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ポップエンジェル

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ポップノイズ。アットマーク、ホット笑顔。
くすぶる煙は、夢の色。
極彩色の、ポップバラード。
そして、エンドレスアワード。
優勝して、トロフィーをもらっても、君は笑はない。
ただ、君の横にいるかけがえのない人を愛せばいい。
日常の中に、ささやかな喜びを感じる。
温まる手と手をつなぐ、紡ぎ合う語らい、小鳥のような鳴き方で、さかんに泣くのは自由意志。
俺は、樹を見上げた。
生命は跳ね上がり、胸は躍る。旅人。
虚空を見上げて、口づけた、樹の幹に。ぬくもり。
俺は、夢を見上げた。
愛は高まり、塊となって、投げ放たれる青い空に。
そのまま朝まで一緒にいようね。
君と俺を引き裂けるのは、もう何もないんだからさ。
問いかける。
答えはない。
問いかける。
答えを知らないままに、生きていくことが本当に幸せ。
そう思う?
ねえ、空の果てにいるプリンセス。
何も言わないで。
そのまま生きて。
俺は、もう一人で、生きてはいけない。
そう、感じた夜明けに、流星がふって、我に返る。
「愛してる」
君の声が聞こえた気がする。
旅が、まだまだ続くなら、俺の声は静寂にかき消されていく。
そう、愛しているという言葉を杖にして。杖はいらない?
それなら、死を覚悟しろ、極彩色のポップバラード。
鮮烈な光に目がくらみ、不死鳥は夜空に踊る。天使たちは、ただ微笑んで、手を振り、別れていく。光の道の途中で。
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