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鳥が舞う

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命の重み。
問いかけて、答えない。死のはざまで、あなたはkissをせがんだ。
愛の意味は、まだ知れない。
光が満ちて、鼓動が止まり、絶歌の夢が、もたげた頭にこう囁く。
「愛してる」
裏切りの影に陰謀、それは欲望のナイフ。
俺は、闘う。
ただあなたのために。
静かな暮方、街を背景にして、塗りつぶした絵の具はきっと白い色。
鳥たちが、空に舞い、一つの声になった。
「私を忘れないで」
俺は、剣を抜いた。
あなたのために死を覚悟して、立ち向かう、黒い奴らに。
でも、俺の手を止めたのは、君の涙。
なぜと振り返ると、天使は笑っていた。
光の洪水、太陽が落ちてくるような世界の崩落。
音楽は鳥の囀り。
音楽は鳥の囀り。
もう、やめてよ
なんで?
あなたに剣はふさわしくない。
ただ、私の声だけを聴いていてほしいの。
剣を収めて、手繰り寄せた、君の体は鳥のように空に溶けて、俺も宙を舞って、羽音が重なり、恋が希望の涙にぬれた。
一夜、一昼夜、一晩
ずっとそばにいてほしい。私の眼が見えなくても。
ああ、光よ。
ああ、夜よ。
さあ抱きしめるから、おいで。
君の体温は、温かい、温めて。
だから、僕ら、このまま……
もうそれ以上は言わないで、と言ってあなたは俺の唇に指を置いて、去っていく。
君は鳥になって、帰っていった。
愛してる、愛してる、愛してる……。
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