139 / 572
第 八章 領主就任と町の掃除。
第118話 領地のお掃除は大変だね。
しおりを挟む
只今、ツールに到着した当日の夜中の一時過ぎです。
何故この時間に起きているかといえば、先手必勝で代官のアシリー・アクダイクンの犯罪の証拠を掴むためだ。
闇ギルドの支部長を確保はしているが、アシリーがシラを切る事もあるので、明確な証拠を突き付けないと認めないだろうからね。あの手の男は図太いから。記憶にございませんなんて言われたら、どこの政治家だよと物理的に突っ込みしてしまいそうです。
等という理由から、今私の目の前に代官館があります。一応守衛が二人、門を守っているのですが規律がなっていない様で、酒で酔っぱらっているようだ。
私は冒険者スタイルに着替えて、既に自分自身に〈スルーサイト〉をかけており、マップ表示をオンにして、犯罪の証拠や隠し財産がどこにあるか、〈サーチ〉で調べ上げている、万全の状態だね。
「〈マルチロック〉〈スリープ〉。」
代官館の住人全てに、スリープをかけて、マップで動くものが居ないのを確認してから館に侵入した。表玄関はさすがに閉まっていたが、台所口は開いていたので、有りがたく入らせて貰ったよ。
マップを拡大して、真っ直ぐに証拠の隠されている部屋に向かった。
その部屋の前で、中の様子の気配を探り、マップに動く者が居ないことを確認して入ると、そこは代官の寝室だった。流石に寝入っているね。
「〈サーチ・犯罪の証拠〉。」
これもお決まりの、絵画の所から反応があった。
〈鑑定〉を使って罠が仕掛けられていないか、確認してから、隠し金庫を開けると、帳簿や手紙や受け取り証等の書類や代官の給金では貯まるはずの無い額の金貨や白金貨、宝石、金の延べ板。大きな魔石などかなりの財産があった。勿論全て没収だ。隣の執務室からも反応があるので向かうと、領主屋敷の執務机よりも明らかに立派な机が置かれている。椅子も上等で、これではどっちが領主の部屋かわからない位だよ。
取り敢えず、反応がある箇所を調べては全て押収していった。
まあ、唯一心が痛まなかったのは、代官に家族が居ない事だったな。
再び代官館の外に出ると、今日の九時に家に来るのを楽しみにして、次の獲物に取り掛かった。
次は闇ギルドツール支部の掃除だな。
「〈マップ表示・オン〉〈サーチ・闇ギルド支部と闇ギルドのメンバー〉。」
ほう、こんな所に支部があるとはね。早速、掃除に行きましょうか。
そこは、裏通りにあるうらぶれた飲み屋だった。
「〈マルチロック〉。」
赤く反応がある者を全てロックしてから中に入る。
中に入ると、途端に周りから視線を向けられる。
見るからに人相の悪い男が寄ってきて、睨み付けながら言う。
「小僧、ここはお前なんかが来るところじゃないぞ。とっとと出ていけ。さもないと、痛い目に会うぞ。」
「いえ、用が有りましてね。領主として、この町の闇ギルドを抹消しに来たんだよ。」
「なんだと小僧。何故ここの事を、死にたいようだな。死ねや。」
男が懐から短剣を取り出して、襲い掛かって来た時にポツリと一言。
「〈スタン〉。」
途端に、酒場の中にいた闇ギルドのメンバーは全員麻痺してその場に倒れこんだ。
一人が、呂律の回らない口でいう。
「てめえ、な、何、者だ?」
「私かい?私は今日からツールの町の領主に就任した、ツール伯爵のオオガミさ。
まあ、裁判なんて面倒臭いから、今麻痺している奴は即刻死刑な。この世から消えてしまいな。〈マルチロック〉〈ワームホール〉。次は真っ当に生まれ変われよ。変れたらだけどな。」
「た、助けて、ヒッヒー!身体が沈む!」
男達は叫びながら、床に広がる暗黒の闇に落ちて行った。酒場には誰もいなくなり、静まり返える。
代わりに、頭の中で職業やら魔法属性レベルが上がったとアナウンスがある。取り敢えずスルーしておく。
「〈サーチ・犯罪の証拠〉。おお、奥の部屋に反応があるね。」
カウンターの後ろにある扉から一本道の廊下を進み、目の前に扉を見つけた。
「〈サーチ・罠〉表示黄色。」
扉には罠はなく、反応は部屋の中からあった。
当然部屋には誰もいなくて、無人だったが、魔法の灯りが無人の部屋を照らし出していた。罠と証拠の反応は同じ所から有ったので、早速回収する。
「〈鑑定・隠し金庫〉。」
(鑑定結果・罠が仕掛けられているよ。毒が塗られたナイフが飛び出てくるタイプだね。以前と同じ方法で解除出来るよ。)
「なら、〈ピュリフィケーション〉〈クリーン〉。これでいいな。」
絵を壁から外して、金庫の正面から外れてから、金庫の扉を開ける。途端に、中からナイフが飛び出していった。それを見届けてから、金庫の中を確認する。
「おーおー、色々あるねぇ。流石に港町だけあるね。密貿易や違法人身売買の販売リスト流石にあったよ。他に裏の暗殺依頼者のリスト。手を組んでいる海賊や商会のリストまであるか。お、代官の名前もバッチリあるね。証拠はこれで完璧だね。では、帰りますか。〈リターン〉。」
