神様、幸運なのはこんなにも素晴らしい事だったのですねぇ!

ジョウ シマムラ

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第十二章 正しい貴族家のつきあい方。

第222話 プリンへの道は意外と遠い。

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    好評と怨嗟のプリン騒動を、何とかまた作ることを約束させられることで落ち着いた。しかし、クッキーの時よりも反応が凄すぎて、一寸引いてしまった事は、人には言えないな。特にソニアの眼力が凄いこと。凡人な私にしたら、あの時のソニアには、ただただひれ伏すしかなかった。流石、王族と言うべきか。
普段が大人しい素直な子だから、尚更ギャップがすごかったよ。
まあ、大量販売するためには、固めるために大型の冷蔵庫が、必要になるので、まずは小さいサイズの冷蔵庫の製造から考えよう。

    ステータス画面を呼び出して、職業をメイン錬金術士、サブを魔術師にする。
どうも、既存の方法では魔法陣の製作が大変に難しいというか、今の私では魔法陣を書くことが出来ないだろう。多分この難易度の高さが魔法陣や錬金術が廃れた原因なんだろうね。そう思うよ。
では、自分で出来ないなら、代わりに魔法陣を作ってくれるものを作れば良いだけだ。まずは、確認から。

    「〈オーケー・検索〉。」

    ピホ♪。効果音と共にお馴染みの検索画面が現れる。

    「えーと、検索ワードは、『条件を設定するだけで魔法陣を作ることが出来る呪文・スキル』と。あるかなぁ?ポチッとな。」

(検索に魔力三十必要です。検索しますか?Y/N)

「勿論、Yをポチっと。」

(検索結果・お問い合わせの案件につきましては、該当する呪文、またはスキルは見当たりません。ぶっちゃけ、新しく作った方が良いよ。)

「・・・何がぶっちゃけだ!まったく。仕方ない、久々に使うスキルだな。上手く出来るかな。では、早速に、スキル〈魔法創造・オン〉。」

    ポン♪いつもと違う効果音で画面が現れる。

    「えーと、〈呪文名〉は『魔法陣創作』と。そして、〈射程〉は『本人』で、〈効果範囲〉は、『二メーター』で、〈効果〉は、『スキル〈魔法陣〉と錬金術魔法を組み合わせて、指定された条件や効果を効率良く発動する魔法陣を作り出す』と。こんなモノかな。実行とポチ。」

(魔法製作に魔力千五百必要ですってか。〈マルチロック〉作ったときは、確か三百だったのに、千五百とはまた大量だな。まあ、仕方ないか。『実行』をポチっとな。)

    画面をタップした途端に、体からいつもの魔力が抜けていく感触がする。

    「ぐぅ。く、いつもながら千以上の魔力が一度に抜けるときは、キツイねぇ。」

目の前に浮かぶ画面には〈制作中〉の文字が点滅している。
〈マルチロック〉の時よりも、長くかかっていたが、〈制作中〉の表示が消えて、画面に新呪文が表示されて、頭の中にアナウンスされる。

    (ピロ~ン♪『魔導の極み』により、『職業・錬金術師、魔術師』が上がりました。〈錬金術魔法〉が上がりました。錬金術魔法〈魔法陣創作〉〈転写〉を覚えました。)

    「まあ、目的の呪文が出来上がって良かったよ。待ち時間が長かったから、出来なかったのかと思っちまった。さて、使い方だが、検索して調べますか。〈オーケー・検索〉。」

ピホ♪検索の画面が新しく現れる。

(検索ワードは『〈魔法陣創作〉の使い方』と。『実行』とタップ。なに、必要魔力が三十か。構わん『実行』とポチっとな。)

