父を助けに18年

クルミ

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第2話

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ママが病院の先生とお話している間、私は看護師のお姉さんと一緒に待合室で待っていた。

「お嬢ちゃん、お名前は何ていうのかな?」

看護師のお姉さんは優しい表情で私に聞いてきた。

「名前は雪愛です。小学校4年生です。」

すると看護師のお姉さんは何かを思い出した表情をした。

「雪愛ちゃん?風林 雪愛ちゃんだよね?」

「うん。風林 雪愛です。」

「1月生まれだよね?」

「うん、そうだよ。」
どうして、このお姉さんは私の名前と誕生日を知っているんだろ?

「雪愛ちゃんはね、この病院で生まれたんだよ。大きくなったね。」

「えっ?」

そういえば、この病院へ来る前にママがそんなことを言っていた気がする。
急に倒れたパパが心配で、そのことで頭がいっぱいだったからすっかり忘れてた。

「私はその頃、看護師になったばかりだったんだけど、雪愛ちゃんが生まれる時に立ち会ったし、雪愛ちゃんにミルクを飲ませたりオムツを替えたりもしたんだよ。」

「へー、そうだったんだ。」
私はオムツも替えてもらったと聞いて、少し恥ずかしくなった。

「私が生まれたのって9年7ヶ月前だよね?あれ?お姉さんは今、何歳なの?」

すると看護師のお姉さんは一瞬顔がひきつって、

「雪愛ちゃん、なかな鋭いわね。今年で30歳になります…。」

苦笑いしながら答えた。

何かまずいこと聞いたかな?

「でも、お姉さんは24歳くらいに見えるよ!綺麗だし!」

「そう?ありがとう!年よりも若く見えるってよくいわれるの!」

看護師のお姉さんの表情が笑顔になって輝いている。

なんで子供の私が大人のお姉さんに気を遣わないといけないのだろう…。
うちのママもだけど、大人の女の人はどうして自分の歳を聞かれるのを嫌がるのだろう?

パパもこの前、

「女性に歳を聞くのは失礼だぞ。」

って言ってたし。

パパは大丈夫だろうか?

ママはまだ戻ってこない。

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