に行くと、あのオオガミが剣の稽古をしていた。新人とは思えない程の剣速で型の稽古をしている。思わず拍手していた。拍手に驚いたのか、オオガミは振り向いた。ちょっとイタズラ心で訓練の相手をさせた。嫌がっていたが、構わず斬りかかると、文句を言いながら相手をしてくれた。
そして、オオガミの力量に驚き、嬉しくなった。元Sクラスの俺の剣に渡り合える新人がいるとは思わなかったぜ。しかも戦っている内に、どんどん強く上手くなっていく。天井知らずの成長力だ。
楽しくなって途中から殆ど全力に近い力で戦ったが、それでも俺の動きについてきた。
暫く、会話もなくひたすら撃ち合っていると、サブマスが仕事の時間だと訓練場に入ってきた。
明日の楽しみもあるし、今日はここまでにしておくか。
久々に良い運動をしたぜ。オオガミか。先の楽しみな新人が入ったな。今晩は旨い酒が飲めそうだ。
「マスター!凄い子が登録しに来ました。」
俺は、何時になっても慣れない書類仕事と格闘していると、サブマスのイーナが扉から飛び込んで来た。
「なんだ、イーナ?普段はサブマスとして、俺の礼儀がなっちゃいないと口煩いのに、そのお前がノックもせずに飛び込んで来て、一体何事だ?」
「申し訳ありません。少し興奮してしまいました。実は、先程新人入会者の少年が来まして、報告に来ました。」
「何を騒ぐ事がある。少年の登録者など当たり前だろうが。」
「普通ならそうですが、先程来た少年は普通に新人で登録しにくる子達の能力値の十倍近い能力を持っていることが〈鑑定の水晶球〉で解りました。十倍ですよ、十倍。期待の逸材ですよ。」
「へぇ、十倍は凄いな~。その少年の名前はなんて言うんだ?」
「変わった名前で、ショウイチ・オオガミと名乗ってました。年は十五ですので、将来の期待の逸材ですよ。」
「ほう、十五で一般の十倍とは確かに凄いな。今度の新人戦闘訓練会に参加させよう。俺が直接見てみるか。」
実は、報告を受けていても話半分でその時は聞いていた。十五歳で一般人の十倍の能力値って、どんな化け物だよってその時は内心笑いながら聞いていたからだ。
翌日、そのオオガミと言う少年がギルドに来たとサブマスのイーナが報告にきた。階下の受付カウンターの後ろからその少年を見ると、黒髪黒目で装備も黒と周りとは異質に映った。
依頼を一通り見てから受付に来るようなので、空いていた窓口に俺は座り待った。
予想通り、空いていると思ったか、俺が座っている窓口に来た。
「おはようございます。」
「おう、おはようさん。何の用だい。」
「昨日登録したばかりの新人なんだが、冒険に必要な日用品や雑貨道具が欲しいのだが、売っている店の場所を教えてもらいたい。あと替えの服や下着を売っている店もたのむ。」
(ほう、十五歳の割には話し方が大人っぽいと言うか、生意気というか。もと貴族の子弟か何かかな?)
「新人か。すぐ依頼に出なくてしっかりと準備することは大事だ。最近はろくすっぽ準備もしていないのに、出かけてから困ったと騒ぐ奴等が多くなっているなかで、しっかりと準備してから依頼に行こうとは、若いのに、てぇしたやつだ。」
「いや、その場になって困るのが嫌なだけだよ。」
「そう言ってくるヤツ自体最近は少ないのさ。
(慎重だな。筋肉バカじゃないようだ。)
で店だったな。冒険者用の各種日用品は〈エバートン商店〉だな、品揃え十分だし安く揃う、ギルドからの紹介だと言えばすこしだが、割り引いてもくれるしな。服とかは〈キリー服飾店〉へ行ってみな。ここもギルドからの紹介だと言えば割り引いてくれるぞ。」
それぞれの案内を渡すと、内ポケットに入れた。
(おいおい、驚いたな。マジックボックス持ちかい。)
「ほう・・・」
つい感嘆の声を上げてしまったが、少年はわざと知らん顔している。
(こりゃあ、確かに逸材だな。滅多にいないマジックボックスを持つとは。後は戦闘力だな。)
嬉しくなってきて、ニヤリと笑ってしまった。
「明日朝九時から新人の戦闘訓練を行う。必ず参加すること。いいなオオガミ君?」
「なんで私の名前を知っている?」
(おうおう、驚いた顔をしているな。この辺りは十五歳だな。)
「なに、昨日の手続きの時に水晶球に手を置いただろ。あの水晶球はな、〈鑑定の水晶球〉って言ってな前科に関わる称号だけでなく、スキルや魔法以外の能力値や魔力量なんかもわかるのさ。それで受付した娘がえらく興奮して報告してきたのよ。逸材かもってな。」
「何の事か、わかりませんね。私は只の田舎から出てきた新人ですよ。そんな逸材とか言われてもきっと間違いですね。」
(ははは、慌ててるな。懸命に誤魔化そうとしているが、無駄だぞ。)
「ほう、とぼけるか。なら改めて言うぞ。ギルドマスターの権限でお前は必ず来い。以上だ。」
「うえっ!そんなお偉いさん何で窓口に?」
「決まっている。お前を待っていた。いいな、明日朝九時にギルドに来いよ。」
この世の終わりの様な顔をして、項垂れているな。
あいつがどの位強いか、最近運動不足だったからな、明日が楽しみだ。明日は旨い酒が飲めそうだ。
その日の午後、書類仕事を片付けた後、明日の訓練会に向けて、剣の訓練をしておこうと思った。
ギルド裏の訓練場に行くと、あのオオガミが剣の稽古をしていた。新人とは思えない程の剣速で型の稽古をしている。思わず拍手していた。拍手に驚いたのか、オオガミは振り向いた。ちょっとイタズラ心で訓練の相手をさせた。嫌がっていたが、構わず斬りかかると、文句を言いながら相手をしてくれた。
そして、オオガミの力量に驚き、嬉しくなった。元Sクラスの俺の剣に渡り合える新人がいるとは思わなかったぜ。しかも戦っている内に、どんどん強く上手くなっていく。天井知らずの成長力だ。
楽しくなって途中から殆ど全力に近い力で戦ったが、それでも俺の動きについてきた。
暫く、会話もなくひたすら撃ち合っていると、サブマスが仕事の時間だと訓練場に入ってきた。
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