神様、幸運なのはこんなにも素晴らしい事だったのですねぇ！

第十六章 サウスラーニは面倒臭い。

敵は数の少ないものから順に始末するか。

　八月二十四日　王都　ツール辺境伯　別邸　執務室。

「ふう。全くソニアにも困ったく者だね。一応、彼女にはああは言ったが、私と違い実の父親と弟を殺されたのだからな。復讐したいと言う気持ちは正直解らないではないのだ。だが、心配なのは復讐のあとに彼女が自身が傷つけないかだな。その為には、やはりもう一度彼女と話し合う事が必要だろうな。殺るにしてもしなくてもだ。」

先程までのソニアとの会話を思い出して、思わず呟いていた。

「さてその為にも、犯人達を叩くネタがいるからね。誰から早速調べるとするかな。やっぱここは弱い相手から叩くとしますかね。そうするとやはりリップ子爵かランドルフ子爵あたりになるのかな。当人たちには、勿論やった事の重大さを後悔をさせる為にも、思い知らさないといけないな。さて、〈マップ表示・オン〉〈サーチ〉・リップ子爵と今回の犯罪に関係した者・表示黑。」

呪文を唱えると、早速目の前に王都のマップが広がり、特定の屋敷を中心にマップが広がる。
眼前には、半透明の地図がある屋敷を中心に黒い点が幾つか映し出されていた。
屋敷の一番奥に動かない黒点が一つと、同じ部屋には居るが先程の点の様に一箇所にじっとしておらず、壁に沿って行ったり来たりしている。他には兵士の控室なのか、そこにも黒い点が八つ程いてコチラは団欒だんらんでもしているのか、集団で纏まっていた。
特定するために人が少ない方が勿論全員調べた。

「〈サーチ〉・黒い点。‥‥‥‥（結果報告）・指定された対象はリップ子爵です。傭兵隊長のクロビスと何やら相談中です。」

どうやら同じ部屋にいるもう一つの黒店はクロビスという傭兵部隊の隊長らしい。
リップ子爵と同じく黒い点で表示されているから、今回の事件に関わっている様だな。念の為にもう片方を調べてみるか。

「〈サーチ〉・傭兵隊長クロビス。」

呪文を唱えると、やはりリップ子爵と同じ部屋に居たもう一方の黒点だった。忘れないうちにマーカーを付けておかないた。
　リップ子爵を表す黒い点に名前の入ったマーカーを忘れずに付けた。

残りの八つの黒点も一応調べたが予想道理、全員クロビスの部下の傭兵仲間のようだ。彼等は傭兵部隊の部隊長のようで取り立てて特筆すべき者達な訳でもなかったので、マーカー迄は貼らなかった。

「よし。リップ子爵の関係者は全てマークしたな。次はランドルフ子爵だな。〈サーチ〉・ランドルフ子爵・表示黒。呪文を唱えると、マップが切り替わり、先程のリップ子爵の屋敷とは違う場所となって映し出された。中心に黒い点が新しく表示されている。こちらもマークしておくか、」

　念の為に今回の犯罪の関係者を調べてみたが、リップ子爵の時とは異なり一人だけのようで、他には表示されなかった。

「まあ、子爵クラスではこんな物かな。さてと、次に移るとするか。〈サーチ〉・ケーニッヒ伯爵や同じく叛乱に手を貸した者・表示黒。」

再びマップが切り替わった。どうやら、王都ではない様だ。先程よりも大きな屋敷が映し出された。

「ほう。流石に伯爵家だな。広い所に住んでいる。コイツも直接犯行に手を貸したのは、本人だけの様だ。他に側近なのか、共犯者は二人だけのようだ。」

（ケーニッヒ伯爵と関係者で表示されている者は側近の様だね。家令と騎士団長だったから、この二人も同罪だな。マーカーを付けてと。さてお次は、ボルトン伯爵家だな。）

「〈検索・ボルトン伯爵〉。検索結果・ボルトン伯爵家は元々はボルトン公爵家を元として分家した家柄です。詳しい理由は不明だが、ボルトン公爵家は王家派閥の有力な公爵家の１つだ。始め名が分かったときは嘘だろうと宰相やリヒト公爵は信じなかったが、家の事を詳しく説明をすると、渋い顔をしながらも、納得をしていた。どうやら本家の意向を無視して、地位向上を仕組んだようだな。原因はウチというかツール辺境伯家がここに来て勃興して、それに対しての嫉妬が元らしい。そんなに目立つ事をした覚えはないが、何か気に食わなかったようだ。全体的に叛乱した家は、代替わりしたばかりが多いようだ貴族家として未熟な当主が多いようだな。それが叛乱の一因には違い無い。次はと。」　

「（マップ表示）・（オン）。（ボルトン伯爵関係者表示）、（サーチ）・（反乱事件の犯人及び関係者）・（表示黒）。違う事を間近っことは責任を取らないとね。例え上位の貴族であったとしてもね。いや、上位だからこそ、叛乱など許さるれ物ではないのにからな。さて、どんな具合かな。黒く表示されるのは分かっていたが、この人数は思ったより多いな。伯爵家とは言え、関係者が多いな。黒表示だげでも三千人を超える。恐らく騎士団がそのまま反旗を翻しているのだろうな。全くこの手の奴は、纏めて後悔しな。消されて、本当の怖さが分かるだろうさ。まっ、死んでしまえば後悔をする事も無いけどね。」

纏めて黒表示された人数を除くと、使用人だけかな。残っているのは、然程多くはなかった。

「ほう。意外だな。反乱の事を計画に付いて口外してなかったか。伯爵のクラスが確かに秘密を守りやすいのかな？まっ、三千人居ようが魔法で纏めて消すだけだがね。さて次は、」

「さて、因縁の色々と有った新ドラクル伯爵家か。そう言えば、ブドウ酒を自慢してたな、それよりも、自慢出来る孫を育てろよってね。」