呪文を唱えた次には、私は屋敷の執務室にいる。
時空間属性魔法〈リターン〉は、予め帰還の目標として設置された魔法ポイントに向けて瞬間移動する魔法だ。〈テレポート〉とは違って、目印となるポイント一ヶ所にしか移動できないのが、〈リターン〉である。その分必要魔力が〈テレポート〉よりも少なくてすむのだが。
マントや鎧、剣を外して、インベントリィにしまった。執務室の横の扉から寝室に入ると、驚いて立ち止まる。アイリスとアルメイダがベッドの上で起きていて、こっちを見ていたからだ。
「おや、まだ寝てなかったのかい。もう遅いから、早く寝なさい。」
「うー、眠いにゃ。早く一緒にねるにゃ。」
「ショウ、貴方の用事は済んだの?」
アイリスの目をじっと見て誤魔化せないと判断した。
「ああ、町の屑は掃除してきたさ
。あとは、朝にくるバカ者と一緒になって甘い汁を吸っていた、商人どもを纏めて始末すれば終わりさ。証拠も証人も居るしね。さあ、明日は朝からバタバタするから、もう寝ようぜ。」
朝が待ち遠しいねぇ。明日からはこの町は〈新生ツール〉になるからね。
何故この時間に起きているかといえば、先手必勝で代官のアシリー・アクダイクンの犯罪の証拠を掴むためだ。
闇ギルドの支部長を確保はしているが、アシリーがシラを切る事もあるので、明確な証拠を突き付けないと認めないだろうからね。あの手の男は図太いから。記憶にございませんなんて言われたら、どこの政治家だよと物理的に突っ込みしてしまいそうです。
等という理由から、今私の目の前に代官館があります。一応守衛が二人、門を守っているのですが規律がなっていない様で、酒で酔っぱらっているようだ。
私は冒険者スタイルに着替えて、既に自分自身に〈スルーサイト〉をかけており、マップ表示をオンにして、犯罪の証拠や隠し財産がどこにあるか、〈サーチ〉で調べ上げている、万全の状態だね。
「〈マルチロック〉〈スリープ〉。」
代官館の住人全てに、スリープをかけて、マップで動くものが居ないのを確認してから館に侵入した。表玄関はさすがに閉まっていたが、台所口は開いていたので、有りがたく入らせて貰ったよ。
マップを拡大して、真っ直ぐに証拠の隠されている部屋に向かった。
その部屋の前で、中の様子の気配を探り、マップに動く者が居ないことを確認して入ると、そこは代官の寝室だった。流石に寝入っているね。
「〈サーチ・犯罪の証拠〉。」
これもお決まりの、絵画の所から反応があった。
〈鑑定〉を使って罠が仕掛けられていないか、確認してから、隠し金庫を開けると、帳簿や手紙や受け取り証等の書類や代官の給金では貯まるはずの無い額の金貨や白金貨、宝石、金の延べ板。大きな魔石などかなりの財産があった。勿論全て没収だ。隣の執務室からも反応があるので向かうと、領主屋敷の執務机よりも明らかに立派な机が置かれている。椅子も上等で、これではどっちが領主の部屋かわからない位だよ。
取り敢えず、反応がある箇所を調べては全て押収していった。
まあ、唯一心が痛まなかったのは、代官に家族が居ない事だったな。
再び代官館の外に出ると、今日の九時に家に来るのを楽しみにして、次の獲物に取り掛かった。
次は闇ギルドツール支部の掃除だな。
「〈マップ表示・オン〉〈サーチ・闇ギルド支部と闇ギルドのメンバー〉。」
ほう、こんな所に支部があるとはね。早速、掃除に行きましょうか。
そこは、裏通りにあるうらぶれた飲み屋だった。
「〈マルチロック〉。」
赤く反応がある者を全てロックしてから中に入る。
中に入ると、途端に周りから視線を向けられる。
見るからに人相の悪い男が寄ってきて、睨み付けながら言う。
「小僧、ここはお前なんかが来るところじゃないぞ。とっとと出ていけ。さもないと、痛い目に会うぞ。」
「いえ、用が有りましてね。領主として、この町の闇ギルドを抹消しに来たんだよ。」
「なんだと小僧。何故ここの事を、死にたいようだな。死ねや。」
男が懐から短剣を取り出して、襲い掛かって来た時にポツリと一言。
「〈スタン〉。」
途端に、酒場の中にいた闇ギルドのメンバーは全員麻痺してその場に倒れこんだ。
一人が、呂律の回らない口でいう。
「てめえ、な、何、者だ?」
「私かい?私は今日からツールの町の領主に就任した、ツール伯爵のオオガミさ。
まあ、裁判なんて面倒臭いから、今麻痺している奴は即刻死刑な。この世から消えてしまいな。〈マルチロック〉〈ワームホール〉。次は真っ当に生まれ変われよ。変れたらだけどな。」
「た、助けて、ヒッヒー!身体が沈む!」
男達は叫びながら、床に広がる暗黒の闇に落ちて行った。酒場には誰もいなくなり、静まり返える。
