神様、幸運なのはこんなにも素晴らしい事だったのですねぇ!

ジョウ シマムラ

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第二十一章 帰っても忙しい毎日。

第447話 新天地にお引越ししよう。①

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 「ほぅ、ではどうしたら大人しく私の言う事に、従うのかな?」

挑発するように言葉を返すと、青年は簡単に私の挑発に掛かって、ややムキになりながら言い返してくる。

「そこまで言うのなら、俺たちにお前の力を見せてみろ。もしもお前の言うことが万一にも納得出来たなら、言う通りに出ていくなりココを去るなりしてやるよ。そんな事は有りえないがな。どうだ!!」

私の内心では思った通りの反応を相手がしてくれたので、シメシメと思ったが、表情には出さない様にして返す。

「なら、相手は私一人がしよう。そちらは、何人でも挑んで良いとするが、どうする?」
「バ、バカにするな!お前の様な子供相手に何人もいるか!俺様一人で十分だ。」
「それで本当に良いのだな?」
「あぁ、構わないさ。用意をして表に出ろ。そして俺と戦え!」

自分の言葉に興奮したのか、顔を赤くしながらも私に言い寄る。

「そうか。分かったよ。では、早速やろうか。」

立ち上がってそう言うと、インベントリィから木製の模擬剣を取り出した。それを見て族長が目を剥いて尋ねた。

「今、お持ちの木剣は何処から出したのですか?」

「なに、私はマジックボックス持ちなのさ。色々と便利だよ。」

そう言って、家の外に向かうのだった。




 「始める前に、ルールを決めておこうか?」
「るーる!?何だそれは?」
「いや、後で聞いてないとか無い様にする為だよ。」
「俺が勝つのに、そんな事を予めあらかじめ決めなくても同じだろうに。で、そのルールとは何だ?」

既に勝った気でいるらしく、私の話しを適当に聞き流している。

「殺し合いでは無いからね。武器は模擬剣を使うこと。勝負は互いに戦って、ドチラかが参ったと言うまでだ。これで良いか?」
「ああ、それで良い。」
「では、やろうか。」

そう言って、互いに距離を取ると、剣を構えた。
相手を探る様子を見せながら、相手の出方を待つのか、暫くは距離を取っている。
思っている以上に慎重なのか、中々打ち込んでこない。

「どうした?掛かってこないと、勝負に成らないぞ?それともコチラから動こうか?」

動く気配の無い相手を、誘うと侮られたと思ったのか、顔色を赤くして剣を構え直した。

「怪我をしても知らないからな。」

そう言って、体を沈ませると、そのまま打ちかかってきた。
私も動ける様に、剣を握りながら左側から打ち込まれる木剣を、左足を引いて体を開いて躱した。
目の前を通り過ぎていく、模擬剣の切先を見て躱すかわすと、代わりに右下から逆袈裟に切り上げる。

「おっと、危ないな。思ったよりヤルじゃんアンタ。コレなら全力で遣り合っても、大丈夫だな。手加減しないけど、早目に参ったと言うのだな。」

それだけ言うと、体を縮めて、まるで飛びかかるかの様に、間合に飛び込んで来た。
そして、飛び込んできたと同時に飛び上がり、一瞬視界から消えたように見えた。
私は、慌てず気配で跳び上がったと感じていた。上から打ち下ろしてきたが、木剣を危なげなく左に打ち払い、着地した所を左下から斬り上げたが、当たる寸前に身を翻した。

「ほう、意外とヤルね。驚いたよ。」
「ソッチこそ、只のお貴族様じゃないね。」
「これなら、本気になっても大丈夫かな?」
「本気って、めるなよ。」
「別に嘗めてはいないさ。」

そう言って体に気を纏うと、そのまま闘気をぶつける。

「ひっ!!」
「どうしたのかな?体も温まったし、此れからが本番じゃないか。」

私が、本気を出し始めたのを周りで見ている許嫁達にも分判かったのか、真剣に見守りはじめた。
相手もやっと、私が本気になった事が分かったのか、先程までの威勢の良さは消え、髪を逆立て震え始めた。

「おや、急に震えるなんて、先程迄の威勢の良さはどうしたのかな?私の様な子供相手に力を見せろなんて、大人気ない事を言っていたのは、何処のドナたかな?余り人を見下さないで欲しいな。ああっ?」

体内に溜めていた殺気を、声と共に叩き付ける。

「ひぃっ!!」

相手は勿論だが、周囲にいた見物人の族長や部族の者達も、私からの殺気に触れて、全員自然と身構えていた。

「おや、どうしたのかな?この位の殺気にビクつくなんて、先程迄の大言はどうしたのかな、なぁ?」
「ひっ、ひゃぁ!」

一声そう叫ぶと、突然マークは気を失ったのか、クタッとなり静かになった。それを見て、ぶつけていた殺気を収めた。それを感じたのか、周りも身構えていた体勢を解いた。
それまであった族長からは、戦い以前に感じられた侮りは消えて、マークの側に駆け寄って開放していた。

「マーク、しっかりしろ!」

そう、駆け寄りながら声を掛けた。少しして唸りながらマークが気付くと、私が側に居ると分かると、途端に立ち上がり族長に縋り付くと悲鳴と共に気が付いたようだ。

「おや、気が付いたようだね。所で、納得いったかな、マーク?族長も?」
「な、納得しました。あなたの言う事は、全て従います。試すような事をしまして、誠に申し訳ありませんでした。ご領主様の仰られる事は如何様なりとも、我等一同従いまする。」

とても会談前の様子とは異なり、ある意味全面降伏したようだ。それを見て、事前に考えていた案を初めて話し出す。

「では族長、君に命じよう。」






























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