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ストリートリスニング

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 夕暮れの空が、まどろむ、一個のパンが空を焼く。
 君は通りを歩く、速足で。
 僕は追っていったのだけど、君を通り抜け越しに、そっと見つめる、リスの顔。
 瞳はキラキラ、眼は踊る星々が、まだ宿っている希望は、止まぬ、ハートビート。
 世界が、世界が、僕らを待っている、戯れは、橋が架かった絆の握手が、心の中で鳴っている君とのキス。
 夢を見る。
 まだ夢を見るんだ。
 いつか君と結ばれて、あの大きな雲の上で、流れに身を任せたらって。
 そうしたら、きっと自由だね。
 痛みも喜びも、空の上に置いてきて、僕ら、歌を歌おうよ。
 奏でる調べは優しいリズム、揺れるリスリズム。そして、勇敢を気取るダンディズム。
 紳士になんてなれないね。君の前では、裸でいたい。
 想いを受け取って。
 このやさしいピアノの調べが、静寂の傘をくぐって、二人を寄せ合わせて、涙声。
 僕は頼りないね。
 君はかわいいね。
 まるでリスのような優しさで、包み込んでくれ。
 そしたら答えるよ。
「ああ、いつまでも、君と一緒にいたい。でもいつかは別れる時が来る」
 信じて。愛して。歌をやめないで。
 ハートが、孤独に震える時も、君のそばにいるって、誓う、それは歩いていく君の足跡をたどって。
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