レイジの詩

鏑木ダビデ

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咥え銃

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喉元に突き刺さる紫煙のワルツ。
ぶっ放された怒りが、床に飛び散った血だまりをクリーンにして、掃除屋のリスが笑う、ブラックアウト。
ホークロック薔薇ジェットガシェット。
刻まれたタトゥーは、痛みの歌唱に合わせて歌う、ロックンロール・ブラッド。
血に流れる野蛮な解放軍が、夜明けの勝利を誓う時、群靴の音は、ロンブラントシェル・光の覚醒
俺は、拳銃を咥えさせた喉の奥を鳴らして飲むヴァンパイアドラッグツツ―と流れる涎は、垂れて硫酸の雨にまじり合う、車が通る。
銃は鼻垂れて、突っ込む、けつに、アースクエイク・ホールバックス。
後ろから突けば、血が飛び散る、ハードアンドタイトな野郎は、ブーツカット・ネッグカット。
ネグリジェのわきに、差し込むヴァギシングポイント・明るい空が血に染まる。
破瓜のときめき向こう側、その先に延ばせば、花の舌も伸びるベロンっといったら舌先に香るアロマはラサノンク・ハイドラッグ・ドリンク・死の接吻。
絡みつく唾液は、えぐい味、エロい味、ざらりとザラメ、それはコカ・コーラ淫。
手に握った銃が震える俺の指の引き金を引かせた。
とまどいの瞬間にこめかみにあたった感触は、ショットガン
どちらが速いか
撃つ、撃つ、撃つ!
背後から乱軍
群靴にけむる死者は、屍鬼の花。
禍々しい絶望の香水は、デッドドノーバーウルフロック
香りが溶けて、はねつける、女は言った、「死なせて」と。
ああ、いいよ。
銃身に涎が伝い、俺は引き金を引いた。
しかし、判断が狂った。
女狂者は舞を踊る。
絶望のリズムに揺れる花のユリのダンス。
シャッターを切るように、俺の顔にフラッシュ・記憶の遡行。
気が付けば、初恋の女がいた。
「死なないで」
それから俺は、床に散らばった死体を見つめ、こう返す。
「……」
沈黙だけが俺を語る。
群靴は止んでいた。
ロックメタル・フェニックスバラード
不死鳥のように還ってくる俺の名はレイジ。
拳銃の重みとナイフの冷たさが、瞳の奥に光る死の先を見る、真実の戦士。
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