    (検索結果・呪文発動に必要な魔力は基本百です。創作される魔法陣は基本魔石から魔力を吸収して発動するか、直接魔法陣に魔力を流すかで発動します。発動後は発動させた時と同じ方法で魔力を補給します。作り方の手順は、まず求める効果の錬金術魔法や属性魔法から三つあるスロットに選んで決める。決めた後に『魔法陣製作』のボタンをタップすると魔法陣を製作に移り、出来上がると魔法陣が画面に表示される。ただし条件の順番に齟齬があると、作成できないので注意。『転写』ボタンをタップすることで、対象物に転写をします。転写された対象物は以後、魔法陣の効果を持った道具として使用できますよ。あープリン食べたいわ。)
「・・・・もう、完全に人格だろ。今更ながらだけど、どんな仕組みなんだ?鑑定と検索は。やっぱり一度は神様に聞かないといけないな。まあ、今はそれよりは呪文についてだ。呪文だが、形としてはスキルに近い仕様だね。スキルは発動には魔力は要らないが、こいつには一個作るに百は必要ということだ。〈メイク・グリモア〉よりはマシだな。」

    何とか、魔法陣を簡単に作る方法を得たので、次は冷蔵庫の筐体を作らなければならない。実際作るのはジンテツさんに頼むしかないが、設計図や仕様書位は渡さないと、開発に時間がかかってしまうのは目に見えているからね。そこで、再びこれだ。

「〈オーケー・検索〉。」

ピポ♪効果音と共に再び検索画面が現れる。

    「検索ワードは『ガイアワールドの素材で作る魔石使用型冷蔵庫の設計図』と。ポチッとな。」

(検索に魔力が二百必要か。良し実行だ。ポチッとな。)

(検索結果・冷蔵庫のサイズは日本の小型の業務用冷蔵庫を基本としている。以下に設計図と仕様を記す。・・・・。)

    インベントリィーから紙を取り出して、書き写していく。結構細かいので、漏れがないように注意しながら書き写した。

    「やった!これでやっと次の行程に移れるよ。ジンテツさんの所に行くか。」

    呼び鈴を鳴らす。暫くしてサウルが入ってくる。

「お呼びでしょうか、旦那様。」
「うん、済まないが馬車の用意を頼むよ。エチゴヤの工房に用があるから。」
「承知しました。暫くお待ちを。」

    そう言って用意に出ていくサウル。十分も待たずに、用意が出来たと知らせに来た。
待つ間に、外出着に着替えておき、用意が整ったとの言葉で、玄関口に向かう。
馬車に乗り込むと、馭者にエチゴヤに向かうように告げる。

    十分程で、エチゴヤに着く。馬車には待っていて貰うと、ジンテツさんが居る、工房に向かった。

    ジンテツさんの工房はエチゴヤの裏に有り、普通の家が十軒ぶんは有りそうな位の広さの土地の一角にある鍛治場である。

    「ジンテツさ~ん!、いるかい?」

大声を上げて呼ぶと、奥からドワーフの壮年の男が出てきた。

    「おう、伯爵の坊主か。何か用事か?」
「忙しい所に済みません。これを見てもらえますか。」

    懐から、先程書き写した冷蔵庫の設計書をみせる。

「おう、こりゃあ、中を密閉出来る箱かい?何に使うんだ?」
「これは冷蔵庫と言って、この箱の中を魔法陣で冷却する。魔道具です。食材の保存や物を冷やすのに使います。」
「成る程。冷却用の箱か。つまりコレを作れって言うのかい?」
「はい、出来ますか?」
「出来るかだと?ここまで設計書があって、出来無いなんて言えるドワーフはいないわ。三日間くれ。材料を揃えるに一日、製作に二日間あれば作ってやるよ。」
「さすがに親方。仕事が早い。」
「へっ、煽てる暇があるなら、作った後に飲むエールの心配でもしておけ!」
「はは、樽で用意しておきますよ。」
「そりゃあ、気合いが入るってもんだ。三日後にまた来な。」 
「分かったよ。親方。じゃあ宜しくね。」

    工房を後にして、ビルさんに会いに行く。

    「誰かいますか?」
「はーい。少しお待ちを。」

    そう言いながら、奥からパタパタと出てきた若い従業員。
以前にも来たときに対応に出てきた人だ。

    「ああ、いつぞやに会頭にお会いに来られた方ですね。もしかして今日も会頭にご用で?」
「ええ、オオガミといいます。今、面会出来ますかね?」
「はい、確認しますのでお待ち下さい。」

    そう言って、奥に戻っていった。さて、ビルさんの反応やいかに。




   



    




 
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