代わりに、頭の中で職業やら魔法属性レベルが上がったとアナウンスがある。取り敢えずスルーしておく。
「〈サーチ・犯罪の証拠〉。おお、奥の部屋に反応があるね。」
カウンターの後ろにある扉から一本道の廊下を進み、目の前に扉を見つけた。
「〈サーチ・罠〉表示黄色。」
扉には罠はなく、反応は部屋の中からあった。
当然部屋には誰もいなくて、無人だったが、魔法の灯りが無人の部屋を照らし出していた。罠と証拠の反応は同じ所から有ったので、早速回収する。
「〈鑑定・隠し金庫〉。」
(鑑定結果・罠が仕掛けられているよ。毒が塗られたナイフが飛び出てくるタイプだね。以前と同じ方法で解除出来るよ。)
「なら、〈ピュリフィケーション〉〈クリーン〉。これでいいな。」
絵を壁から外して、金庫の正面から外れてから、金庫の扉を開ける。途端に、中からナイフが飛び出していった。それを見届けてから、金庫の中を確認する。
「おーおー、色々あるねぇ。流石に港町だけあるね。密貿易や違法人身売買の販売リスト流石にあったよ。他に裏の暗殺依頼者のリスト。手を組んでいる海賊や商会のリストまであるか。お、代官の名前もバッチリあるね。証拠はこれで完璧だね。では、帰りますか。〈リターン〉。」
呪文を唱えた次には、私は屋敷の執務室にいる。
時空間属性魔法〈リターン〉は、予め帰還の目標として設置された魔法ポイントに向けて瞬間移動する魔法だ。〈テレポート〉とは違って、目印となるポイント一ヶ所にしか移動できないのが、〈リターン〉である。その分必要魔力が〈テレポート〉よりも少なくてすむのだが。
マントや鎧、剣を外して、インベントリィにしまった。執務室の横の扉から寝室に入ると、驚いて立ち止まる。アイリスとアルメイダがベッドの上で起きていて、こっちを見ていたからだ。
「おや、まだ寝てなかったのかい。もう遅いから、早く寝なさい。」
「うー、眠いにゃ。早く一緒にねるにゃ。」
「ショウ、貴方の用事は済んだの?」
アイリスの目をじっと見て誤魔化せないと判断した。
「ああ、町の屑は掃除してきたさ
。あとは、朝にくるバカ者と一緒になって甘い汁を吸っていた、商人どもを纏めて始末すれば終わりさ。証拠も証人も居るしね。さあ、明日は朝からバタバタするから、もう寝ようぜ。」
朝が待ち遠しいねぇ。明日からはこの町は〈新生ツール〉になるからね。
41
あなたにおすすめの小説
異世界ラグナロク 〜妹を探したいだけの神災級の俺、上位スキル使用禁止でも気づいたら世界を蹂躙してたっぽい〜
Tri-TON
ファンタジー
核戦争で死んだ俺は、神災級と呼ばれるチートな力を持ったまま異世界へ転生した。
目的はひとつ――行方不明になった“妹”を探すことだ。
だがそこは、大量の転生者が前世の知識と魔素を融合させた“魔素学”によって、
神・魔物・人間の均衡が崩れた危うい世界だった。
そんな中で、魔王と女神が勝手に俺の精神世界で居候し、
挙句の果てに俺は魔物たちに崇拝されるという意味不明な状況に巻き込まれていく。
そして、謎の魔獣の襲来、七つの大罪を名乗る異世界人勇者たちとの因縁、
さらには俺の前世すら巻き込む神々の陰謀まで飛び出して――。
妹を探すだけのはずが、どうやら“世界の命運”まで背負わされるらしい。
笑い、シリアス、涙、そして家族愛。
騒がしくも温かい仲間たちと紡ぐ新たな伝説が、今始まる――。
※小説家になろう様でも掲載しております。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた
季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】
気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。
手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!?
傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。
罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚!
人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
勘当された少年と不思議な少女
レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。
理由は外れスキルを持ってるから…
眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。
そんな2人が出会って…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる