神様、幸運なのはこんなにも素晴らしい事だったのですねぇ!

ジョウ シマムラ

文字の大きさ
559 / 572
第二十一章 帰っても忙しい毎日。

第450話 新天地にお引越ししよう。④

しおりを挟む
 「それは丁度良いタイミングだね、町長。これでも私も忙しくてね、この仕事の後は陛下に呼ばれていて、近日中に会いに行かなくてはいけなくてね。全く、こっちの都合とかも考えてくれと言いたいよ。」

不敬な話しだが、ボヤいてみたら町長も愛想笑いだろうが、苦笑いをしてくれた。

「さて、ボヤくばかりじゃ無くて、仕事を片付けないとね。
それで、エルフ側は何時に会合をしようと言ってるのかな?」
「そのことなんですが、エルフ側の族長は名前をジンデリという男なんですが、彼が言うには、何時でも良い。ここに来るなら、何時でも歓迎しようと言ってました。」
「ほう。それは有り難いな。町長、早速訪問しても大丈夫かな?」
「実は先程まで、その事を話し合っていたのですよ。まさか、こんなにご領主様が早くも再訪されるとは、思ってもいませんでしたが。」

これは久々に運の良い事だと思った。

「ならば、この後すぐにも訪問したい。早速案内をしてくれるかな?」
「こ、これからですか?」
「迷惑だったかな?」
「いえ、そう言う訳ではないのですが。お疲れではないですか?何なら、一日お休みに為られて明日訪問するのは如何ですか?」
「いや、問題は早く片付けたいからな。行けるなら今日行こう。」
「分りました。家の者に伝えてきますので、それから出かけるとしましょう。」

私の説得を諦めたのか、出掛けることに同意するのだった。



 馬車に揺られながら、馬車の中で詳しい話しを聞いた。

「もう一度確認したいが、エルフ達は何人いるのだ?」
「部族で確か、4~5百人は居たと思います。ここへ移動する間に多少減ったようですが。」

(部族としては、確かに少ないね。)

「なにか、部族として特徴はあるかい?得意な事とか何かある?」
「はあ、種族的に狩りは得意らしいですね。後は葡萄酒とかも中には得意とする者がいますね。後は、森の民らしく、木工などの工芸品も得意にしてますね。こんな所でしょうか。」
「中々芸達者の者が多いのだね。楽しみだ。」

生活様式等を聞きながら、時間を潰していると、町の山側の一体に差しかかった。
馬車が止まり、町長がまず出ていき、その後を追う様に出る。

「度々で済まんな。ジンデリンは在宅かな?」
「族長ですか?家に在宅だと思いますが?何用ですか?」

対応に出た、見た目は二十歳の若者に話し掛けると、族長の在宅を聞く。

「実は、昼間話したご領主様が早速いらしたので、くだんの話しをしたいと思ってな、在宅なら呼んでくれるかな?」

要件を告げると、早速呼びに向かったのか家の中に入って行った。
暫く待つと、戸口に四十代に見える中年男性が出てきた。

「町長、先程会ったばかりなのに、一体何用かな?」
「実はの、あの後家に帰るとな、お主に話した通り、ツールのご領主様がいらしてな。お主と早速話し合いたいと申されてな、ココへお連れしたわけだ。ご領主様、こちらがエルフ達の族長のジンデリンです。」

町長からジンデリンを紹介される。

「お初にお目に掛かる。ツールの領主のショウイチ・オオガミだ。急な訪問で済まないな。早速だが、移住について話しをしたいのだが?」
「これはご領主様、お出でくださり感謝します。見窄らしいみすぼらしい所ですが、中にお入り下さい。ささっ、ドウゾ。」

招かれるまま、中に入っていく。家の中は質素な佇まいたたずまいで、簡素と言うよりも物が無いといった風情だった。

入って直ぐにあった、食卓を囲むように椅子に座る。ウチの同行者達も空いた椅子に各々座る。


「さて、改めて自己紹介する。私がツール辺境伯のショウイチ・オオガミだ。冒険者もしている。町長から聞いたのだが、この地には追われて帝国から移ってきたと聞いている。間違いないかな?」
「はい。その通りです。ここへ来る前は帝国の国境付近にある森で暮らしておりました。しかし、四~五年程前から帝国で人種差別のエルフ狩りが起こり、人族以外の種族に対しての奴隷狩りが始まり、私共の集落でも多くの者が攫われてさらわれて捕まっていったのです。攫われた者は売られたのか、一向に戻って来ませんでした。そこで、場所を知られていた前の集落を捨てて、新しい土地を目指して移住を決断したのです。そして、この地に精霊に導かれて部族ごと移動したのが、約二年前となります。その間に、帝国との戦争も終わり、やっと落ち着いた生活が出来たが、生活は落ち着いたが代わりに日常生活の不便さが表に出てきてしまって、部族の中で不満が高まっているのです。ご領主様には、何とか手立てを考えて頂きたいのです。如何がでしょうか?」

胸に溜め込んでいた問題を、全て吐き出したのか、スッキリした顔色をしている。
反対に難問題を抱え込んだ私は、渋い顔をしていただろう。
そして、事前に決めていた話しをし始める。

「ジンデリン殿。私もここに来る前に三つの代案を馬車の中で考えて来た。出来れば、その三つの解答のなかで解決案を決めて欲しい。まず一つ目は、リヒトに向かう領地の境目にある山地に広がる森林地帯に集落を移すかだ。二つ目は、ツールの北側に広がる魔の森に集落を作るか。三つ目は、私のもう1つの領地であるイーストンにも人手が入ってない森林地帯がある。その地に移住しても良いだろう。どの地に移ったとしても、生活が安定するまで2年間は無税とするがね。勿論だが、各種ギルドを利用したときに発生する物品税は払って貰うがな。どうだ、気に入った所はあるかな?」

こうして、エルフに対しての移住相談が始まった。













 



    
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界ラグナロク 〜妹を探したいだけの神災級の俺、上位スキル使用禁止でも気づいたら世界を蹂躙してたっぽい〜

Tri-TON
ファンタジー
核戦争で死んだ俺は、神災級と呼ばれるチートな力を持ったまま異世界へ転生した。 目的はひとつ――行方不明になった“妹”を探すことだ。 だがそこは、大量の転生者が前世の知識と魔素を融合させた“魔素学”によって、 神・魔物・人間の均衡が崩れた危うい世界だった。 そんな中で、魔王と女神が勝手に俺の精神世界で居候し、 挙句の果てに俺は魔物たちに崇拝されるという意味不明な状況に巻き込まれていく。 そして、謎の魔獣の襲来、七つの大罪を名乗る異世界人勇者たちとの因縁、 さらには俺の前世すら巻き込む神々の陰謀まで飛び出して――。 妹を探すだけのはずが、どうやら“世界の命運”まで背負わされるらしい。 笑い、シリアス、涙、そして家族愛。 騒がしくも温かい仲間たちと紡ぐ新たな伝説が、今始まる――。 ※小説家になろう様でも掲載しております。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

処理中です...